#10ー 深田萌絵×田村秀男愚策連発 日銀植田総裁の正体

(深田)

政治と経済の話を分かりやすく、政経プラットフォーム、ITビジネスアナリスト深田萌絵がお送りします。

今回は、産経新聞特別記者田村秀男先生にお越しいただきました。先生よろしくお願いします。

先生暫くの間、緩和緩和で来た日本の金融政策なのですが、今年に来て少し引き締めの方向で政策転換に入ってきたようですが、このような動きについて、どのようにお考えでしょうか。

(田村)

私は、マイナス金利政策を長くやることが問題だということでした。しかし植田和男総裁は、早く金利が上がる世界にする方向で来たのです。一番大事なことは実態経済です。私たちは暮らしの所得を稼ぎ、消費をして子育てをする。この一番肝心なところの経済が本当に良くなったのかの視点が植田日銀には無く乏しいのです。

3月19日の金融政策決定会合で、マイナス金利を含め大規模緩和の解除を打ち切って以来、そのように行政が進んでいるわけなのですが、実態経済は確かに上向いていると言います。しかし賃金と物価が非常に力強く、確かな好循環として表れているわけではまだないのです。

植田氏としては、どうしても利上げができるように持って行きたいので、メディアの方では、金利のない世界から金利のある世界で正常化したのだと解説していたのですが、それは真っ赤な嘘で間違いなのです。要するにマイナス金利の時でも金利はあるのです。例えれば、住宅ローンを借りればきちんとプラスの金利を払っているのです。

では、金利のある世界とはどのような事かと言いますと、結局は金利が上がる世界で、金利を容易に上げる事が最もだと思わせることが日銀です。金利を自由に上げたければ、情勢に応じて上げる。つまり日銀の本来の遺伝子としてはインフレを恐れる役所であり、それが植田日銀が決定する意味なのです。

もう1つは、金利を上げ円安を止めたいということです。

(深田)

経団連が昨年の暮れあたりに、植田日銀総裁に対し、さすがに円安をなんとかしてほしいと要望を出していましたよね。

(田村)

ハッキリ言いますと円安を止める力は日銀にはないです。そもそも、為替に介入したり、マーケットに介入するのは100%財務省の世界です。

日銀が金利を上げ下げすることで為替相場に影響を与えると言い出してしまうと、日銀の金融政策はいわゆる機動性を失うにも関わらず、植田氏はこのようなタブーを犯してしまったのです。

要するに円安が物価の上昇を招くのであれば我々は、金融担当として対応する必要があるという答弁を国会でやり、次に4月にアメリカのワシントンDCでG7、G20、あるいは日米韓財務省会議もありましたが、いずれにしても円安に関し、日銀としても何か考えるのだと繰り返し言ったのです。

(深田)

なぜ日本政府の要人は、海外に行った時に、突然、日本国民を驚かせることを発表してしまうのですか。

(田村)

パフォーマンスでしょうね。特に財務省からしてみれば、円安でどうするのだと言うことでしょう。この時に、海外に行った場合にメディアもよく中央銀行総裁会議で記者会見もやる。すでに国際調整もやっている印象を与えたいわけです。実際は、円売りという日銀が金利を上げることで収まるはずはないのです。

仮に日米の金利差がありますが、日銀が金利差を縮める場合、利上げに転じるのであれば何が起きるかと言いますと、いま日米の金利差は実に5%くらいあるのです。これを縮めるのであれば金利をどのくらい上げればいいのだということです。

いま政策金利と言われる住宅ローンで言えば変動型のローンに関係するのですが、こちらの短期金利は、政策金利でプラス0.1%です。

これをどんどん上げる事になれば何が起きるかと申しますと、日本経済が完全に死んでしまいます。

そもそも無茶なことを口にする植田氏とは、どのような人物なのだと思うのかというと、例えば彼の出身は東大の経済学部なのですが、その時に宇沢弘文という経済学の大家の先生がいます。この先生に関しましては私も個人的には、宇沢先生は素晴らしく尊敬していますが、宇沢先生のゼミが一緒だった森永卓郎氏に話を聞きますと、あの人は経済学者ではない。あの人は政商だと言います。

つまりゴマをすることがうまい、空気を読むことがうまい、相手に取り入ることが天才的にうまい。

(深田)

植田氏がそのようなタイプなのですね。

(田村)

今回の円安阻止のための利上げも考えるというタブーを犯した背景には、この方は経済学者としてのセンスではなく、政商としてのセンスで言ったのです。要するに財界や政府の内部では円安は止めたいという者に迎合してしまうと言いますか、私も何かやりますということを考えたのではないでしょうか。

私は、大規模金融緩和政策の撤廃とマイナス金利の撤廃の時に、これで投機筋が激しく動き円安が進み、円安を招いてしまうと新聞でも書いてきました。

(深田)

素晴らしいコラムだと思いました。常識的に考えれば、ゼロ金利解除、大規模金融緩和が終わり引き締めに向かう時は、利上げが予想され今後の金利差が縮まるので、どちらかと言えば円買いに動くと私は思いましたが、逆に円安に動きました。

