#648【緊急】現役トレーダーが暴露!アラスカ原油は届かない?日本のエネルギー危機の真実 マイケル氏(仮)(2026.4.5)
(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム・プロデューサーの深田萌絵です。今回は、電力会社の現役エネルギートレーダーであるマイケルさんにお越しいただきました。マイケルさん、よろしくお願いいたします。
(マイケル)
よろしくお願いいたします。
(深田)
現在、イラン戦争が起こり、ホルムズ海峡が封鎖され、世界のオイル価格がとんでもないことになっています。これがどの程度続き、その影響が他のコモディティや金融市場にどのように波及していくのか、そのあたりを世界的な観点から教えていただけないでしょうか。
(マイケル)
承知いたしました。どうしても表面的には、原油が出なくなる、ガスが出なくなるという点が注目されがちですが、実際には、世の中は、そこから作られる石油製品や石油化学によって世界経済が成り立っています。そのため、そこへの影響は、実はかなり深刻なのではないかというお話もしてみたいと思います。

ではまず、世界のエネルギーへの影響という形で、少しご説明したいと思います。
1.世界における中東の立ち位置
そもそも今、戦争が起こっているのはイランであり、実際にはイランがさまざまなところにミサイルを打ち込んでいますので、中東全体の問題として考えております。それがどのような状況かと申しますと、世界に供給されている原油・ガスの約4分の1は中東産なのです。
(深田)
これはかなり大きいですね。
(マイケル)
大きいです。今回、アメリカが戦争を仕掛けた、あるいは始めた理由の1つとして、アメリカが世界最大のエネルギー輸出国だということですよね。原油は第3位、天然ガスは見方によってはすでに第1位です。したがって、彼らにすれば、中東からの原油やガスが出なくなっても、物量的にはまったく影響がないわけです。だから戦争をしているという非常に迷惑な話になるのです。
(深田)
そうですよね。ロシアとウクライナの戦争でも、割を食ったのは、ロシアから天然ガスを輸入している欧州ばかりでしたよね。
(マイケル)
本当にそうですね。実は中東からのガス、原油に大きく依存しているのは世界全体でもそうですが、特にアジアなのです。したがって、そこに対する影響が一番大きいと理解しています。
(深田)
やはり、ホルムズ海峡経由で出てくるガスや原油を一番買っているのがアジアで、欧州は違うルートを通っているということなのですね。
(マイケル)
そういうことです。中東から出てくるルートはホルムズ海峡と、その裏側に紅海という海があり、そこからも原油を出せるため、一応、今の供給が何とか成り立っているのです。しかし、この紅海から太平洋、あるいは外海に出てくるところにも海峡があり、そこには、イエメンという国があるのです。
(深田)
フーシ派がいるイエメンですね。
(マイケル)
そうです。今回、万が一、紛争が長引いた場合、代理戦争という形でイランの仲間であるフーシ派にスイッチが入ってしまった場合には、そこの海峡も実質的にフーシ派が封鎖することができるのです。
(深田)
では、結局イエメン側から通ってきて、紅海から出てこようとしても止められてしまうということですね。そうしたリスクがまだあるということなのですね。
(マイケル)
そうです。そこから地中海の方に抜ける通路もあるのですけれども、そこは狭いということと、そこからアジアに届くとなると、大体45日くらいかかってくるのです。倍以上かかるのですよね。
(深田)
そうですよね。確かに、エジプト経由で地中海に抜けるといっても、ものすごい大回りになりますよね。
(マイケル)
大きく回っていくので「いつ届くのか」「そもそも油はあるのか」というダブルパンチだということですね。油種別に見ていきますと、原油はアジア向けが完全にメインのサプライソースです。つまり、そこが絞られますと、アジア、そして世界の原油価格にまず直結します。
OPECはもともと石油の需給バランスのスイッチなのです。実は、25%が中東産で、75%は他のアフリカや南米、ロシアなどから出ているので、物理的には、長い目で見れば比較的大丈夫なのです。
しかし、そこを押さえているのは、いわゆる覇権国家と言われる国々で、そこから本当にフルで出ているかというと、そうではないのです。したがって、アジアにとって、メインの供給源を断たれているのは、非常に厳しい状況だと思います。
(深田)
でも、中国などはうまく分散していますよね。
(マイケル)
分散していますね。
(深田)
日本は全然、どっぷりと依存しているということですね。
(マイケル)
日本は、我々のいるアジアの中でも極東アジアと言われる地域なのです。私たちは日本を世界の中心に置いた地図でしか見ていないので、なかなか実感しにくいのですけれども、ヨーロッパや中東中心の地図で見ると、地図の一番右端にある非常に小さな国が日本なのです。
そうして見ると、いかにエネルギーを遠いところから我々が買っているかが一目で分かるのです。そういう意味で、中東は、世界特にアジアに対して、非常に大きなインパクトを与えるエリアであるとまずご理解ください。
(深田)
こうして中東からの原油に頼れなくなった今の日本にとって、米国産の原油は、代替手段として有効なのですか。それとも、やはり米国産はスウィートオイルなので、日本の製油所とは少し合わないなど、いろいろな問題があると思うのですけれども、どうなのですかね?
