#611【やっぱりATM合意じゃん!】中小企業は壊滅寸前…日本を捨てて米国に投資する高市政権へ怒りの提言 田村秀男氏(2026.2.25)

(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム プロデューサーの深田萌絵です。今回は産経新聞特別編集委員の田村秀男先生にお越しいただきました。先生、よろしくお願いします。

(田村)
よろしくお願いします。

(深田)
先日、田村先生のFacebookの投稿を拝読しました。「日本の中小企業の資本ストックがどんどん下がっている」という非常に重要なご指摘をされていました。これはどのような要因によるものなのか、他国や他業種と比べて違いはあるのですか?

(田村)
これは実に恐るべきことで、まずはこのグラフを見ながら話した方がいいと思いますね。

まず資本ストックとは何かと言えば、蓄積された固定資産であり、老朽化した設備などを差し引いたうえで、ネット(正味)でどれだけ資産が残っているかという、いわば資本主義の原点に関わる資産です。私がそのデータで特に問題視しているのは製造業です。

米国のトランプ大統領が復帰後、真っ先に言い出したのが製造業の復権だと言うのでしょう。
その次に繰り出したのは高関税です。関税の狙いは一体何だろうと思ったら「俺の所にお前の金よこせ、投資しろ」ということです。それで製造業を復権させると称して「言うことを聞かないなら高関税ぶっかけるから、アメリカの製造業を中心に投資をしろ」ということです。投資とは言うけれど、いろいろありましてどういう意味かなと思ったら、要するに「金だけ出せ」というのがまず基本です。

(深田)
投資だけれどもリターンはないのですよね。

(田村)
リターンは「9割は俺がもらう、お前は1割だけだ」ということですかね。

(深田)
でもその残りの1割もアメリカに再投資せよということですか。

(田村)
そういうことになるでしょうね。それで、そんな無茶な話ないから、結局民間に金だけ出せと言っても、三菱UFJもみずほも「それはちょっとご勘弁を」になるでしょう。メーカーもすでにアメリカにいろいろな投資をさせているので逃げるでしょう。

しょうがないから、これは政府系金融機関のその国際協力銀行と日本貿易保険に投資をさせる。国際協力銀行は財務省官僚系、日本貿易保険は経産省官僚系で、あの役人どもの利権機関なのですね。ここが出資したり融資したり、さらには信用保証をどんどんやるということで、要するにリスクフリーのマネーにしてしまう。

リスクを引き受けるのは、政府系金融機関です。それで対米5500億ドルは最初は貸し付け枠と言っていたのが、だんだん言い方が変わってきて、トランプの方は投資だと言っている。日本側は貸し付け枠と言って2つ政府系金融機関が「じゃあ分かりました。85兆円つまり5500億ドルを3年間で出しましょう」という話になってしまったわけですね。

(深田)
返ってこないのですよね。

(田村)
だから、本来の資本主義で投資したり融資したりしたら、リスクがあるでしょう。そのリスクが非常に大きいものに関してアメリカが選び出すわけですよ。

(深田)
一番リスクが大きいところを取らされるのですか?

(田村)
分かるでしょう。アメリカは基軸通貨のドルですから、いくらでも世界からお金が入ってきます。投資ファンドが「ハイリターンですよ」と言うと、お金をガンガンガン集まるじゃないですか。

(深田)
あ、儲かるところにはもうお金が入っていますね。

(田村)
当たり前です。それで人工知能だ、生成AIだといって、データセンターを作らないといけない。データセンターのためには、電力がいりますよね。だからブームですよ。大変なブームで今、あのアメリカはデータセンターと発電所の建設プロジェクトがもう目白押しなのです。

これはほとんど金集めに苦労しない。アメリカのニューヨーク市場であれ、どこであろうと、どんどん資金調達ができる。それなのになぜ日本に「金を出せ、金を出せ」と言うのか、僕はよくよく考えたら、要するに一番リスクの高いところは民間の金が来ないのですよ。

(深田)
というか、リスクが高く、そこを水増しして2倍とか3倍、5倍ぐらい請求して、中抜きしようとしているんじゃないですか。

(田村)
トランプ一族というのは利権集団で、それにまたぶら下がる連中がゴロゴロ集まっているのが今のトランプ政権ですよ。

(深田)
そうです。AI企業が集まっています。

(田村)
トランプ一族は、みんな仮想通貨やステーブルコインとか、自分たちはえらく儲けているでしょう。

(深田)
そうなんですよ。

(田村)
あそこに集まっている人は投資ファンド系ですよ。商務長官のハワード・ラトニックとか、財務長官のスコット・ベッセントとか、こういう人たちはみんな投資ファンドなのです。

(深田)
そうですよね。あんなに投資ファンドばかり入っている政権がありますか?

