#622【深すぎる闇】後見人時給144万円!?家裁が家族を排除し弁護士を優先する驚愕の理由とは 宮内康二氏(2026.3.8)
(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム・プロデューサーの深田萌絵です。今回は、一般社団法人「後見の杜」代表の宮内康二先生にお越しいただきました。宮内先生、よろしくお願いいたします。
(宮内)
よろしくお願いします。
(深田)
最近、成年後見制度の問題で、色々な被害者の方に出演していただき、お話をお聞きしています。そもそも家庭裁判所はなぜご家族よりも弁護士を8割も法定後見人として指名してしまうのでしょうか?一緒に暮らしているわけですから家族の方がいいじゃないですか。預金通帳がどうなっているのか、探さなくてもどこに何があるのか分かっている家族が家族の面倒を見るのが一番です。なぜわざわざ遠くに住んでいる弁護士に頼むのか、この辺りをどうお考えになりますか?
(宮内)
これには、ある事件があるのです。
(深田)
事件ですか。
(宮内)
2012年に、広島県福山市で、家庭裁判所が適切に対応しないから後見人による横領が起こるのだという裁判がありました。家庭裁判所は「違う、取った者が悪いのだ。我々はきちんと監督していた」と主張するのですが、結局、判決では「まったくだめだ、監督不行き届きだ」と、国が敗訴した裁判があります。「福山事件」と言う公権力行使責任の裁判です。
(深田)
それは、家庭裁判所が決めた法定後見人が親族だったということですか?
(宮内)
そのケースでは、おじさんが交通事故だったか、判断能力が不十分になってしまったのです。その後、保険の賠償金が入るでしょう。何千万円も入るわけです。そこで、そのおじさんの後見人を、30代か40代くらいの姪御さんが務めたのです。その姪御さんには少し知的障害がありました。それ自体は問題ではないのですが、交際相手がいたのです。
その交際相手が「お前、おじさんのお金を預かっているのだろう。テレビを買ってくれ」と言うと「いいわよ」と買ってしまったのです。さらに「バイクも欲しい」と湯水のごとく使ってしまうわけです。代理権がありますからね。銀行も、お金を下ろすことを止めなかったのです。
そのようにして、かなり使ってしまいました。1年目、後見人としてレポートを出すのでしょう。そうすると残高が減っていますよね。「ずいぶん減っているな」と確認はするのですが、そのまま見過ごされる。2年目、3年目と、どんどん累積していきました。
さすがにそれではだめだろうと「何をやっているのだ」と、弁護士を派遣したり、弁護士を後見人に付けたりしたのですが、それが遅かったのです。もっと早くチェックして止めていれば、ここまで被害は拡大しなかったのではないかということで、その姪御さんは横領をしたので後見人をクビになるのですが、その後に就いた弁護士の方が国を訴えたのです。
(深田)
国家賠償請求ですね。
(宮内)
それで国が負けたのです。通常、裁判は過去のことを清算するわけです。3年前のことは3年前のこととして「はい、終わり」となる。ところが後見は、開始の宣告ですから、本人と地域経済のバランスが崩れていると判断して「これからはこの人を付けます」と決める。未来に向かってのキックオフをして、毎年追っていかなければならないわけです。しかし、それは裁判所の「裁く、結論を出す」という性質と合わないのです。
(深田)
そうですよね。確かに、裁判は追っていくものではありませんものね。
(宮内)
終わらせるために始める。ところが後見は、始めるために始めるという特殊性があるわけです。
(深田)
確かに、その通りです。
(宮内)
では、フォローをどうやって行うのかというと、簡単に言えば裁判所はサボっていたわけです。
(深田)
そうですよね。サボりますよね。
(宮内)
それで、あちこちで財産を勝手に取られている事態になり、後見人に「辞任しろ、しないなら解任だ」という状況になったのです。その案件も結局おかしいということで、後見人が交代しました。その後任の後見人から「横領した側も悪いけれど、あなたたちも悪い」と言われて、裁判に負けたのです。
(深田)
では、認知的障害の姪御さんがお金を使い込んでしまったけれど、新しく後見人になった弁護士が、減ってしまったお金を取り戻そうと考えたわけですね。しかし、知的に問題がある姪御さんを訴えても回収できない。そこで国を訴えようと。つまり、国を訴えて、減った分を損害賠償してもらおうということですか?
(宮内)
そうですね。損害賠償責任というよりは、監督責任です。実際には231万円だけ、国は税金から支払ったわけです。司法統計を使うと、誰が後見人になっているのか、誰が申立人になっているのかというグラフを作ることができます。すると、2012年の福山事件以前から裁判はありましたが、この頃から非常にきれいに、親族と弁護士の割合がちょうど分かれるのです。
(深田)
逆転したのが2012年頃なのですね。
(宮内)
2012年でぴたりと分かれます。その前から、家庭裁判所はどんどん親族を外していたわけです。もう危なくて仕方がない、親族などに任せたら大変だという判断で、血を入れ替えてしまったわけです。少しでも問題がある人は外し、大丈夫そうな人でも監督人を付けて追い込んでいき、次々に外して弁護士たちが入っていったのです。
(深田)
任意後見人には監督人が弁護士として付くけれども、その監督人が気に入らない親族を追い出すということなのですか?
