#661【元財務官僚が警告】破綻寸前の国々と同じ末路?社会保険料の重すぎる負担とオランダの解決策とは? 田中秀明氏(2026.4.18)
(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム、プロデューサーの深田萌絵です。今回は、明治大学公共政策大学院教授の田中秀明先生にお越しいただきました。先生、よろしくお願いします。
(田中)
田中です。よろしくおねがいします。
(深田)
前回は今の日本の社会保障で日本人の生活の問題は、所得税や消費税よりも、社会保険料の重さが課題だとお話しいただきました。今回は集めたお金の使い方はどうなのかということを教えていただきたいと思います。
(田中)
保険料の問題は、負担だけではなく、給付面の方がより日本にとって深刻だと考えています。
(深田)
給付面が深刻なのはなぜですか?
(田中)
まずスライドを見ていただきたいと思います。

これはOECD諸国についてです。この横軸は補償的支出といって、ちょっと分かりにくいのですが、対GDPで主に年金と失業にどれだけお金を使っているかを表しています。点線はOECDの平均です。縦軸は、投資的支出といって、家族対策(育児)、積極的労働(雇用訓練)と教育です。
(深田)
リスキリングなんかも投資的支出に入っているのですね。
(田中)
人への投資ということです。
(深田)
日本は、補償も投資も全くしていない。補償がギリギリ平均で、しかも投資もほとんどしておらず、では集めたお金を何に使っているのかという話ですね。
(田中)
ここには入っていませんが医療と年金も大きいです。このグラフで申し上げたいのは、右上の国、スウェーデンとかフインランドで主に北欧です。北欧はどちらもお金をたくさん使っています。
(深田)
投資も補償もしっかりしています。
(田中)
例えば、投資的支出で、日本とスウェーデンを比べるとスウェーデンは対GDP費が2倍から3倍で、凄く人にお金を使っているのです。他方、興味深いのはニュージランド、アメリカ、オーストラリア、英語圏の国は大体、左側に寄っているのです。
(深田)
補償はあまりしていません。
(田中)
年金と失業にはお金を使ってないのです。他方、教育ですね。アメリカは日本とそんなに差はないかもしれませんが、公的な高等教育にどれだけお金を使っているのかを比べると、対GDP費で日本は0.4%ぐらい、アメリカは0.9%ぐらいで倍ぐらいなのです。
アメリカの高等教育で大学は授業料がめちゃくちゃ高く個人負担が重いのですが、それでも公的資金を投入しているのです。問題は日本を含めた右下の国です。どういう国が右下にありますか?
(深田)
デフォルトしそうな国、ダメな国一覧ですよね。
(田中)
具体的に申し上げると、イタリア、ギリシャ、ポルトガル、スペインなどです。
(深田)
もうそろそろ、国が破綻するというニュースで、たまに名前が上がってくる国ですよね。
(田中)
そうです。スロベニア、ポーランドは、まだ発展途上国なので、何となくわかりますよね。何を申し上げたいかというと、この右下の国は主に伝統的な家族観を持っている国なのです。
(深田)
伝統的な家族観ですか?
(田中)
端的に申し上げると、女性は早く結婚して、子供を産んで育てて、親の面倒を見る。そういう伝統的な家族観を持っている国です。これらの国は、相対的には年金に結構お金を使っています。だけれど、家族対策は、女性が子供の面倒を見るので、社会的に面倒を見る必要はないですよね。
(深田)
でも、韓国は入っていないですよね?
(田中)
韓国は年金が非常に乏しいのですが、教育に結構お金を使っています。
(深田)
確かに、韓国はすごい受験競争社会ですよね。
(田中)
韓国はプライベートの負担も重いのですが、すごくお金を使っています。日本は人口が減っていますよね。今後、50年間で人口は、出生率を1.1程度と仮定すると、全人口は4600万人ぐらいになります。問題は、そのうち働き手の15歳から64歳までが、3400万人ぐらいいるのです。どうするのですか?人口減少で外国人労働者を何百万人と入れますか?
(深田)
そこも問題なのですよね。今日、マンションのエレベーターに乗ったら、自分だけが日本人で、しかも人種の坩堝みたいになってしまっていて、共通語が英語ですらない空間にいるのです。これは、教育レベルが高い人だからいいけれども、そうではない人たちがいる時は、結構悲惨なことになりそうです。
(田中)
私は、決して外国人差別するつもりはなく、能力のある方は、どんどん日本に来ていただいて働いていただきたいと思います。ただ、外国人労働者の場合は、特に子供が生まれて平均収入以上稼がないと、むしろ日本全体としては負担になります。
(深田)
えっ!?負担になるのですか?
