#361 トランプとイスラエル蜜月のナゾ?キリスト・ユダヤの対立は欧州だけの真相に迫る!  宇山卓栄氏

(深田)

皆さんこんにちは、政経プラットフォームITビジネスアナリストの深田萌絵です。今回は、著作家の宇山卓栄先生にお越しいただきました。

私は先生の共著『日本人が知らない!「文明の衝突」が生み出す世界史』購入し、家に置かせていただいています。

(宇山)

ありがとうござまいす。

(深田)

色々ご質問したいのですが、前から気になっていたのが、どうしてユダヤ教と米キリスト教の福音派、そして統一教会が、なんとなく仲良くしているのが、謎めいていて、教えていただきたいのです。

(宇山)

そうですね。アメリカの宗教の動向、福音派はキリスト教の宗派です。そのキリスト教徒たちが、なぜそのユダヤ教徒とがっちりタッグを組んで、イスラエルをあれほど支援するような動きになっているのか。昨今のトランプ大統領の動き、バイデン政権の時からずっとこのアメリカがイスラエルを支持するという背景には、このキリスト教徒福音派の存在もあるわけなのです。一体それがどうなっているのかというところに切り込むと、色々と闇が暴かれてくるのですよ。

(深田)

闇なのですか?

(宇山)

実は闇があるのです。

かなり闇があり、イスラエルの問題だけではないのですよ。ここからウクライナの話などもだいぶ見えてくるし、今のアメリカがどういうものの考え方で政治が動いているのかということの数々が、このユダヤ教徒とキリスト教徒というところの視点から見えてくるわけなのですね。私たちはアメリカの実態でほとんど知らないのが、アメリカという国家は、私たちが想像する以上に大変な宗教国家なのですよ。

(深田)

そうなのですか。

(宇山)

もう宗教に彩られていると言ってもいいぐらい、宗教が万般にはびこっております。例えばアメリカというとプロテスタントでありますけれども、このプロテスタント福音派系の“メガチャーチ”と呼ばれる大きな教会がありまして、バイブルベルトと呼ばれるような地域に全国に1300以上のチャーチの拠点があるのです。

(深田)

メガチャーチは何人ぐらい入るのですか?

(宇山)

そこはもう何千人です。大きい所では万の数が入る。

(深田)

ああ、そうですか。

(宇山)

ドーム型のライブ会場で、武道館ほど大きくはないけれども、もう少し小さくしたようなホールになっているのが教会なのですよ。

(深田)

確かに、シリコンバレーのオフィスの近くにあるチャーチで、ケネディが来た時に行ったのですけど、2000人ぐらい入りそうなホールなのですよ。子供の頃はガールズスカウトで教会に行っていたのですけれど、100人も入れないのかなという感じなのですよね。だから日本にあるチャーチと全然規模が違う。

(宇山)

全く違う。もう大規模で、日曜ごとに教会に皆さんが集まって、何千人という聴衆の前に牧師が登場するでしょう。そしてその牧師がまた話のうまい人ばかりなのです。牧師が説教をすると皆さんが暗示にかかったように熱狂的に「うわー」と叫ぶわけですよ。コンサートに来たかのように歓声を上げてみんなでお祈りをするというようなことが日曜の度に起こっているというのが、アメリカの実情なのですよ。

(深田)

本当にそうですよね。しかも普通に政治の話しているのです。「共和党に入れるぞ」などと言うのです。

(宇山)

そうなのです。この宗教ネットワークの人は、やはり政治にも大変な興味があって、どのようにその政治に、自分たちが関わっていくかということを、日々考えている人たちなのですね。それがアメリカの福音派なのですが、その福音派が、なぜユダヤ教まで熱烈に応援するのか?というのが、ヨーロッパ人には理解のできない謎なのです。

(深田)

ヨーロッパの福音派は、ユダヤ教とは仲が良くないのですか?

