#624【イラン戦争】米軍攻撃の裏に潜むイスラエルの黒い影と、隣国パキスタンが担う役割とは? フマユン・ムガール氏(2026.3.10)

(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム プロデューサーの深田萌絵です。今回は在日パキスタン人ジャーナリストのフマユン・ムガールさんにお越しいただきました。ムガールさん、よろしくお願いします。

(ムガール)
よろしくお願いします。

(深田)
今回はイラン戦争についてお伺いします。ムガールさんはお仕事でイラン製の素敵な絨毯を輸入して販売されていますが、イランで戦争が始まって何か被害のようなものは出ているのでしょうか?

(ムガール)
私は40年以上、日本でペルシャ絨毯の輸入販売をしており、イランから仕入れています。また親戚もイラン人と結婚して向こうに住んでいます。しかし今は、ほとんど連絡が取れない状況になっています。

(深田)
えっ、そうなんですか!?

(ムガール)
はい。これからは絨毯も入ってこなくなると思いますし、それが一番の被害です。いつもなら「こういうデザインを送ってほしい」と注文するのですが、イラン人の友人たちに電話しても、ほとんど連絡が取れません。今は99%インターネットが止められている状態で、向こうから連絡が来ない限り通話ができないのです。しかも電話代は非常に高いのです。

(深田)
そうなんですか。

(ムガール)
ええ。通話ができない状況で、向こうからこちらへ連絡することもほとんどできませんし、WhatsApp(※Meta社のメッセージ・通話アプリ)もLINEも使えません。インターネットが使えないので何もできない状態です。

(深田)
では、ほとんど連絡がつかない状態なのですね。

(ムガール)
時々、出来る程度です。被害としては石油も上がるけれど、ペルシャ絨毯も値段も今後は高くなるのではないかと思います。

(深田)
ではペルシャ絨毯を買うなら、今のうちということですね。

(ムガール)
はい、今のうちでしたら在庫を割引で販売していますので、ぜひ絨毯を買いに来てください(笑)。

(深田)
わかりました。福岡に行くときには、ぜひムガールさんのお店に伺います。それではここから本題です。ムガールさんには、トランプによるイラン戦争について、イラン隣国のパキスタン出身者から、この戦争がどのように見えているのかをお聞きしたいと思います。

(ムガール)
はい。私の国はイランの隣国ですから、本来は隣人として仲良くしなさいと言われますが、パキスタンは隣国のアフガニスタンともイランとも、仲が悪いのです。

(深田)
なるほど、そうなんですね。

(ムガール)
なぜ仲が悪いかというと、日本と同じように、パキスタンはアメリカの同盟国だからです。だからイランはがそれがあまり好きじゃないみたいですね。

(深田)
パキスタンはアメリカの同盟国なのですか?

(ムガール)
そうです。日本と同じですよ。独立国家ですが、アメリカの言うことを聞かないといけません。またNATOの活動でも、実際に多くの作戦に関わっているのはパキスタン軍です。そのため、イランとはどうしても対立関係になりやすいのです。

(深田)
なるほど。では今回のトランプのイラン戦争はどうでしょうか。イランではかなりの被害が出ていると思いますが、パキスタンは直接の損害はないのでしょうか?

(ムガール)
いえ、パキスタンでも大変です。戦争が起きれば影響はあります。パキスタンのイスラム教徒のうち、40%以上がシーア派です。シーア派の人たちにとっては、ハメネイ師は最重要な宗教指導者であり、神様のような存在です。その人が殺されたことで、パキスタンのシーア派の人たちは非常に怒っています。

この前パキスタン南部のカラチにあるアメリカ領事館の前でデモが起きましたが、その時にアメリカ海兵隊が発砲し、10人が死亡し60人以上が負傷したという事件がありました。これが今、パキスタン国内で大きな問題になり始めています。

(深田)
何と、パキスタン国内のシーア派の人たちがアメリカ領事館前でデモをしたら、米軍がそれを撃ち殺したのですか?

(ムガール)
そうです。大きなニュースになっています。日本ではあまり報道されていないですが、ぜひ調べてみてください。大きなニュースになっています。

(深田)
ちょっと驚きました。アメリカはそこまでやっているのですか?

