No. 66 深田萌絵×柴田哲孝「『暗殺』著者が語る安倍派粛清」

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【目次】

【前回からの続き】

(深田)(再掲)

(安倍元首相銃撃事件は)本当に誰もがアッと思って、ケネディ暗殺事件の時をオーバーラップさせたと思います。そう思うと、真犯人は見つからないのではないか、もしかしたら意図的に隠蔽されるのではないかと私は思ったのです。

(柴田)

確かにそうだと思いますね。日本も、そういう不思議な事件がいっぱいあるわけです。実は、僕は昭和24年に起きた下山事件を調べていて、何冊かそれで本も書いているのですけど、実はあの事件、まだ犯人が見つかっていないし、一番最初の警察発表では下山氏の自殺なのですよね。ただどう考えても自殺ではない。

それに関して「おかしいぞ、自殺のわけがない。これは暗殺だ」と言い始めたのが松本清張さんら小説家たちなのです。それならと、それをきっかけにしてマスコミの人間なども色々な記事を作りだして段々と、この間もNHKでやっていましたが「下山事件は暗殺である」という見方が広がりました。ただ「犯人はまだ分かっていない」と、そう言う所にいま結論としては落ち着いています。

だから今回の安倍さんの一件も、いずれそういう形になってくると思います。ただ(先人達の)あの時の第一歩、松本清張が書いた「日本の黒い霧」とか「地を匍う翼」という(下山事件の真相を探求する)小説、ああいう第一歩があったから、みんな後から書けるようになった。だから(この「暗殺」も真相解明の)第一歩になってくれればいいのではないですか。なにか(今回の仮説を)超えるような向きの動きもありますからね。

(深田)

そうですよね、確かに。(事件当時)ネット上で安倍さんが撃たれる瞬間の動画がわーっと出たかと思ったら、どんどん消えていくとか……

(柴田)

そうでしょう、消えていったでしょう。

(深田)

消えていきましたね。

(柴田)

そうでしょう、あれは本当に消えていった。

(深田)

あれは怖いと思いました。

(柴田)

僕もスクリーンショットを撮ったりして、画像は持っていましたが、動画をもう一回見ようと思っても出てこない。

(深田)

私も、きっとこれは消されるだろうなと思って動画をダウンロードして保存しました。

(柴田)

そうでしょう、僕もしてある。それ貴重になりますよ。持っていると言わない方がいいかもしれないですけど。

(深田)

たぶん持っている人はいっぱい居ると思いますけどね。でも、この謎の事件を完全犯罪として仕上げるには、自民党の中のそれなりの権力を持っている人がいないと無理だよね、という……

(柴田)

そうですね……なんとも言えないけれども、確かに自民党に限らず、警察内部のどこかでも、色々な権力のそれぞれが全部協力しなければ、不可能なのですよね。

(深田)

恐らく、警察側も意図して警備員の数を減らしたわけではなく、余りにも突然だったから間に合わなかったという意識なのかと……

(柴田)

今そういう事になっていますよね。奈良県警が「西大寺駅北口で安倍さんが演説をやる」と聞いたのが前日の夜7時ですよね。その段階でもう奈良県警トップの人達は帰り支度、帰宅してしまっていて、それからハンコ押して「じゃあ適当に現場調べて来い」と言ったとしても何人も人を集められないですよ。警備の予行演習も出来ないです、まず第一に。

(深田)

私、あの時ものすごく不気味に思った事があって……当時の奈良県警トップ、鬼塚さんでしたよね。鬼塚さんは安倍さんのお気に入りだったのです。

(柴田)

そうだったのですか。

(深田)

そうなのです、鬼塚友章さんは(以前に)内閣調査室で北村さんの下についていて、安倍さんにすごく可愛がられていた筈の人です。その彼がいたのに、完璧な警備(体制を敷く)まで思い至らなかったのも変だと思いました。彼自身、ギリギリ過ぎて対応できなかったのか……。

(柴田)

とりあえずあの事件を機に、警察内部の安倍さんシンパの人たちはみんな飛んでしまうことになりましたよね、警察庁長官も含めて。

(深田)

そうです、本当にあの事件で安倍派が一掃されてしまったのですよね。

(柴田)

政治の内部でも、安倍派の粛清が始まっていますよね。今回のパーティー券、ペイバック(裏金)問題も含めて、どんどん……前の検事長、誰でしたっけ。

(深田)

黒川さんですね。

(柴田)

黒川さんの一件もまた出てきましたよね、再審査になって。だからどんどん粛清が進んでいくわけで、これおかしいですよね。

(深田)

本当に、自民党の中から安倍さんの影響力を削いでいく動きは確実にありますね。

(柴田)