(宇山)

ヨーロッパには、プロテスタントがあります。ルター派、カルヴァン派がドイツや北欧を中心にあり、この人たちはいわゆる福音派とは呼ばれずに、プロテスタントとオーソドックスな形で呼ばれて、福音派=エヴァンジェリカルと呼ばれる人たちは、もっぱらアメリカに渡ったピューリタンの末裔の人たちなのです。

ピューリタンというのはカルヴァン派の一派です。そのカルヴァン派の一派の人たちの中でも急進派の人たちが、アメリカでエヴァンジェリカル=福音派を作っていくという歴史的流れになるのです。ではアメリカのプロテスタントの方々も、ユダヤ教を支援しているかというと全然そうではない。ユダヤ教というのは、これはユダヤ人しか認めない選民思想ですよ。

他の民族は認めません。そしてユダヤ教徒だけが救われるという極端な一神教排他主義を掲げる¥宗教でしょう。キリスト教徒¥を全然認めていないわけですよ、ユダヤ教徒は。

(深田)

確かにそうですよね。

(宇山)

16世紀にマルチン・ルターがプロテスタントを始めるのだけれども、このルター自身が「ユダヤ教徒はけしからん」ということをはっきりと言っているわけです。

(宇山)

自分は反ユダヤである。ユダヤの害悪がヨーロッパをめちゃくちゃにしているのだと、ルターが言っているにも関わらず、なぜアメリカの福音派だけがユダヤ教を支援するのか。一般的に概説書などにはこう記されているのですよ。それはキリスト教徒の新約聖書だけではなくて旧約聖書も同時にストーリーと同じ繋がりのあるものとして、大切にするからだと言うのです。しかし、その理屈で言ったらヨーロッパのプロテストもユダヤ教を大切にしないとおかしいですよね。

ところがアメリカの福音派だけは違うわけですよ。彼らだけがユダヤ教徒を大切にするというのは、私はそれこそプロパガンダで、ユダヤ人が上手く懐柔していった歴史があるからだと思います。

(深田)

そういうことですか。

(宇山)

まさにプロパガンダなのです。アメリカのプロテスタントの皆さんをどのようにユダヤの側に引きつけるか。アメリカはプロテスタントの国家なので、ヨーロッパやアメリカ国内のユダヤの金融資本が中心となり、18世紀の建国の時以来、これを離反させてはならないと融合してきたのです。中にはベンジャミン・フランクリンのような否定的な人もいましたが、そういう歴史的背景の中から、今でも熱狂的にこの福音派の人たちはイスラエルを指示するわけなのです。

だからトランプ大統領も福音派の指針、考え方のもとで動き、強力にイスラエルを指示しているという経緯があると思います。

(深田)

なるほど。そこにユダヤからアメリカの福音派にだけに熱烈にアプローチをして、ヨーロッパではそこまで力を入れてないということですか。

(宇山)

はい。力を入れることができなかったという方が正しいと思いますね。

16世紀に、プロテスタントが生まれた時には、もうキリスト教徒の中で反ユダヤの動きというのがすごく強くあったわけなのです。これはドイツだけではないのですよ。

東欧、ロシア、北欧、フランス、イタリアなどどこの国もそうなのですよ。ヨーロッパではベニスの証人の話からも分かるように、汚しいユダヤというようなイメージが彼らの頭の中にずっとあったから、もうそこに入り込む余地がなかったのです。しかし、アメリカは18世紀にできた新制国家なのでユダヤのプロパガンダが入り込めるという目論見の中で彼らは当初からずっと入り込んできたというように私は思います。

(深田)

なるほど。確かに伝統や歴史を教える長老的な人がいないと入り込みやすいですよね。

(宇山)

そういうことなのです。伝統がないから入り込みやすかった。日本でもそうですね、ザビエルが来た16世紀に様々なキリスト教の宣教師達がやってきたのだけれども、日本にはそのキリスト教を受け入れるような土壌は全くなかったのです。

なぜなら、私たちは神道のアニミズムの世界が、ずっと2000年以上息づいており、そこに仏教も乗ってくるのだけれども、出来上がった伝統文化のところには、彼らは侵食していくことはできないということです。アメリカはその限りではないので「それ行け」というような形で、ずっと歴史的に形成をされてきただろうと思います。

(深田)

確かに日本の八百万神々の思想のもとでは、彼らは少し意味がわからないでしょうね。我々としては神様が1人増えてもいいよと思います。アメリカでクリスチャンから勧誘されるのですけど、私はイエス様も800万人の神様も認めますと話をすると、その800万人の神を信じてはいけないと言います。こっちはOKなのだけど向こうはダメなのですよね。

(宇山)

向こうはダメなのです。一神教の価値観ですからね。そういう一方向性で物事を決めるという文化価値を、私たちはそもそも持っていないと思うのですよね。

(深田)

そうなのですよね。ゆるい宗教感というか神様がどうもいるらしいと。どこにでもいっぱいいるらしい。

(宇山)

そうなのです。山や川、湖、海を見てそういったところに神様がいるというのが我々の考え方ですから、こういうユダヤにしてもキリスト教にしても、一神教を受けいれなかったというのはそういうことだろうと思うのですね。

(深田)

そうですね。

(宇山)

少し話戻しますけれどもね、トランプ大統領は、元々福音派の人だったのかと言われれば、実はそうじゃないのですね。

(深田)

そうなのですか?

