#623【通貨発行権の奪還?】トランプの天才的戦略。日本経済も吸い取られるステーブルコインの正体とは 大西つねき氏(2026.3.9)
(深田)
みなさん、こんにちは。政経プラットフォームプロデューサーの深田萌絵です。今回は、無所属連合共同代表の大西つねきさんにお越しいただきました。大西さん、よろしくお願いいたします。
(大西)
よろしくお願いします。
(深田)
衆議院選挙が終わり、さらにトランプ大統領の動きも非常に活発になってきています。
(大西)
そうですね。特に米国の中間選挙が今後どのような展開になるのでしょうか。現在、関税政策が大きく取り上げられていますが、関税もやはり自分に返ってきます。アメリカの産業は多くの部品を輸入しているのですよね。昨日もその話題が出ましたが、フォードなどの自動車メーカーは、関税をかけられると、輸入部品に関税がかかることになり赤字になってしまいます。だから、関税が決してアメリカの産業を強化することにはならないと思います。
(深田)
そうですね。インフレの要因にもなりますね。
(大西)
おっしゃる通りです。関税が物価上昇の一因になるので、金利を引き上げることで対応しようとしています。しかし、物価が上がれば金利を上げればよいという発想が、すごく古いのです。かつては通貨供給量が増えれば経済が活発になり、逆に引き締めれば過熱が抑えられるという関係が成立していました。例えば、元気な馬が手綱を緩めれば走り、引き締めれば止まるという状態です。
しかし、現在はお金の量が増えすぎている状況で、モノの生産がそれに追いつかず、価格が上昇しています。これが世界的に進んでいるため、金利を引き上げても物価上昇は簡単には止まりません。むしろ金利を引き上げることで、さらに資金が増えてしまいます。
世界経済は手詰まりで、通貨の価値がどんどん下がっていくことは必然です。現在、基本的にすべてのお金が借金によって発行されています。そのため通貨は膨張を続けて、特にアメリカでは金利が高く、借金まみれになっていて、さらに借金でお金作らないと回っていかない。
(深田)
トランプ大統領は、これ以上国債を発行しても引き受け手が不足する可能性があると考え、その対策としてステーブルコインを使うのだとおっしゃっているわけですが、このステーブルコインはどうですか?
(大西)
ある意味では、うまい手を考えたものだと思います。というのも、これまでのビットコインのような暗号資産には裏付けとなる資産がないからです。
(深田)
裏付け資産がありませんよね。
(大西)
裏付け資産がないうえ、価格変動があまりにも大きすぎるので、安定した通貨として利用するには使いにくいのです。そこで、価値がある程度安定したステーブルコインが求められるようになり、その裏付けとしてドルや米国債に連動させる仕組みが導入されました。
ステーブルコインのような暗号資産は、どこで決済するのかというプラットフォームがなければ実際の決済には使えないのです。そのプラットフォームの大半を握っているのはアメリカ企業で、Amazon、Facebook、Googleといった企業はいずれもアメリカの企業です。
そうすると、これらのプラットフォーム上でドルベース、あるいは米国債ベースのステーブルコインによる決済が広がっていけば、あらゆる価値がそこで売買されるようになります。さらに、米国債やドルを基盤とするステーブルコインであれば、もちろん金利が得られます。
決済しながら資産が増えていく通貨であれば、人々はそれを使って商品を売るようになる。たとえば、日本の農家が生産した米を、ドルベースのステーブルコインで販売することも可能になります。今度はその通貨で他の商品を購入できるので、人々はどんどんその通貨を利用する方向へと移行していきます。
本来、通貨の裏付けとは、その通貨で買えるものが価値の裏付けになります。円の裏付けは円買えるものが価値の裏付けになるのです。しかし、円で売る人が減り、ドルベースのステーブルコインで取引する人が増えれば、日本の経済圏が吸い取られてしまいます。
(深田)
そうですよね。私もその点を非常に懸念しています。
(大西)
これまで基軸通貨のドルは、1945年の国際的な合意によって決められたことで、各国はそれに従っていただけなのです。しかし現在では、個々の企業が自社の商品やサービスをどの通貨で受け取るかを自由に決めることができます。つまり、国家の取り決めではなく、企業や個人の判断によって取引通貨が選ばれる時代になりつつあります。
もし企業や個人がドルベースのステーブルコインで取引を行うようになれば、世界中の経済活動がドルや米国債を買い支えるようになる。それに対する需要がさらに高まれば、ドル一強になる可能性もあるのです。
(深田)
そうですよね。トランプ大統領は、ステーブルコインを発行することで、米国債の引き受け手不足を補完するだけでなく、そのステーブルコインで経済圏を作ることができる。しかもそのステーブルコインが、自分の息がかかった企業だとFRBを乗っ取り、自分が通貨発行権を牛耳って、自分の一族が強くなる。全てにおいて完璧なシナリオで天才という意味のGENIUS法と名前をつけたのかなと思ったのです。
(大西)