(ムガール)
国際法の観点からどうなのかという点は、なかなか理解しにくいところです。ただ、パキスタン政府は暴動にならないよう、うまく抑え込みました。というのも、パキスタン国内でシーア派とスンニ派の対立が激化してしまうと非常に危険だからです。とはいえ、パキスタンの人々は怒っています。特にシーア派の人たちはイラン寄りで、イランの肩を持つわけですね。ただ政府としてはイランを支持するわけにはいきません。というのも、イランはサウジアラビアやUAEなど周辺国にミサイル攻撃を始めているからです。そのためパキスタン政府は非常に困っています。今はどうやってイランを説得するのかということですね。

(深田)
パキスタンは、基本的にシーア派が4割で、残りの6割はスンニ派という理解でよろしいのでしょうか。

(ムガール)
そういうことです。キリスト教徒もいますが、やはりスンニ派が多いですね。

(深田)
イラン国内では、ハメネイ師の体制に対して賛否があるとも言われています。これまで監視カメラで国民を監視し、かなり弾圧をしてきたので、米軍の攻撃を歓迎している市民もいる、という話を聞きますが、どれくらいの割合なのでしょうか?

(ムガール)
イラン国内では「こちらの味方だ」とはっきり口にすると大変になる。海外に住んでいるイラン人の中には喜んでいる人が多いです。彼らは国に帰りたいのですが、今の体制のもとでは帰れないため、変化を望んでいるのです。イラン国内にも同じ考えの人はいますが、海外ほど多くはありません。

(深田)
つまり、イラン国内で生活している人たちは、それほど歓迎しているわけではないということですね。

(ムガール)
そうです。だから暴動が起きていませんし、政権を倒そうという動きもありません。アメリカ側、特にトランプ氏は空爆を行えば国民が蜂起して政権が倒れると考えていたようですが、実際にはその動きは起きていません。

(深田)
では今回、イランは中東各地に反撃を行っていますが、この戦争はどのあたりで着地するとお考えですか?

(ムガール)
そもそも、この戦争はもともとイスラエルとイランの対立から始まった戦争で、最初からアメリカの戦争だったわけではありません。

(深田)
つまり、イスラエルとイランの関係から起こったもので、そこにアメリカが乗り出したということですね。

(ムガール)
その通りです。イスラエルはアメリカの同盟国ですから、何か起きればアメリカがイスラエルの味方をするわけです。イスラエルは小さい国で人口も少ないのですが、核を保有しており、軍事力は非常に強い国です。去年(2025年)、イランがミサイル攻撃を行った出来事がありましたが、対立は実際にはその頃から続いているのです。

それが始まったとき、どうやって止めるかという議論がありました。その時、トランプ大統領はパキスタン軍の長官であるアシム・ムニール元帥をアメリカに呼んで、2時間ほど会談しました。トランプ氏は「あなたの言葉ならイランが聞く可能性がある。何とか説得してほしい」と依頼したのです。

パキスタン政府もファシリテーターとして動こうとしましたが、イランはそれに応じませんでした。言うことを聞かないのなら、やるしかないと判断して、やったのではないですか。

(深田)
パキスタンとしては仲介をしようとしたけれど、イランが応じなかったということですね。その時、アメリカ側はどのような要求を出していたのでしょうか?

(ムガール)
アメリカの要求はまず交渉のテーブルに着くことでした。テーマは核開発で、核兵器を作らないことを約束させるということです。イランの核開発については長い間問題になっていますが、アメリカは、パキスタンが核技術を提供したのではないかと疑っているわけです。しかしパキスタン政府はそれをはっきり否定しています。

過去には友好的な関係だった時期もありますが、技術提供はしていないという立場です。パキスタンも核兵器を保有していますが、アメリカはパキスタンに対して核放棄を求めてはいません。一方でイランに対しては非常に警戒しています。その背景には、イスラエルとイランの間に長年の強い敵対感情があり「核を持てば本当に使うのではないか」という恐れがあるからです。イスラエルはその点を非常に恐れており、核放棄を実現させるためにアメリカに支援を求めた結果、アメリカが軍事行動に踏み切ったのではないかと私は見ています。

(深田)
ただ、ヨーロッパ諸国も積極的に支持しているわけではなく、アメリカが怖いから批判することを避けて沈黙しています。スペインが米軍基地の使用を認めなかったという話もありますが、国際社会としてはどう見られているのでしょうか?

