#416 トランプVSプーチン、そしてネタニヤフ首相が糸引く狡猾な駆け引きの行方? 宇山卓栄氏×深田萌絵
(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム、プロデューサーの深田萌絵です。今回は、著作家の宇山卓栄先生にお越しいただきました。先生、よろしくお願いします。
前回はイスラエルの問題についてお話を伺いましたが、中東の紛争といえばパラレルで進行しているウクライナ。これはどこに決着するのですか?
(宇山)
これは、なかなか終わらないですね。このチャンネルでも2ヶ月前から申し上げてきましたが、ウクライナ戦争は簡単には終わらず、停戦も簡単にはできません。一時的なものは今後あるかもしれませんが、最終的にロシアがウクライナを攻め滅ぼすまでは本質的には終わらないです。
ロシアがウクライナへの攻撃を本格化させることがありましたが、ウクライナの動きが自国だけにとどまらず、中東にも繋がっていっているところが非常にややこしいのですよ。6月13日に、イスラエルがイランに対して空爆攻撃を行いましたね。旧約聖書の1節にちなんだ「ライジング・ライオン作戦」という名称で呼ばれているのですが、この作戦でドローンが大量に使われているのですよ。そのドローンは、ウクライナからやってきているのです。イスラエルは、そのような高度なドローン技術は持っていません。今や、ウクライナはドローンの実践技術が世界一なのです。毎日、現場で使っていますから。
(深田)
軍産複合体の展示会になっているのですね。
(宇山)
そうです。
そして、ウクライナは、その世界一のドローン技術とマシンそのものもイスラエルに共与し、イスラエルはそれを使ってイランを攻撃しているのですよ。
(深田)
ちょっと混乱しますね。
ジョージ・ソロスは、ウクライナを応援してイスラエルを叩いているじゃないですか。同じユダヤなのにどうしてそうなるのか疑問でした。ウクライナを応援している人は、基本的にイスラエルを叩いている構造だと思っていたので、ウクライナとイスラエルが実は普通に連携できてしまうというのは、カルチャーショックで飲み込みきれないです。
(宇山)
やはり、いろいろな考え方のユダヤ人がいると思います。イスラエルとウクライナを同時に支援したいと考える人たちも、実はたくさんいるのですよ。
特にウクライナ政府の目論見ですが、なぜイスラエルにそれほど加担するのかというと、1つはアメリカの関心を買うためです。イスラエルとアメリカは一心同体なのです。トランプ政権は、確かにネタニヤフの暴走を食い止めたいと思っているかもしれないけれども、所詮、アメリカとイスラエルは完全に繋がっているのですから。
もう1つは、イランの戦争を煽って戦火を拡大することによって、ロシアを介入させたいのです。イランとロシアは同盟関係ですから、それを誘いたかったわけですよ。
(深田)
イスラエルを助けてイランが弱ってくると、ロシアが出ざるを得なくなってロシアの兵力が分散されるので、ウクライナにとって有利になるということですね。
(宇山)
その通りです。
ウクライナ戦争だけではなく中東にもロシアの戦力を割かせると、ウクライナは戦争で楽になるからです。
(深田)
そうですよね。ましてや、ウクライナはドローンを出しているだけで、兵を出してはいないので楽勝ですものね。しかも、自動的に世界中からお金と物が集まってきますし。
(宇山)
さらには、シリアの昨年末のアサド政権崩壊の時にも、ウクライナは反アサド勢力に大量のドローンを送っているのですよ。それは、実は同じ理由なのです。
アサドのバックにいるのもロシアなので、シリア粉争を激化させ、アサドを窮地に落とし入れると、ロシアが黙っていないですよね。ですから、ロシアを中東の泥沼の中に誘い込みたいというのが、ウクライナの思惑なのです。ところがプーチン大統領は賢明な方ですから、決して中東には関与しないという姿勢を貫いているのですよ。今ここでリソースを割くとウクライナを喜ばせるだけだし、戦意も失せてしまうということをプーチン大統領はよく分かっているので、ウクライナの目論見には乗らないというだけのことなのですよ。
ウクライナのゼレンスキー政権というのはユダヤの政権なのです。そして、そのゼレンスキー政権を支えているのがウクライナのオリガルヒ達であり、先のバイデン政権の国務省、ブリンケンやヌーランド達だったのです。彼らもユダヤです。こういうユダヤが一蓮托生で物事を動かしているのがウクライナ戦争でしたね。
ですから、ウクライナが、イスラエル、ユダヤに対して非常に親近感を持って、このような動きをするのは、当たり前と言えば当たり前のことなのです。しかし、その構造の中に今やトランプ大統領が乗っかってしまっているのが、私は残念なのですよ。
彼は、元々はウクライナ戦争もイスラエルの中東紛紛争も制御できると言って当選しました。しかし、4月にゼレンスキーとホワイトハウスで大喧嘩したものの、その後はフランシスコ教皇の葬儀の場やバチカンでも2人がよく話し合うことがあり、実際にはウクライナ側に寄ってきてしまっているわけですね。そして、この中東紛争でも、イスラエルの側に寄ることもあります。
結局、ユダヤ人の考えている構造の中にトランプ政権が絡め取られてしまっていて、中東とウクライナの紛争が収まるどころか激化する状況に追い込まれてしまっているというのが、実際のところです。ですから、このままでは、トランプ大統領は何も得られないのではと思うのです。
しかし、トランプ大統領はやはり(9:56)〇〇な大統領でありますからね。彼は、右からも左からも同時に弾を投げるのですよ。例えば中国に関しても、中国包囲網を形成するかと思いきや、習近平主席を称えることを言い始めたりします。イスラエルに関しても、今回のようにイスラエルと一心同体の行動を取るかと思えば、今年5月の中東歴訪の中でイスラエルをわざと外してみせました。反対と賛成の両方から同時にボールを投げて、「どうなるか事態を見てみよう」ということを、彼はよく言いますよね。トレーダーが株で空売りと買いを同時に出して、利益率が大きい方にポジションを集約させていくというやり方をよくするでしょう。それと同じです。ですから、トランプ大統領については近視眼的にどうこう言えない難しさはあります。
(深田)
なるほど。「最終的に得になる方を取るよ」ということですね。
中国のやり方も同じですよね。大陸として左派にアプローチし、台湾という島を通じて右派にアプローチし、両側から操っていますから。
(宇山)
ですから、ウクライナ戦争でもプーチンにも寄り、ゼレンスキーにも寄る。そしてまたプーチンに寄っていくということは当然あり得るわけです。その揺れ動きの中で、最終的にどう落ち着かせていくのかが彼のやり方なのですよ。
(深田)
それはやはり、アメリカの大統領というポジションだからこそできることですよね。他の弱小国だったらできないですものね。
(宇山)
できませんね。
もちろん、それが混乱を生むこともあるのですが、一概には言えないというこの難しさをよくよく見て、国際情勢を分析していく必要があると思います。
(深田)
いまトランプ大統領としてはユダヤ人側の思惑を汲み取りながら動いているということですが、最終的にユダヤ人側はどう動きたいのでしょうか。ユダヤと言っても、いろいろなユダヤがいますけれど。
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