物価高騰に激動の国際情勢。差し迫る危機のなか与野党「数合わせ談義」に怒りの鉄槌! 田村秀男氏 #482
【目次】
00:00 1.オープニング
00:38 2.日本の総理大臣がなかなか決まらない
02:32 3.経済問題や台湾有事問題より政局の話ばかりのメディア
04:16 4.優柔不断な国民民主党
06:24 5.公明党が自民党との連立から抜けた理由
09:03 6.30年間日本経済ゼロ成長の原因
(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム、プロデューサーの深田萌絵です。
今回は、産経新聞特別記者の田村秀男先生にお越しいただきました。先生、よろしくお願いいたします。
(田村)
よろしくお願いします。
(深田)
現在の首班指名がなかなか決まらない状況をどうご覧になりますか。
(田村)
まったくみっともないです。当初は10月15日には決まる予定だったのに、さらに1週間も延びることになりました。10月末にはソウルでAPEC首脳会議が開かれます。トランプ米国大統領はその前に27日に日本に立ち寄り、ソウルでは中国の習近平国家主席と顔を合わせる予定です。本来であれば、その場に臨む前に日本も新しい内閣で体制を整えておくべきなのに、本当にぼけています。政治家全体の問題だと、私は怒っています。
(深田)
政治家全体の問題ですか?
(田村)
数合わせばかりしていて、恥を知れと言いたいですね。さっさと首班指名選挙を行えばよいのです。
(深田)
「今は数が合わないからどうしよう」と言って、票読みばかりしていますね。
(田村)
そうです。各党の党首が「我こそは」と自らの名前を書いて立候補するのであれば、それぞれが自分の所信で「私はこうする、日本をこう変える」と演説して投票すればよいのです。過半数が取れないなら決選投票をすればいい。自民党が割れなければ、それで決まる話です。
(深田)
そうですね。自民党が割れなければ、そのまま高市さんになる可能性が高いでしょうね。
(田村)
それで構わないのです。民主主義の手続きで決まっているでしょう。私はメディアに属しているが、怪しからん話です。テレビも新聞も、政局の話ばかりで、何の意味があるのかと思います。
(深田)
そうですよね。国民のための話題は、一度も取り上げられません。
(田村)
その通りです。消費税の減税や、所得税の給付付き税額控除など、減税策が中心の話ですが、要は各党が「減税を実現します」と約束すれば、自然と政策的な方向性は収斂していきます。
一方で、国際情勢は、アメリカではトランプ関税、ガザ停戦合意、ウクライナとロシアの停戦も進展する可能性が出ています。そして台湾をめぐっては、中国軍が包囲態勢を整え、衛星写真でも確認できるほどで、いつでも上陸可能な状態にあるのです。
このような緊迫した情勢なのに、悠長に政局の話を延々と続けることの馬鹿さ加減には、国会議員全員が辞めるべきです。本当にけしからんです。法律で投票手続きが定められているので、速やかに実施すればよいのです。
(深田)
さっさと投票をしないのは、それぞれ算盤を弾いているからなのでしょうね。
(田村)
その通りです。「あわよくば俺が…」と考えているのでしょう。損得計算ばかりしているのですよ。
(深田)
国民民主の玉木雄一郎さんが今、一番有利な立ち位置にいるように見えますね。右と左の間を行き来しながら、どちらが得かを探っているようです。今日(※2025年10月15日)は、15時から野党党首会談、18時から自民党会談が予定されています。
(田村)
何をやっているのか。高市早苗氏もサッチャー(英国元首相)を目指すのであれば「こんな馬鹿な話をするのは時間の浪費だ」と啖呵を切ればいいのです。そうすると、彼女が総理になれるでしょう。玉木氏は、国民民主党は野党の中でも衆議院で3番目か4番目の勢力に過ぎず、少数の政党が総理になる資格はないのです。
(深田)
そう言われてみればその通りですね。
(田村)
平和ボケの時代ならともかく、これまでの衆議院・参議院選挙では、有権者、特に若い世代が非常に目覚め始めています。それにもかかわらず、政治家たちは民意がわからず、自分たちの利害や損得ばかりで動いている。そんな人たちには議員の資格がありません。
(深田)
おっしゃる通りだと思います。
(田村)
そして言論メディアも同罪です。テレビは公共の電波を使って政局予想ばかりで、しかも外れている。公共の電波は国民共有の財産です。その貴重な時間と空間を使って、間違った情報ばかり流し、何のためにもならない。私はNHKも民放も、すべてけしからんと思っています。
(深田)
そもそも公明党は、なぜ連立を離脱したのでしょうか?
