#339 自民党と統一教会の汚染。 萩生田光一が深田萌絵を追い回す秘密はそこに? 鈴木エイト氏
(深田)
皆さんこんにちは。政経プラットフォーム、ITビジネスアナリストの深田萌絵です。今回はジャーナリストで作家の鈴木エイトさんにお越しいただきました。前回は、鈴木さんが22年間、統一教会問題を追ってこられたお話をいただいたのですが、その中で、統一教会が自由民主党にかなり浸透しているという統一教会汚染を書くに至った経緯について教えていただけますか。
(鈴木)
はい。最初から政治家との関連を追求していたわけではなく、2010年頃にある地方議員が統一教会の支援を受けてトップ当選をしたという事例を取材したのが始まりですね。その人は当時民主党の所属だったのですが「統一教会とは全く知りませんでした」と大嘘をついて、散々お世話になった信者たちを切り捨てたのです。カルト団体の信者は人権侵害を受けている被害者だと思っているのですが、そのカルトの被害者をポイ捨てする政治家はカルトより酷いのではないかと、政治家の追求を始めました。
(深田)
そうですよね!使い捨てですよね。
(鈴木)世話になったのであれば「お世話になりました」ときちんと言った上で関係を断てばいいのに「全く知りませんでした。分かっていたら頼みませんでした」などと嘘をついた。それでは応援した信者たちはやりきれないですよね。それはかわいそうだ、ひどいではないかと始めたのです。
ところが、その記事を書いた当時は、民主党政権で民主党本部の顧問弁護士含めて9人連名の警告書が届いたのです。「この次に、このような記事を書いたら訴えるぞ」という内容です。その時に、政治家は別に自民党に限らず、所属政党や自分のスキャンダルなどマイナスの情報に関しては「このように圧力をかけてくるんだな」と思いました。
最初の取材は地方議員と統一教会との関係から始まったのですが、2013年の参議院選挙で、当時首相になったばかりの安倍晋三氏が統一教会に組織票の支援を依頼したという教団の内部資料を入手しました。これに加えて、当時の菅義偉官房長官が特定の候補者を統一教会の礼拝に派遣して、講演をさせていたという情報を得ました。
そこで、政権中枢と統一教会に裏取引があったのではないかというところから、国政に関わる政治家との関係を追求し始めたのが2013年の7月です。そこから追跡3000日、9年間ということですよね。
(深田)
私が見るかぎり「どの政党の議員も、カルト宗教というか、新興宗教など4~6個の宗教団体と、掛け持ちで付き合っているのが普通なのかな?」という感覚です。
(鈴木)
そうですね。応援してくれるところはそれぐらいあります。勘違いをしている人が多いのですが、これは宗教と政治の問題ではありません。政治は、社会問題を起こしてきた反社会的な団体と付き合ってはいけないという問題です。
(深田)
ああ、そうですよね。そちらですよね。
(鈴木)
政治と宗教の問題にすり替わると、議論がおかしくなってしまう。今回の解散命令請求も、宗教法人にあるまじき行為をした団体から法人格の剥奪を請求しているだけの話です。あくまで、反社会的な団体と政治家との関係の問題であり、宗教迫害であるとか「政治と宗教はこうあるべきだ」ということは根本的に異なります。
(深田)
自民党の中にかなりの数の統一教会系の人が入り込んでいますか?
(鈴木)
入り込まれているということですよね。現在、統一教会は信者数が10万人ぐらいしかいないです。参議院の全国比例区の組織票で8万票ぐらいです。8万票では一人の国会議員も単独で当選できない人数ですよね。CランクDランクの人に上積みしてようやく一人ということなので、組織票ではないのです。政治家が、一番求める選挙運動員を無尽蔵に派遣してくれる。そこの旨味で入り込んできたというところですよね。
(深田)
私も、講演会を始めた時に、右派から干されたところなので右派の団体からは全然呼ばれなくなり、自分で主催と運営をしていこうとしたことがあります。その時に、いろいろな人が「お手伝いします」と手伝いに来てくれるのですよね。その中に、きれいな女性で、すごく献身的で一生懸命な人がいました。そういう人が意外とカルト宗教でした。最初は親切に何でもやっているのですが、気が付いたら分断工作をしているのです。
(鈴木)
分断⁉どういうことですか?