(宇山)

アメリカのプロテスタントには大きく2つのグループがあるのですよ。アメリカという国家がピルグリム・ファーザーズによって、17世紀以降作られていくのですが、その時はみんなピューリタンだったのだが、大きく2つの派閥に分れていくのです。

その1つは、イギリス本国に対して親和的融和的な『プレスビテリアン』と呼ばれる人たちのグループで、もう1つはより貧乏で貧しい急進派のグループがあって、この人たちはイギリス本国に対して戦うぞという独立戦争を戦っていた兵士たちが中核のグループがこの福音派という形になるのです。だからエリート層がプレスビテリアン。そして非エリート層が福音派というような、漠然としたくくりが18世紀以来、アメリカの中にはあったわけなのです。トランプ大統領の家は元々その前者のプレスビテリアンのところに属していたのですよ。先の大統領選挙の時に、このプレスビテリアンから脱会をして、自分は中立であるというスタンスを取りながらも、実は福音派の方へ深くずっとコミットをしていったというのがトランプ大統領の経緯なのです。

事実上今やトランプ大統領は福音派と一心同体である。5月にトランプ大統領が中東を歴訪した時に、アラブの国々と手を結んで連携していくと言って、イスラエルと距離を置いて行っていますね。イスラエルを訪問しませんでしたからね。あれが1つのイスラエル切りということになって、距離を置くことにはなってくると思うのですが、最後の最後でやはりトランプ大統領はイスラエルを切れないと思います。

(深田)

切り切れないですか?

(宇山)

絶対に切り切れない。

(深田)

最近距離を置いてきたなと思っていてどうなるのだろうと思っていたのですけど切れないですか?

(宇山)

切れない。ネタニヤフがガザの侵攻で無茶なことをしていますから、さすがのトランプ大統領も「もうお前には付き合いきれないぞ」と、ほとほと嫌気がさしているのだろうけれども、しかしやはり最後の最後のところで、アメリカにとって中東における友人はアラブではありません。アラブはいざ中東の有事の時、どっちに転ぶか分かったものではないわけですよ。

(深田)

それはそうですよね。

(宇山)

やはり最後の友人、砦はイスラエルしかないとアメリカには、宗教の福音派の絡みでも、私は絶対に切れないのだろうと思います。

さらにもう1つ、今イスラエルの話をしましたでしょう。これとウクライナ戦争は密切に絡んでいるのですよ。

(深田)

やはりそうですよね。

(宇山)

絡んでいる。一見全然繋がらないように見えるけど、実はしっかりと繋がっていましてね。

(深田)

どのような繋がりがあるのですか?

(宇山)

トランプ大統領は、2月の末にホワイトハウスでゼレンスキー大統領と大喧嘩をしましたね。

(深田)

やりましたね。あれは面白かったです。

(宇山)

面白かったね。ヴァンス副大統領が間から入って「お前何を言うてんねん」とやり合いをしましたけれども、あの後で徐々にトランプ大統領の考え方が変わってくるのですよ。先月のフランシスコ教皇の葬儀の時に、バチカンのフロアーで椅子を置いて、ゼレンスキーとトランプ大統領が座談をしていましたよね。あの時にはトランプ大統領は、かなりゼネンスキーやウクライナに対する理解が進みました。一方、プーチン大統領に対して、最近では、プーチン大統領は気が狂っているなどとトランプ大統領は言い始めております。もちろん八百長プロレス芝居みたいなところはあるのだけれども、トランプ大統領がロシアから遠ざかって、ウクライナの方へ寄っているというのは事実だと思うのですよ。その背後に何があったのかということを少しよく見ておかないといけないです。

(深田)

完全にそれを見落としています。何があったのですかね?

(宇山)

私はここが福音派の絡みというのがすごくあると思うのです。

(深田)

そこで福音派絡んでいるのですか?

(宇山)

絡んでいると思います。トランプ大統領の宗教顧問というのが事実上いるのですね。

(深田)

どなたですか?

