#603 高市氏圧勝の裏側!八幡和郎が斬る「明るいポピュリズム」と日本の政治の危うさ 八幡和郎氏(2026.2.17)
(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム プロデューサーの深田萌絵です。今回は政治評論家の八幡和郎先生にお越しいただきました。八幡先生、よろしくお願いします。
(八幡)
よろしくお願いします。
(深田)
今回は解散総選挙で、自民党が圧勝、そして新党の中道改革連合は、特に立憲民主党出身の方々が木っ端微塵になるという衝撃的な結果となりました。先生は今回の選挙をどのようにご覧になりますか。何がこの結果をもたらしたのでしょうか?
(八幡)
新しく中道改革連合ができて体制が整わないうちに選挙に突入し、不意打ちのような形で自民党が勝利したということですね。さらに高市さんの強さについて言うと、イギリスのタイムズ紙が「はっきりものを言う。ただし何も言わない。それが日本で選挙に勝つコツだ」と分析しています。イギリスでは絶対許されるはずがないですね。
日本ではかつて竹下登元首相が言語明瞭・意味不明瞭と言われていました。文章にすると、何を言っているのかさっぱりわからない、というより何も言っていない。結局何も言っていない。しかし聞いている人は、何か良いことを言っているように思うのです。
もっとすごいのは田中角栄さんですね。もう本当に聞いている人が、涙がうるうるになるような演説をするのですね。しかしこれもう後で文字にすると、何の話かさっぱり脈落がないのですね。それが許されるのが日本ですよ。
(深田)
私も、高市総理の話はかなり矛盾が多いと思います。
(八幡)
矛盾どころか、はっきり言ってむちゃくちゃですよね。ただし明るい。私は国会議員になる前から高市さんをよく知っていますが、これほど明るい印象は全然なかったですよ。総理になってから明るくなりました。
(深田)
総理を目指される頃から、変な作り笑いをするようになりましたよね。
(八幡)
だから、それがだんだん身についてきたのではないですか。昔の高市さんは、むしろひねくれたことを言う人でした。私が最初に会ったのは1988年頃に『朝まで生テレビ』で「八幡さん、私のことあまり知らないでしょう。でも私はあなたのことをよく知っているのよ。私の元カレはあなたの友達の〇〇くんよ」と言われました。奈良で選挙に出た後も、斜交いな発言が持ち味で、女子大の卒業式で「先生やお母さんの話なんて聞いてちゃダメよ~」などと語るなど、ぶっちゃけ話が好きなんです。
(深田)
快活なタイプですよね。
(八幡)
快活だけれど、愚痴もよくこぼす。それが総裁選に出る頃から明るくなりましたよね。これは確かに良いことではあるのですよ。明るく振る舞い「これから日本は良くなるわよ」「私も頑張るわ、働いて働いて日本を良くするからね」「やれること何でもやるわよ」とこう言うわけですよ。明るくなるから「これはいいな」と思ってみんなが投票したわけです。
例えば、自公連立が潰れた原因となったのは萩生田光一さんですよね。深田さんとは因縁のある人ですが、彼はどちらかといえばイメージが暗い政治家ですが、高市さんが応援に来て「ワーッと、頑張ってー!」と言うと、萩生田さんも明るい雰囲気になるわけですよ。そうした明るさを全国の候補者に振りまいたわけです。
ただし、それは雰囲気だけで、騙されては困るのだけれども、何の裏付けもないです。「日本には良い種がたくさんあります。それをどんどん推しまくります」と語っていました。見境なく推して、実際に総理就任後に出てきたのは診療報酬の引き上げや米価の引き上げなど、いわば旧田中派の伝統的利権配分政策です。そこには当然、土木利権も入ってくるでしょう。これまで公明党が国土交通大臣ポストを取っていたので抑えられていた部分が、今後は復活していくでしょう。
(深田)
なるほど、そういうことですか。
(八幡)
米価はすでに国際価格の5倍から10倍とも言われているのに、さらに引き上げるという発想です。また、日本では医者ばかりが優遇されているから、優秀な人材が医学部に集中し、エンジニアリング分野やベンチャー企業の発展が発展しないのです。そこへさらに診療報酬を引き上げるとなれば、ますます優秀な人材が医者になるので、日本が悪くなるのに決まっているじゃないですか。
(深田)
物価対策が、国民から一番求められていると思うのですけれども「物価高は一区切りがついたから解散します」と言いながら、診療報酬の改定とか米の価格を上げていくというのも最終的には物価高政策なんですよね。
(八幡)
物価高を抑えるどころか、物価高の原因を作っているわけですからね。お米券が一番分かりやすい話で、私ならお米券ではなく「パスタ券」や「パン券」を出します。米を食べてもらわないようにすれば価格は下がるのに、お米券を配れば需要が増えて価格が上がります。風呂を沸かしながら水を入れ続けるようなことをするのが高市さんの政策ですよね。ものです。原因を解消するのではなく、その場しのぎの対策で状況を悪化させるのが高市さんです。
だから、アベノミクスの生みの親である浜田宏一さんはカンカンに怒っているわけですよ。私と浜田さんの考えがどう違うかいうと、私は景気刺激のための金利引き下げや財政資金を投入は、やるとしてもごく短期間にとどめるべきではないか。例えばマラソンでは「ちょっとスパートをかけろ」ということです。浜田さんは「デフレの間であれば長期でも実害は少ない」という立場です。ところが高市さんはインフレになったのにまだやろうとしているわけですよ。
(深田)
そうなんですよね。
(八幡)
浜田さんの政策も経済学から十分に外れているのに、高石さんの政策はとんでもない話ですよ。根本のところを悪くしながらその場しのぎをやっているのだからだめなんですよ。「お百姓さんにも頑張ってもらわないといけないから米価は国際水準の10倍でも20倍でもいいのよよ」というのが高市さんですよ。それで食料自給策を上げるというのですが、そんなことをする必要はないわけですよ。
(深田)
今回、高市さんが大きな支持を集めました。
(八幡)
明るいからですよ。
(深田)
他の野党があまりにも弱かった。れいわとか共産党などリベラル系もほとんど議席を取れず、その一方で参政党はまだ分かるのですが、チーム未来がいきなり11議席と飛躍しました。このようにいろいろなところで不思議な現象が起こっているのですが、これはどういうことですかね?
