#424 元自民議員が告発「SNS規制と政党助成金はやめるべき!」日本を破壊するカラクリとは? 二之湯真士氏
(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォームプロデューサーの深田萌絵です。今回は元京都府議会議員の二之湯真士さんにお越しいただきました。二之湯先生、よろしくお願いします。
(二之湯)
よろしくお願いします。
(深田)
最近の参議院のテーマの中で、憲法改正論などが色々出ていましたが、二之湯さん的には緊急事態条項、今で言うところの国会機能維持条項についてどうお考えですか。
(二之湯)
一般論で言うと、例えば大災害が起こった場合、その時に色んな想定外のことが起きて、国がある意味強権を発動しないといけないというのは成り立つでしょう。しかし、今の政治の流れの中でこれを急いでやる必要があるのかな、という気がします。
(深田)
しかし緊急事態になった時にどうするのですかと言われても、自主的にできる範囲で皆さんが努力すればそれでいいのではないかと思います。やはり国民の移動の自由とか、食料配給制になるとか、衆院選がなくなってしまうとか。さらに、その時の首相がずっと首相のままでいられるみたいな条文が入ってしまえば、これは民主主義ではなくなるわけです。
(二之湯)
そうです。選挙は、これだけ色んなテクノロジーを含めて交通・通信が発達している中で実施できます。
(深田)
選挙はできます。そもそも衆議院が解散して選挙を行っている間、国会をどう維持するのかというための参議院です。
(二之湯)
二院制はそうです。
(深田)
参議院も半分ずつ選挙を行うので、実は国会維持の機能は三重構造で守られている。だから必要ないと思います。
(二之湯)
おっしゃる通りです。結局、今の緊急事態条項を創設するということに対する疑念は、今の政治に対する不信そのもの、その裏返しです。
(深田)
信じられません。
(二之湯)
国家や政治権力が国民を守ってくれるのなら信頼できますが、そうでないからこそ、例えば緊急時に「どうぞお願いします」とはならないわけです。
(深田)
今、どの政党も中国共産党の支店みたいな状態です。
(二之湯)
従米か媚中かという状況です。国民の一定の方がそう思われている中で、急ぐ必要はないと思います。
(深田)
憲法改正の中で、言論の自由や表現の自由が制限されるという点についてはどう考えますか。
(二之湯)
今回私も参議院選挙に出馬して思ったのですが、今の政治は非常に信頼を損ねていると。大事なことを言わず、国民を騙して国民の富を搾取している。それこそ今の80兆円のアメリカとの関税交渉を含めて、国富が流出していく。そうした問題を政治家が監視しないといけないのに、与党は自分たちの議員内閣制である以上、自分たちを批判しない。野党も何故か全然批判しない。
(深田)
80兆円も投資するのに、なぜ野党はもっと真剣に反対しないのかと思います。
(二之湯)
加えて主要メディア、既存のマスメディアは記者クラブ制度の中で政府発表を垂れ流すだけ。それがメインです。最後の砦は、これだけネット社会が普及したことによってSNSでの個人の情報発信が可能になったわけです。しかし、それをインチキ情報が多いと散見されることを理由にして、規制しようというのはどういうことか。戦前の大本営発表や戦後の記者クラブ制度もそれに類似したというか、独自取材は少なかった。そういうものは信じるのに、新参のSNSは規制するというのは矛盾しています。
(深田)
おかしいです。既存メディアが常に正しいわけではない。
(二之湯)
全くその通りです。
(深田)
既存メディアの法改正のニュースを見ても、きちんとした記事は書かれていないことが多い。
(二之湯)
私も色々と取材を受けますが、例えば選挙の取材で、京都なら京都の色んな論点について精通している記者は少ない。質問も表面的で、記事や映像にされてもそういう内容になってしまう。それを「正しい」として、SNSで少し深掘りすると「言い過ぎだ」「嘘だ」とされるのは良くない。
(深田)
しかし今回の参院選の時、SNS規制を受けていたのではないかと疑っている部分もあります。選挙が始まった瞬間から動画の視聴回数が急に落ちました。毎日10万回、10数万回の再生があったのに、参院選の期間中はいきなり一桁万台になってしまって。終わった途端にまたすぐ10万回、10数万回に戻って、「すごい、回復した!」みたいになりました。だから、わからないように規制されていたのかなと思います。