(ムガール)
国際社会の視点から見ると、イスラエルやアメリカの行動が戦争犯罪になるんじゃないかと思うのですよね。法的な観点で言えば、国連安全保障理事会で議論し、国際裁判所で判断する必要があります。数字を見ると、ガザではイスラエルが何千人もの市民を殺しています。

もしアメリカが核兵器を使用すれば、状況は非常に深刻になります。かつて日本が広島と長崎で被爆したように「俺たちの言うことを聞かないから核を落とす」なれば、大変な目に遭うわけです。

そうした事態にならないようにすべきですが、アメリカがどこまで踏み込むかは正直わかりません。したがって、この戦争は非常に危険な段階に進む可能性があります。

(深田)
では、まだまだ長引きそうだということですね。

(ムガール)
その可能性は高いですね。空爆だけでは収まらないかもしれません。地上戦の話も出ていますし、クルド人を送るのではないかという話も、メディアでは見られます。

(深田)
クルド人を送るのですか。

(ムガール)
アメリカはこれまでも、現地の武装勢力を利用する戦略を取ってきました。アルカイダやタリバンを作ったのもアメリカやCIAの関与があったと言われていますし、ヒズボラやハマスなどの組織も複雑な背景の中で生まれています。もともとは自分たちの目的のための勢力が、後に反逆者に回るということも起きてきました。その延長線上で、クルド人勢力を利用する可能性があるのではないかという見方が出ています。クルド人はさまざまな地域に住んでおり、イランから追われた人々もいます。そのため、もし戦争が拡大すればクルド人勢力が関与する可能性があるという話も出ているのです。

(深田)
クルド人といえば、日本でも最近いろいろ話題になっていますね。

(ムガール)
そうですね。埼玉などで問題として取り上げられています。

(深田)
あれはトルコからビザ免除で来ているトルコ系クルド人ですよね。

(ムガール)
そうです。ただイラン系のクルド人もいます。多くの人が海外に出ている状況です。またイランでは宗教問題もあり、例えば新興宗教のバハイ教徒などは弾圧を受け、投獄されています。海外にいる親戚も今の体制が変わって家族が解放されることを望んでいるため、今回の出来事を歓迎する人もいるのです。

(深田)
なるほど。ではイランの一般国民の世論は、新しい体制としてどのような政治体制を望んでいるのでしょうか?

(ムガール)
イラン国内の中の世論ですね。権力者は二種類あり、一つはヒトラーのような軍事的な権力者、もう一つは宗教的な権力者です。イランはこの35~36年、宗教的な権力者(ハメネイ師)による統治が続いてきました。逆らえば死刑や投獄といった厳しい処罰があるため、国民主主義を望んでいると思います。

もし今の体制でいう“頭上の傘”が取り払われれば、かつての王政時代、つまりパフラヴィー王朝の頃のような国に戻ることを望む人もいるでしょう。当時のイランは素晴らしい国でした。しかしそれは難しいですね。

(深田)
現在、その末裔の方がアメリカに住んでいて、元王太子が復帰するというシナリオの可能性はあるのでしょうか?

(ムガール)
メディアではそのような話も出ています。しかしトランプ氏は、その人物がなるのが理想はあっても政治的な実力が十分ではないと見ているようです。本当は、イラン国内から新しいリーダーが現れるのが望ましいのです。民主主義的で、リベラルな考え方を持ち、国民を代表できる人物です。

シリアでは、テロリスト(アフマド・シャラア氏)が政治的指導者として扱われるような状況もあり、アメリカが関与してリーダーを育てる例もありました。イランの場合は、国民の支持を得たリベラルな指導者が現れることを世界中が望んでいるのではないかと思います。

(深田)
なるほど。一方で最近のニュースでは、イランの情報機関がCIAに停戦交渉の打診をしているという報道もありました。ただイラン政府はそれを否定しています。今回のイランとアメリカの戦争は、早く終わる可能性はあるのでしょうか?

(ムガール)
非常に難しいところです。アメリカが仮に「もうやめましょう」と言ったとしても、イスラエルのネタニヤフ首相は「今やめてはいけない」と主張するでしょう。つまり背後にはイスラエルの強い意向があります。「今こそ最後までやるべきだ」とイスラエル側が求めているのです。

もしイスラエルがなければ、トランプ大統領は戦争を止める可能性もあると思います。彼自身はこれ以上の犠牲を出したくないはずです。しかしこの問題は一人の大統領の判断だけで決まるものではありません。ネタニヤフ首相の影響力が大きく、アメリカ国内のユダヤパワーの政治・経済的影響力はすごいですよ。そのため、イスラエルの了解なしに方針転換をするのは難しいという側面があります。仮にイランが停戦を望んだとしても、イスラエルが認めなければ簡単には終わらない可能性があります。

(深田)
イスラエルは、なぜそこまでイランを攻撃したいのでしょうか?