(八幡)
中道改革連合の話は別にして、他の保守系の動きは理にかなっています。日本保守党は、石破さんや岸田さんが右派の声を聞かないので人気が出たわけです。当初は大阪や名古屋ローカルで人気がありましたが、今回票は少し増えたぐらいで、大阪では飽きられて議席がなくなりました。一方、参政党は自民党に飽き足らない人の受け皿で、ポピュリズムな面はあるけれども、庶民の率直な感情をうまく吸収しているところを、私はそれなりに評価しています。
(深田)
そうですよね。
(八幡)
ですから、参政党が一定の規模を保つこと自体は不思議ではありません。党員や所属議員を大切にし、地方組織も固めている点から見ても実力通りの結果で、高市さんがこれだけ保守票を取り戻してもそこそこ頑張ったわけですよね。仮に高市さんでなければ、参政党は更に30~40議席を伸ばしていたでしょうね。これほどの逆風下でも議席を取ったので、私は参政党は勝利したと思います。
一方でれいわは、支持層が参政党にも食われ、もともとポピュリストの選択肢はれいわしかなく、さらに山本太郎さんの資質に依存していたと思うのですね。
さらに言えば、いわゆるポピュリスト的政治家は大阪の阪急沿線の人ばかりです。神谷宗幣さんは吹田市議出身、橋下徹さんや百田尚樹さんは大阪市東淀川区、山本太郎さんは兵庫県宝塚市です。本当に阪急沿線の人たちが寄ってたかって、いろいろな党を作っているだけなのですよ。ついでながらNHK党の立花孝志さんは泉大津市で南海沿線です。
いずれにせよ「何でもおもろかったらええ」という関西のへそ曲がりが、寄ってたかって日本の政治をぐちゃぐちゃにしているのです。深田さんもその1人かもしれないですね。
(深田)
あはは!(笑)
(八幡)
奈良は百田さんも縁がありますしね。
(深田)
言論人には関西出身者が多いのですよね。
(八幡)
そうなんですよ。インテリで頭も良くて、実は比較的金持ちが多いです。山本太郎さんはペルシャ絨毯の輸入で大変お金持ちの家ですよね。それで「俺はできるんだけれども世の中で十分認められてない」とか、そういうモヤモヤしたものがあるのです。
(深田)
埼玉県戸田市議の河合ゆうすけさんも京都の西陣織の会社のご子息だそうです。裕福なご家庭の出身ですよね。八幡先生も関西人じゃないですか。
(八幡)
それで、新聞で言うと朝日新聞です。朝日新聞は阪急沿線の新聞ですからね。現在も本社は大阪の中之島ですよ。
(深田)
えっ、そうなんですか?なるほど、だからへそ曲がってんねんなぁ。
(八幡)
例えば、住友に勤めて金持ちだけれど、どこか三菱や三井より下に見られている気がして面白くない。あるいは京都大学の先生が「東大の連中が威張っている」と、頭は良いのにもやもやしている感覚です。
さらに面白いのは、小池百合子東京都知事、黒岩祐治神奈川県知事、熊谷俊人千葉県知事は、いずれも神戸出身です。
(深田)
なるほど、そうなのですか。
(八幡)
要する、政府がやることは気に食わんという人たちが、そういうところへ集まって政治をしているのですよ。高市さんも奈良で関西人的な「ええ加減」で政治を語っています。私は高市さんに全然否定的ではなく大好きですよ。ただ、総理大臣としては、もう少し責任感を持ってもらいたいと思います。
(深田)
それでは最後に、今回の選挙総括で、一言で言うとどのような選挙だったのかまとめてください。
(八幡)
一言で言えば、高市さんが勝利し、真面目な政策論争を吹き飛ばしてしまった選挙だったということです。一方で、真面目に議論をやろうとした中道の人たちは、その真面目さゆえにドジを踏んでしまいました。中道がなぜ失敗したのか、そして高市さんの政策のどこに問題があるのかについては、次回に詳しく解説しましょう。
(深田)
はい。今回は政治評論家の八幡和郎先生に、衆議院総選挙の総括を伺いました。先生、どうもありがとうございました。
(八幡)
ありがとうございました。