(二之湯)
なるほど。確かに自民党の幹部の発言もありました。
(深田)
元デジタル担当大臣の平井卓也さん。
(二之湯)
「我々は、消し込みに入っていますから」という発言がありました。本当に何をやっているのかわからないという疑いがあればあるほど、SNSは規制すべきではないと思います。
(深田)
ただSNSを規制するにしても、やり方があると思っています。例えば選挙期間中にbot、つまりAIによる自動投稿やツイートを規制する。これならありだと思います。botを使ったり、いいね工場でいいねを買ったり、そういう仕組みを規制すれば、お金で動く情報の拡散は防げる。結局、人が動かないとできない仕組みにすればいいのです。そうなれば、ある程度人の手を介した情報だけが集約される。つまり、本当に生身の人間がいいと思って広めたい情報だけが拡散されることになります。そういう規制なら理解できます。あとはSNSのアカウントに身分証を登録させるとか、外国からの投稿や拡散を規制するとか、それなら納得できます。
(二之湯)
内容そのものではなく。
(深田)
内容以前の問題だと思います。
(二之湯)
成熟した民主主義国家を目指すなら、玉石混交の情報を見分けられる国民を育てる教育に注力すべきだと思います。日本は、いわゆる主権者教育やメディアリテラシー教育が弱いです。
(深田)
そう思います。基本的に、国民がお上を信じるという時点で間違っていると思います。中国人が偉いと思うのは、政府発表を信じないところ。お上の言うことを、信じちゃいけないのです。
(二之湯)
しかしそれもここ3〜5年の話ではないですか、自民党を支持している方も高齢者に集中している。60代以下は色んな疑いを持ち始めている。私自身も、自民党を離れて無所属になったら、立場が変わったことで見え方も随分変わりました。多くの人もコロナをきっかけに、ネットで情報が拡散する中で意識が変わったと思います。
(深田)
そうですよね。
(二之湯)
だから僕自身は、日本人そのものはすごく信じています。ただ、今の戦後体制の政治はもう制度疲労がひどい。色んな利権を守る、政治家は上に忖度する、対米従属は酷い、媚中親中も酷い。そうした構造が極まって、もう国民には隠せない。
(深田)
だって自民党の中に親米、親中、親韓国、親北朝鮮、親露、親台湾はいるのに、親日だけがいない。
(二之湯)
自分たちがいかなる国であるべきかを学ばないまま、戦後の日本人は来てしまった。
(深田)
日本は民主主義に対する意識がすごく低いと思います。私ははっきり物を言うタイプなので、反発や摩擦もあります。それでも「おかしいことはおかしい」と言う権利は国民にあります。
(二之湯)
その通りです。私も京都府議会議員の時、議論の出来ない村にいました。議論は出来ないです。議論をしないというところにある村は、議論をしようと、例えば政策で色々とやっていこうという人が入ってくると、ものすごく邪魔なのです。議論はしちゃいけない、議論しないことが前提。だから、例えば政策を進めようとする人が入ってくると、ものすごく邪魔にされる。
(深田)
しかもそれは自民党に限らず、公明党も立憲民主党も国民民主党も維新も共産党も、みんな似たような構造ではないですか。
(二之湯)
だと思います。
(深田)
だから議会が開かれても何にも意見が出てこない。
(二之湯)
大体は、「自分たちが選んだ知事や首相ではないから」と反対するという共産党ぐらいです。
(深田)
野党は本来、反対するのが仕事だから、何でも反対してもらわないと困ると思います。ただ、それに対する対案があるかというと疑問ですが。
(二之湯)
そうですね。
(深田)
ところで、政党を離れて無所属になって、選挙はどうでしたか。
(二之湯)
選挙は大変です。
(深田)
どれぐらい違うのですか。
(二之湯)
例えば京都選挙区の例で言うと、僕が色々と聞いた話では、自民党の支持が大体20%くらいです。公明党が7〜8%あると思います。そうすると27〜28%になるわけで、その割合を固めれば候補者が誰であっても基本的に応援される。だから7割をまとめれば勝てるのです。無所属というのは、その政党支持率という、長い歴史の中で支持者を作ってきたという基礎がないわけです。だからゼロからのスタートです。この違いが一番大きい。京都選挙区でいうと、西田昌司さんは自民党の約4割、多くて5割。逆に言うと、自分たちの母体から半分からダメだと言われても、政党の公認であれば当選する。そういう意味で全然違います。それに選挙資金も政党助成金、つまり税金がたくさん入っています。
