完全自動運転の嘘!夢の宣伝文句の裏に潜む地獄を解説 岡崎五郎×深田萌絵

(深田)

皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム、ITビジネスアナリストの深田萌絵です。今回はモータージャーナリストの岡崎五郎先生にお越しいただきました。先生、よろしくお願いします。

もう結論は出ているかもしれませんが、これからEV市場はどうなるのかということについて教えていただけませんか。

(岡崎)

もう大きな流れとしてはほぼ確定していて、ヨーロッパ、アメリカ、もちろん日本でもEV100%の時代は来ない。というのも、やはり最近の政治の動き、選挙の動きを見ていると、アメリカではトランプ氏が大統領になり、ヨーロッパでも次々と「緑の党」が選挙で負けて、割と右寄りの党がどんどん議席を取ってきている。もう今までのようなグリーン第一主義に対して国民がノーを突きつけた民意が明確に出てきました。行き過ぎたグリーン政策などというのはもう嫌だ、それよりも毎日の暮らしを何とかして欲しいということです。その民意には無理やり再エネを増やすとか、原発を無理やり0にするとか、EVオンリーをゴリ押しするとかという政策への拒否も含まれています。今まで通りやっていれば、政治家はもう議席を失うのだという流れが世界で顕在化してきました。

(深田)

素晴らしいです。本当に日本もEVを推進する政治家には投票しないということをやらないといけません。この国はガソリン車の国ですから。自動車産業で成り立っているのに、どうして日本の自動車産業が負けるEVに日本政府は積極的に取り組むのかということです。

(岡崎)

ですから、この『EV推進の罠』を書いた時というのは、もうEUがハイブリッドも含めたエンジンを禁止するからとか、カリフォルニア州が禁止したからとか、フランス、イギリスも禁止したから世の中はEVだけになるのだという論調がメインだったのですが、今考えてすごく恐ろしいのは、当時、国が打ち立てたから、これはこうなるのだと大手のメディアが全てそういう報じ方をしたことです。しかし、メディアというのはそういうものかと私は思っているのですが、本当に国が決めたならそうなると決めつけるのであれば、メディアの役割を果たしていません。それが本当に国民のためになるのかということをしっかり考えて報じたメディアは、少なくとも私が知っている限り、大手ではひとつもありませんでした。

(深田)

東洋経済も日経も未だにグリーン投資で今後成長するのだということを今年出していました。

(岡崎)

まだ言っていますか?

(深田)

まだ言っています。

(岡崎)

国が決めたからこうなのだ、ではなくて、我々が住んでいる国というのは民主主義国家ですから、酷いことをやる、酷いことを言う政治家がいたら選挙で落選させられます。それは結局、政治を変えられる力が主権在民、すなわち国民にあるということです。本当に情けないことに、そこをメディアが理解していなかった。これが怖いと思います。

確かに実際最近そういう動きが出ているのに、民主主義、民主主義と言っている大手メディアが、そんなことすら分かっていなかったのかと思います。

(深田)

やはり、どんなに頭でいろんなことを考えても、自然とか物理の法則には絶対に反することはできないわけです。エンジニアリングというのは理学ではなくて工学の世界なので、今この自然の世界の中で、こうしたら本当に動くというものだけが製品になっています。でもEVはそれに反しようとしているわけです。所詮リチウムイオン電池というのは衝撃に弱いという、車としてあってはいけない弱点があるわけです。衝撃に弱いなどというのは絶対ダメでしょう。衝撃でセパレーターが割れたら自動的に燃え始めるなどということは、これはあってはならない欠陥だと思います。

(岡崎)

一方で日産のリーフは長年作っていますが、一度もまだ燃えていません。ちゃんと作れば燃えないようにも作れるのですが、世の中が電池の容量とか電池の価格は安い方がいいとか、急速充電性能が高い方がいいとか言うものだから、他の国、中国もそうだし韓国もそうですが、無理な電池の設計をして無理やり電気をガンガン入れるようなことをして燃えたわけでしょう。これも本当に私はメディアに責任があると思っています。何が一番大切なのか?それは燃えないことでしょう、安全性でしょうということを言わずに、いや、中国の電気自動車はすごいとか、やれ何かはこちらがすごい、でも日本車は全然充電が遅いではないかと。そういうことを一方的に言ったメディアは、やはり私は反省するべきだと思います。

(深田)

本当にそうです。やはり、自動車メーカーさんと仕事していて、すごいと思うのは、皆さん一番最初に安全性能が高いかどうか、対衝撃性とかそういう安全性もすごく求めているわけです。これはやはり、後発の人たちにはありません。言ったら悪いのですが、やはりIT系から来た人たちが作る車というのは信頼できません。

というのは、IT製品は基本的にはラボの中とかオフィスの中で使われるものなので、温度差がどれぐらいあるのかとか、どんな衝撃が加わるのかということを常に考えながら生きてきたのではない人が作っているわけです。

それはやはり受け入れられないというのが私の個人的な見解です。そこは日産はやはり立派だったと思います。日本人として自分たちの安全性能を究極にまで追求した結果、燃えない車をちゃんと作っているわけです。他のメーカーのEVの燃え方はひどいです。

(岡崎)

はい。もう中国などは燃えてもニュースにすらなりません。

(深田)

動画を見ていると煙が出たと思った数秒後閃光が走って爆発していました。

(岡崎)