(田村)
はっきり言えば、全然考え方が違うでしょう。自民党そのものは、いわば『高島屋百貨店』のようなもので、何でも揃っているのですよ。
(深田)
確かに、右から左まで幅広いですよね(笑)。
(田村)
ところが、自民党総裁になる高市氏のイデオロギーや思想信条、行動方針は表向きは非常にはっきりして、いわゆる保守の右寄りです。靖国神社への参拝、中国への毅然とした強硬姿勢、外国人への対応など、非常にはっきりしています。
彼女が選ばれたということは、自民党が右に大きく動いたということです。そうなると、公明党は付き合いきれない。彼らは左派中の左派のような存在で、創価学会に支えられた、政教分離ができていない政党です。
これまでの行動を見ても、公明党の代表(斉藤鉄夫氏)は自民党総裁が選ばれるとすぐに中国の駐日大使と会談し、その前には中国に行って国家安全部の“お偉い”に会っている。会うことは構わないが、行動のパターンが明らかに媚中という言葉は使いたくないが、完全に中国寄りですよね。
(深田)
なぜ日本の国会議員は大きな選挙のたびに“外国詣”をしなければならないのでしょうか?公明党は中国に寄り添い、そして保守系は台湾詣をしますよね。
(田村)
そうですね。今回も高市総裁が誕生したら、さっそく行きましたね。
(深田)
『日華議員懇談会』のメンバー30人が台湾を訪問しましたよね。
(田村)
行くことは構わないが、問題は何を言うのかということですね。
(深田)
国民の方に向いて、国民の声に耳を傾けてくれる政党はないのか、私はそこが一番心配です。
(田村)
そうです。「日本の課題は何なのかを明確に言ってみろ」ということです。経済は『失われた30年』でゼロ成長のままです。日本の国際的な経済地位は、OECD諸国の中でもどん尻ぐらいの位置になっている。「こんな情けない状況を変えなければいけない。変えるために私はこうする」となぜ堂々とそれを言わないのか。
(深田)
その通りですよ。
(田村)
私は、日本の『失われた30年』の最大の問題は、歴史的かつ構造的な要因にあると考えています。第一は『戦後レジーム』つまり平和憲法と対米従属体制です。第二は、その対米従属があまりにも固定化してしまっていることです。
アメリカの情報に強いというか、日頃アメリカの言うことを聞き、アメリカから情報を得ては「俺しか知らねえ」と威張るのが霞が関の官僚です。彼らが政治家を牛耳って、政治家が言いなりになる。
しかも、戦後レジームのなかの平和憲法9条にリンクする財政法も問題です。この財政法では「財政は常に均衡させなければならない。いわゆるプライマリーバランスが…」と言っているのが財務官僚です。彼らが『対米従属システム』と『財政の均衡』という日本を悪くして停滞させる政策をしゃにむに進めてきたのです。政治家はそれに対して無力であった。その結果『失われた30年』になったのです。
(深田)
財政均衡と言いながら、外国、特にアメリカには80兆円もの投資を行う。日本以外にはお金をポンポン出している印象なのに、本当に財務官僚は財政を均衡させなければいけないという意思があるのですか?外国には出すが、日本には出さない。この運用が一番の矛盾だと思います。
(田村)
矛盾していますよね。日本が保有しているアメリカ国債、外貨準備は200兆円近くあります。赤澤経済担当大臣が関税引き下げと引き換えに5500億ドルを今後3年半でアメリカの言われるままに、アメリカの銀行口座に振り込むという合意をしました。私はこれを『現金自動支払機(ATM)合意』だと言っています。しかも、実際には逆に関税が上がっているのです。
(深田)
それだけの円を刷ってドルに換えれば、自動的に円安になりますよね?