(マイケル)
おっしゃる通りで、原油は量の世界というよりも質なのですよね。したがって、硫黄分が多いか少ないかということもありますけれども、大事なのは軽質かどうかという点です。我々の石油産業では、ガソリンや中間留分と言われるものがメインなのです。
ガソリン留分の中にナフサというものがあって、これが石油化学の原料になりますし、これがたくさん取れれば取れるほど良いという状況ではあるのですけれども、アメリカ産はかなり軽質ではあるので、その点では比較的良いのです。ただ、日本の製油所の設計がアメリカ産に対応していないため、稼働をフルに回せないのですよね。
(深田)
そうですよね。中東産の、硫黄分の多いサワーオイルと、アメリカ産の、硫黄分の少ないスウィートオイルを、同じ製油所で同じように処理できないので、中東のオイルがだめだったらアメリカで良いとはならないということですね。
(マイケル)
ならないですね。100%の代替にはならないです。
(深田)
何%ぐらいなのですか?
(マイケル)
どれくらいなのか私も分からないのですけれども、感覚的には、たぶん70%から80%くらいではないですかね。いろいろなものと混ぜ合わせながらやると思うのです。その辺りのノウハウも含めてやっていくと、何とかなるかなとは思います。ただ、そうした調達ができるタイミングと、在庫が持つかどうかというのは、たぶんその天秤になると思いますね。
(深田)
我々は在庫250日分の備蓄を放出しているような状態ですけれども、その間に、日米首脳会談で約束されたアラスカ産の原油は、現実的に届くのですか。
(マイケル)
届きません。
(深田)
電力会社は、それが分かっているわけですよね。
(マイケル)
そうですね。
(深田)
分からない人がいるのですか?
(マイケル)
分からない人は、そもそもアラスカの西海岸、つまり太平洋側に面したところに、そうした基地が実はまだないということを知らないのです。
(深田)
えっ、基地がないのですか?
(マイケル)
アラスカ原油は、いきなりカナダなどからそのまま日本に輸出できるものではないのです。
(深田)
なぜですか?
(マイケル)
パイプラインや基地がないのです。
(深田)
ああ、その輸出するための基地がないのですね。
(マイケル)
まだありません。それをいろいろと検討してきたのですけれども、コストの問題や現地住民への対応の問題、アメリカ国内の利権の問題など、さまざまな事情があって、悉く頓挫しているのですよね。
(深田)
その、いわく付きのアラスカ産原油に、日本は「10兆円を投資します」と言っているのですけれども、稼働するとしたら何年くらい先なのですか。
(マイケル)
5年、6年先ではないですか。
(深田)
では、その間に我々のエネルギーが足りなくなってしまうではないですか。
(マイケル)
そうですね。アラスカ産原油をパイプラインでアメリカのヒューストンの方に持ってきて、それをパナマ運河ではなく、喜望峰回りで40日余りかけて日本に届けるのが、現実的なルートです。
(深田)
なるほど。そういうことであれば、45日ほど待てば、アラスカ産の原油が日本に届く可能性は、あるといえばあるのですか。
(マイケル)
あるといえばありますね。
(深田)
それで、不足分は全部賄えるのですか?
(マイケル)
賄えないと思いますね。
(深田)
賄えないのですか。では、この不足分を日本政府はどのように補うつもりなのでしょうか?
(マイケル)
正直、補えるとは思っていません。赤澤経産相が「世界中の各地で交渉してかき集めている」と言っていますけれども、今この瞬間、日本の石油会社、それから商社のトレーディング能力では、たぶん、そこまで調達して持ってくることはできないと思いますね。
(深田)
持ってこられない。現実的にはそういうことなのですね?
(マイケル)
あとは、アフリカや東南アジアは自分たちで手一杯ですから、輸出しません。そうすると、実はロシアしかないのです。
(深田)
そうなりますよね。
(マイケル)
サハリンから「すみません、とにかく原油をください」という世界ですね。
(深田)
アメリカもロシアに対する制裁を解除するとは言っているので、もしかしたら、アメリカを怒らせずにロシアの原油を買えるチャンスはあるかもしれないということですね。ロシア産のオイルというのは、硫黄分的にはどちらに近いのですか。
(マイケル)
硫黄分はそれほど重くなく、スウィートでもサワーでもないので、比較的扱いやすいですね。今はすべての製油会社が扱っていますので、経験値も上がっています。たぶん、ロシア産がないと対応できないと思いますね。
(深田)
なるほど。では、今、日本はもうロシアにしか縋る先がない状況に追い込まれているにもかかわらず、日本政府はロシアに対して強硬な態度を取るというおかしなことをやっているのですね。
2.脱炭素で賄える?