(田中)
子供がいれば教育、育児負担が負担になります。平均以上であれば、それなりに税金を負担していただくので、決して日本全体として損するということはないのですが、もし平均収入を稼がない場合、日本社会としては、せっかく外国人に来ていただいたけれども持ち出しになります。
(深田)
実は、雇用ジャーナリストの海老原嗣生さんという方がいらっしゃって、保険料の負担について「海外から来る技能実習生は若くて元気な時に働きにきて、保険料は払うが、あまり保険を使わずに国に帰ってくれるので、丸儲けなのだ」とおっしゃっているのですけれど、この辺りはどうなのですか?
(田中)
単身の場合はそうだと思います。しかし、子どもが生まれた場合、いろいろな公共サービスを享受しますが、そのコストはただではないです。
(深田)
そうですよね。所得の低い国から来られている外国人にすると、日本は暮らしやすいので、そのまま残って子どもを作られる方も結構いますものね。
(田中)
そうですね。話は元に戻りますが、このグラフの右下にある国が極めて問題なのです。ドイツやフランスは、昔は下に位置していたのですが、家族対策を増やしました。特にフランスは家族対策を大幅に増やして、今はスウェーデン以上にお金を使っています。
(深田)
家族対策ですか?
(田中)
育児ですね。フランスは、子育てに非常に優しい国なので、非常にお金を増やしたのです。家族対策、積極的労働、あるいは教育を増やすためには、税金が必要です。グラフの右下の国は、専ら社会保障に依存した国なのです。だから、増やせないのです。
基本的に社会保険を基盤とする国なので、年金とか失業は保険でそれなりにできますが、教育とか家族対策は、保険ではできないのです。育児保険はないですよね。実は、今日本で育児対策のために医療保険料上乗せをして徴収しています。これも極めて問題なのですが、いずれにせよ育児とか教育を保険では賄えないですよね。
(深田)
賄えないですね。保険での保障が重いので、投資が増やせないと言うことですか?
(田中)
そう言うことです。我々の負担能力には限りがあって、保険料を負担すればするほど税金を負担できなくなります。
(深田)
そうですよ。実際に、3割取られていますものね。
(田中)
それ以上に所得税、消費税を負担できないですよね。
他方、左側の英語圏の国も保険はもちろんあります。ただ、オーストラリアのように保険のない国もあるのですよ。こうした国は基本的に税金で全ての多くの公共サービスと税金で賄います。そうすると、特に教育費を増やすことができるのです。右上の北欧は、保険料も税も多い。だから増やすことができます。
(深田)
一方、日本は税金も保険も重い。国民負担が45%を超えました。こういう状態なのに、保障がしっかりあるわけでもない。投資に至っては平均以下です。我が国は一体何にお金を使っているのですか?私たちが負担している見返りがないですよね?
(田中)
一番お金を使っているのが医療と年金です。そこに大量の一般財源を投入していますので、より豊かな人を助けているのです。
(深田)
豊かな人を助けるのが政治ではないですよね。強い人は放っといても自動的に強くなっていくので、弱者を助けるために存在するのが政治家だと思います。
(田中)
そうなのです。決して弱者に何もしていないわけではないのですが、やはり日本の問題は高齢者ですよね。私も実は、前期高齢者になってしまったのですが、高齢者に優しい国で、年金、医療にお金を使っています。
もちろん国民は誰でも年を取りますので、それなりの保障が必要なのですが、結局経済がより発展し、豊かにならない限り、誰も幸せにならないのですよ。
年金医療で、もちろんお金は必要なのですが、経済が発展していくためには、私は日本にとって大事なのは人的投資だと思います。学び直し、教育です。でも、それが圧倒的に日本は足りないのです。私は、今後の日本を考えた時に最も致命的な問題だと思います。
(深田)
確かにそうですね。何歳ぐらいで学び直しをされるのがいいと思いますか?私も人を雇う側になるのですけれど、なかなか自分が思っている人物像というか、こういうことをしてほしいという方が来ないのですよね。
(田中)
そうですね。なぜ学び直しが難しいのかというと、一般に言われているのは時間がない、お金がない、日々の仕事でも手一杯というのは、よく言われている理由ですよね。それから企業も、社内研修をやっているところはありますけれど、どこまで拡充できているのかですよね。
(深田)
雇用保険で加入者が受けられるリスキリング講座もあるのですけれど、受けている知人の話を聞くとカルチャーセンターレベルらしいのですよね。それを学んだところで、それでお金にはならない、稼げない。稼げないことを学ぶのに、時間と税金を使っているというのはおかしい使い方ですよね。
(田中)
まだまだ足りないですね。本当にスキルアップを図るにはまだまだ足りない。例を申し上げると、スウェーデンは極めて市場原理主義なのです。アメリカや日本以上に市場原理主義なのです。
(深田)
そうなのですか?