かなりうまい手であり、日本はかなり厳しい一手を打たれたという印象です。
(深田)
そうなのですね。ところが日本はほとんど無防備です。
(大西)
全くその通りです。まず通貨の仕組みが、日本では理解されていないです。さらに大きな問題は、日本には強力なプラットフォーマーがいないことです。もちろん楽天のような国内企業はありますが、日本国内に限られています。
(深田)
プラットフォーマーを構築するためには、巨大なデータセンターを整備する必要があります。実は、これはインフラ事業じゃないですか。アメリカで巨大なプラットフォーム企業が生まれたのは、技術力だけでなく、データセンターの整備があり、国家が見えない形で後ろから支えていたのですよ。
一方、日本は何の支援もない。この差が非常に大きく影響したと思います。中国でも大規模なプラットフォーム企業がいますが、あれも政府が後ろについているのです。巨大なデータセンターを建設するには広大な土地が必要であり、発電所の整備や水の供給も不可欠です。さらに、働く人の食事や住居など、町づくりから始めるが必要があります。国家の後ろ盾なしにプラットフォーム事業はできないのです。
2000年代、特にリーマンショック以降には、SNSやプラットフォームビジネスのブームが起こり、多くの起業家が出てきては消えていきました。原因はサーバーコストオンリーです。サーバーの維持費を自社で負担しなければならない一方で、十分な課金モデルを構築できず、損益分岐点を超える前に消えてしまうのです。一方、課金に踏み切ると、ユーザー数を十分に獲得できず小規模にとどまってしまいます。
当然ですよね。お金がないのに、どうやってその事業を回すのかということですよ。考えると、国家がバックアップしているか、裏からスパイ国家がしていない限りできるはずがないビジネスなのですよ。これをを起業家が見落としがちになっていると思うのです。
(大西)
日本は土地の価格が高いので、民間だけで事業を進める場合、データセンターを建設する場所を確保するだけで大きな費用がかかります。そこは公的な土地などを活用する形で国家が支援する仕組みが必要でしょう。
現在、日本円ベースのステーブルコインを構想している人たちもいますが、どこで決済するのかという問題が残ります。決済プラットフォームがなければ難しく、ドルベースの方がはるかに広がる可能性が高いのです。下手をすると、日本の経済圏が吸い取られていってしまいます。
(深田)
その可能性はかなり高いですね。逆にSUICAを世界中に広めるという可能性はどうでしょうか?
(大西)
SUICAは基本的にプリペイド、つまりチャージ式なので、決済プラットフォームとしてどこまで機能を拡張できるのか検討の余地があると思います。
(深田)
では、日本が対抗できる仕組みは何かあるのでしょうか?
(大西)
難しいですね。今から日本発のプラットフォームを作ろうとしても、ユーザー数をどれだけ拡大できるかという点になります。
(深田)
やはり、現実的にはかなり難しいですよね。SUICAは利用者数が多いのですが、鉄道があるから普及しているので、外国にはないですものね。
(大西)
おっしゃる通りです。SUICAではどうしようもないですよね。
(深田)
そうなると、ステーブルコインが流通し始めた場合、日本はほとんど無防備な状態になってしまうということですよね。
(大西)
その通りです。下手すると、日本の経済圏から価値が吸い取られてしまう可能性があります。しかし、その問題に対する十分な議論はあまり聞かれません。どのように備えるべきかアイデアがあるようには思えない。このままでは、日本は本当にやられてしまいます。
(深田)
実際、中国はステーブルコインに対して規制を行っています。国外のステーブルコインが国内に入り込まないようにコントロールしているのですよね。
(大西)
それは一つの方法ですね。少なくとも自国の経済圏を守るためには、外国通貨を基盤とするステーブルコインについては、国内での利用を禁止する方法も考えられます。
(深田)
ところが、日本では最近、暗号資産の課税制度が大きく変わりました。これまで暗号資産は雑所得だったのが金融所得と同様に20%の分離課税に変更されることが決まりました。これまで暗号資産を避けていた人の多くは、雑所得で儲かっても全部税金に持っていかれるから意味がないなと距離を置いていました。しかし分離課税になるので「それなら今から投資してみよう」となるわけですよね。
これはやはり、日本政府のとんでもないポンコツな手であって、自国民を守るのではなくて、結局はアメリカの利益を守っているのです。ビットコインなどの暗号資産が出てきて何年たっても雑所得扱いにして、みんながで「税金がきつい」って言っているのを無視してきました。それが、アメリカが「やれ」と言ったらすぐに「はい、やります」と。
(大西)
下手をすると、高値というババをつかまされ、市場でいいようにやられてしまいます。株式売買も同様ですが、投資による利益は何も作っていないのです。そのような活動に税率を低くするということは、国民に生産活動ではなく、投資や投機による利益追求を奨励することになります。結果として国の経済はどんどん空洞化していくことになります。
(深田)