(深田)
今、脱炭素ブームですけれども、それで賄えるのでしょうか?
(マイケル)
賄えません。短期的には絶対的に不可能だと思っています。
(深田)
資料にある「2030年代前半に部分的にしか無理」で、まだ今は2026年ですが、それまで我々はどうしたらいいのですか?
(マイケル)
結局、やはり化石燃料に頼るしかない産業構造になっているのです。では、太陽光パネルをもっと増やせばいいではないかと言っても、日本はすでに世界で最も太陽光を導入している国の1つなのですよね。
(深田)
そうですよね。これ以上、パネルを貼るところはないですよね。
(マイケル)
ありません。しかも、日中しか発電できません。夜間はバッテリーといっても、そこまでのバッテリーは今のところまだ調達できません。さらに、バッテリーを作るにもさまざまなエネルギーが必要なので、簡単に増産できるわけでもありません。そのため、それを備えることは実際には不可能なのです。
また、構造的に見ても、今の日本のエネルギーは、輸送や産業、石油化学などの分野では、やはり石油がなければ成り立たないのです。再生可能エネルギーで電力の一部は賄えますけれども、率直に言って、石油の完全な置き換えはできません。
「では電気にしましょう」と言ったところで、すべてのものをEV化できますかという話です。しかし、バッテリーの製造やインフラの整備には、それこそ何十年もかかる世界だと思います。日本には資源がありませんので、中国やアメリカのバッテリーを買わざるを得ないのです。
(深田)
そうですよね。車はまだしも、船と飛行機は無理ですものね。
(マイケル)
無理ですね。再エネは分散電源と言って、結局、地方にあるのです。地方で太陽光パネルを敷き詰めたり、北海道や九州の海上に風力を置いたりしているのですけれども、需要地は首都圏です。そこに持っていくためには、何兆円単位もの送電線が必要になります。それを今から作っていくとしても、やはり2030年以降の話になるのです。
(深田)
送電も足りていない。しかも、銅の価格もものすごく上がっていますものね。電化によってこのエネルギー不足を賄う、というのも夢のまた夢ということですね。
3.足元の影響は?
(深田)
では、足元の影響はどういうものなのでしょうか。産業への影響なども含めて、どういった影響が考えられるのでしょうか。
(マイケル)
そうですね。今、段階的にどのようなことが起こっていくかというと「第一次」は数日から1週間の世界なのです。いきなり原油が120ドルまで上がったり、金融市場も今は崩れていますけれども、まずはそちらへの影響、つまり価格への影響なのです。
「第二次」は、物流・産業・電力供給への初期ダメージです。まさに一番大きいのがナフサという石油化学原料で、タイなどでは完全に石油化学工場が停止しています。韓国もGDPの大きな部分を石油化学と原油関連が占めていますので、彼らもかなり止まっている状態です。
(深田)
タイや韓国の方が、ダメージが深いということですね。
(マイケル)
まだ今は稼働減で済んでいますけれども、これがもう数週間の世界で、まさに今、こうしたことが全世界で起こっている状況です。
(深田)
あと数週間ぐらいしか持たないということなのですね。
(マイケル)
そうですね。「第三次」は、今度は数か月のスパンだと思いますけれども、やはり燃料、特に物流です。ジェット燃料や軽油、それから船舶燃料、そういったものが不足して運べなくなり、物がなくなる。すると産業が物を作れないというところが影響になってきます。そうなると、さまざまなプラスチックの価格や、それに伴うさまざまな製品の価格が上がってきます。
さらに、食料についても、作れてはいても消費者のところへ運べないということが起こります。加えて、肥料というのは意外と中東で作られているのです。これがなくなると、肥料の価格がかなり上がる。
私は今地方にいますけれども、その地方で農業ができても、肥料がなくてなかなかうまく作れず、生産性が下がる。さらに、今度はとにかく物価が上がってきますので、高インフレになって景気が悪くなる。これは、たぶんもう数か月後の世界で、まさに目の前の話です。
「第四次」は、それがさらに悪化して、社会システムが機能しなくなるということだと思います。
(深田)
想像以上の速さということですか?