(田村)

あくまで投機により円売りは行われ、円安になるわけです。投機筋は、金利の変動に対し例えるならば投機するために、円を何処かで借りてこなければならない。その為に色々なデリバティブと言われる金利のスワップや、国債の前借りの様な色々な手練手管を使うのですが、金利の動きを見ながら掛け合わせてダブルで儲けようとする。投機筋には、またとない儲かるチャンスなのです。

ですので、こちらの方を余計に刺激してしまう。日銀ができる利上げは小幅で、多くて0.25%程度なのです。

たとえれば、アメリカとの金利差が縮むと思うのかということです。従って元よりそのようなことをしてしまえば、ますます投機筋は活気づく、日銀が少し利上げしそうになれば、次にまた利上げをし、催促のために円売り投機を仕掛ければ、やられたい放題になってしまいます。

このような場合では、どっしり構えていなければならない。投機なのですから我々としては関知せず、その様な動きを突き放してしまうと、投機する方は疑心暗鬼になってしまい、少し様子を見ないといけない。しかし、植田日銀の場合は、自分のカードを見せているのでダメな人なのです。

(深田)

市場の対話がうまいアラン・グリーンスパンの逆のパターンの方ということですね。逆に投機筋には手口を読まれて、利上げを匂合わせ円高に誘導したいのだが、そうはさせないということですね。

(田村)

そうですね。むしろやれるものならやってみろです。

(深田)

今の日本の国債の発行残高を考えると、利上げに行くと1%上がるごとに国債の発行費用が3.7兆円ほど増えます。

(田村)

その様に言いますが、国債の長期金利ですから、国債の相場はどちらかと言えば、インフレ動向に左右されます。投機筋が特に国債を使いますが、外国人が国債のディーリング(証券会社自身による売買)で売り買いをする比率は、今は4割くらいになります。

外国人の国債の保有比率は7%くらいなのです。ところがマーケットの相場の決定権を持っているのは、外国人で言わば投機筋とイコールなのです。

私は、投機を抑えつけるためには、日本は政策として海外に、これ程のお金もあり資産もある。全てが国内には還流するのだと堂々たる姿を出すべきだと言っているのです。

日本は世界最大の金融の債権国です。特にアメリカ向けに沢山の資金提供を行っているとのことですが、日本の金融資産は円安になれば膨れ上がって、対外金融資産は1500兆円にもなる。ほんの一部の1割でも大きいので、日本に還流させ、日本は最大の債権国なのだと強調して言うべきなのです。

日本は、いつでも還流させられると言えば、それだけで皆は真っ青になります。世界で一番お金を貸している国の通貨の価値が下がること自体が異常なので、日銀よりは、財務省、内閣、岸田文雄総理の見識の問題なのだと見ています。

(深田)

なるほど。むしろ岸田売りではないのですか。

(田村)

円安になるはずはないのです。堂々と宣言し、海外に沢山のお金を出しているのですから、いざ日本のためになるのであれば、日本に資金を還流させる。そのための税制も検討すると強く言うだけでかなりの迫力があると思います。

(深田)

その様な日本人に対する優遇税制的なものは、財務省にはあまりない。

(田村)

減税が嫌いですからね。しかしアメリカでは、2005年のブッシュ政権の時にリパトリ減税を行なっています。

リパトリエーションと言って、本国に資金を還流させることです。還流した分についての法人税をまけることです。この制度を1年間行いました。行ったことで、弱かったドルが急に強くなりました。正しく現在の日本に適用できます。

すぐに実行すると言えばいいのですし、やらなくてもいい。口にするだけで介入効果があります。

(深田)

リパトリエーション減税という手口があるのですね。

(田村)

私は、盛んにすぐに実行するようにと書いていますが、財務省は嫌がるのです。減税になり恒久減税にされると敵わないからです。私は、1回だけでも良い。今年限りでも良いと思うのです。

(深田)

確かにそうですね。その様にすれば為替の介入も必要ない、金利を触る必要もないですね。しかも国民が助かる。国民は現在、円安によるインフレで困っているところを助けてあげられる。とても良い政策ですね。

(田村)

ハッキリ言えば、現在1500兆円も外国に金融資産がある。1割でも150兆円もあるので半分でもいいのです。半分でも国内に還流されれば国内の株式も買われる。そして国内での設備投資が起きる。良いことずくめではないですか。

(深田)

そうですね。設備投資が起きれば回り回ってGDPの成長にも繋がりますね。

(田村)

本来は、まともな経済政策論議を国会の方でやらないといけませんが、ところが野党も体たらくで、与党に至っては選挙で負けて色々と大変なことになり内輪揉めになっている。

(深田)

補選三戦全滅で、岸田降ろしの風が本当に吹いてくれればよいのですが。

(田村)

本当に日本国は、国家としてどうなのかと私は、不安になってしまいます。

(深田)

田村先生だけではありません。視聴者の皆さんも岸田政権に対する不安は持っております。今回は、田村秀男先生に日銀の金融政策転換について解説いただきました 。田村先生ありがとうございました 。

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