#330 トランプにとってウクライナ支援はビジネス? プーチンは米に一層の要求!? アリベイ氏
(深田)
皆さんこんにちは。政経プラットフォーム・ITビジネスアナリストの深田萌絵です。今回はアリベイチャンネルのアリベイさんにお越しいただきました。
アリベイさんは、日本とロシアの情報を発信するアリベイチャンネルを運営するだけでなく、実はアゼルバイジャンワインの販売もされているのですよね。
(アリベイ)
そうです。アゼルバイジャンワインというのは、5年前からやっていまして。これもね、アゼルバイジャンのシャンパン製法のスパークリングワインで、日本の百貨店でもすごく売れている商品です。ではなぜこれを始めたかというと、日本でアゼルバイジャンを広めるためですよね。
(深田)
先日、石田さんと飲んだのですよ。ベロベロになって。もう、帰れるかなというくらい酔ったのですが、次の日全然残らなかったです。
(アリベイ)
赤でした?ナゴルノ・カラバフ産ワインの赤ですよね。絨毯の柄のやつ。
(深田)
そうそう、あれ美味しかったですよ。
(アリベイ)
「越境3.0チャンネル」のカズさんも大好きなもので、これ、日本の百貨店でも一応買えますし、買えないところもあるのですが、ネットでも買えるので、興味ある方は見てほしいです。
でも、そこじゃなくて、今やってないところ。「このアゼルチャイ」ですが、皆さん見たら分かると思いますが、「アゼルバイジャン」って書いてあるように見えて、実はロシア語なのですよ。スパークリングワインもそうですが、これもそう。アゼルバイジャンの製品なのに、ロシア語で書かれているのですよ。
(深田)
これ、アゼルバイジャンの文字じゃないと言われても(笑)
(アリベイ)
こっちはアゼルバイジャン、でも書かれているのはロシア語です。似ていますけどね。確かに日本人には分かりづらいです。
(深田)
アゼルバイジャンの文字を見たことがないですし。
(アリベイ)
こっちもロシアのキリル文字なのですよ。今日はロシアがトピックなので、あえてロシア語で書かれている製品を取り上げています。ワインもスパークリングワインもロシア語が使われている。昔のソ連時代から有名なものなのですよ、ワインはアゼルバイジャン産なのですが、この紅茶が面白いのですよね。アゼルバイジャンのブランドだったのに、よく見てみると「ロシア製」と書かれているのですよ。いつの段階からロシア製になったのかという話ですが……。服とかもそうなのですが、海外ブランドがロシアから撤退した時に、ロシアのお金持ちのビジネスマンたちが「何でもいいから自分たちで作ろう」と言って、自国に工場を作る。それこそが自給自足に繋がるのですよ。
(深田)
ああ、自給自足のためなのですね。
(アリベイ)
そうです。これもその一例です。
(深田)
でもこれ、どう見てもトルコのお茶にしか見えない。トルコに旅行行った時に、このような可愛いカップにいっぱい入れて、砂糖いっぱい入れるのですよね、向こうの人って。
(アリベイ)
甘すぎますね。
(深田)
甘すぎるのですが、現地で飲むとこれはこれで結構いけるのですよ。でも、なんでこんなにトルコっぽいのですか?
(アリベイ)
あ、そうです。それ、聞かれると思っていました。まず、このカップの形なのですが、我々は「アルムオーディー」と言います。女性のウエスト、体型を表すような言葉らしいのですが、トルコもアゼルバイジャンも、伝統的な茶の飲み方では必ずこのカップを使います。
で、なぜトルコと似ているかというと、実はアゼルバイジャンとトルコは「同じ民族で2つの国」なのですよ。
(深田)
えっ、アルゼルバイジャンとトルコ、同じ民族なのですか?トルコの人に似ています。でも、トルコの人たちっていろいろな民族が混ざっているので、エキゾチックな顔立ちの人が多いですよね。
(アリベイ)
ああ、ありがとうございます。アゼルバイジャンも同じなのです。ずっといろいろな国に支配されたり、逆に国民が支配したりしてきた歴史があって、ロシア人みたいに真っ白で青い目の人もいれば、真っ黒な人もいる。私みたいに、エジプト人やイラン人っぽい・・・
(深田)
中央アジア系っぽい、でも少し砂漠寄りのような(笑)。
(アリベイ)
だから、皆さん、私の顔を見て「これが純粋なアゼルバイジャン人の顔だ」と思わないでください。たぶん純粋なアゼルバイジャン人の顔って存在しないと思います。本当にいろいろな人がいますから。私も割と背が高い方ですが、小さい人もいれば、すごく背が高い人もいます。
(深田)
何人ぽいって言われますか?