(田中)
よく我々の認識は、社会保障が充実しているという認識ですよね。もちろんそうなのですが、例えばリーマンショックとかコロナで、どの国でも企業は傾きましたよね。でも、スウェーデンは企業を助けないのですよ。
(深田)
企業を一切助けないのですか?
(田中)
助けないというのは、補助金で助けない。日本もアメリカも自動車会社を補助金で助けましたよね。スウェーデンは助けない。なぜなら、企業を助けると、新陳代謝が遅れて、会社がより発展しない。
他方、働いている人を助けるのです。例えば、企業が倒産すると、社員が困りますよね。スウェーデンは失業者を助けるのですよ。もちろん失業手当によって生活を保障し、いろいろな職業訓練を提供する。それも何か月に渡って、職業訓練を提供して、要は新しい産業に移ってもらうのです。だめな企業は“さようなら”です。そのために、スウェーデンあるいは北欧の国は人への投資を大量に税金を使っています。
(深田)
確かに、そうなのですね。これからの時代、転職するにはパソコンは使えた方が良いのではないか、これはもうかなり前の時代からですけれど、本当にベーシックなものですよね。高度にプログラミングではなく、基礎的なところは、やはり身につけておかないといけないのではないかと思うのです。リスキング以前の問題かもしれないですね。
(田中)
大企業ではそれなりの学び直しだとか、研修をやっていると思うのですよ。でも、そうでない場合は、やはり著しく乏しい。人間には多様な働き方があって良いと思うのです。時には被用者、時には自営的な働き方などですね。その働き方に対応してスキルを身につける。そのために税金でそういう訓練を提供するという仕組みが必要なのですが、残念ながら日本は著しく欠けています。
(深田)
社会保険料が高い割には、保障も少なく投資もしない。この重すぎる社会保険料を解決した国はあるのですか?
(田中)
全体的に申し上げると、どこの国でも労働市場が大きく変わって非正規が増えているわけです。社会保険は、基本的に正規を対象にしており、正規の方にとっては素晴らしい仕組みです。しかし、非正規の方にとっては保険料が高く払えませんよね。
世界の先進国にはいくつか種類があって、一つは主に税金でやっている国は北欧やオーストラリア、主に英語圏ですよね。もう一つは、ドイツ、フランスなどのヨーロッパの諸国、日本を含めて社会保険を基盤とする国です。このように大きく二つに分けられるのですが、社会保険を基盤とする国ほど、労働市場の変化に対応できません。その典型例が日本なのです。
どこの国でも、非正規が増えていますので、非正規の方は保険料を払えないという大きな問題なのです。唯一この問題に対応した国がオランダなのです。
(深田)
オランダはどのように社会保険の問題を解決したのですか?
(田中)
オランダは、建前は保険なのです。政府の資料を見ると、間違いなく保険と書いてあるのです。

それを1990年代にまさに税と保険一体改革をやったのです。どういう改革なのかというと、まず税と保険料、課税所得をたった3段階に分けました。日本は10段階ぐらいありますけれど、たった3段階しかないのです。
(深田)
所得税率は9.32%から、次のジャンプがすごいですね。36.97%とは凄くないですか?