(マイケル)
これは一昨日、昨日ぐらいのSNSの画像なのですけれども、左はオーストラリアで、スーパーマーケットに買いだめが起こって、商品が全部なくなっているのです。

(深田)
そうなのですか。
(マイケル)
オーストラリアのスーパーマーケットでは、もう商品がほとんどなくなっています。次の画像ではフィリピンで、こちらは国家備蓄が45日分しかなく、大統領がエネルギーの緊急宣言を発令して「みんなインフラを使わないで歩いて出社しろ」と言っているのです。これがその通勤風景です。そして次は、インドとタイで、ガソリンスタンドに殺到しているバイクや人々の様子です。
(深田)
これは、バケツで持って帰っているということですか。
(マイケル)
そこは、すごいですよね。
(深田)
精神力がすごいですよね。
(マイケル)
本来はガソリンですので、携行缶(密閉できる容器)に入れなければいけないのですけれども、とりあえず容器に入れて全部持っていくという感じではないでしょうか。
(深田)
すごいですね。
(マイケル)
こういうことが、もうすでに東南アジア、先ほど申し上げた通り、原油に依存しているアジアで起こっているのです。

(深田)
このラオス(約10~21日)、ミャンマー(約6日)、インドネシア(約14~23日)の石油備蓄は、薄すぎて危険ですね。こんなものでは持たないではないですか。
(マイケル)
持たないですね。正直に言って、皆さんが思っている以上に、日本での生活ではそこまで感じないと思いますけれども、世界的には、特にアジアを中心に、すでに状況が悪化して問題が顕在化しているということは知っていただきたいと思います。
4.解決方法は?
(深田)
これ、解決方法はどうなっているのですかね?
(マイケル)
今は、もう祈るしかない、ということですね。
(深田)
何ですか、それは。不吉ですね。
(マイケル)
国際エネルギー機関の事務局長がこの間のスピーチで「今回の危機は本当に相当深刻だ。しかし、世界で逃れられる国はなく、この瞬間に解決することはできない」と、はっきり言っているのです。
(深田)
「何のために君たちは仕事をしているのだ」と少し叱りたくなりますね。
(マイケル)
国際エネルギー機関の事務局長が、このような発言をしてよいのかという感じですね。
(深田)
これは本当に解決策がないのですか。
(マイケル)
今はそうですね。結局、脱炭素の方向へ移行しようとはしているものの、やはりそのためのインフラはまだできていませんし、基幹産業、つまり物を運ぶこと、それから石油化学製品を作ることは、完全に石油前提の状況なのです。それが産業の血液なのですよね。したがって、そこを直撃しているという状況だと思います。
(深田)
はい。ということは、解決方法は、IEAにはないということですね。
(マイケル)
はい。
(深田)
どうでしょう。マイケルさん的には、奇策は何かないでしょうか?
(マイケル)
もう、とにかくエネルギーを使わないことです。もう我慢でしょうね。
(深田)
我慢ですか。
(マイケル)
我慢して、やはり延命して、一旦、脱石油・脱電気という生活の方に戻さないといけない。ただ、近代国家では無理ですよね。
(深田)
そうすると、東京都中央区、千代田区、港区は全滅ですよね。
(マイケル)
インドやベトナム、カンボジアなどに行くと、石油を使わなくなっても薪に戻れます。
(深田)
薪に戻れるのですか(笑)。
(マイケル)
薪に戻れてしまうのです。彼らは国に見捨てられても、山に行って木を切り、薪で生活を始めますので、意外と彼らの方が今の状況に耐えられるのかもしれませんね。
(深田)
では、これ以上、石油が来ない状態が続けば、私たちはインドネシアやタイに引っ越して、薪を切って生活すればよいということですね。
(マイケル)
ということになります。したがって、サバイバル能力とキャンプ能力を身につける必要があると思いますね。
(深田)
そうですね。少し残念な話を伺ってしまいました。しかし、これが電力会社でずっとエネルギーの現場に30年いた人の見解ですから、これも世界の現実ですよね。
(マイケル)
そうですね。やはり、こういうことを社内や大きな場で言うのははばかられ、「お前は何を言っているのだ」と言われますけれども、実際に「では次の手は」と言ったときの戦略はないのです。
(深田)
それも国家の落ち度ですよね。
(マイケル)
落ち度ですね。次回の日本版のときにお話ししますけれども、日本も今「少し残念な対応をしているな」としか思えないですね。
(深田)
皆さんも、ぜひこの続きをお楽しみいただければと思います。これほど素晴らしい電力会社が日本にたくさんあり、ほとんどの人が現実を見ている。そして、電力業界が国家と直結しているはずなのに、なぜか我が国はおかしなことになっている。
そういった現実について、次回にお話しいただきたいと思います。今回は電力会社の現役エネルギートレーダーであるマイケルさんにご登壇いただきました。マイケルさん、どうもありがとうございました。
(マイケル)
ありがとうございました。