(アリベイ)
アゼルバイジャンにいると普通にアゼルバイジャン語を話すので誰も気づかないのですが、日本だと、あるいは海外に行くと、エジプトとかイランとかアラブとか、たまに言われたくないですが、アルメニア人とも言われたりする。アゼルバイジャンと敵対しているので、日本人が北朝鮮人と言われるのと同じですよ。でも、たまに本当に北海道などに行くと「ロシア人ですか」と言われます。でもロシア人から見たら、私は明らかに「外の人間」なのですよ。
(深田)
そうですよね。ロシア人って、もっと白っぽいでしょう。
(アリベイ)
そう思うでしょう?でも、ロシア人から見たら、私の肌の色は日本人と同じくらいなのですよ。実は、ロシア人から見ると私の肌は「黒い」のです。
(深田)
でも本当に、日本人と同じくらいの色なのですよね。
(アリベイ)
ロシアも女性が多いので、外国人男性がモテます。結構結婚している人も多いですし。だからモスクワを歩いていると、真っ白のロシア人って、最近あまり見なくなってきました。私のような色の人が増えています。
みんなロシア国籍でロシア人になっていて、第2・第3世代ももう生まれてきているので、変わってきているのですよ。本当のロシア人のブランドを見たいのであれば、モスクワじゃなくてペテルブルグに行ってください。サンクトペテルブルグ、エルミタージュのところね。そこだったら本当の、もう純粋のロシア人がたくさん見られます。
(深田)
ええ、なるほど。このロシアのお土産もありがとうございます。それで、最近やっとそのロシアとウクライナどうなるのだろうと思っていたら、まあね、トランプ大統領が「24時間で終わらせてやる」と息巻いていたものの、なにかこうこじれて。ロシアにもウクライナにも、鉱物、まあレアアースとかね、そういったものの採掘権「半分ください」ということでどちらにも話を持ちかけて、今それが少しあまり進んでいるように見えないのですが、これって終わるのですか?
(アリベイ)
そうです。私、こないだ3月30日にIMFの記事が出たのですが、IMFの出した記事で予測なのです、あくまで予測で、ウクライナ戦争が終わるのは2025年の秋から冬にかけた期間だということです。要は、2025年の10月、11月あたりにこの紛争は集結するのではないかというのが、IMFの予測なのですよ。
(深田)
それってどういう根拠なのですか?
(アリベイ)
あの、根拠というのは細かく書かれてはいないのですが、要は深田さんがご指摘した通り、トランプ大統領が24時間以内の解決もできなかった。ロシアとも話し合うのはそう簡単じゃないと。ゼレンスキーまでまだヨーロッパから支援があるから、レアアースの話もあるし、すぐには停戦には応じないということが分かってきました。
それがトランプ大統領は「ヨーロッパ、NATO、EU、ウクライナはみんなタダ飯食いだ」言い始めるようになりました。要はアメリカのお金、アメリカ人が頑張って税金払っているのに、バイデン政権がこの3年間とんでもない金額のお金を、NATOに出しているし、EUにも出しているし、ウクライナにも出している。で、そのお金が返ってこない。寄付金と言いましょうか。でも、ヨーロッパが出しているお金は基本融資で返さないといけないですよね。もしくはロシア人から盗まれたお金。まあこのような言い方はいいと思いますが、EUが凍結させて、その金を使う。
あの別に、EUの人々、イギリスの人々、フランスの人々、ドイツの人々が払っている税金じゃないですよ。ロシア人が稼いできて、ヨーロッパを信用してヨーロッパの銀行に入れたお金を凍結して、そのとんでもない金額をウクライナに出している。
トランプは「それおかしいぞ、なんで我々が自分たちの国民の税金を払わないといけないのか」ということで、お金を止めています。まだヨーロッパにはその余裕は少しあるが、いつまでも続けられるわけではないから、多分夏から秋にかけて資金が枯れてくる。アメリカの武器、お金、諜報情報の積極的支援が停止したわけですから、どこまで継続できるか。アメリカに代わってEUが戦争に協力できるのか。そもそもEU全体で戦ったとしてもロシアとは戦えないわけです。あのフランス、ドイツ、イギリスが集まったとしても、この3国だけでもロシアに勝てないのは分かっているし。過去の歴史見てもそうです。
だからアメリカの支援がないことで、だんだん皆さん疲れてきて、やっと2025年の終わりには停戦する可能性がある。
(深田)
なるほど。
(アリベイ)
ちなみにウクライナではやっと、ゼレンスキーが選挙もせず大統領を続けていることに関して「合法じゃない」と言われているでしょう?そのプレッシャーが、プーチン大統領からもトランプ大統領からも来ている。それでやっとゼレンスキーが選挙の準備を開始していると記事で読みました。ただ、あくまで選挙の準備、今すぐやれば負けるのが分かっていますから「選挙します」とは宣言してないのです。
7月頃までには準備をして、ゼレンスキー氏が勝てると見込んだ段階で選挙したいという話が出ているのですよね。選挙しなければ、プーチンがゼレンスキーを相手にしないのもみんな分かっています。さらに、NATOのウクライナにおける平和維持軍に、もちろんプーチン大統領もラブロフ外相も、ロシア側から「ノー」を突き付けたのでしょう。
元々問題の原因は「NATO軍に入るのは許さない」とロシア側が言っているのに、停戦した後に「ウクライナをロシアから守るために平和軍に入れましょう」というのは、これはおかしいでしょう。さらにゼレンスキー氏がもっと状況を煽ってきて、「いやいや我々に平和維持軍はいらないですよ」「ロシアと戦えるNATO軍を送ってくださいよ」と言うわけですよ。戦争を止めたいのであれば、戦争を煽るのではなく、和平のために発言しないといけないのに、ゼレンスキー大統領は戦争の訴えコメントしかしない。
それに深田さんが先ほどご指摘されたレアアースの話もまだ終わってないでしょう?