(宮内)
任意後見の監督というよりは、法定後見ですね。親族が後見人、保佐人、補助人を務めている場合でも「これは危ない」と言って、職権で監督人を付けるわけです。そして「ここは1円違う」などと言われる。
(深田)
なるほど。
(宮内)
そうやって追い込んでいき、辞めさせて、乗っ取る。いわば椅子取りゲームのようなものです。
(深田)
なるほど。
(宮内)
家庭裁判所の立場からすれば、一般の人が提出するレポートは、書いていない部分があったり、書かなくてよいところを書いていたりする。単語や言葉の使い方も違うので、面倒くさいわけです。それならば「もう分かっていますよね」と言って、言葉の使い方が分かる弁護士や司法書士のほうが使いやすいでしょう。
(深田)
確かにそうですね。
(宮内)
だから私は、後見制度がここまで悪くなった諸悪の根源は家庭裁判所そのものにあると思っています。自滅したのですよ。後見制度は家庭裁判所によって自滅させられたのですが、制度を潰すわけにはいかないので、弁護士を登用することで、何とかメンテナンスを行い、制度を維持しているのです。考えてみれば、弁護士たちは家庭裁判所の尻ぬぐいをしているわけです。
(深田)
ああ、そういうことですか。
(宮内)
そうすると弁護士たちから「少しくらいおまけをしてくださいよ。他も報酬が上がっているらしいから」と要請される。
(深田)
成年後見人の報酬は上がっているのですか?
(宮内)
そうです。数年前から、同じ業務で、高齢者や障害者の方は静かで特に問題がないのに、少しずつ上がっている。
(深田)
文句を言わない人たちだから、勝手に報酬を上げてしまうということですね。
(宮内)
そうでしょう。家庭裁判所は懐が痛まないわけですから。
(深田)
確かにそうですよね。
(宮内)
それで、4年ほど前から「後見制度はこのままではよくない」と法務省関係で検討会などが開かれました。ここ2年ほどは、法制審議会という場で議論が行われていたのです。調査がありましたが、この調査に私は疑問を持ちました。後見制度を利用している高齢者や障害者、あるいはその家族に対して「実際に使ってみてどうですか」「助かっていますか」「後見人の態度はどうですか」とか、報酬についても「これだけのことをしてもらってこの額を払っていますが、割高ですか、割安ですか」と費用対効果のバランスを当事者や家族に聞かないといけないと思ったのです。
(深田)
そうですよね。
(宮内)
通常、法改正を行う時には実態調査をするでしょう。ところが今回、それが1回もなかったのです。実態調査を行わないまま終わってしまいました。
(深田)
実態調査をしなかったのですか?
(宮内)
しなかったのです。調査されたら困るからです。
(深田)
悪い制度だということが明らかになってしまうからですか?
(宮内)
そうです。私は法制審議会に呼ばれ、トラブル事例を扱う回だったのですが「こういう理由でこういうトラブルがあるのです。改善するにはこうするべきで、予防するにはこうすべきです。こういう調査をした方がいいですよ」と話しました。しかし、場はシーンとしているだけでした。それで休み時間に、ある偉い方のところへ行って「やりましょうよ」と言ったところ、「それはリスクだよね」と言われました。
(深田)
悪事が明るみに出てしまうからリスクだ、ということですか?
(宮内)
結局、行われた調査は、簡単に言えば賃上げ調査のようなものです。
(深田)
賃上げ調査ですか。誰の賃上げですか?
(宮内)
後見報酬です。弁護士、司法書士、社会福祉士などに「足りていますか」と聞くわけです。弁護士は「足りない」と言い、ほかの人たちは「まあまあですね」という程度です。
(深田)
知り合いの弁護士から、後見制度の問題について話を聞いたことがあります。別件で相談した際に少し聞いたのですが、本当にこの法律には救済法が何もないという、かなりおかしな制度ですよね。
(宮内)
人事と報酬、それから資料を見せない。これについての不服申立権もないのですよ。
(深田)
救済法が一切ないのですよね。
(宮内)
国家賠償請求ぐらいしかありません。
(深田)
そうですよね。それで、その弁護士は「自分も何件か成年後見をやっている。自分はそういう問題を起こしたことはないけれど、改めてよく見たら不服申立てができないようになっていて、自分がスーパー権限を持っているような状態なのに、毎年60万円入ってくる。そういう楽な仕事なのだ」と言っていました。
(宮内)
楽なのですよ。だから、しがみついているのですよ。
(深田)
そうですよね。だって、1000万円の訴訟でも、だいたい弁護士報酬は弁護士会の規定だと50万円ぐらいなのですよね。それなのに、何時間も事件の内容を聞いて、書類を作っていたら、50万円では足りないですよね。
(宮内)
私、大学のときに後見業務と報酬の調査を、推計的に初めて行ったのです。一番時給が高かったものは、時給144万円というケースがありました。
(深田)
時給ですか!?後見人の時給が144万円ですか?