(深田)
そうですよね。
(二之湯)
政党の選挙車、ビラ、広告、新聞、ネット、全然違います。さらに支援団体も、個人が作ったものではなく政党が長い時間をかけて組織したものがある。人・お金含めて、全部が違います。そして報道だって、党首討論があります。無所属には、そんなものはありません。
(深田)
そうです。政権放送はどうでしたか。
(二之湯)
政権放送は、僕もびっくりしました。候補者が全員、自分でしゃべるのかと思っていました。僕以外の、いわゆる国政主要政党はほとんど党首や代表が長く映っている。「京都選挙区は誰々です」と名前が出るだけ。5分30秒のうち数十秒しか候補者が出ないこともある。つまり党対党の戦いになるわけです。その中で無所属は、埋もれがちになる。政見放送は、どうなのかなと思います。
(深田)
だからこそ新人で名前を売りたい人は、奇抜なことをやる。
(二之湯)
そうじゃないと目立たない。
(深田)
その先駆けがNHK党の立花さんです。あれを皆さんが真似して、奇抜なことをやり始めたのだと思います。
(二之湯)
大きいものはより強く大きく、小さき弱きもの新しいものはなかなか育たない。
(深田)
この無所属差別がある限り、この国は絶対良くならないと思っています。無所属も政党候補者も、ちゃんと同じスタート地点に立つというのが一番大事じゃないですか。しかし実際には、政党候補者じゃないとビラの枚数が少ない、公選はがきの枚数も少ない。これは撤廃すべきです。そして政党助成金も廃止した方がいい。
(二之湯)
寄付で成り立つくらい支持を得られる政党や政治家でなければ、これからは生き残れないでしょう。
(深田)
その代わり、政治家の活動をしやすくするために、秘書の数を増やすとか、事務所の家賃を補助するとか、領収書で証明できる部分は公費で出す。そういう仕組みの方がいいと思います。アメリカなんかは、国会議員一人あたり1億円くらいの予算がついている。広い国だから、州ごとに3つ4つ事務所を持たないとやっていけない。そのための予算がきちんとある。日本は、国会議員にアポを取って陳情しようと思っても、コネがないと陳情することさえ難しい。アメリカもそういう部分はありますけど、インターンや秘書が多いから、個別に相談できます。しかし日本の国会議員は政策秘書が1人、加えて2人程度。それでは地元を回れないし、国民の声を吸い上げる人員がいない。だから議会に国民の声が届かない。そもそも国民の声を吸い上げる体制がない。
(二之湯)
それはあると思います。公費を投入するのであれば、透明性を確保すべきです。僕が京都府議会議員のときは、政務活動費月40万円を1円単位で領収書公開していました。そうすれば透明性は確保できる。国会議員もそれくらいやるべきです。
(深田)
私もそう思います。普通の民間企業なら、領収書がないお金なんて受け取れません。清算出来ません。領収書無しで処理できるのは、交通費くらいです。何駅から何駅まで乗ったら何円かかりました、これは領収書がなくても精算できます。それが国会議員であれば、毎月100万円入ってくるというのは、本当におかしいと思います。普通の世界ではあり得ないことです。
(二之湯)
その通りです。
(深田)
では、無所属差別で一番撤廃しなければならないのは何だと思いますか。
(二之湯)
選挙を通じて思ったのは、政党に所属していると車も2台使え、広告も打てる。ネットも新聞も、もちろん資金も入ってくる。だから全く競争条件が違います。政党に属していると二馬力で戦っているようなもので、つまり1対2で戦っているようなものです。だから、その政党の特権をやめるべきです。
(深田)
確かに。
(二之湯)
無所属に政党と同じ権限を与えると言われても、無所属では中々実現出来ません。しかし、政党の活動も認められているのだからという理屈で、二馬力選挙が行われています。
(深田)
二馬力選挙は絶対やめた方がいい。二馬力選挙は決してやってはいけない。いい締めだったと思います。ということで今回は、二之湯真士さんに「二馬力選挙を絶対やめていこう」というお話をいただきました。どうもありがとうございました。