#635【確かに!】東京が富裕層の植民地に?建築家・山本理顕が語る「ヒルズ型再開発」の光と影 山本理顕氏(2026.3.23)
(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォームプロデューサーの深田萌絵です。今回は、日本を代表する建築家の山本理顕先生にお越しいただきました。山本先生、よろしくお願いします。
(山本)
よろしくお願いします。
(深田)
山本先生、先日、ブルームバーグで先生のお話がニュースになっていました。そこでは「東京が富裕層の植民地になる」と、ヒルズ型再開発を批判されていました。私自身も、最近の再開発を見ていると、土地の良さを失わせるものを開発と呼んでよいのだろうかと感じることがよくあります。そのあたりについて、先生のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
(山本)
今の深田さんのお話は、外国人記者クラブで話をしてほしいと依頼され、そこで話したことがきっかけになっています。その時、ブルームバーグの記者が来ていて、それを記事にしてくれたのです。私はこうした話を以前からさまざまな場所でしてきましたが、ブルームバーグが記事にしてくれたことで、非常に多くの人たちがそれを見ることができるようになりました。
そこに、大きな問題の一つがあると思います。今の日本のメディア、マスコミと言ってよいと思いますが、それが全く劣化していることが、かなり大きな原因になっています。深田さんはその中でも頑張っておられますが、社会的に大手メディアと言われているところの劣化は、本当に激しいと思います。今の都市の劣化の大きな要因の一つは、そうしたメディアがこれまできちんと報道してこなかったことにあります。
(深田)
確かに、その通りですね。
(山本)
それは非常に大きいと思います。実際、六本木ヒルズのような再開発を批判した途端に取材が増えたのですが、本来、こうした問題はもともと分かりきっていたことです。多くの人たちが以前から警鐘を鳴らしていました。ところが、外国人記者クラブで話した途端に食いついてくる。だらしないことです。
(深田)
そうですね。結局、外国人が評価し、外国の人がそう見ているのだと分かってから振り返るわけです。そこに、日本のメディアの、外からお墨付きをもらわなければ動けないという、二番煎じの姿が表れていると思います。
(山本)
それは取材能力の劣化だと思います。特に海外の情報に関しては、全くと言うと失礼かもしれませんが、ほとんど取材能力がなく、それが今の大きな問題です。日本国内の問題は、実は国内だけの問題ではなく、世界的な問題でもあります。
特に東京のような巨大都市、世界の中心的な都市で起きていることに問題があるとすれば、それは世界に対して非常に大きな影響を与えているわけです。メディアにはそうした視点がないです。今回、外国人記者クラブで話をして、改めてそのことを感じました。日本のメディアの劣化は、本当に著しくひどいと私は思います。
(深田)
再開発となると、さまざまな木々や街路樹が切られ、東京の中でも名所になっているようなわずかな緑まで伐採されることがあります。
あるいは、下町で店を営んでいる人たちが立ち退かざるを得なくなる。そうして町は変わり果て、見た目は綺麗でも、もはや活気がなく、死んだ町のようになってしまう。こうした問題は、見ていれば分かることではないですか。それにもかかわらず、そういったことを全く報道しなくなりましたよね。
(山本)
そうですね。特に、小泉政権の時に竹中平蔵の登場によって、報道まで含めて非常に大きな規制のようなものがかかるようになってきたことは、極めて大きかったと思います。
例えば、小泉政権が郵政民営化を行いましたよね。郵政という情報ですよね。国家的な情報装置というと言い過ぎかもしれませんが、郵便局は情報インフラだったわけです。それを売り渡してしまったのです。これほどひどいことはありません。
本来、国家の側で保証しなければならない、誰に対しても情報を伝達でき、それほどお金がかからず、誰もが受け取ることのできる仕組みを、郵便局は持っていたのです。それを分割して、民間業者に売り渡してしまった。その郵便局を作るために、これまでどれだけお金がかかってきたかということです。日本はそれをすべて公費で作ってきたのです。
(深田)
郵便局は、もともと黒字だったので、本来は民営化する必要もなかったのですよね。
(山本)
