#593 【ついに珍法出現】新法「食料システム法」は精神を規定する法律?小泉構文すぎると批判殺到の理由 久保田治己氏(2026.2.7)

(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム、プロデューサーの深田萌絵です。今回は、一般財団法人食料安全保障推進財団の専務理事、久保田治己さんにお越しいただきました。久保田先生、よろしくお願いします。

(久保田)
よろしくお願いします。

(深田)
今年の4月から食料システム法(※1)という新しい法律ができるということなのですけれども、こちらはどういう法律なのですか?
※1)食料システム法:令和7年6月18日公布、令和8年4月1日施行

(久保田)
このところ農産物の価格が上がったり、下がったりといろいろなことがあります。もちろん需要と供給で上がるということも当然あるのですけれども、農産物は、肥料、農薬、段ボール、運送費などの生産資材のコストが、国際相場が上昇によってすごく上がってきているわけです。

例えば今まで売価が100円でコストが60円、70円で済んでいれば、利益が残っていたのだけれど、80円、90円になってくると、何も残らなくなって、赤字になってしまうのです。需要と供給の関係では100円で間違いはないかもしれないけれど、それでは農家が潰れてしまうわけです。

したがって、その場合は100円ではなく、丁寧に説明をして120円にするなど、農家が立ち行くような価格にしないといけない。それを消費者にも理解してもらい、消費者は「とにかく安ければ良いのだ」ということでは、作っている人たちが、コストを乗せられなければ撤退するしかなくなってしまう。

農業に限らずいろいろな製造業の方々も含めてそうです。これは農水省が作った食料システム法ですけれど、それ以外のものも考え方は、やはりそういうことが必要になってきたのかもしれないと思います。つまりコストを賄えないような価格で、お客さんが買い続けるということは、その産業が我が国からなくなるということを意味するわけです。

(深田)
それは、そうですよね。

(久保田)
もちろん、なくなってもいいような産業があるかどうかは、私は分かりませんけれども、少なくとも農業や食料が日本にないと、困るのは消費者の方であるわけです。それで新しい法律が作られました。趣旨とすればそういうことです。

(深田)
この食料システム法の趣旨として、いろいろな資材を輸入し、輸入コストが上がっていることに対し、この法律は何をしてくれるのでしたか?

(久保田)
そこが、なかなか難しいのですが、少し我が国の状況をおさらいすると、食料自給率はもう何十年間もずっと下がってきました。

だから「食料自給率を上げますよ」と我が国の政府はもうずっと声高に一生懸命言ってくださり、食料自給率を上げようとしたにも関わらず田んぼも畑もずっと減り続けました。

農家の人も棒グラフのように、ずっと減り続けました。農家が減り続けるだけではなく、高齢化していきました。つまり新規参入者が入っていないわけです。後継者が入っていない。これは産業としては、農業はもう崖っぷちまできました。

(深田)
食料供給システムというのは、今、かなり危機的な状況にあるということですね。

(久保田)
はい。そうです。今やっている人は生産を一生懸命やってくださるけれど、その後継者がいないということは、あと数年で終わりとなってきてしまったわけです。

(深田)
この新法ができたことによって、農家が助かるという画期的な法律というわけではないのですか?

(久保田)
はい、そこですね。昨年来、米の価格が非常に高くなりましたので、このグラフを見ていただければ分かると思います。

今まで米の価格は安定的で、歴史的には30年間ぐらいずっと実質的には下がり続けていたのですが、もう急速に上がった。この上がった理由は、生産を減らしすぎたことと、小麦などが高くなって、意外に米の価格が安いということもあって、米の消費が増えた。もちろん2年連続で米の消費が増えたものだから、値段が上がったということもあります。

その他にウクライナとロシアの問題で、肥料や農薬の資源の価格がもの凄く高くなったのです。しかも、円安になって、輸入全体が高くなったのです。生産コストも高くなった。そうすると、今までと同じ値段では、農家は売れば売るほど赤字になってしまうというのが、2、3年続いていたのです。

(深田)
それを解決するための法律が、食料システム法ですか?

(久保田)
そうなのです。

このグラフは、値段はずっと上がってきたのだけれども、これから右の方に行けば、新しい7年産の米になるのですが、ずっと上がってきたのが、もう下がり始めているのです。農家の方は、昨年あれだけ暑い夏だったのに、非常に上手な農作業と田んぼの管理をしていただいて、生産量は平年作よりも少し多めに取れたのです。だから逆に在庫が増えてしまい、価格が大暴落するかもしれないと今恐れ慄いているのです。

今は、何となく少しずつは下がっていますが、持ち堪えています。しかし、3月末で年度末を迎える時に在庫を持っている小さな卸業者の方などは、お金を払わないといけない、換金しなければいけないので、多少値段が安くて損切りでも売り出すのではないか。そうすると一気に下がるのではないかという不安が、今言われているのです。もちろん「買う方は安ければありがたいのだけれども、そんなことを言っていると生産者も作れなくなる、あるいは流通業者が潰れてしまう。最後に困るのは消費者なのですよ」ということなのです。「そこをよく考えてくださいね」という法律なのです。

(深田)
よく分からなかったです(笑)。

(久保田)
よく分からないのですよ。

(深田)
それは国民が「今農家が大変だから、お前はしっかり考えるんだよ。考えなさいよ」ということを決めた法律ですか?