2020年東京オリンピック(の内情)もそうでしたね。安倍さんが居たら絶対にバレなかったはずの(不祥)事が、あの後全部ぶちまけられてしまったでしょう。

(深田)

そうですよね、安倍さんの時代だったら(内調の)杉田さんとか北村さんが動いて抑え込んでいた筈の、色々なものが噴出していますものね。

(柴田)

蟻の一穴どころじゃなく、安倍さんそのものが居なくなってしまったのだから、もう大穴が空いた形になってしまいましたね。そこから全てが流れ出してしまったような感があります。

(深田)

そう思うと、安倍さんは自分の二番手の政治家を、党内マネージメントができる所まで育てきっていなかったという事なのでしょうか?

(柴田)

どうなのでしょうね……それは考えてみなかったですが、現状を見るとそれは言えるのかもしれないですね。

(深田)

あと、安倍さんが亡くなられた後、いろんな新興宗教系のトップの方も亡くなられていますよね。

(柴田)

そうなのですよね……そのへんはあまり……

(深田)

あまり(今回の暗殺事件との)関係は分からないのですけど、すごく不思議だなと思いました。それから今回ね、このご著書に一段と深いリアリティを与えているのが、やはり銃であるとか銃弾についての描写がすごく多い部分、第3部ですね。ここで「鋭和3B」。

(柴田)

鋭和3Bというのは、ある宗教団体が韓国の銃機メーカーで作って日本に輸入したエアライフルですが、その事に関しては私だけでなく、他の有名ジャーナリストで既に言っている方もいまして「アレで殺られた」という噂は当初からありました。火の無い所に煙が立つかどうかは別として、何人かの人間がそれは言っていましたね。ただ僕は、アレでは無理だろうとは思う。僕はアメリカの全米ライフル協会に知り合いがいるので、消える弾丸が使われたという情報、鋭和3Bという空気銃が使われたという情報について尋ねてみたら、さすがに全米ライフル協会幹部の人間はよく知っている。「こんな情報、あんな情報があるよ」とどんどん送ってきてくれるので、それで調べて書いたと言う効果もあります。

(深田)

なるほど。やはりそれも調査力ですよね。

(柴田)

そうですね、たまたま(銃器に詳しい)友人が居たという運もあったのかもしれませんが、調査力ですよね。

(深田)

あと、融けてなくなる弾丸……

(柴田)

最初ね、それに関してもあの頃ネットに、ガリウム弾だという偽情報が、安倍さんの事件と同時に流れたのですよ。

(深田)

私もガリウム弾の情報を見ていました。

(柴田)

そうでしょう、僕も最初ね「ああこれだ」と思ってしまい、そういう記事を書いてしまいました。後にフェイクだと分かって、ちょっと待てよと、ガリウム弾説が出てきたタイミングもおかしいなと。この説を追っていくと行き止まりになっているという、迷路の一つだったような気がします。

(深田)

誘導されていたかのような……。

(柴田)

はい。それで「消える弾丸というのは実際にあるのか?」という事を全米ライフル協会のある人間に聞いたのです。そうしたら、ガリウム弾というものは無い事はないと。ショットガンみたいに大口径のものなら作れる、けれど小さく精密なものは作れないと、理由も含めて聞きました。そこで「実はこういうのがあるよ、これは空気銃でしか使えないけどね」と言って出てきたのが、今回の小説に書いている「(水銀)アマルガム弾」というものなのですよね。

(深田)

(事件当時)ネット上で色々な、陰謀論から本当っぽい話まで色々なネタが出ていて、私もガリウム弾なのかなと思っていたら……

(柴田)

そう思ってしまいますよね。これはご自分で話されているので構わないと思いますが、自民党の青山議員などもガリウム弾のことをYouTubeで仰っていたのかな。ただあのタイミングで出てきたらみんな(ミスリードに)引っかかりますよね、僕も引っかかっちゃったし、一時ね。

(深田)

そうですよね。人間って自分にとって身近でないものは、誰かが解説するとそっちに引きずられますものね。私は専門がITなので、IT業界に関してフェイクが出ると、これはフェイクだと言えるのですが、銃はまったく知見がないので。

(柴田)

そうですよね、分からないですよね。

(深田)

日本人のほとんどの人が銃を触ったことがないですから。

(柴田)

日本では銃を撃ったり触ったりできないのですが、僕、じつは銃に関してはある程度専門知識があって、仕事もしていたのです。翻訳小説などで米国の作品には銃が出てくるでしょう、それを翻訳家が日本語に訳しますよね、その、銃に関して訳した部分が正しいかどうか、僕が朱を入れる(チェックする)のです。そのギャラが僕の所にも回ってくる訳です。そういう仕事もしていたので、多少は銃の知識がありました。