郵便局は、黒字か赤字かで考えるべきものではありません。地域コミュニティにとっても、郵便局は大きな役割を果たしてきました。それを壊したのが、竹中たち自由主義者です。国鉄民営化もまったく同じです。
(深田)
そうですね。
(山本)
国鉄は、国家的なインフラなのです。どの地域の人にとっても不利にならないように、鉄道をはじめとする交通インフラを整備してきたわけです。日本は国鉄といういい形でそれを作ってきたにもかかわらず、民間業者に売り渡してしまったのです。
(深田)
そうですよね。民営化という名の私物化です。
(山本)
そうです。それまでに、どれだけのお金がかかってきたと思いますか。国鉄を作るために、土地を含めて莫大な資金を投じて、あれだけのインフラを築いてきたわけです。それを売り飛ばしてしまうなど、考えられないです。
しかし、それをやってしまった。その結果、今何が起きているかというと、例えば黒字路線はぼろ儲けをしている一方で、赤字路線では鉄道が作られなくなってきている。国鉄の時代には、全体を一個のものとしてインフラを整備しようとしていたわけですから、赤字か黒字かは関係なかったのですよね。
(深田)
そうですよね。利用の多い過密な地域で十分な収益が出るから、過疎地域にも隅々までサービスを提供できるというのが、やはりインフラの役割ですよね。
(山本)
過疎地域ほど鉄道が必要なのです。実際、国鉄はそうした地域にもきちんと鉄道を整備してきました。それを赤字だと言うのは、信じがたいことです。本来、国の責任でインフラを作ってきたにもかかわらず、それを赤字だと言って民間に売り渡す。赤字になるのは当然なのです。人の少ないところに鉄道を作れば赤字になることは、初めから分かっているわけです。
鉄道や交通インフラ、情報インフラといった国家によるサービスは、本来、国家が保証しなければならないのです。それは税金で賄うことができます。税金で支えながら、利用に応じてお金も取っているのですから、全体として成り立たないはずがないのです。
郵便も、切手を買わなければならないわけですから、すべてを国が一方的に負担しているわけではありません。我々自身も、その国のサービスに協力しながら、郵便制度を築いてきたのです。
そうしたものを壊していったわけです。最大の問題は、まず情報インフラ、そして交通インフラを壊したことです。それを民営化という名目で進め、特定の民間企業が利益を得る仕組みを作っていったのです。
(深田)
その流れの中で、今もっとも象徴的なのが、再開発という名のもとに、国民から土地を取り上げ、それを資本家に売り渡し、一般の人は住めないような価格の建物が建てられてしまうということですね。
(山本)
その発端となったのが、いわゆる「○○ヒルズ」と呼ばれる森ビルなのです。森ビルが何をしたかというと、東京の中で最もコミュニティがしっかりしている場所を探したのです。豊かなコミュニティがあり、環境のよい場所を探していったのですよ。それが六本木だったり、原宿だったり、あるいは虎ノ門だったり、麻布だったのです。そうした場所は、住民たちが長い時間をかけてコミュニティを築き、よい環境を作ってきた場所だったのです。
(深田)
確かにそうですよね。
(山本)
そこが狙い目になったのです。
(深田)
そうした地域社会のコミュニティを壊すようなことを行なったわけですね。
(山本)
彼らに、最初からコミュニティを壊そうという意図があったわけではないのでしょう。しかし、そうした場所こそが、東京では一等地になっていたのです。住みやすい場所でもありますし、麻布もそうです。そのような場所を狙っていったわけです。土地は高いといっても、当時は今のように極端に高かったわけではなく、基本的には普通の住宅地でした。
そこを狙って買い占めていったのです。森ビルは地上げ屋なのです。基本的には、地上げをしてきたのです。やり方は非常に悪質です。土地を売らない人のところに押しかけて、売るように仕向けて買い上げる。六本木ヒルズにしても、もともとあの人たちはお米屋さんか何かだったのでしょう。
(深田)
そうなのですか?
(山本)
地場の人たちなのです。そうした地元の人を利用しながら、周囲の土地を買い占めていったわけです。どこが一番よい場所なのかを、彼らはよく分かっていたのですよ。そこを狙って開発を進めていったわけで、六本木ヒルズはその典型例です。原宿の表参道ヒルズも、あれはひどい計画だったと思います。
(深田)
表参道ヒルズよりも、隣にある古い同潤会の建物の方が、よほど美しいと思います。
(山本)
あれを設計したのは安藤忠雄です。この建築家を知っていますか?
