老後破産の恐怖! お一人様は国民年金60万円で破綻する! 税理士永井圭介氏 #285

【目次】
00:00 1. オープニング
00:36 2. 高齢者の2割が破産
03:14 3. 貯蓄と投資で3千万円
06:52 4. 男性の独りは短命
10:16 5. ローンが返せず自己破産
13:04 6. 投資をどうするか
16:25 7. 65歳になったら遺書
(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム、ITビジネスアナリストの深田萌絵です。今回は、税理士の永井圭介先生にお越しいただきました。先生よろしくお願いします。
ご著書「おひとりさま時代を生き抜く 老後破産しないための年金・貯蓄・相続対策」を拝読したのですが、結構リアルですよね。そんなに危機的な状況にあるのですか?
(永井)
高齢の方が、お金がなくて困っているというニュースが時々ありますが、一部の人だろうと思っていたら、身近で取材をしてみるとそうでもないことが分かりました。
(深田)
私の周りでも、70代半ばの男性なのですが、年金が年間で60万円ぐらいしかないらしく、「国民年金にしか入ってなかったから、若い人はちゃんと厚生年金入った方がいいよ」というようなことを言われました。年間で60万円しかなくて、どうやって生きていくのかと驚きました。
(永井)
月5万円ですよね。
(深田)
持ち家がなかったら終わりですよね。
(永井)
そうですね。東京はおろか地方だとしても、お一人様用で狭くても家賃4~5万ぐらいはかかるので、絶望的といえば絶望的ですね。
(深田)
このような老後破産の状況は、どのくらい広がっているのですか?
(永井)
私の感覚だと、予備軍を含めて高齢者の5人に1人ぐらいでしょうか。やはり貯蓄をしていなかった人や、国民年金だけの人は、最大40年加入して全て払っていたとしても年間で80万円くらいですから。
(深田)
対策はあるのですか?
(永井)
やはり貯蓄ですよね。ありきたりなことになりますが、年金には期待しないで貯蓄をしておくことです。もちろん厚生年金に入るのも一つの手ですね。ただ、自営業者だと入れないので、会社勤めするか、自分が会社を作って役員に就任して、そこで厚生年金を負担する。ただ自分で会社を作って厚生年金負担するとなると、会社負担分も自分から出ていっているようなものなのですからね。
定番ですが、NISAもおすすめです。そういったもので若い時からインデックス投資をコツコツやっていけば、年金が少ないことぐらい気にならないとは思います。ただ、なかなか若いうちは合理的な行動はしないですよね。
(深田)
私もほとんど貯蓄がないまま40歳過ぎまで来てしまいました。会社経営をしていると貯蓄が吹っ飛ぶような事件ってありますよね。それがあって、またやっと貯蓄を始められるような状況になったところです。
この老後破産というのは、貯蓄がないことが一番の問題なのでしょうか。
(永井)
そうですね。「老後2000万円問題」というのがあるのですが、この著書の中では2000万円では足りないことは言っています。3000万円が1つのラインです。
(深田)
その3000万円という数字はどこから出てくるのですか?
(永井)
これは独自で積み上げたもので、4000万円や5000万円ないと足りないという記事を書いている人もいますが、そこまでは正直必要ないと思います。
お一人様に限って言えば、年金から生活費を引くとして、月に3~4万円不足する。それが30年続くとします。それ以外にも、家のリフォームなどの突発的な支出がありますよね。高齢になるとバリアフリーにしないといけないとか、ヒートショック対策として断熱材を入れるとか、そういうリフォームをしていくと数百万円ぐらいはかかります。
「老後2000万円問題」というのは、突発的な支出や介護費用も含めていません。例えば亡くなる4~5年前に介護施設に入る場合は、ちゃんとしたところだと最低月10万円はかかります。年間120万円ですよね。そうすると5年で600万円です。そうやって積み上げていくと、やはり3000万円は必要ではないかというのが、私の見立てです。
(深田)
30年間で3000万円というのは、60歳で完全にリタイヤする前提ですか?
(永井)
そうです。もちろん、ずっと現役で働いている方も多いので、そういった方はそこまで心配する必要はないかと思います。
(深田)
私も恐らく70歳まで働くのだろうなと思っています。そうしないと、どう考えても生きていけないです。好きなことを仕事にしているので幸せではあるのですが、そうではなくて大変な仕事をされている方だとキツイですよね。
(永井)
肉体労働の方、特に1人親方は大変ですよね。個人事業主ですし体力勝負ですから。それに発注する側も、例えば怪我をされたら会社としては面倒なことになるでしょうから、高齢者は特に敬遠されがちですよね。
(深田)
世帯を持っている方よりも、お一人様の方が危ういのでしょうか。
(永井)
私は、そう思います。もちろん個人差がありますから、しっかり貯蓄して生活も切り詰めている人はいるでしょう。
ただ、特に男性のお一人様は、統計的に不健康な方が多いのです。
(深田)
確かに、離婚した途端に不健康になる男の人は結構多いですよね。いろいろと面倒を見てくれていた人がいなくなってしまいますから。逆に、女性は離婚したら身軽になって、自分のやりたかったことをやる人が結構いるのかなと思います。
(永井)
まさに、そういうのが統計的に出ていますね。だから離婚した方が女性は長生きして、男性は離婚した方が短命という傾向になるのでしょう。
よく言われますが、男性は孤独に弱い。あとは退職した後にコミュニティを持つのが苦手な人が割合的に多いです。ゴミ屋敷になってしまうのも、奥様に先立たれ精神的に病んでしまった男性が住人ということが多いようです。
(深田)
老後は婚活した方がいいのでしょうか(笑)
(永井)
本当にそうですよ(笑)
そういう市場を広げた方がいいと思いますね。
(深田)
老後破産の一番悲惨なケースは、どのような状態なのですか?