(久保田)
そうなのです。意味合いからすると、そんな意味合いになります。

(深田)
ちょっと待ってください。この法律の意味が分からないのですけれど。概要パンフレットどうなっているのですかね?

(久保田)
食料システム法の概要パンフレットがあって左側です。

第1の柱があって「合理的な費用を考慮した価格形成」なのです。きちんとコストを担えるような価格にしなさいということなのです。だから、売り手も「高ければいいというものではだめだよ」とことがあるわけです。

第2の柱は買う方です。「食品産業の持続的な発展」で、国産原材料の活用や環境負担の抑制等に取り組む食品産業の事業者への支援です。つまり流通者もただ右左に動かすだけではなく、いろいろな役割を演じてくださっているので、そういうこともきちんと弁えてくださいよというようなことが背景にあります。

今回の改正ポイントは「合理的な費用を考慮した価格形成」なのです。努力義務なのです。食料全般の取引を対象として、取引の適正化に係る努力義務が課されます。

(深田)
これは「食料システム全体を通じて農家いじめをやめましょう」ということですね。

(久保田)
そうですね。農家だけではなく、流通業者も含めてですけれど、やはり大手流通みたいに買い手が大きくなると、買い叩きをする懸念があるわけです。独禁法に「優越的地位の濫用」とありますけれど、そういうことがあってはいけないので、きちんと相手のことも慮り、その代わり売り手も丁寧に説明する。違う業界の人は、説明しないと分からないわけで、説明されたら確実にそれを満たせるように努力する。そういうことです。

(深田)
それで、消費者も理解しなさい。

(久保田)
はい。そうです。

(深田)
何ですか、それ?この法律は何か意味あるのですか?これでは国は何もしないのですか?

(久保田)
コスト割れを抑止することが、本法の目的です。

(深田)
コスト割れを抑止するのは、食料システムに関わる生産者、流通、スーパー、消費者なので、私ども政府は関係ありません。君たち、それは義務ですから努力しなさい。誰ですか?この法律を考えたのは。

(久保田)
農林水産省なのですけれども、なぜこういう法律になるのかというと、多分、財務省からの予算が出ないのですよ。

つまり、米の価格があれだけ高くなり、結果的に消費者の方々は大変不安を覚えたり、ご迷惑もおかけしたかもしれない。それを回避する方法は、生産者がコストアップになった部分を抑えるような一定の財政措置か、あるいは消費者の方が買う時に、もう少し安く買えるような財政措置を取る。あるいは日本中の景気が良くなって、米の価格が高くなろうが、給料がどんどん増えていれば、値段が上がっても気にならない。あるいは消費や他の税を下げることによって、可処分所得を消費者の分を増やす。こういう財政措置を伴ったことができれば、農林水産省がこんな難しい法律を考えて捻り出さなくてもよかったはずなのです。

(深田)
この法律は読めば読むほど、存在価値を理解することができないです。

(久保田)
これは国民に対する絶大なる信頼が前提に立っていると思います。

(深田)
うまいことおっしゃいますね。

(久保田)
信頼感がなければ、こんな法律は作れないですよ。

(深田)
そうですよね。国は何もしないけれど「お米を作っている人、流通させている人、売っている人、スーパーマーケットで買う消費者の皆さん、全ての国民が努力をしなさい」ということですね。

(久保田)
はい。結論はこの図が本当のポイントなのですが、下の方に左から、生産者、農家は生産性や付加価値の向上に努める。流通業者は多様な商品・サービスを提供する。流通業者も例えば5kgのお米が高ければ、2kg、1kg、500gと小分けする。食パンも大きいなものだけでなく、小さくしたりサンドイッチにしたり、いろいろ工夫をする。極め付けが、一番右側の消費者です。生産・流通段階への理解を示す。

(深田)
何なのですか?

(久保田)
これで、持続可能な食料システムを実現するのですよ。

(深田)
やばいですね。

(久保田)
これは予算がなければ、国民の道徳観に頼るしかないですね。

(深田)
何と!緊縮財政の結果、国民の努力義務だけが増える法律ですね。女性の活躍推進と同じですよね。「女性は働いて残業して、金稼いで、結婚して子供産んで、しっかり育てろ」というように政府は1円も使わないし、一切手を貸さない。それとほぼ同じですよね。

(久保田)
この法律ができたときは、まだ高市政権になってなかったので、緊縮財政まっしぐらの時でした。ところが、いろいろな変化があって、高市政権になって「責任ある」とはついていますが「積極財政へ転換する」と言ってくださっているので、まだ期待できるとは思います。理解はあった方が良いのですよ、絶対に。

(深田)
でも、この法律の構文はどこかで聞いたことあり、小泉構文的な感じがします。これを作ったのは小泉さんじゃないですか?

(久保田)
時代背景的に言えば、そうかもしれません。まあ、どこでどう判断をされているのかわかりませんが、この法律は無いよりはあった方がいいです。

(深田)
分かりました。食料システム法を私が改名しましょう。

(久保田)
是非お願いします。

(深田)
食料小泉構文法という名前に変えた方が、趣旨が理解しやすいと思いました。今回は一般財団法人食料安全保障推進財団 専務理事の久保田治己先生にお越しいただきました。もう小泉構文でこの国滅びそうです。ありがとうございました。

(久保田)
国民の皆様、是非ご理解をよろしくお願いいたします。

(深田)
はい、理解します。

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