(深田)
はい。よく知っているというほどではありませんが、子どもの頃は、この人はすごい建築家なのだと思っていました。ただ、大阪の海遊館を見たあたりから、この人はだめなのではないかと思うようになりました。
(山本)
もっと前からだめですね。あそこで安藤がやったのは地下です。非常に深い地下商店街を作ったのです。しかし、そんなものが役に立つはずがありません。見れば分かることです。地の底のような場所に、ぐるぐる回りながら下りていくような構造で、そんなところに誰も行かないですよ。それなのに、こちら側の同潤会は壊してしまったのです。
(深田)
建物としての価値は、同潤会の方が高いと思います。
(山本)
当然です。あれは文化財ですから。他の国であれば、まず文化財を残すことを考えます。ところが安藤は、それを平気で壊して、ファサード(正面外観)だけを真似した、嘘のようなファサードが今そこにあります。
その同潤会自体も、もともとは住宅だったのですよね。非常によい住宅だったのですから、そのまま住宅として残せばよかったのです。そうすれば、そこに住んでいる人たちが、きちんと街を守ってくれます。同潤会に住んでいた人たちは、もともと意識の高い人たちでしたから、それまで原宿の街は、そうした人たちが一緒に守る街になっていたわけです。
(深田)
そうですね。
(山本)
安藤はそれを根本から壊してしまったのです。あれは極端な高層にはしてはいませんけれども、本質は同じです。そこのコミュニティを壊し、何だか分からない、ただ深いだけのようなものを作ったわけです。あれは町に何の貢献もしません。
(深田)
建築としても美しくないのですよね。残念ながら。
(山本)
僕も見に行きましたけれど、迫力だけはあります。上から見ると、うわあ、すごいなという感じはあるのですが、それだけで、むしろ怖いのですよ。安藤は、そういう怖さを作りたかったのかもしれませんね。
(深田)
そうなのですね。通りから見ると、美しさは微塵も感じられません。同潤会の方が、やはり良かったのではないかと思います。
(山本)
もう比べる対象ですらないというか、比較してはいけないのですよね。計画者としては当然、同潤会を残す形で計画しなければならなかったわけです。しかし、安藤はそれをしなかった。そこにも、安藤がどういう人間なのか分かります。
つまり、森ビルから依頼されたら、森ビルに貢献するように作るのです。言われた通りに作る。それが安藤のやり方ですね。安藤は、写真写りのよいものを作るのがうまいので、切り取った写真だけがきれいに見えるような建築を作っています。
(深田)
“映え”を追求していて、やっていることは今のインスタグラマーと同じようなものですね。
(山本)
だから何でもコンクリートで作ろうとするのでしょう。しかし、場所によってはコンクリートではない方がよいことは、いくらでもあるわけです。隈さんも木造を数多く手がけていますけれど、木造の方がよい場合は多いのです。別に隈さんの肩を持つわけではありませんが、やはり場所によって素材は変えなければならない。
それにもかかわらず、安藤はどこへ行っても、自分らしさのために全部コンクリートにしてしまうのです。この前、フランスのパリで、彼が設計した美術館を見に行ってきたのですが、ひどいものでした。
中にコンクリートの壁を作ってしまうという、とんでもない計画になっていて、それについて安藤がモニターの中で、なぜこういうものを作ったのかをうれしそうに話していました。「壁は人々を集める」などと、わけの分からないことを言っていたのです。
(深田)
しかし、この再開発が富裕層による植民地化なのだということは、なぜそう言えるのでしょうか?
(山本)
それは世界的な傾向だからです。日本だけの話ではありません。
(深田)
植民地化ということは、支配者にだけ都合がよく、現地の人たちは奴隷のようなになってしまうということですよね。
(山本)
そういうことです。問題は、支配者が見えないのです。つまり、自分が知らないうちに支配者の側に立ってしまうのです。六本木ヒルズに住むということは、自分が支配者になったかのように感じられます。
当時は「ヒルズ族」という言葉が流行りましたが、あそこに住むことで、自分たちは支配する側の人間なのだと感じることができるのです。そういう人間たちが、ぞろぞろと入ってくるのです。価格がどれほど高くても構わないのです。自分たちこそが豊かであり、支配する側にいるのだということを、そこに住むことによって感じることができる。
それがものすごく効果があり、売る時に高い値段で売れるのです。六本木ヒルズの価格は、途方もないものでしょう。今がいくらかは分かりませんが、そうしたことを意図的に狙っているのです。