(深田)
分断工作とは、手伝いに来てくれた人を分断して、自分の仲間に引き入れるようなことです。ある時に気が付いたのは、やはり『勧誘』ですよね。「こんなにいろいろ悪いことが起こるのは、何かに取り憑かれているのかもしれないから、見てもらいましょう」と言ってきた時に「あっ⁉この人は?」と思いました。そうすると、追い出すのが結構大変でした。
(鈴木)
政治家に限らず、いろいろな人が積極的に手伝ってくれる時は、やはり最初は受け入れますよね。だから、そこに入り込まれてしまうというのがあり、統一教会は長年ずっと組織的に長けてやってきたので、そこはうまいですよね。知らない間に入り込まれているというケースも結構あり、政治家の側も分かって受け入れているケースも当然あります。後援会でも、世界平和連合や世界平和統一家庭連合など、統一教会の名前を1文字と政治家の名前1文字で後援会を作ったりしているので、そういうものは比較的分かりやすいです。政治家はある程度分かった上で受け入れている人と、全く知らずに受け入れている人など、いろいろありますが、勝共連合であるなど本当は知らないはずがないですよ。
(深田)
それで、これがすごく献身的なのです。それから、慣れているので、任せると楽なのです。
(鈴木)
そう、何でもやってくれますからね。
(深田)
そうですよ。新興宗教にのめりこむ人たちは一生懸命に尽くすことで、何か自分が救われるという変な見返りを期待している。
(鈴木)
無償の行動で、見返りを求めずに「誰かのために生きる」という利他的な行動と親和性がありますよね。
(深田)
そのように見せかけながら、実は見返りを求めている。
(鈴木)
カルト系の宗教団体に多いのは、ある人が何かに悩んでそこに訪ねていくのではなく、最初は偽装勧誘とか、正体を隠して無理やり悩み事などを植え付けるのですよね。何も問題ない人に「あなたにはこんな問題があるんじゃないの?」という風にどんどん植え付けていく。これがカルト団体の巧妙さです。統一教会は日本に入ってきて50~60年の間に、すごくソフィスティケートされていきました。こうやればうまく信者にできるというやり方が段階的にできているのですね。
(深田)
最近は、スピリチュアル系、ヨガ、瞑想、マインドフルネス系などの団体もありますよね。
(鈴木)
たくさんありますよ。
(深田)
それで、いい人もそうではない人も、たくさんいるとは思うのですが、何か混ざっているのですね。
(鈴木)
深田さんが参加していたデモなどにも、そのような人たちが入っていたりしていますよね。
(深田)
そうですね。講演会を開くとやはり来ます。100人ぐらいの規模では、2~3人は来ますね。
(鈴木)
僕もそうなのですが、別に自分を支援してくれる人や応援してくれる人の中に、そういう人がいても「それはそれでいいのかな」と思いますが、微妙なところではありますよね。
選挙応援に関しては、次のような情報があります。2019年だったか、選挙運動員を求めている政治家に、青年信者を紹介斡旋する会合があると聞きました。それであるホテルに行くと、ちょうどまさにその会合が開かれていて、いろいろな政治家や教団関係者が出入りしていました。その当時、僕は教団関係者から殺人予告を受けていたのですが「ああ、こういう感じで紹介して、こうやって斡旋していくのだな」ということが見えましたね。
(深田)
ああ、なるほど。すでに顔が知られていましたよね。
(鈴木)
もちろんです。教団関係者には当時から警戒はされていたので、指名手配書も作られていました。
(深田)
指名手配書まで作られていたのですか?
(鈴木)
そうです。「要注意人物」と書かれていました。
(
深田)
目の部分を黒塗りしていませんでしたか?
(鈴木)
そこは出ていますが、すごく不細工な写真を使われていたので、教団に電話をかけて「写真を差し替えてくれ」と言いました。
(深田)
差し替えてくれたのですか?
(鈴木)
馴れ合いではないですが、一応、差し替えてはくれました。
(深田)
国会議員の選挙運動に来て、終わっていなくなればいいのですが、秘書として入り込んでいませんか?
(鈴木)
そうです。そこが統一教会の巧妙なところです。これは元々、教祖の文鮮明が「政治家の下へ入り込め」と指示を出していました。信者の養成所のようなところもあったので、組織的に送り込んでいるのですね。未だに秘書がいる話もあり、本当にいろいろなところに入っています。
これは言っていいのか、山際大志郎衆院議員(神奈川県18区)のところに統一教会から送り込まれています。僕もその人を知っているのですが、報道特集などでもきちんと検証しています。明らかに統一教会の青年部署のリーダーだった人が、教団信者の状態で山際さんの秘書になり、未だに秘書やっている。一応「統一教会を辞めて、脱会している」とか「信者じゃない」など、いろいろ言っていますが、明らかに「それはどうなの?きちんと調べているの?」というところはあります。
一番気を付けないといけないのは、教団側や教団のシンパの人たちは「これは魔女狩りだ、アウティングだ、信仰の暴露だ」と言ってくることです。そうではなく、彼が自分の就職先として、あるいは政治家を目指してということで一緒になるのであれば、別に何の問題もないのです。しかし、教団の指示で、何らかの意図を持って政治家の下へ送り込まれている。それを組織的にやっていて、その一員ではないかという検証はすべきであり、その人の信仰を暴くという話ではないのです。
(深田)
そうですよね。
(鈴木)
そこが入り混じって、変な人たちがいろいろ「これはアウティングだ」などと言ってくるので「そうじゃないんですよ」ときちんと言っておかなければならないと思っています。
(深田)
確かにそうですよね。私はむしろ、政治家がどこの国から来たのかということを、きちんと国民に説明してほしいと思います。
(鈴木)
国籍の問題などですか?