(宇山)

マーク・バーンズ牧師という福音派の人物なのです。アフリカ系の黒人の方で、トランプ大統領はこのバーンズさんの話がすごく好きなのですよ。この人は演説が非常に上手いのです。熱狂的に話をして、引きつけるようなカリスマの能力のあるバーンズ牧師を、トランプ大統領は大好きなのですね。バーンズ牧師の話ならば耳を傾けて聞くというぐらい、トランプ大統領はこの宗教顧問にするぐらいですから傾倒しているわけなのです。そのバーンズ牧師が3月にウクライナに渡って、ウクライナの惨状を視察しているのですよ。それをトランプ大統領に逐次報告しているのですよ。「ウクライナでは大変な状態が続いているのです。子供たちがもう大変なのです。殺しが起こっているのです。と何とかしてあげてください」というようなことをトランプ大統領に言っているらしいですね。

トランプ大統領がそこで心が揺れ動く部分もあるのでしょうね。「ウクライナというのはそんなにひどいのか」と言ってそのタイミングで、「ウラジーミル、戦争をやめろ、無茶な戦争をやめろ」とプーチン大統領に対して呼びかけたこともありました。

ですから福音派というのは先ほどから言うように、ユダヤが絡んでいるのですよ。ユダヤと一心同体なのが福音派なのですよ。前回このチャンネルでも申し上げた通り、ゼレンスキー大統領とユダヤがウクライナ戦争を仕掛けているわけです。

(深田)

なるほど。そうですよね。

(宇山)

ユダヤが全部仕掛けていると言っても過言ではないぐらい、そのユダヤの構造というものが、今日のウクライナ戦争の万般にまで及んでいるのだという話をさせていただきましたけれども、ご覧になっていない方は、是非そちらの方もご覧ください。

(深田)

説明欄にリンク貼っておきますので是非ご覧ください。

(宇山)

そうするとこれ全部繋がってくるわけですよ。ウクライナ、ユダヤ、福音派の牧師、そしてトランプ大統領という円環構造が全て見てとれるわけなのですね。私はこれこそ究極のインテリジェンスだと思います。究極の情報統制に上手く政権の中にも入っていく、それには宗教も使う。キリスト教とユダヤ教で全くこの違う宗教のところにも入り込んで、トランプ大統領の側近とされるような牧師などもユダヤ人は動かしてみせる。

(深田)

すごいですよね。

(宇山)

バーンズ牧師はウクライナで相当ふき込まれたのだと思いますよ。それがトランプ大統領の耳にも伝わるという、こういう恐ろしい構造になっているなというのがこの福音派とユダヤの話です。

(深田)

はい、ありがとうございます。ユダヤと福音派の関係、すごく不思議だなと思っていたのですけれど、ヨーロッパでは福音派は別にユダヤとは仲良くなく、アメリカだけだということですね。

(宇山)

そうなのです。

(深田)

これも意外な事実ですよね。

(宇山)

なぜそれをきちんと報道しないのかというところですよ。なぜ学者がそこをその歴史を追求して掘り下げないのかというところにも、大きな秘密が隠されていると私は思います。

(深田)

なるほど。石破さんは、カルヴァン派だから、福音派のトランプ大統領と仲良くなれるはずなのだということですか。

(宇山)

そうそうなのですよ。そういうことを一時言われておりましたが、どうもその石破首相がプロテスタントだというのは、トランプ大統領からは軽くあしらわれて、甘く見られている。「お前は偽キリスト教じゃないのか」というぐらいの扱い方をされているのではないでしょうか。報道を見ているとそうとしか思いませんね。

(深田)

確かにそうですよね。同じ思想を持っているという感じではなかったですよね

(宇山)

それでは全くないですね。トランプ大統領自身がそういう信仰心を強く持っているかと言われれば、私はそこまでは持ってないと思いますし、どちらかというと政治の中で、福音派というのに寄っていったという部分もあろうかと思います。全く信仰心のない人ではないのですよ。実はこのプレスビテリアンの時から、日曜日ごとに教会に出かけていったというような記録もあるぐらいに、全くないとは言わないけれど、そこまで強い信仰心で物事を動かしているというわけでもないと思います。

(深田)

はい、今回は著作家の宇山卓栄先生にユダヤと福音派の関係についてご解説いただきました。先生どうもありがとうございました。

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