(田村)
投資ファンド集団ですよ。だから利権集団です。それでその連中が「日本は、言えば金をちゃんと出すよ、あいつらは」と言うのです。リスクマネー、要するにアメリカ資金調達できないようなプロジェクトは、日本に押し付けろということだったんじゃないかというのが私の見立てです。

(深田)
多分それ以外考えられないですね。

(田村)
特にあの製造業の分野など、アメリカはもう中国にもうコテンパンにやられて、日本やドイツの企業にもう追いつかないわけです。そんなものはリスクがいっぱいでしょう。製造業復権などと簡単に一言で言うけれど、投資家や金融機関が金をつけなかったら一切できない。

(深田)
そうですよね。

(田村)
だから、そういうとこやらせるためには、金を持っている国がいい。あるいはアメリカに何か言われたら「はい、はい」と言う国がいい。それで選ばれたのが日本、それで次が韓国です。それでヨーロッパは「従来やっているペースでやってよろしい」という合意をした。これが投資合意なんだよね。

(深田)
ヨーロッパはもうほぼ口約束でやる気はないです。

(田村)
ヨーロッパは従来通りのペースで、要するにヨーロッパは確か、6000億ドルぐらいかな。この6000億ドル3年間というのは従来通りの直接投資の額とぴったり一緒なのです。

(深田)
あ、そういうことですか。

(田村)
従来通りやればよろしいということで、日本と韓国は大体2、3倍ぐらいやらないといけない。

(深田)
それだけの額の円を売ってドルを買ったらものすごい円安になります。

(田村)
あれは7月22日に基本合意があって、9月の初めぐらいに、最終合意になったのだけれど「アメリカが指定する期日までに約束通りの金をアメリカの銀行にドルで振り込め」となっているんだよね。

(深田)
日本国民にとっては地獄ですよね。

(田村)
だから俺はだからこの合意はATM、現金自動支払機だと言っている。

(深田)
そうです。それはそうですよ。

(田村)
俺は「ATM合意だ」とどこかで書いている。そしたら、あの霞ヶ関の役人どもが俺に対して「あくまでも、貸し付け枠の合意でありますから、直接投資に結びつくわけじゃありません」と言う。要するに貸し付け枠だから、5500億ドル(85兆円)と言っても、別にその通り出さなくてもいいんですよ」みたいなことを言って、クレームをつけてくるんだよ。それで、霞ヶ関の官僚どもと喧嘩したんだよ。でも、俺の言う通りになっているんだよ。

(深田)
霞が関の官僚は、独自の解釈を押し付けてきますよね。

(田村)
彼らたちに利権が発生するんだよ。JBIC(国際協力銀行)、それから日本貿易保険(NEXI)のスタッフは「こんな無茶な」と戸惑う人はいう人結構多いのだけれど、上の方は「してやったり」なのです。

(深田)
ノリノリですか?

(田村)
自分たちの縄張りが広がるから。

(深田)
天下り先を作りまくりですよね。「お前に何億かやるから、100億につき1人受け入れろ」とかやりまくっていますものね。

(田村)
みずほ銀行などにとってはJBICが全部融資リスクを引き受けてくれる。これは楽でしょう。「損しました。返済がありません」「じゃあこれ保険で保証します」「払ってくださいね」となるわけですよ。

(深田)
それは全部税金で賄うのですね。

(田村)
最終的には納税者に行くわけですよ。

(深田)
これは二重の苦しみですよね。円売り圧力で円安が加速し物価高になる。その後、85兆円は焦げ付く確率の高いリスク案件です。

(田村)
全部が焦げ付くとは言えないけれどもね。1割でも焦げ付くと8兆円を超えるよ。

(深田)
金利が1%上昇するのと同じぐらいの打撃ですよね。

(田村)
そこで投資リスクの第1弾合意ができたとトランプが先日の2月17日に発表したのですよ。これはウォール・ストリート・ジャーナルの記事から取りました。そして3月19日に高市首相がアメリカに来たら、調印式が行われるのです。

(深田)
調印式とは、投資の調印式ですか?