(宮内)
はい、おいしい仕事です。一番安かったのが千葉で、1年間で100円というケースです。
(深田)
それは弁護士ですか?
(宮内)
いや、それは行政書士なのですが、「どんな人を担当しているのですか」と聞いたら、「生活保護で無銭飲食ばかりする人を担当している」と言っていました。軽犯罪を犯して出たり入ったりする人がいるでしょう。食べに行ってもお金がない。謝るばかりの「すみません後見」です。
ただし、その人は生活保護ではなかった。生活保護であれば、本人に代わって住んでいる自治体が報酬助成をするので、月2万円ぐらいは出るのです。それも出ないケースだったので「いやもう大変ですよ」と言っていました。
後見をする側も、どのような案件なのか分からない部分が多少はあるのです。後見を使いたいという申立てが来ると、そこに財産目録というものがあります。その財産目録で振り分けが行われるわけです。「はい、3000万円。これは弁護士会、司法書士だね。はい、これは1000万円。社会福祉士さんどうですか」などとなる。
後見は、弁護士・司法書士・社会福祉士、これがいわゆる先行三士会ですね。その後に税理士、精神保健福祉士、行政書士、社会保険労務士の7団体。需要に対して供給過多で、どうしようもない。弁護士と司法書士でも競争しているし、弁護士の中でも、あるいは社会福祉士の中でも「またあの人が仕事を持っていった」と喧嘩しているのです。
(深田)
後見の仕事が楽で儲かるから、みんな取り合いになっているのですね。
(宮内)
儲かる案件もありますよね。100円のものもありますけれど。
(深田)
5000万円とか1億円持っている人を何人も抱えたら、楽勝ですものね。
(宮内)
だから家庭裁判所も「先生、この間おいしい案件をあげましたよね。今回はちょっとこれどうですか」「嫌だけれど、まあ受けておくか」という感じらしいですよ。
(深田)
こちらで儲かっているのだから、こちらの貧乏人の面倒も見てくださいよ、ということですね。ひどいです。それが家庭裁判所なのですね。
(宮内)
これは家庭裁判所の人事マッチングの一端であるということはよく聞く話で、そういうことなのだろうなと予想できますね。
(深田)
宮内先生のところにご相談に来られた方は、何人くらいいらっしゃるのですか。
(宮内)
2000人くらいです。
(深田)
2000人!?大変な数ですね。
(宮内)
ほとんどが、アフターです。後見を使った後ですね。9割くらいです。「もう会えない」とか「金を使うな」とか「離婚してくれ」と言われたとか「手術してもいいけれど金は払わない。あなたが払えばいいじゃないか」とかね。もう本当にすごいですよ。
(深田)
くずの集まりですね。
(宮内)
だから後見制度は「法治国家の暗黒領域」と言った人がいます。ロッキード事件の検事だった堀田力さんです。
(深田)
これは本当に暗黒領域ですね。闇が深すぎて、非常に危険な問題ですね。
(宮内)
めちゃくちゃ危険ですよ。
(深田)
私も少し勉強してみようと思います。
(宮内)
もう、きちんと認知症予防などをしたほうがいいですよ。判断能力が落ちたら引っ張られますよ、後見の世界に。経済社会、契約社会では、判断能力が不十分な人は邪魔なのです。
(深田)
そうですよね。
(宮内)
本人保護ではないのです。後見制度は、事業者保護なのです。地域経済を回すための制度です。
(深田)
一般的に高齢者が飲む薬、例えば降圧剤など、いろいろな薬が認知症発症のリスクを高めるとも言われていますよね。何かセットになっているのではないかと思うと、少し怖い気もします。
(宮内)
そこはよく分かりませんが、蓄積しますからね。
(深田)
認知症にならないように気をつけるには、いったいどうしたらよいのでしょうか。
(宮内)
スクワットですよ。あとは、やったことのないことをやるとか。血流促進と脳への刺激です。
(深田)
確かにそうですよね。友人のおばあちゃんが、島根県の沖ノ島の断崖絶壁の上で、200段くらい階段を登ったところでクリーニングショップを営んでいました。90歳まで、亡くなる直前まで普通にクリーニングをして、自分でアイロンを当てていたのです。やはり毎日、崖っぷちを100段、200段と登っていると強くなるのですよ。
(宮内)
それはそうでしょう。
(深田)
ではタワーマンションにお住まいの皆さん。タワーマンションをご購入になって住んでいる皆さん、あなたが一番財産を狙われて危ないのです。今日からタワーマンションでは、自分の足で階段を登り降りしてお過ごしください。
今回は、一般社団法人「後見の杜」代表、宮内康二先生に、後見制度の闇、家庭裁判所が危ないというお話をいただきました。先生、どうもありがとうございました。
(宮内)
ありがとうございました。