(深田)
そうです。戸籍というのでしょうか、正しく何人(なにじん)であるのか、戸籍謄本をきちんと見られるような状態にしてほしいです。住所までは必要ないと思いますが、蓮舫氏の問題もありましたから。
(鈴木)
二重国籍で、いろいろ騒がれましたよね。
(深田)
そうですよね。疑わしい人がかなりいるのではないのかと思っています。アメリカであれば、自分の一族がどこの国から来たとか、自分が帰化何世ということは、みんな開示していますよね。それがアイデンティティの一つとして認められている。だから、宗教も国籍も隠さずにオープンにして選挙しているわけです。
(鈴木)
例えば有権者にとって『この人はどのような宗教団体や他の団体から支援を受けているのか』ということは、投票判断に必要な情報ではあると思います。しかし、それが国籍はどうなのかとなると、少しヘイト問題とも絡んできてしまうので、微妙なところはあると思います。排外主義と繋がってしまうところもあります。
(深田)
排外主義というよりも、自分の出自を公開することによって、自分たちのアイデンティティをより誇りに思うということですよね。アメリカの選挙を見ると、自分たちはどこから来たのかということを誇りに思って、公開しているわけですよね。その上で当選して、出てきているわけです。
(鈴木)
しかし、それは難しいですよね。どこの国籍とか出身などにより、逆に差別につながってしまうこともあります。その意図はなくても、そのように思われてしまうことがあるので、そこはどうなのかなと思います。被選挙権に関しては問題ないですね。
僕もジャーナリストと名乗ってやっている以上、自分のやるべきことは、有権者の投票判断に必要な情報を提示することだと思っています。僕は、どの候補者に対しても当選運動、落選運動は一切やらずに、選挙運動を全部断っています。自分がやるべきなのは、有権者の投票判断に必要な情報をきちんと提示することなので、何を提示すべきか、という問題になってくると思います。
(深田)
まあ、そうですよね。さきほど、秘書として入り込んでいるという話をしましたよね。実は、国際勝共連合に、統一教会関係の人たちも入り込んでいます。
(鈴木)
自民党本部職員に10人前後の国際勝共連合職員がいるということが、1987年の赤報隊事件で兵庫県警捜査一課の資料に間違いなく書いてありますよね。したがって、相当入り込んでいるはずです。
(深田)
そうですよね。今も相当な数がいて、どうも秘書会を牛耳っているという話があります。
(鈴木)
あっ⁉そうなのですか?それは初耳です。秘書会自体を牛耳っているのですか?
(深田)
はい、秘書会を牛耳っているという話です。
(鈴木)
それはあり得ますよね。同じところから送り込まれているので、ネットワークができていて、やりやすいですよね。
(深田)
そうですよ。私は今まで自民党の議員先生たちにアポを取って、いろいろな方にお会いしました。その中で、私がアポを取ると、なぜか清和会(清和政策研究会、旧安倍派)系の議員の時は、ツイッター(X)で「深田萌絵が〇〇議員にいついつ会うから阻止しろ」などと情報が出るのですよ。
(鈴木)
情報がツイッターで出ているのですか?
(深田)
その一方で、別の派閥の先生の時は出ない。最初は『議員会館の電話が盗聴されているのだろうか』と思っていたわけですよ。ところが、別の派閥の先生の時は出ないのです。
(鈴木)
やはり情報が共有されているということなのでしょうね。
(深田)
だから、さきほどお話をした萩生田光一議員の応援団がネット上で、匿名で活動している。私がどの議員に電話しても、清和会であるかぎりには、そこに共有されて、その人たちが「深田萌絵の活動を阻止しろ」とツイッター上でやっています。
(鈴木)
警戒されているのですね。
(深田)
そうです。それで、萩生田議員は私と揉めたのですが「深田萌絵のような身元不明の怪しい人物とお会いして申し訳ございませんでした」と彼はブログで謝罪しているのです。
(鈴木)
あっ⁉そうなんですか?萩生田さんが?
