#326 防衛増税でも自衛隊員は不遇の極み!その金の流れる先の衝撃的真相とは?織田邦男氏
(深田)
皆さんこんにちは。政経プラットフォームプロデューサーの深田萌絵です。今回は麗澤大学特別教授の織田邦男先生にお越しいただきました。先生、よろしくお願いします。
先生は自衛隊関連、そして国防の専門家ということで、最近、防衛予算が増えてきたのですけれども、果たしてそれで本当に自衛隊のみなさん、今の何か、待遇が良くなったとか何か色々こうね、武器が増えて嬉しいとかそういったことはあるのですか?
(織田)
タイムラグというのがあってね、自衛隊の予算が増えてもね、実際に物が入ってくるのは3年後とか4年後。
(深田)
え、何が入ってくるの?
(織田)
物が入ってくる。
(深田)
物が入って、なるほど。
(織田)
物、武器とか、あるいは建物ができるのが3年後とかね。そんなものですから、ようやく予算がつくようになってからちょうど3年目でしょう。
全く実感はないと思いますよ。
(深田)
まだ実感はないと。
(織田)
それとね、何というか、装備優先の予算でしょう。それに対してアメリカなんかはね、国防白書は、一番最初に出てくるのは隊員の処遇とかね、家族に対するケアとかね、そういうことが出てくるのだけれども、
(深田)
そうですよね。
(織田)
いわゆるその人に使う金については、変わってないのですよ。ほとんど変わってない。
(深田)
何か米軍だと、やはり任務が長いと離婚につがってしまって、そうやって家族を失ったことによって、自殺してしまうような兵隊さんの心のケアとかもあるので、ちゃんとしないと。
(織田)
そうものすごいのですよこれ。すごくケアする、だからいわゆる隊員に対する処遇というのは、本当に一番最初に考えないと、軍隊が持たないのですね。
(深田)
そうですよね。
(織田)
だからそれはね、日本人は物から入ったわけですよ。物、施設で。自衛隊はそんなもの使命感でやれよ、みたいなね。
(深田)
何かそれね、言論界もそんな感じなのですよね。
(織田)
だからそれ悪いところでね。そんなことやっていたら若者は入ってきませんよと、我々の時は言っていたけれど。我々の親の世代はね、戦中派なのですよ。
(深田)
戦中派?
(織田)
つまり戦争経験しているのですね。やはり日本のために尽くすのはいいことだ、崇高なことだていうことで教わってきて、僕も防大に入って戦闘機パイロットになるって、日本を守るぞとこういうことだったのだ。そんな綺麗事じゃ入ってこないのですね。アメリカもそうですよね。アメリカは、やっぱり100万の軍隊を維持するのは、なぜかと言うと隊員の処遇。処遇というのは、ある意味、国民がリスペクトしているという証明なのですよね。
(深田)
そうですよね。
(織田)
だから国民がリスペクトしているから、我々も国民のために頑張るぞということなのですよ。リスペクトというのはね、あんまり金は使わなくてもいいのだけれども、予算に表れるというのがあるのですね。
私がアメリカに2回留学したのですけど、1回目はね、こういう経験したのですよ。制服でね、自衛隊の制服ですよ。制服で飛行機に乗る機会があって、カウンターに並んでいたのですね。そしたらカウンターの人は、「こっちこっち、カムヒア、カムヒア」とね。何だったかというとお前は軍人だろ?と、軍人は並ばなくていいのだよ。軍人は一番最初に手続きするのだからと。そうなの?と。
(深田)
ああ、全然違うのですね。
(織田)
やはりリスペクトされているなという感じですよね。だからあとは怪我した時のケアとか、本当に腕がもげちゃったよ、足がもげちゃったよみたいな。ケアを一生するわけですよ。
それもハワイの一番いいとこに見晴らしのいいところに、病院があってね、そういうケアを死ぬまでやりますよということで、ようやく成り立っているところがあるのですね。
かたや日本はもう急激に自衛隊、警察予備隊から保安隊、そして自衛隊作るということでね、やれ戦闘機だ、やれ軍艦だなんてね、そっちに偏って。人?人なんかお前当然だよ入ってきて、と思ってきたのですね。だからあまり金を使わなかった。大体5年間でね、人件費というのは11兆円なのですよ。ずっと11兆円それは全然増えない。今回の2022年の予算から43兆円使いますよって言っていても、人経費は11兆円で変わらない。
(深田)
据置きですか?お給料
(織田)
変わらないでしょ。変わらない。
だから給料は公務員の上昇に合わせて調整するのですけど、ほとんど変わらないということです。
(深田)
うーん。
(織田)
それは色々なところで問題が出て、あるいは人件費じゃないのですけど、施設が古くて、もう築50年ですよ、汚いですよ、とかそういうのは書いている人いますよね。それでも我慢しなさいみたいなところがあって、その施設なんかについて予算がつきましたと。では良くなったのでしょうと、こういう質問なのですけど、良くなるまで時間がかかる。施設は3年かかりますからね。
(深田)
今、施設は改装中。
(織田)
どんどん改装して、しかも爆撃受けてもいいように地下化してというと余計に時間かかるのですよ。だからそれが出てきて、あと2、3年してきたら新しいところに住めるかなみたいなね。だから実感は私はないと思いますよ。
(深田)
いや、50年間も同じって、それはそれですごいですよね。
(織田)
だから、そういう意味では人件費を使ってこなかったというのがね、今の募集に表れているのですよ。
(深田)
集まらないのですか?