(深田)
ゼレンスキー大統領/トランプ大統領間のレアアースの交渉、どうなっているのですか?
(アリベイ)
終わってないですよ。ゼレンスキー大統領はまだヨーロッパの支援を信じて、署名してないのですよ。署名してないし、それでトランプ大統領から脅迫されたわけですよ。ゼレンスキー大統領がトランプから直接脅迫されて、「レアアースを巡る取引を拒否するのであれば、痛い目に遭うぞ」と。直訳そのままですよ。「痛い目に遭うぞ」と言ったのです、
(深田)
トランプ大統領は相変わらず直球ですね。
(アリベイ)
普通の政治家では言えないことです、ビジネスマンらしい。
(深田)
さすがジャイアン!世界のジャイアン。
(アリベイ)
アメリカ側としては、これまで出してきたお金は「返すべきだ」が。ゼレンスキー側は「いや、それはもらったお金なので返す必要はない」と言うでしょう。「ウクライナには返すお金がない」のはみんな分かっていて、ウクライナ側は長年にかけてレアアースで返したいのです。
ロシアの場合はそうじゃないです。ロシアのはきちんとしたビジネスとしてやりたい。ロシアはレアアースの埋蔵量、世界第4位の保有国です。これは確認されている情報です。ただウクライナはどれだけレアアースを持っているのか、この情報は確認されてないのですよ。ウクライナと取引しても、ロシアが実効支配している地域にあるのであれば、ダメですと言われたら終わりでしょう。
(深田)
ああ、だからトランプ大統領はロシアとウクライナに同じこと言っているのかなって思ったのですよ。東部のあの部分は、ロシアが取ったりウクライナが取り戻したり、最前線がずっと揺れているのですよね。なので、あの一帯はアメリカが取ると。だからその着地したところでどっちからも取れるように、同じ条件を出しているのかなと思ったのです。
(アリベイ)
それもあります。それとは別に、ウクライナと関係ないロシア領土内の話も、アメリカはロシア領土内で共同採掘をして、鉱物資源を安く買い、戦争費用を回収したいと言っています。確かにウクライナの場合は、深田さんが言われた通り、そういう話も進められています。
(深田)
アメリカはまだいいですよね。トランプ大統領がそうやって「出した金を返せ」って言ってくれるからいいのですが、日本も結構何兆円も出していて、お金が返ってくる見込みが全くない。それどころか、ウクライナが借りたお金、EUからお金借りているけれども、その保証人までさせられていて、「おいおい、勝手に保証人になるなよ」という感じですよ。
(アリベイ)
そのお金払うのは誰ですか?我々でしょう?住民票を置いて、税金を払っている我々ですよね。私もきちんと払っていますから。10%輸出してないので、10%の還付もないので、僕きちんと払っている方です。
(深田)
消費税払ってくださってありがとうございます。
(アリベイ)
いい外国人です(笑)。
(深田)
頑張って、消費税ゼロにしましょうね。
(アリベイ)
ではどのように解決すべきなのかという話ですが、アゼルバイジャンとアルメニアのナゴルノ・カラバフ紛争を見れば、ウクライナとロシアのこのウクライナ紛争も見えてきますよ。
(深田)
ナゴルノ・カラバフ紛争はもう終わっていますね。どうやって着地したのですか?