(田村)
その通りです。円転が進めば、円安方向に作用します。本来であれば、日本は200兆円も米国債を保有しているのだから、それを取り崩して使えばよいのです。トランプ政権はそれには絶対に「NO」と言いますよ。なぜなら、米国債を売られることはアメリカの主権侵害になるのです。
(深田)
えっ、どういうことですか?
(田村)
取り決めになっているのです。仮に日本国債を外国が大量に保有し、それを自由に処分するとなると、日本政府だって抗議するでしょう。それと同じです。アメリカの金融市場の要は国債市場で、最大の保有国は日本です。
それをトランプ氏のいう『IT関係のプロジェクト』や『アラスカ石油のプロジェクト』に回すからいいではないかと言っても絶対に許さない。トランプ政権が主張する80兆円(約5500億ドル)は「すべてニューマネーで日本から持ってこい」と要求している。結果として、日本人の貯蓄がアメリカに流れるということです。
(深田)
ひどい話ですね。なぜ誰もそれに異を唱えないのでしょうか?
(田村)
これが「戦後体制」そのものなのです。
(深田)
高市さんも中国に対してはかなり強硬な姿勢を見せていますよね。であれば、その80兆円についても、しっかりと「NO」を突きつけてほしいと思います。
(田村)
現実的に考えれば、この合意は当然、見直すべきです。「そんな約束は履行できません」と正面から言えば、日米関係が決裂してしまう。それは非常に危うい状況になります。
最大の問題は、日本が「経済安全保障」と言いながら、それが担保されるのかということです。
(深田)
絶対に嘘ですよ。
(田村)
嘘です。それが問題なのです。お金を出すことはやぶさかではないが、日本国民の資金をアメリカに渡す以上は、それが日本自身のためになる形でなければならない。経済と安全保障と言っているので、日本の経済安全保障のためであるべきです。ところが現実には、アメリカの経済と安全保障のために使われている。これはあまりにもおかしい。
しかも日本の資金なので、それをどう使うのか、もう一度交渉すべきです。「トランプさん、この条件にしてもらえませんか」と話せなければ、リーダーの資格はない。しかし、歴代の日本のリーダーはそんな交渉はできませんでした。
(深田)
高市さんにはできますか?むしろ積極的にプッシュしていますよね。
(田村)
彼女も「再交渉すべきかもしれない」と匂わせています。彼女はさすがにその問題が分かっているのでしょう。「サッチャーになりたい」と言うのであれば、それぐらいの勇気と知見と策略を持たないといけない。
(深田)
確かに、その通りですね。
(田村)
他の候補、野田佳彦(立憲民主党代表)、斉藤某(公明党代表)、玉木雄一郎(国民民主党代表)さんなどに同じことができるのか?できるわけがない。まだ高市さんの方が可能性はあります。
(深田)
そうですね。80兆円もの資金をアメリカに差し出してしまったら、日本経済は確実に不景気なりますよね。
(田村)
80兆円は対米投資のこれまでの実績値の3.5倍にもなります。しかも、日本の民間設備投資の純投資、つまり減価償却分を除いた実質的な投資額の2〜3倍に相当します。本来、日本国内で使われるべき資金なのです。
経済とはイノベーションとダイナミズムというが、設備投資がないから、日本はこれほど沈んだのです。にもかかわらず、その貴重なお金が一方的にアメリカに行って、日本には何の利益もない。日本に欠かせないお金がアメリカに行く。これは日本の経済安全保障を壊す話です。
(深田)
まったくその通りですね。
(田村)
なぜそれがわからないのか。こうした政策を行った石破政権は失格です。しかも、石破政権にそのようにさせた霞が関官僚にも重大問題があり、責任を追及すべきです。私はそう思います。
(深田)
次の日本の首相には、対米投資80兆円は再協議で、「NO」と言える人を期待したいと思います。
今回は、産経新聞特別記者の田村秀男先生にお話を伺いました。先生、どうもありがとうございました。
(田村)
ありがとうございました。