(深田)
ヒルズが建ってしまうと、もともとそこに住んでいた方々は、自分たちの土地を手放して出ていったが最後、二度と戻れないような価格帯になってしまうわけですよね。その一方で、最近の麻布台ヒルズなども非常に高額でマンションが売り出されていますが、投資家が買って、投資額に見合う賃料を設定すると、今度は借り手がつかず、空室だらけになってしまいます。
(山本)
それにもトリックがあります。住む人には等価交換で一部がもらえるのですが、その時に騙してその評価額を非常に低く設定するのです。「あなたの土地はこのくらいの値段ですよね。家はこのくらいの値段ですよね。その代わりに、マンションの一室を差し上げます」と言うわけです。
しかし、その評価額が極めて安い。もともとあった土地に、麻布台ヒルズや六本木ヒルズが建ち、一気に価値が上がります。建物がものすごい資産になるのです。ところが、その資産のうち一部しか与えられないのが等価交換システムです。これはもう詐欺です。今の多くの再開発は、この等価交換というシステムで進められています。
(深田)
等価交換で入る場合でも、富裕層向けの部屋と、もともと住まわれていた人たち向けの部屋は、グレードも広さもまったく違うという問題がありますよね。
(山本)
そこでも騙しているのです。本来であれば、○○ヒルズのような再開発によって価値が大きく上がるのですから、上がった後の価値で等価交換するのであれば、まだ分かります。もともと彼らの土地だったのですから。それを上がる前の土地や建物の価格を基準に等価交換としようとしているのです。建物が完成した後は、はるかに高い価値になっているのです。
(深田)
それは、やはりおかしいですよね。
(山本)
おかしいどころか、詐欺です。それを詐欺だと誰も言わない。訴えたら本当に詐欺として問える話です。
(深田)
タワーマンションを買う側から見ると、例えば3LDKを購入したとしても、最終的に持てる土地の権利は、タワー全体の戸数で按分された広さしかないのですよね。そう考えると、もともと一戸建てに住んで土地を所有していた人の方が、はるかに大きな価値を持っていました。それを等価交換だと言って、実際には10分の1、あるいは100分の1ほどの価値で交換させているのが現状なのですね。もう植民地ですね。
(山本)
そこには区分所有法という法律があって、マンションを買うと、今、深田さんがおっしゃったように、土地の一部を持っているという扱いになるのです。もともと30世帯しか住んでいなかった場所に、今度は100世帯以上が住むことになると、1戸あたりの所有分は極端に小さくなってしまう。区分所有ですからね。まず、その仕組み自体がおかしいでしょう。
新しく入ってくる人も、もともと土地を持っていた人も、区分所有法の下では同じように土地を持つことになる。その区分所有法は、マンション法とも呼ばれていますが、そこにも問題があります。これも詐欺なのです。つまり、等価交換と区分所有法がセットになっていて、そうやって土地を巻き上げている。そして返す時には、ほんのわずかしか返さない。明らかにおかしいのですよ。
(深田)
本当におかしいですよね。全然等価交換ではなく、まさに詐欺です。
(山本)
価値が上がった分はすべて土地の価値なのですから、増えた分も本来は土地の所有者に帰属するはずなのですよ。
(深田)
そうですね。その分を全部返してくれるのならまだ分かります。全然等価交換ではないですね。
(山本)
今回、区分所有法の見直しがありましたが、我々がそういう問題を指摘しても、まったく反映されないのです。これは国土交通省の問題です。マンション法と呼ばれる区分所有法は、何ら改善されずに変更してしまったので、これからも詐欺が続きます。
だから、僕が言っている、裕福な場所が裕福な人の植民地になっていくというのは、最初からそういう方向を想定して作られているのです。裕福な人だけのための街にしようとしているわけです。
(深田)
そうですね。やはり「植民地」という言葉が本当にぴったりだと思います。植民地支配に来る人たちは、現地の人を騙すためにやってきて、現地の人の財産やお金を巻き上げていく。そして、その土地にいる人を奴隷化する。それが、まさに今のヒルズ型開発で起こっていることですよね。麻布台ヒルズなども、日本人の給与水準では到底住めないような、とんでもない価格です。
(山本)
記者クラブでも話したのですが、最上階は1世帯で200億円とか、そういう値段なのでしょう。虎ノ門ヒルズでしたか、250億円とも言われていましたよね。信じられますか?