(アリベイ)
1994年にアゼルバイジャンが負けた時、ロシアはアルメニアをサポートして、アゼルバイジャンがトルコからも支援受けられず、イスラエルからも支援を受けられず、もう負けてしまった。領土20%取られて、100万人以上の国内避難民が出た戦争です。
1994年に停戦。では、アルメニア側が取った領土はアルメニア領土として、または昔あった名の「ナゴルノ・カラバフ自治共和国」としては認めませんが、そこはアルメニアの実効支配にあることを認めます。で、今アゼルバイジャン軍はある場所に残りましょう、アルメニア軍もある場所に残りましょうということで、とにかく戦争を止めましょう。
お互いに経済交流して、和平テーブル平和交渉をして、テーブルに座って話し合いましょうというのが1994年です。ロシアとウクライナがすべきことは、それなのですよ。ウクライナとしても、ロシアが取った領土をロシアに譲る、ロシア領土としては認める必要は全くないです。とにかくそこにロシア軍が、ロシアが実効支配されていることは認めます、と。
とにかく戦争をやめましょう。お互い殺すことやめて、どのようにこれ平和解決できるのかを話し合いしましょう、戦争を回避しましょうということ。それが平和交渉なのですよね。
(深田)
とりあえず休戦しましょうと。
(アリベイ)
お互いもう「銃は使いません」「武力は使わない」「話し合いましょう」というのが停戦で、それで10年、20年、30年かかるかもしれませんが、話し合いをして、ウクライナがロシアにとって本当に意味がある国だと、本当にNATO加盟を否定してきたということが分かれば、領土もある程度は返すかもしれませんが、全部返す、またはソ連崩壊時の旧国境に戻ることはまずありえない。
このことはアメリカも認めているし、そもそもクリミアも「もう忘れなさい」という話なので、2014年以前の国境に戻ることもありえない。さらにクリミア編入も、あの東部地方の4つの地域もロシア領として認めるという話もアメリカ側で進められているという噂も出ているのですよ。だってアメリカが「その領土が、私たちはロシア領土として認めます」と言ったら終わりでしょう。
世界、国際情勢もそれに向けてどんどん認めてくる国々も出てくるし、その圧力でウクライナも、元々のウクライナの領土も、もちろん我々アゼルバイジャンという国としても、そこはウクライナの領土だと言っていますけど、ただ一度戦争を起こしてしまったのだから、きちんと責任取りなさいと。
そもそも始まる前から敗戦が決まっている戦争に出たゼレンスキーには、この責任がすべてあると思います。戦争を始めたからには勝利の可能性もありましたが、敗戦してしまった場合は、それをまず認めて、敗戦した国は勝利した国の条件を飲まないといけない。これは世界のルールです。
トランプ大統領も言いましたけど、相手はロシアのような大きい国だと、倒せない国なので、戦う意義がないということでした。でもそれにゼレンスキー氏は騙されて出たのでね。でも、騙されたとしても、国の代表、ウクライナ人が選んだ大統領なので、敗戦はまず認めて、自分の領土を譲って、それで残った部分の安全保障を確保する必要があります。そうしないと、今25%取られていますが、それが50%取られてもいいのですかという話になります。
一度戦争を起こしてしまっているので、戦争を起こしたらもう平和交渉も無理です。それで新しい現実もあります。その新しい現実を直視できるリーダーがウクライナに新しくできるかどうかも、今後の課題だと思います。
(深田)
ウクライナもかなりの被害が出ていて、ロシアもウクライナも、徴兵にも限界がありますよね。結構、動画で出回っていますが、嫌々徴兵されている若者の映像が出ていて。これを続けることが本当にお互いにとっていいことなのかと言うと、多分そうじゃないのだろうなとは思うのです。
そのウクライナで、選挙が行われていなかったというのは、これは驚きですね。日本人としても。仮に日本が戦争に巻き込まれて、それで選挙を経ていない首相が「まだまだ戦争を続けます」と言ったときに、自分たちが納得できるのかということですよね。まあ戦況次第なのでしょうけど、でもそういうことを考えると、今、平和交渉に向かって、何か話し合いが必要な時なのではないのかなとは思います。
(アリベイ)
そうなのですよ。ロシア人もウクライナ人も、本当に深田さんが言われた通りで、好きで戦争したいと言ってそこに行って戦って、お互い殺し合って死んでいるわけではないのですよ。無理やりロシア側からもウクライナ側からも、強制的に強引に派遣されているのですよ。
(深田)
そのさらに背後に、ウクライナの後ろにいる、もっとなにかややこしいものがウクライナを後押しているというところもあるので、原因は、本当はそちらにあるのですよね。
また日本でも、そういう状況にありますから。いつ日本でもこの最前線に差し出されるかわからないなと思います。
(アリベイ)
他人事ではないです。
(深田)
他人事ではないです。本当に恐ろしいです。
ということで、今回はアリベイチャンネルのアリベイさんに「ロシアとウクライナの紛争は終結するのか?」について、今年の後半、9月以降ぐらいになるのではないかというお話をいただきました。どうもありがとうございました。