(深田)
そうです。萩生田氏が「深田萌絵のようなものが来ると分かっていたら、この会には顔を出しませんでした」と、ブログに書いているのです。身元不明と呼ばれていますが、普通に脅迫も届いています。
(鈴木)
そこはバチバチやりあっていますね。
(深田)
バチバチしていますが、彼がそのように謝るということは、彼の支援団体、支援している人たちが「深田萌絵と付き合うな」と言っているからこその謝罪だと思います。
(鈴木)
なるほど。岩盤保守的な思想のところに関しては、なかなか言えないのでしょうね。しかし、そういうものを突き破らないといけないと思います。稲田朋美衆院議員(福井県1区)も、LGBTを推進しようとした時に、そこから一気に落選運動を起こされたではないですか。あれを見ていると、他の保守政治家たちは、なかなかそういうところに背くことはできないだろうと思いますよね。
(深田)
うん、そうですよね。
(鈴木)
若手の自民党の政治家と話す機会があったのですが、みんな問題意識を持っていて、統一教会に関しても、僕に対してもだいぶ変わってきているという印象はあります。僕のスタンスをきちんと理解してくれている若手の政治家も結構います。自民党関係のスタッフの人と話をしたのですが、若手政治家はきちんと対応しているという印象があります。僕に対する変なアレルギーもないようです。
ただ、蒲郡市の今枝宗一郎衆院議員(愛知県14区)という人がいます。僕は政治家や市議団の関連の人たちにも講演で呼ばれて行くのですが、1回だけ自民党の市議団に呼ばれたことがあって、それが蒲郡市でした。その時に僕を講演に呼んだことに対して、その蒲郡市の支部長である今枝さんが「鈴木エイトを呼ぶなんてけしからん」と言っていたので「この人、何も分かっていないんだな」と思いました。
ところが、僕が安倍さんの事件後に週刊ポストで『統一教会に汚染されていない内閣』という記事を書いて、今枝さんは医者なので、厚労大臣から何かのポストで入れたのですね。すると、今枝さんはすごく喜んでいたらしく「言っていることとやっていることが違うじゃないか」と思いました。理解してくれている人もいるけれど、アレルギーを持っている人もいるということだと思います。
(深田)
ただ、裏金の問題を見ると、若手議員は「ちょっとひどいんじゃないの」と思っていますよね。
(鈴木)
自民党の組織としてはだんだん良くなるとは思います。大空幸星(おおぞらこうき)君も自民党に入って、どうなるかなと思っていたけれど、大人しくなってしまいましたね。
(深田)
大空幸星君は、自殺防止の活動をしていた人ですよね。
(鈴木)
そうです。NPO法人『あなたのいばしょ』の理事長で、自民党に入ったことに関して、いろいろ言われていますが、僕は彼の存在を面白いなと思っています。彼はABEMA(アベマ)などに出ていたのですが、政治家になってから一度アベプラ(ABEMA Prime)に出た時のことです。同じ立場だったコメンテーターたちに対して「もうあなたたちとは立場が違うから」と言って、結構炎上しました。それをあえてその場で言ってしまう彼の姿を、僕は純粋に「これはすごく面白いな」と思って見ていました。
彼は新しい感じの政治家のようになってはいますが、ドブ板的なことをやらざるを得ないので、いろいろ変えていかなければならないのは、そういうところなのかなと思います。
(深田)
まあ、自民党も変わりつつありながら、でも「まだ萩生田さんを応援しているのってこの人たち(統一教会関連)じゃないの」ということですよね。
(鈴木)
その辺は少し微妙なところで、慎重に見ないといけないと思います。本当はみんな統一教会のことは大嫌いなのですよ。本当は嫌いなはずだけれども、仕方なく付き合っていた面もあるし、打算もある。しかし、本当に嫌いならば、このような団体とは付き合いたくないはずなので、きちんと貫いてほしいと思いますね。
ここまでの事件が起こって、これだけの大問題になって、さすがにもう付き合わないと思いたいところですが、実はそうではないところもある。僕はずっとチェックしていますので、政治家の皆さんはきちんとしてほしいと思います。
(深田)
統一という名前を使わなくなって、他の新しい小政党に入り込んでないかなと思います。
(鈴木)
そうなんですよ。世界基督教統一神霊教会から、2015年に世界平和統一家庭連合と名前が変わったので、余計にステルス的に分かりにくくなっているところがあります。そもそも宗教団体であることすら分かりにくくなってしまっている。それはちょっと憂慮すべきことでもありますよね。名称変更に関しても、当時、下村博文さんが文科大臣として関わっていたという話もあります。その辺もまだはっきりクリアにはされていないですよね。
(深田)
私たちもステルス的に入り込まれないようにしましょう。気をつけていかないといけないと思います。今回はジャーナリスト・作家の鈴木エイトさんに、自民党と統一教会の問題についてお話をいただきました。どうもありがとうございました。