(織田)
昨年が募集した人員が1万数千人で半分しか集まらない。
(深田)
半分ですか?
(織田)
辞めていくのがいるでしょう。だから一個師団がなくなったって言われているのですよ。どんどんシュリンクしていって、本当にそれでいいのですかと。それは国民に私は問わなきゃいけないと思うのですね。だって、はい地震が起きました。大規模地震、東南海、南海地震が起きました。自衛隊助けてください。自衛隊はいませんよと、こういうことになってしまう。
(深田)
そうですよね。そうなりますよね。
(織田)
もう今24万人切っていますし、24万人切ると、せいぜい10万人ですよ。10万人出したら、ヘロヘロですよね。長期間だから交代しなきゃいけないでしょ。もう機能しないということになっちゃう。それはやっぱりまずいでしょう。しかも若い人でなきゃだめなのに、若い人が入ってこないから、上をどんどん定年延長するでしょ。年寄りばかりになっちゃう。それって年寄りが増えてもね、やはり若い人たちが現場でバリバリと働いて、国民を救うというのが任務ですけどね。
(深田)
アメリカは、その辺りをどうやって手当てしているのですか?
(織田)
アメリカは、どんどん若いのが入ってくるから、無理やりピラミッドを作るのですよ。
(深田)
それで給料は?
(織田)
給料は、まあまあ普通というか、普通の平均所得よりも上なのかな。それよりもアディショナル・ベネフィットと彼らが言うのですけれど、例えば日本に基地に来ている人たちは、食品は無税で買える、ハウジング、つまり住むところもただで入れる。それは日本が全部金を出しているのですけどね。あるいはゴルフ場でゴルフが、5ドル500円ぐらいできるとかね。
(深田)
自衛隊員はないのですよね。
(織田)
自衛隊はないのです。
(深田)
あとね、米軍の軍人さんの息子さんが、実はその学費が、25、6歳ぐらいまでの学費が全部免除される。
(織田)
そう、75%出るのですよ。米軍基地の中に大学の分校があるのですね。
横田もメリーランド大学の分校がありますよ。そこの夜学に通う、そしたら授業料の75%出してくれるのです。だからみんなそこに通って夜学で修士を取ったりするのですね。ただ幹部はみんなほとんど修士を持っていますよ。修士を取っていることが昇任の条件みたいなね、ありますから。
(深田)
日本の自衛隊はどうなのですか?
(織田)
全然そんなない。
(深田)
全然そんなのないのですか?
(織田)
そんなのないです。だからやはり自衛隊というのは、戦争がない時には教育ですよね。質のいい幹部を持つ。そのために勉強さないといけない。その勉強をさせるのに、そういう環境にないということであれば、その通信教育のお金出してやるとかね。
(深田)
留学とかもさせてもらえないのですか?
(織田)
留学は一部あります。僕もさせていただいたのですけどね。それはやはりもうごくごく一部ですよ。
(深田)
今まで色んな通訳の人を雇ってきたのですけど、先月韓国で仕事がすることがあって、韓国で通訳の方を雇ったら、今までで1番頭のいい通訳という方、うまい通訳が出てきて、それがその空軍学校の出身の方だったのですよね。韓国の空軍の学校だったと思うのですけどね。ちょっとうろ覚えなのですけれど。アメリカにも留学されていて、日本はどうなのですか?その英語力という部分は。
(織田)
ごく一部の人は、その通訳あるいは同時通訳要員として、小平市に学校がありましてね。そこに入れたりして、その英語の教育やったりしています。あとは留学する前に、1年間ぐらい入ったり、あるいは駐在部幹部要員が海外で勤務するような人は、特に英語、露華鮮って言うのですけど、ロシア語、中国語、英語については重点的に、そういうのをやっていますけど。それはもう仕事のためのごくごく一部ですよ。
そうじゃなくて、やはり広く隊員に対して教養を上げてもらうために、アメリカのようにね、通信教育あるいは夜学に通う、そのための環境を整えてやるというのは必要ですよね。だから自衛隊に入って、心身ともにあるいはその知識も上げてから、娑婆に出て活躍するぞというのは、それは私はいいことだと思うのですね。
(深田)
何かもっとこう、フリンジ・ベネフィットがあった方がいいですね。
(織田)
そうですね。だから彼らアディショナル・ベニフィット(福利厚生)があって、給料はそんなに高くないって言うけど、それトータルすると非常にいいですよね。
(深田)
そうですよね。お子さんの学費がほぼ無償とか。
(織田)
それで何より、何よりもいいというのは恩給があることですよ。
(深田)
恩給って何ですか?