(田中)
一番低い3万8000ユーロは日本円にすると大体600万円ぐらいですね。所得税9%。保険料27%。両方合わせて40%近いです。めちゃくちゃ高いですよね。
(深田)
高いですね。
(田中)
主婦を例にして考えると非常に分かりやすいのですが、例えば月10万円働きます。そうすると所得税と保険料を足して40%弱負担するのですよ。無茶苦茶高いですよね。
(深田)
無茶苦茶高いですね。日本では考えられないですよね。
(田中)
ただし、年間3500ユーロぐらいまでは、税額控除があります。最近、給付付き税額控除が流行っていますが、税額控除が適応されて、10万円の30%の金額で、年間通して3500ユーロぐらいまでは、控除されて負担しなくてもいいのです。
(深田)
なるほど。ということは3500ユーロなので、約60万ですね。
(田中)
年間通して月給が10万円であれば負担することはないと思います。問題は、その場合の保険料負担はゼロになりますよね。そうすると保険料というのは、この年金失業皆保険なのですが、医療はまた別の仕組みになっています。保険料が払えないとすると、基礎年金は日本の常識ではもらえないという話になり、それは困りますよね。ところが貰えるのです。
(深田)
払って、その分控除してもらっているので、貰えるということですね。
(田中)
これは、少し専門的になりますが、払った保険料と給付がリンクしていると保険と言いますよね。保険料を沢山払えば払うほど年金が増えます。ところが、このオランダの改革では、制度の建前は保険なのですが、厳密にいうと社会保障目的税なのです。つまり、この払った保険料は、年金のためだけに使うというものなのです。
(深田)
それにしか使えないというルールがあるのですね。
(田中)
ただ税なので、主婦でも子供が障害を持っていると働けません。日本でいう3号被保険者です。私自身は廃止すべきだと思っていますが、これ根強い反対があります。主婦にもいろいろな事情があります。親を介護していたり、働きたくても働けないのですという人たちがいるのです。では、オランダはどうかというと、そういう人たちは働くことはできません。でも、基礎年金は保障されるのです。
(深田)
なぜですか?
(田中)
それは国民全員をユニバーサルに保障するという仕組みなのです。
(深田)
社会保険目的税的な要素の強い社会保険料なので、働けない主婦の方もきちんとカバーできるという仕組みを作っているということなのですか?
(田中)
もうひとつポイントはですね。オランダは働き方に差別がないのですよ。オランダは日本以上にパートタイムが多いのですよ。でも、それは企業がコスト削減しているというよりも、多様な働き方を認めている国なのです。
例えば、結婚して、最初は男女それぞれ1馬力ずつ、計2馬力で働いていました。子供ができると、どちらかが育てないといけないので、今までのようにフルには働けないが、それぞれ0.6馬力ずつ働きます。
いろいろな働き方をしても、社会保障と税の差別がないのです。もちろん、働いた時間によって給与は違うかもしれませんが、日本の場合は非正規になってしまうと、社会保険の対象外になってしまうわけです。でも、オランダはこういう仕組みにしたので、働き方によって差別がないのです。
月収10万円でも30万円でも、負担をしてもらいます。低所得者は税額控除ができて、基礎年金、介護など基礎的な部分が保障されます。この年金については、オランダも基礎年金があるのです。基礎年金ですから、月にせいぜい6万か7万ぐらいです。
普通はそれで生活できないですよね。それが、オランダでは、どのような働き方をしていても、オランダに原則40年住んでいれば、その基礎年金部分は、誰でも保障されるのです。ただし、それ以上は、自助努力でやってください。基礎年金を超える部分は、企業年金、私的年金、あるいは自分で貯蓄をして、それは自分でやってください。そういう仕組みなのです。
ベーシックなところは、国民誰でも支えます。それ以上は、自助努力でやってくださいという国なのです。日本はそうなってないのですよ。
(深田)
日本も年金が少ないから働かざるを得ないんじゃないですか?
(田中)
でも、基礎年金は満額が7万円弱ですが、保険料を払わなくても半分はもらえます。あくまで保険制度なので、保険料を払わないと満額貰えない仕組みなのです。オランダはそうではないのです。
(深田)
そうですよね。
(田中)
でも、それは基礎的な部分だけですけれども。さらに、日本の場合は基礎年金の半分は、税金を投入していますので、世界一周クルーズをするような高齢者も税金で支えている。オランダは、負担を見ると非常に日本と違いがあって、これは保険料と所得税を合わせたものなのです。
かつ、子供がいると、その手当を含めた純負担率を表しているのですが、この横軸の数字は平均賃金を100としたときの賃金水準です。国によって平均賃金の金額が違うので、平均賃金を100として日本とオランダを比べているのです。

(深田)
これはどちらが単身ですか?