だからそういうことを放置していた結果、韓国ではマンションの地下駐車場で大火災が起こって、もうEVは地下駐車場進入禁止のような反対方向に変わりました。やはりこれはもう普通の国民であればそういう反応が出るのは当然です。安全性を軽視して性能ばかり追いかけてきた結果そうなった。自分で自分の首を絞めたということなのです。

(深田)

私はこれは国の責任だと思います。なぜなら燃えると分かっているわけです。開発現場に行けば、これは危険なものを作っていると思うはずです。

(岡崎)

車側の人というのはそういう考え方をしますが、ITの人はそういう考え方をしない。とにかく前に進みながら、修正しながら進むのがいいのだという考え方をする人が多いと思うのですが、深田さんはIT系なのになぜそういう考えに至ったのでしょうか。

(深田)

多分自分の性格なのだと思います。私はもともと金融機関からITの世界に入ってきたのですが、検証ばかりして前に進まない、すごく猜疑心が強いとも言えます。子供の頃、車に乗るときは必ず運転席の後ろに座ってシートベルトを締めていました。その位置が死亡確率が最も低いからです。子供の頃からそういう発想なので、何が安全で何が安全ではないのかものすごく気になるのです。

(岡崎)

その考え方というのは、自動運転の話をしていても合うと思います。

自動運転の現場の人というのが一番冷静で、当分無理ですと言っています。「うちの会社のトップはこの間の会見でできるようなこと言っていたけど、あれ無理です」と。そういう人が現場はだいたい支配的です。現場で自動運転できますよと言っている人は、私はむしろ今まで会ったことがありません。

(深田)

私もありません。ソフトウェアしか触ったことがない人ができると思っているのです。それは彼らがOSの上で走るソフトウェアしか動かしたことがないからです。そうすると遅延というものを感じることがない。リアルタイムの世界で生きて運転しないといけない車に遅延ばかり起こるようなことがあれば事故になります。

(岡崎)

なるほど。自動運転が可能になりましたとある自動車メーカーが車を持ってきたとします。そしてそれに乗せられて、あるいは目隠しをされて、その辺を走っていたら絶対怖いでしょう。こんなのもう嫌だと、降りたくなってしまいます。

(深田)

条件があります。ちゃんと限定された区間でもう学習が完璧に終わっていて車がほとんど通っていないとか、そういう区間限定で時速20キロとか30キロでしたら理解できます。でも100キロはまだ無理です。

(岡崎)だから、我々にとってはコモンセンスのことが全くコモンセンスとして扱われなくて、あたかもそういうことを言っている人は進化を否定している後ろ向きな人間だという論調が結構あると思います。でもそうやってガンガンガンガン前にいけばいいというものではなくて、やはりこれは人間が使って人間が乗るのだから、「安全性は一番最初に担保しないといけない」という日本メーカーが持っている考え方があってよかったと本当に思います。

(深田)

本当にそう思います。トランプ大統領には悪いですが、イーロン・マスクはいただけません。なぜかというと、こういう未来が来るのだというコンセプトを打ち出すことによって、彼は資金調達してきました。それはそれで大事なことですからいいのですが、やはりできないものがあたかもできるように言っているのはいけません。私は彼のネーミングにも反対です。「オートパイロット」という名前に、私はかなり反感を抱いています。あの名称が付くことによって、自分の代わりに運転してくれるのだと勘違いする人が出てくるわけでしょう。

(岡崎)

FSD(Full Self−Driving)というのがそうです。テスラがやっていて、フルセルフドライビング、完全自動運転とも言ってしまっているのですが、実は全然完全自動運転ではなくて、ドライバーがいつも見張っていないといけない。そういう誤解を招くようなネーミングをして、あたかも自動運転ですと言って、今まで夢を見させてきた、そういうビジネスモデルもそろそろ終わりにしてほしいです。

(深田)

私もそう思います。

(岡崎)

EVの話から始まって自動運転の話まで行きましたが、確か2016年だったと思いますが、当時のメルセデスの社長だったツェッチェ(ディーター・ツェッチェ)という人が「CASE革命」というのを行った。

(岡崎)

Cというのがコネクティビティ(車をインターネットに接続)、Aがオートノマス(自動運転)、Sはシェアリング。Eがエレクトリフィケーション(電動化)。これを彼が言って、それがもう何の検証もなしに、自動車界のメガトレンドは「CASE」だと定着してしまいました。もうそろそろ10年経ちますので、これはもう一回きちんと検証して、本当にそれがメガトレンドになって、ユーザーのためになって、今後の自動車ビジネスを、それが進めていくことが正しいのかどうかしっかりと振り返るべきだと、そういう時期に来ていると思います。

(深田)

そうですね。ガソリン車革命とかやりましょう、正しい車の認識として。ということでやはりEVは終わりにした方がいいと思います。

(岡崎)

そうですね、向いている人には向いているけれども、全員ではないということ。

(深田)

ライフスタイルも関係ありますね。最後一つだけ聞かせてください。日本の「ガソリン車禁止令」、あれは2035でしたか。

(岡崎)

あれはハイブリッドはOKということになっていて、こんな小さいモーターつけても一応OKということになっています。これは軽自動車でも3万円プラスぐらいでマイルドハイブリッドの用意ができているので、本当はそれもいらないのですが、都知事がそう言うのであればというので、メーカーは用意しています。

(深田)

もう単なる政治家対策ですね。政治家のせいでまた車の値段が上がってしまいます。

ということで、そのガソリン車禁止令、これを必ず覆していこうというのが政経プラットフォームの公約でございます。ということで、今回はモータージャーナリストの岡崎五郎先生にお越しいただきました。先生、ありがとうございました。

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