そうですよね。さらに、暗号資産やステーブルコインに対する税制が緩和されたタイミングも気になります。トランプ大統領がステーブルコインの推進を打ち出して、暗号資産の価格は全体的に下落しました。その時期に税率を引き下げるという議論が出て、その後再び価格が戻っているのです。こうした経緯を見ると、日本政府が結果として相場操作に利用されているのですよね。
その結果、ババを掴むのは日本国民です。株式市場も現在、とんでもない高値で、今後崩れるかもしれない。それにもかかわらず新NISAで「今こそ株式を、特に全世界株式(オール・カントリー)で買いなさい」と推奨しています。
(大西)
つまり、日本を博打国家にしておいて、最終的にはその賭博場で国民を負けさせる構造になっているのです。カジノでカモにされているということです。
(深田)
そうなんですよ。皆さんはそのことに気がついてください。金融機関で働いていたので、自信を持って言えるのですが、全ての金融機関の言うことを信じてはだめですよ。全ての金融商品は詐欺です。
(大西)
私も同感です。現在の金融自体が詐欺です。
(深田)
だから、実体があり、手に触れることができるものが重要です。触れるものが一番価値がありますからね。
(大西)
まさにその通りだと思います。多くの人はお金を信じ過ぎています。この状況が続けば、悲惨なことになると思いますよ。
(深田)
私自身も、株価の暴落や通貨下落で、日本人がこてんぱんにやられる日が近づいているなと思っています。
(大西)
そうですね。そうした状況に向けた準備はすでに進んでいると思います。実際、数年前からインターネット広告などで頻繁に見かけて、危険だと感じたものがあります。それがリバースモーゲージやリースバックといった仕組みです。これらは、人々が抱く「マイホームの夢」を食う金融商品です。
(深田)
サブプライムローン問題の原因の一つがそこにあったことを、もう忘れてしまったのでしょうか。わずか15年ほど前の出来事ですよ。
(大西)
たとえばリースバックの場合、自宅を売って、その家をリースで借りる仕組みですが、お金なくなったらそれまでです。リバースモーゲージの場合も、自宅を担保にして老後資金を得る仕組みですが、最終的には住宅と借金を清算するので、最後は銀行屋が勝つようにできているのです。みんなのマイホームへの夢を食い物にして金融屋が持っていってしまうという仕組みになっているから、本当に悲惨なことが起きると思いますね。
(深田)
私もまったく同じ懸念を抱いています。そこにステーブルコインという新たな要素まで加わっています。
(大西)
そもそも、日本人は本当に金融に疎いのです。
(深田)
本当びっくりですよね。私の所属していた金融機関の先輩であるとか、あの周りにいた有名な女性たちが今すごく活躍して投資教育やっているのですよね。その人は何十億持って、成功されている人たちなのですが、そういう人たちがいると、みんなが憧れて「やはり投資がいいんだ」ということになっていくのですよね。
でも投資した方は幸せになっていないのですよ。投資は単なる博打です。投資は博打とは違いますという人いるけれども、博打と変わりません。
(大西)
私も同感です。投資家が利益を得ることができるのは、実際に汗水を垂らして働いている人たちが価値を増やしてくれているからなので、投資家はその上前を跳ねているだけなのです。やはりフェアではありません。
(深田)
そうなんです。やはりそこの仕組みをみんなに分かってもらいたいなと思っています。
(大西)
さらに言えば、金融所得に対する分離課税20%という制度そのものにも問題があります。通常の所得であれば、最高税率は地方税を含めて55%になります。つまり、労働によって得た所得には半分以上の税でとられるのに、何も作っていない市場でただ売り買いする人には20%でいいですよということは、何にも作らなくてそちらで儲けた方がお得ですよと言うことですよ。
(深田)
その通りです。
(大西)
これはもう滅びる方向性というか、考え方としてあまりにも浅はかです。そういうことに対して「おかしい」とあまり誰も言わない状態はどう考えてもおかしいですよね。
(深田)
おっしゃる通りです。アメリカのために暗号資産を分離課税にするのであれば、なぜ消費税を減税しないのかとなりますよね。
(大西)
結局、この国は誰の利益のために動いているのかという話ですよ。そう考えると、国家として自立する覚悟がなければ、単に選挙に言っても無駄ではないのかという疑問も生まれてきます。
(深田)
今回の衆議院選挙も、アメリカ大統領であるトランプ氏が「高市氏を応援する」と発言したことは、内政干渉ですよ。しかし、その感性がないことに、私は強い危機感を覚えます。自国の政治に外部からの発言が内政干渉であると理解されない状況は、国家として非常に危うい状態ですよね。
(大西)
やはり「トランプ黙っていろよ。余計なこと言うな」と言わないといけないですね。
(深田)
本日は、無所属連合共同代表の大西つねきさんにお越しいただき、「すべての投資商品は詐欺である」というお話を伺いました。大西さん、本日はどうもありがとうございました。
(大西)
ありがとうございました。