(田中)
負担が高い方が単身です。上のふたつが単身です。下のふたつは、単身で子供2人のシングルマザーです。オランダの場合をみて頂くと、所得が低いと負担がマイナスになります。
(深田)
シングルマザーは、負担が非常に低いのですね。
(田中)
マイナスなので、給付があるということです。
(深田)
マイナス30%のところもあるのですね。
(田中)
シングルマザーでも所得が増えていけば徐々に上がっていきます。累進的になっていきます。もちろん、単身の場合でも、所得が増えていくと、負担が増えていきます。
(深田)
日本は、横ばいですよね。
(田中)
そこが非常に重要なのですよ。日本もシングルマザーで所得が低ければマイナス。でも、オランダと比べれば、マイナスは低いです。
(深田)
そうですね。マイナス10%ぐらいしか給付がないです。
(田中)
深田さんがおっしゃったように、平均賃金を超えると、単身あるいはシングルマザーであっても、所得税と保険料合わせた負担率は、ざっくり言うと25%。累進的ではないですね。オランダはシングルマザーでも所得の低い方は、それは助けてあげる。
(深田)
日本は所得が低い人も高い人も、同じだけ負担しています。これが逆進性の要因ということですよね。
(田中)
なぜ、こうなっているのかと言うと、まず保険料が所得の高い人ほど負担割合が低い。所得税は制度の建前は累進的で、所得の高い人ほど、10%、20%と高くなるのですけれど、所得控除という仕組みがあって、所得控除は所得の高い人ほど有利なのです。
なぜなら、収入から控除を引いて税率をかけます。そうすると所得の高い人は税率が高いわけです。簡単に言うと、10%の人と30%の人を比べると、控除の金額は同じです。例えば、100万円控除になります。控除する金額は、100に10を掛けたもの、それから100に30を掛けたものを控除するので、税率の高い所得の高い人ほど控除できる金額が大きくなります。
だから、所得税も累進制が低下しているので、こういいことになっているのです。
(深田)
なるほど。数字だけで見ると、オランダは社会保険料が27%で「全然安くないじゃないか」と思うけれども、社会保険料自体が控除の対象になるので、低所得者ほど税より重い社会保険料が控除されて戻ってくるのですね。だから、オランダは低所得者の方が、負担が少ない社会保険設計ができているようと言うことなのですね。
(田中)
そういうことです。所得税もオランダは昔、所得控除だったのです。でも、オランダはきちんと議論をして「所得控除は不公平で、所得税控除は高所得者ほど有利になる」として、全て廃止しました。全てを廃止して、税額控除にしました。税額控除というのは、税金から直接控除する。負担する税金から、それを割引くということなのです。
(深田)
負担する税金から割引くと、それが何の公平感なのですか?
(田中)
オランダの場合、1人3500ユーロまで控除出来るのです。それは、低所帯者であっても、高所得者であっても上限として1人3500ユーロ控除できるのです。そういう仕組みですと、税率が高い人ほど、より増えるわけではないのです。
(深田)
確かに、増えないです。
(田中)
日本の仕組みは、高所得者ほど控除出来る金額が増えるのです。オランダは、全て所得控除を廃止したので、まさにこういう負担割合になっているのです。
(深田)
日本では、低所得者も高所得者も同じだけ負担しているのに、オランダの方は低所得者は給付をもらえて、高所得者はちゃんと負担をしていくという、弱者に優しい設計になっているのですね。
(田中)
さらに、日本が学ぶべき点は、働き方に差別がない。時には、パートタイムで働いて勉強をする。或いは、サラリーマンで会社に勤めて働きます。いろいろな働き方をしている。差別がないのです。
それは、極めて重要なのです。日本の基礎年金は、非正規の場合は、1人1月1万8000円払わないといけない。サラリーマンの場合は、むしろ企業負担があるから、負担割合は少ないのですよ。
今は、昔と違って、例えば学校卒業して最初は被用者として働く。でも、時には辞めて、自営業者として働く。そして、また会社勤めをして働くとか、いろいろな働き方が今は実際にありますよね。深田さんはまさに、そうされてきたと思うのですよ。
日本は、それに対して国民年金に入る。あるいは厚生年金に入る。そういう働き方や職業によって負担が、保険料が違いますので、いちいち手続きをしなければいけないし、負担が変わってしまう。
オランダは、そんなことはないのです。
(深田)
そうですよね。日本は、公務員の方が、年金も保険も優遇されているのはずるくないですか?
(田中)
それは、今はそんなことはないです。昔は、おっしゃる通り。昔は、共済年金という形で、企業で働いている人と比べると手厚かったのですが、今は年金は厚生年金に全て統合されたので、基本的には同じです。
(深田)
基本的には、平等になったのですね。今回は明治大学公共政策大学院教授の田中秀明教授から、どのようにすれば日本の保険問題を解決できるのか、オランダモデルについて教えていただきました。先生、どうもありがとうございました。
(田中)
ありがとうございました。