(田村)
多分、日米首脳で最初の高市・トランプの密月のようなことをおそらくマスコミに書かせるのでしょうね。一番大きいプロジェクトが5.5兆円の天然ガスの発電プロジェクトで、これをオハイオ州のポーツマスで、330億ドルの天然ガス火力発電所を作ると言うのですよ。それで、メイン・コントラクター(建設事業者)はどこかというと、ソフトバンクループですよ。

(深田)
やはりソフトバンクなんですね。

(田村)
ソフトバンクグループが主契約者になる。さすがにこれは霞ヶ関も大問題になっていたのですよ。ソフトバンクが発電事業とは、太陽光パネルをちょっと並べるようなことはやったかもしれんけど、本格的に巨大な火力発電所は実績もなく、やったこともない。そこがなぜ受注できるのか。

(深田)
ただの利権ですよね。中抜きじゃないですか。

(田村)
主契約者というのは、全ての機器を調達して全体の設計をやってメンテナンスの責任を持つということです。これはれコンサルタント料がどんどん入り、額にして3割ぐらいになる。大きな利権プロジェクトです。

(深田)
80兆円投資の初期の段階から、海外メディアは「これはソフトバンクにかなりの金が流れる」と報道されていました。

(田村)
その第一弾が実際にソフトバンクになった。おかしな話です。

(深田)
おかしいですよ。孫正義大先生はアメリカでも日本でも大人気ですね。

(田村)
孫さんは、トランプに最も食い込んでいる日本人です。そこは大したもんだなと俺も思うのだけれど、日本では考えられないのですよ。日本で火力発電やる時に、何の経験もないソフトバンクループが主契約者になれるのか?

(深田)
そうですよね。普通は怒りますよねKDDIがいきなり「火力発電を始めます」と言ったら、おかしいだろうという話になりますよ。

(田村)
発電事業は実績がものを言うのだから、そういうことは非常におかしいということで、さすがに霞ヶ関の官僚は、ソフトバンクの名前が出てきた時に、潰そうとしてきたのですよ。

(深田)
あ、そうだったのですか。

(田村)
ところが潰しきれなかった。

(深田)
それは、トランプ大統領にすごく食い込んでいますから。

(田村)
日本、ATM合意とやってしまったものだから、アメリカに「お前、今更何を言っているんだ」ということです。

(深田)
関税ディールの調整役に台湾の半導体企業TSMCやソフトバンクの孫正義が入り込んでいるとワシントンDCの関係の方から聞いたことあるのですよ。なぜ日米の関税ディールに彼らが入り込んでいるのだろうと思ったら、大きな投資プロジェクトはあそこがほとんど金を受けるということですね。

(田村)
7月22日に基本合意した日本の対米投融資合意の5500億ドルの枠で、これはもうトランプ大統領が最終的にどれを選ぶのか、そして「指定する期日にその金をドルで振り込め」というわけですよ。

(深田)
その最初に選んだ企業がソフトバンクだったのですね。

(田村)
そういうことですよ。これは何か象徴しているなと思います。こんなことをやっていたら、高市さん、これは日米同盟という名において、怪しげなことに政府が後押しして、関与して日本の血税をつぎ込むと、とんでもないことになりますよ。大問題ですよ。

(深田)
日本の成長を差しおいてアメリカに投資をする。しかも全然その理由が立たないです。

(田村)
そもそも高市政権は、強い日本にする、成長投資をやる、危機管理投資をやるということで、選挙にも圧勝しているわけでしょう。これからお手並み拝見となるのです。

その時に一番大事なのは、この日本が「失われた30年」で、その経済が停滞して、投資も停滞していて、それをどうやって活性化するのかということです。投資がどれぐらい停滞しているのか、製造業に関して資本ストックの推移を作ったのが先ほどの資料ですよ。

日米で比較をしてみると、2010年を100として、どれだけその資本ストックが推移してきたか。さらに日本の場合は製造業ね、大企業と中小企業、全規模と分けてグラフにしたのですよ。これを見れば分かるでしょう。全体的に大企業も全規模、右肩下がりなのですよ。