(ムガール)
その背景には宗教的・歴史的な問題があります。日本では少し理解しにくいかもしれませんが、ユダヤ教とイスラム教の対立は非常に長い歴史を持っています。およそ4000年(※1)とも言われる宗教的対立の歴史です。
※1)イスラム教:7世紀にムハンマドにより成立

今のイスラエルという国家ができたのは1948年で、まだ70数年ほど前のことです。イスラエルでは、自分たちの国は聖書に記された神の約束の地だという考え方があります。私自身もドキュメンタリー制作の取材でイスラエルに行ったことがあり、資料を見せてもらいました。その中には本来のイスラエルの地図がありました。

その地図では、今のイスラエルだけではなく、ヨルダン、レバノン、UAE、さらにはサウジアラビアまでがイスラエルと言っているのです。そこは祖先の国であり、神が与えた土地だという考え方になります。今、イスラエルに力があるのは神の意思で、取り戻さなければいけない、というような宗教的解釈をする人もいます。これは主にユダヤ人の宗教家の話です。

(深田)
その「元イスラエル」の範囲に、イランは含まれていないんですよね。それでもイランを攻撃しているわけですね。

(ムガール)
イランはイスラエルにとって一番邪魔なのです。まず、イラン人はアラブ人ではありませんし、ユダヤ人でもありません。民族的にはペルシャ系でゾロアスター教の文化を持つ民族です。だから、隣の国を平気で敵に回して、UAEやカタールを攻撃するのです。思想が違うのです。

(深田)
イラン人はアラブ系ではないのですか?

(ムガール)
そうです。多くの人が混同しますが、イラン人はアラブ人ではありません。

(深田)
では民族としては何系になるのでしょうか?

(ムガール)
ペルシャ人です。一般的には「イラニアン(Iranian)」とも言います。イランという国は非常に古い歴史を持っており、4000年とも言われる文明の歴史があります。古代ペルシャ帝国の伝統を持つ国で、エジプトより古い文明とも言われ、途中からイスラムになったのですね。

(深田)
つまりアラブ諸国とは民族も違うということですね。

(ムガール)
その通りです。民族も違いますし、同じイスラム教でも宗教思想が異なります。そのためサウジアラビア、クウェート、カタールなどとは根本的なイデオロギーの違いがあり、簡単に話し合いでまとまる関係ではないのです。

(深田)
なるほど。ではこの戦争は、最終的に着地点はあるのでしょうか?

(ムガール)
非常に難しい問題ですが、最終的にはどこかの国が仲介する必要があります。私は、日本が一番いいと思います。今度日米首脳会談があるので、そこで高市首相がアメリカに対して「日本はひどい目に遭っている。広島や長崎のようにしないで、ほどほどにして」と働きかける。これは日本の高市さんに仕事ではないかと思います。

(深田)
いや、日本にそういう機能を求めるのは無理ですよ。日本は対米従属一直線ですからね(苦笑)。

(ムガール)
それは私も理解しています。私の理想論で難しいと思いますが、一つの例として申し上げただけです。日本はかつてアメリカと戦った経験がある国でもありますから。では実際に誰が仲介役を担うのかと言えば、やはりファシリテーターとして最も現実的なのはパキスタンではないかと思います。

(深田)
隣国同士ですものね。

(ムガール)
はい。今も一生懸命外交を進めていますし、もし最終的にイランがパキスタンの提案を受け入れてくれれば、戦争は止まる可能性があると思います。ですから、仲介を行っているのはパキスタンではないかと私は見ています。CIAといっても、パキスタンの情報機関であるISIとは非常に密接な関係があります。そのため、パキスタンの情報機関がCIAと連携しながら、水面下で動いていると思います。

(深田)
パキスタンの情報機関ISIがCIAと連携しているということですね。

(ムガール)
そうです。「こうした方がいい」「このように進めた方がいい」といった形で助言をしているのではないかと思います。

(深田)
ところで、パキスタンという国は、親中なのでしょうか、それとも中国とは仲が悪いのでしょうか?

(ムガール)
そこがパキスタンはある意味ではダブルスタンダードの外交をしている国なんです(笑)。

(深田)
どういうことですか(笑)?