(織田)
恩給というのは、例えば20年アメリカ軍に務めて辞めますと、一生給料が出る。
それを恩給と言うのですよ。
(深田)
20年働いたら、辞めたあとも給料出るのですか?
(織田)
20年勤めますと、一番最後の給料の50%が死ぬまで出るのです。次の日から50%。
(深田)
だったらちょっと20年頑張ろうかなって決めますね。嫌になっても、あと10年かとかね。あと5年かみたいな。
(織田)
25年務めると75%出る。30年以上勤めると100%です。だからマーク・ミリー元統合参謀本部議長はね、彼は多分最終後5000万ぐらいもらっていたでしょう。辞めた次の日から5000万死ぬまでもらえるのですよ。自分で兼業しても関係ない。
(深田)
それかなりいいシステムですよね。
(織田)
そう、それが恩給。恩給というのは、諸外国は早く辞めなきゃいけないでしょう。しかしながら人気のある職業にしなきゃいけないということで恩給制度がある。日本も昔あったのですよ。軍人恩給という。日本は軍人と教育、教師。これは20年務めたら恩給がもらえる。私のおばさんもね、先生だったのだけど、高等師範かなんか出てね、20年勤めて、恩給が出るから20年間勤めてもらっていました。
だからそういう制度があるのですけど、自衛隊はと言うと一般公務員と一緒だから、在職中に厚生年金をかけかけて、辞めて65歳になったら年金が出ると。一緒なのですよね。普通の公務員と。
じゃあ、早く辞めるでしょう。だって自衛隊って早く辞めないと、やはりヤングをどんどん入れていかなきゃいけないし、年寄りはあまり役に立たないから早く辞める。若年定年なのですね。だから55ぐらいで辞めて、年金が出るのは65でしょう。10年間どうするのですかと。
(深田)
そうですよね。
(織田)
ハローワークに行けと言うの?とこういうことなのです。
いやいや、それ職業は組織で、こういうところを求人していますよというのを、ちゃんと調べますよってことになったのだけど、それに入ったところで安いのですよ、給料がね。当然ですよ。途中から入ってくると。
そういう安い給料で、年金がもらえるまで10年間やるのですかと言ったら、それだったら自衛隊入らないよっていうことになってしまう。
(深田)
それは合理的に考えるとそうなりますよね。
(織田)
だから諸外国がどうしているかというと、魅力政策で俺は20年務めたら、半分もらって、半分もらって働けば半分の給料となると、100%の給料をずっともらえる。
(深田)
それうまいことできています。
(織田)
だからその恩給をやろうとすると、誰が反対するかと言えば、他の公務員なのですよ。
(深田)
なぜですか?
(織田)
自衛隊だけ何だと。
(深田)
だって自衛隊の方は命かけてね、仕事しているのだし。
(織田)
だからそういう感覚がアメリカにはあるのだけど、日本にはないのですよ。
(深田)
何かものすごく残念ですよね。でも何かそれで何かね、自衛隊の人が恩給をもらって、その後、恩給農家になってですね、お米を作るなんてどうですか?
(織田)
そう、そう。恩給を50%もらったとしてね、農家で稲作をやって、そのプラス50%カバーする。いいのではないですか。
(深田)
めちゃくちゃいいですよね。すごいいいな。
(織田)
元々幸いにね、いわゆる諸外国と比べたら、やはり自衛隊に入ってきてもらって、国を守ってもらおうと、だから、若者から見て魅力ある処遇をしようというのは、なかなか私は感じられない。今やっていますよ。手当てを上げるとか何とかね。でもコテ先です。
(深田)
そうですよね。そんな1万円とか増えても意味ない。
(織田)
そんなことしてどうするのと、絶対入ってこないですよ。
(深田)
そうですよね。
今こそね、防衛予算を増やしたのだから、恩給を出しましょうと。
(織田)
考えた方がいいですよと。これから日本を考える場合。という風に思います。
(深田)
ありがとうございます。今回は麗澤大学特別教授の織田邦男氏に、防衛予算をせっかく増やしたのだったら、恩給で若い人たちを集めてくださいという素晴らしいご提言をいただきました。