(深田)
信じられないですね。
(山本)
1世帯分ですよ。多少広いとはいえ、それが200億円とか250億円とかいう価格になる。では、誰がそれを買うのかというと、海外の投資家なのです。あるいは日本の投資家が買うこともありますが、自分は住まないのです。資産価値として保有し、さらに値上がりすると見込んでいるのです。250億円のマンションに実際に住める人が、日本にいったい何人いるのかという話です。
(深田)
ほとんどいないでしょう。
(山本)
そうしたことを、○○ヒルズでやるわけです。すると何が起きるかというと、周辺の土地価格全体が猛烈に上がってしまうのです。そうなると、その周辺に住んでいる人たちの住居費も同時に上がっていきます。困るのは、そうしたマンション群の価格も一斉に上がっていくので、あまりお金のない人は、どんどん住めない街になっていくのです。
(深田)
本当におっしゃる通りです。私が住んでいるマンションも、賃料がどんどん上がっています。2年前に下の階から上の階へ少し移ったのですが、やはり下の階の方が良かったので戻りたいと思ったら、家賃が10万円も上がっていて、戻ることができないのです。もともと住民なのに、戻ることができない。いったん出てしまったら、もう戻れない価格になっているのですよね。
これが今後、ビーチリゾート型の植民地支配のような形になっていくのではないかと強く危惧しています。例えばメキシコのカンクンや、タイの島々にある美しいビーチでは、リゾート施設がビーチを買い上げ、地元の人が入れないようにフェンスで囲い、入り口では武装した警備員が見張り、お金持ちしか入れないのです。
そして、美しい海岸が地元の人から取り上げられてしまう。そうしたことが、世界各国の貧しい地域で起こってきたわけです。それが今、日本の下町で起こっている。それがヒルズなのだということですよね。
(山本)
そうです。金儲けをしたい人たちは、リゾートよりも、むしろこうした都市の下町の方がはるかに利益になることに気づいたのです。だから、そこを狙って壊し、超高層マンションを建てている。今の日本全体が置かれている状況そのものだと思います。
私は以前からそう言ってきたのに、日本のメディアはほとんど報道しません。取り上げるのは、ごくわずかな人たちだけです。いつも、私が海外で話してそれが逆に日本へ返ってくる。
今度の大阪万博についても、私は海外で話したのですよ。すると、むしろ海外の方で問題視されるということが起きているのです。ああいう、何とか維新などという党派がありますよね。あれは詐欺師集団ですよ。そうした詐欺集団が作っている博覧会に、建築家たちが喜んで参加しているのです。
(深田)
本当に情けないですね。
(山本)
まったく呆れます。
(深田)
昔の大阪万博とは、全然違うと思いますね。
(山本)
今回は特にひどいと思います。
(深田)
今回の大阪万博では、パビリオンを制作した人たちが搾取され、報酬が支払われていないという「未払い問題」があるじゃないですか。これは奴隷ですよ。日本人の奴隷化がすでに始まっている。正当な対価を受け取れていない一方で、金持ちだけが利益を得ている。
そこに住んでいる人たちや大阪の人たちは税金でそれを負担しているにもかかわらず、大阪の人たちは働いても二束三文、あるいは未払いにまでなっている。これも、植民地以外の何ものでもありません。
(山本)
その通りです。特に大阪は、ああした詐欺師集団の街になっています。一種の政治結社があって、その政治結社が今の大阪を支配している状態になっているわけですよね。彼らは、維新の会とか大阪維新の会とか、名前をいろいろ変えながら、大阪支配を進めてきました。
独裁国家並みになった状態の中で、彼らはIRの計画を持ち上げ、そのついでに博覧会を呼び込んできたわけですよね。公共性があるかのように見せかけたのです。
(深田)
そうですね。IRに税金を使う口実として、博覧会を持ってきたということですね。
(山本)
こんなことは、見え見えの話だと思いませんか。そして、私が最も驚いているのは、そこに参加している建築家です。「作る喜びだ」とか言っているのですよ。「何を言っているだ!」ということです。
もともとそういう意図で作られている博覧会に対して、ものづくりとして関わるのであれば、きちんと批判的な視点を持って作れるかどうかが問われるのです。この大阪万博は、もともとこういう意図で進められているのだということが分かるようなパビリオンを、本気で作るのであればまだ分かります。しかし、あんなバカでかい、グロテスクなリングを作るような者がいるわけですよね。
(深田)
そうですね。やはり、建築家として最前線にいる人たちが、建設業界全体のことも、日本のコミュニティのことも考えない。その結果として、植民地支配を許すような構造ができてしまっているのだと思います。
(山本)
おっしゃる通りです。
(深田)
そして政治家ですね。そもそも政治が悪いのですけれども、精神性を失った建築家と、精神性を失った政治家が結びついて、あのような植民地支配が始まってしまっているということは、本当に大きな問題だと思います。
今回は建築家の山本理顕先生に、ヒルズ型再開発は富裕層による植民地支配であるとお話いただきました。先生、どうもありがとうございました。
(山本)
ありがとうございました。