(ムガール)
日本の皆さんにも理解していただきたいのですが、パキスタンは非常に現実的な外交を行っています。例えばある時はアメリカに「トランプさん、お元気ですか。軍備をください」と言う。一方で経済的には、中国に「資金が足りないので助けてください」とお願いする。中国とは「一帯一路」の中でCPEC(※中国・パキスタン経済回廊)を進めています。つまり両方の国から、必要なものを得ています。パキスタンにとっては、アメリカも中国もどちらも必要なのです。

(深田)
なるほど。その外交センスはイランでも発揮できそうですね。イランは基本的に中国寄りなのでしょうか。ニュースでは、イランが中国に対して安い原油を供給しているという話があります。制裁を回避する形で中国に輸出しているため、イランを攻撃すると中国が困るのではないかという見方もありますが、そのあたりはどうなのでしょうか。

(ムガール)
その点は確かにあります。例えばホルムズ海峡の封鎖で原油輸送が止まれば、中国が輸入しにくくなる可能性があります。実際、中国はイランを支持する姿勢を見せています。去年のイスラエルとの戦争の時にも、中国やロシアはイランを支援しました。

また、サウジアラビアとイランは長年対立していましたが、中国やロシアのプーチン大統領が仲介して関係改善を促した経緯もあります。そうした背景を考えると、中国やロシアはイランと深く結びついていると言えるでしょう。

(深田)
そうなのですね。では今回の戦争で、イランはどれくらいの軍備を持っているのでしょうか。例えばミサイルなどの備蓄はどれほどあるのでしょうか?

(ムガール)
正直に言えば、はっきり分からないというのが実情です。イランと北朝鮮は、ミサイル生産国として世界でも第1位だと言われています。ただ、実際にどれだけ保有しているかは機密事項ですから、誰も正確には分かりません。

ただし今回の出来事を見ると、情報戦の重要性がよく分かります。イスラエルがなぜハメネイ師の側近など多くの重要人物を暗殺できたのかというと、情報が漏れていたからです。何十人ものトップ層が殺害されていますが、これはイランの内部情報が外部に流れた結果です。つまりモサドやCIAに情報が渡っていた可能性があるわけです。

(深田)
確かに今回の件では、AI企業が関わり、通信企業のネットワークから情報が収集されていたという話も出ています。イランはファーウェイなど中国系通信企業のシステムを使っていたと言われていますが、そこからCIAに情報が流れていた可能性があるとも指摘されていますね。

(ムガール)
国家にとって情報管理は非常に重要です。その意味で、スパイ防止法のような法律は日本でも必要ではないかと私は思います。萌絵さんも長年その問題に取り組んでおられますが、国家安全保障の観点から見ても重要なテーマです。パキスタンにはそうした法律があり、かなり厳しい体制です。

なぜなら近くに大きな敵対国であるインドがあるからです。日本はそこまで直接的な危機を感じにくいかもしれませんが、危機意識を持つことは大切だと思います。今回のイランとアメリカの戦争から、日本が学べることは多いのではないでしょうか。

(深田)
そうですよね。私はスパイ防止法そのものには賛成ですが、今議論されている「高市政権による自民党のスパイ防止法」とは、アメリカのものとは全く異なり、単なる治安維持法で国民を監視するための法律なのです。それで、外国人を全く監視しないわけです。

イランやベネズエラの例を見ると、ファーウェイの通信システムを使っている国がCIAにやられています。一方で日本では、NTTの通信インフラを売却する方向の議論まで出ているので、日本も安全保障の面では危うい状況にあるのではないかと感じています。

(ムガール)
確かにそれは危ないと思いますね。

(深田)
本当にそうですね。つまり現時点では、イラン戦争の着地点はまだ見えない。つまりイランは最終的に諦めるのでしょうか。

(ムガール)
はっきり言って最後まで諦めない民族です。ここは、基本的に強いのですよ。なぜなら、死んだら天国に行けるということですから。死ぬまでやると言っているのですよね。だから、指導者ハメネイさんも殺されたけれど「死んだ」とは言わず「殉教の道へ行った」と言うのですよね。
今回の戦争でも、子どもを含め多くの人が亡くなっていますが、それぞれの墓を作り「殉教した」ということです。信仰が非常に強い社会ですから、自分たちも殉教の道を歩まなければならないという意識があります。

(深田)
つまり、イランが簡単に諦めることはない、そして、今後は市民が新しい政権を作ることを待つということですね。

(ムガール)
そうだと思いますね。

(深田)
なるほど、よく分かりました。今回は在日パキスタン人ジャーナリストのフマユン・ムガールさんに、イランの隣国の視点からイラン戦争について解説していただきました。どうもありがとうございました。

(ムガール)
ありがとうございました。

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