とりわけ一番激しく縮小しているのが中小企業です。これは名目値ですが、2010年を100とすると、2025年9月の時点で、2割近くも縮小していますね。全体的にもやはりそうです。

では、アメリカはどうなのか、トランプが言うようにアメリカはどんどん衰退しているのか。
さにあらず。実は、右肩上がりで、アメリカの製造業の資本ストックはどんどん伸びているのですよ。

(深田)
そうですよね。

(田村)
なぜアメリカが伸びているのかと言うと、新鋭設備がどんどん入っているということです。アメリカに投資しているのはどこかと言うと、トヨタとか日本の自動車産業がかなり貢献しているわけです。

(田村)
逆に言うと、日本国内では投資をしてないことになるのです。

(深田)
そうですよね。トヨタは日本市場向けの自動車までアメリカで作ると言っていますよ。

(田村)
日本の製造業が依然としてやはりそれだけの力があると、我々も自分を励ますために「日本はまだ製造業立派なんだぞ」と言いたい気持ちがある。ところが、この数字を調べてよく分かったのは製造業と言っても、トヨタや松下、日立などの裾野を支えているのは中小零細企業ですよ。

中小零細企業の要になるのは鋳物とか鍛造と言われる業種ですよ。鋳物とは部品のとか製品の型を作る。鍛造はしっかりした部品を作る。要するに基礎の部分です。これを支えているのは中小零細企業なのです。ところが、どんどん縮小に縮小を重ねて、新鋭設備が入っていないのです。

(深田)
そうですよね。右肩下がりですよね。

(田村)
これは元内閣官房参与の加藤康子さんと話したら「田村さん、鋳物とか鍛造の業種は20~30年間、設備更新を全然やっていませんよ」と言うのですよ。彼女そういう中小零細の製造業をずっと深くフォローしておられますから、本当に信憑性高いのです。

こんな状況なので、日本の製造業は実際にはアメリカより遥かに加速して衰退しているわけですよ。だから、日本に必要なのは投資ですよ。投資のお金を新鋭設備にどんどん投入していかないと、日本は競争力がもう全然保てない。中国にボロボロに負けてしまいますよ。

(深田)
ところが、その投資マネーはアメリカに向かっているわけですね。

(田村)
しかもレアアースの供給制限を仄めかされて、トヨタ自動車も上海の郊外に大規模ハイブリッド新鋭工場を作る。中小の下請け企業と一緒にごそっと進出するので、日本のノウハウが全部向こうに流れてしまうのです。

(深田)
このままでは高市さんはしっかりしていかないといけないですね。

(田村)
さらに重要なデータが、企業物価指数で調整した実質ベースの資本ストックです。2021年以降、物価の値上がりが激しく減少は深刻です。

(深田)
これはもう3割減ですよね。

(田村)
コロナ以降激しいのです。2012年に比べると、3割近い減少ですね。他の業種も15%から20%減で、これもう滅びる前兆じゃないですか?

(深田)
トレンドからすると、あと20年ぐらいしか持たないじゃないですか。

(田村)
それなのに、リスクマネーをアメリカに投資するとは、どういう神経なのか。

(深田)
そうですよね。日本列島を豊かにすると言っているではですか。

(田村)
だから怒るよ。

(深田)
先生、怒りますか。高市さん支持しているのに、本件に関してはお怒りですか?

(田村)
いやいや、本件に限らず僕はジャーナリストですからね。アメリカはアメリカファースト主義でしょう。それは大いに結構ですよ。だから日本も日本ファースト主義で行かないといけない。

(深田)
そうですよ。全然そうしてもらって構わないと思います。

(田村)
「アメリカファーストに従いましたから」と言って「それでよろしい」と言うわけにはいかないのですよ。

(深田)
先生は保守派で、基本的に高市さん支持じゃないですか。それでも媚びずに言うべきところははっきり言う。これはジャーナリストとして素晴らしいです。

(田村)
俺は誰にも媚びたことありませんから。

(深田)
今回は媚びないジャーナリスト田村秀男先生による「高市さん、日本のことをしっかり考えてください」というお話をいただきました。先生、どうもありがとうございました。

(田村)
ありがとうございました。

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