(深田)

なるほど、そうだったのですね。今回のこの事件、いまだに元首相の暗殺事件の尾を引いているのが今の現実社会……

(柴田)

そうですね、尾を引いていると思いますね。

(深田)

ということで、この著書の中でもカルト宗教の動きについてかなり詳しく解説されていますけれども、神道という日本の伝統宗教と、新興宗教やカルト宗教が連携をしているという……

(柴田)

連携している部分もありますね。深田さんなどはよくご存知だと思いますが、日本の右翼とか神道というのは決して一枚岩ではないですから。

(深田)

はい、私も知って驚きました。

(柴田)

実は私も家系的にはものすごい右の家系なのですよ、代々。神道とかなんとかと多少なりとも、家系としては関係があったものですから。ただ、その中でも派閥とか色々ありますからね。

(深田)

やはり神道にも派閥がありますよね、出雲系とか天孫系とか、あとナントカ藩系とか色々ある中で、さらに一部がカルト宗教や新興宗教の勢力と繋がって、政界に対しての影響力を維持している……

(柴田)

そうですね。自民党に関して言っても、宗教系の団体の影響力ってものすごく大きいですよね。いくつもの宗教系の団体が自民党の内部でも力を競い合っている。それはもう別に隠してもいないし、その通りなのでしょうね、という事ですね。

(深田)

国会議員なんて、言わば新興宗教だろうがカルト宗教だろうが何の宗教だろうが、宗教4つ5つ、6つ7つぐらい入って掛け持ちして、全部行ってこんにちはと挨拶して回る。

(柴田)

そう、票が集まればいいというね。

(深田)

そんな(八方美人が当り前の)ものなので、そういう構図の中で特に、今回一つの宗教、カルト宗教だけがものすごくフォーカスされたというのは……実はこのカルト宗教、調べていくとものすごく根深いものがありますよね。

(柴田)

そうですね、安倍さん一家もかなり深い結びつきが代々ありましたし、そもそも現状、自民党は連立政権を組んでいるのがやはり宗教系の政党ですから。

(深田)

普通だったら、カルト宗教と新興宗教同士が連携とか、中々できない筈だと思うのですが。

(柴田)

ですよね、どうやってうまく連携を取っているのか、ちょっと不思議なとこありますよね。

(深田)

そうなのですよ。新興宗教とかカルトに入っている人って、他の宗教のお寺に行くことすら拒む人も結構いるわけではないですか。

(柴田)

ですよね、鳥居をくぐってはいけないとか、よく聞きますよね。それが同じテーブルに並んで同じ料理を食べているのは、なにか不思議な光景ではあります。

(深田)

しかもそこに神道が入っていて!「あなたたち、我が国の本家本元の宗教でしょう?」って……それがカルト宗教とか新興宗教とかとみんなで連携しているのは、何かおかしくないですかと、私などはすごく違和感を抱きました。

(柴田)

僕も同じですよ、そこには違和感抱いているし、実際にそういう点にも触れている様な所がこの本の中にもありますからね。

(深田)

それを繋ぐのを可能にしたのが「反共産党」というスローガン……

(柴田)

そうですね、一つのね。昔からそうですよね。

(深田)

そして反共団体をまとめる、裏にいる右翼の大物フィクサー的な動きって、もう戦後ずうっとありましたよね。

(柴田)

ずうっと続いていますよね。

(深田)

今日(こんにち)までも、続いているわけではないですか。

(柴田)

そのフィクサーも、一人の時代もあれば、二~三人の派閥に分かれている時代もあるし、それもちょっと色々なのですけれどね。

(深田)

今はどういう「時代」ですかね。

(柴田)

今……どうなのでしょうね、ハッキリとは名前を出しづらいところはあるのですが……この間亡くなられた鈴木邦男さんなどもかなり力を持っていたでしょうし。

(深田)

あと、国家としてアメリカから兵器を輸入するという時に必ず極右の名前が上がる。

(柴田)

もうそれはいつの時代でもそうですよね。飛行機であるとか武器であるとか、必ず出てきます。その時代の誰なのかという事は、なかなか名前も出ないし、出ても言えない事情もありますけどね。

(深田)

今回の著書でも、極右の大物がトマホークの購入に絡んでいるのではないかという……

(柴田)

それに関しては「まあ、そうだ」という情報はメディアの間でも当時からありました。ただ誰もが「呑んで」いる、そうなのだけどと言いつつ書けない、それでみんな終っているわけです。

(深田)

書けない。書けないのは……?

(柴田)

なぜでしょうね……(微笑)

(深田)

なぜでしょうね(微笑)【次回に続く】

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