#609【トランプは本気か?】「あと10日で世界は知ることになる」トランプのイラン攻撃の真意と緊迫の空母派遣 宇山卓栄氏(2026.2.23)
(深田)
皆さんこんにちは。政経プラットフォームプロデューサーの深田萌絵です。今回は作家の宇山卓栄先生にお越しいただきました。宇山先生よろしくお願いします。
(宇山)
よろしくお願いいたします。
(深田)
最近のイラン情勢です。少し前まではイラン国内でデモが発生し、トランプ大統領が「応援に行くから待ってろよ」と言っていましたが、その前言を撤回すると、静かになってしまいました。ここからどう動くのですかね?
(宇山)
現在、トランプ大統領は「イランを攻撃するぞ」と言っています。今日は2月20日ですが、「あと10日立てば俺が何をするか分かるだろう」と言っているわけです。
(深田)
そこまで進展していたのですね。1月半ばには、イスラエルに気を使ってこうトーンダウンしましたよね。それが今また、ヒートアップしてきているということですね。
(宇山)
そうです。攻撃も辞さないとはっきり言っています。実際にアメリカはイラン沖に第1軍の空母打撃群としてエイブラハム・リンカーンを送っております。もう到着を間近にしているような状況です。北側から挟み撃ちするように地中海にもジェラルド・フォード空母打撃軍を進行させている途中です。間もなくフォード空母軍が地中海の側に配置して上下からイランに圧力をかけていくという状況なのですね。
同時に、イランとの核交渉の協議も行っている途中です。イランもさすがに自らの足元火がついていますからね。前回、私は「イランの革命体制がそう簡単に崩壊することはなかろう」と申し上げました。年初以来、ハメネイ師がロシアに亡命するという報道がずっと流れていたでしょう。私は、そのようなことは絶対にないと否定をしたわけです。
実際にデモは大方収束しています。再燃しているという情報もありますけれども、イスラム革命防衛隊がハメネイ師のコントロール下にあるうちは、そう簡単には体制はひっくり返ることはないのです。
イランが弱っていることは誰の目からも明らかですから「アメリカがこの隙をついて、イスラエルと共に何らかの軍事攻撃を仕掛けてくる可能性は十分にある」と前回申し上げました。実際にあのそのような形で軍事攻撃をする構えです。さすがのイランもアメリカの圧力に屈して、要求を聞き入れると思いきや、意外と強硬なのですよ。
(深田)
そうなのですね。
(宇山)
なぜなら、トランプ大統領自身がエプスタイン問題で足元に火がついていますよね。
(深田)
エプスタインのプライベートジェット機の『ロリータ・エクスプレス』に8回乗ったとか、アンドリュー英元王子も昨日逮捕されました。
(宇山)
欧米社会を揺るがす事態です。
(深田)
特権階級が呑気に構えていられないぐらい火がついていますものね。
(宇山)
こんな状況ですからイランの人たちも「イラン攻撃をできるものならやってみろ」と鷹揚に構えている状況なのですよ。ただ、さすがに相手はトランプさんですから、短気を起こしていきなりミサイルをぶち込む可能性もなきにしもあらずなのです。
さすがのイランも昨日は「経済制裁を解いてくれるならばウランの濃縮をやめてもいい」という譲歩案を、差し示してきたわけなのです。そして本当に交渉が何らかの形で妥結するだろうか、どうだろうかというのが2月の20日の時点であります。
(深田)
なるほど。ドンロー主義のトランプさんは、イランがウラン濃縮をやめると言っても、彼の頭の中には「資源が欲しい」という、こっちの算盤の方ではないですか?
(宇山)
その通りです。トランプさんはそれでいいと思っているのですよ。しかし、イスラエルから「下手な妥協をするなよ」と尻を叩かれています。イスラエルとしては「イランの核武装だけは絶対に認めないので、イランが再起不能になるまで徹底的に叩け」「妥協するなよ、分かっているな、トランプさん」ということですね。先月もネタニヤフ首相がわざわざホワイトハウスを訪れてトランプさんの尻を叩きに行ったわけですよ。
イランの問題がどうなるのかまだ分かりませんが、私は中東の外交がイランの大きな変化の中で、外交のパラダイムチェンジが起こっていることが日本にとって、極めて重要だと思っています。
(深田)
どういう形で、変わってきているのですか?
(宇山)
イランが、今このようにアメリカやイスラエルから圧力をかけられて、イランの力がどんどん弱まってきているのは間違いない事実です。実際にシリアのアサド政権は崩壊し、レバノンのヒズボラもイエメンのフーシー派もガタガタになっています。今までイランがシーア派連合として取り込んでいたものが、もう全部崩れている状況です。
そうすると今まで外交の力学の上でイランとサウジアラビアが拮抗していたのですが、イランだけが落ちてくるとサウジアラビアが勝ち進んでいくのだけれども、同時にイスラエルが強大化しているという現状なのですね
(深田)
トランプ大統領になってイスラエルがより一層力を付けています。
(宇山)
そうですね。イスラエルの力が強くなってきて、イスラエル一人勝ち状態なのですよ。サウジアラビアの隣にあるイスラエルがこれほど強大化をしてくることについて、サウジアラビアには新たな脅威になっています。今まではサウジアラビアはスンナ派、シーア派のボスがイランということでイランを敵対していた。しかしイランの脅威がだいぶ減ぜられて、今サウジアラビアの新たな脅威がイスラエルなっているわけですよ。
(深田)
最近のイスラエルはやりすぎ感が満載ですものね。
(宇山)
そうです。イスラエルが調子に乗りすぎの状態になっている。何をするのかわからない、どんな暴走をしてくるのかわからない。サウジアラビアにも何か仕掛けてくる可能性がある。こういう中でね、サウジアラビアが今何をしているのかと言うとパキスタンと連携を進めているのですよ。
(深田)
なぜパキスタンなのですか?
(宇山)
まず、サウジアラビアはパキスタンと手を組むことによって地政学的にイラン包囲網を形成することができます。そして何よりもサウジアラビアが狙っているのはパキスタンのバックにいる勢力なのです。
(深田)
パキスタンのバックは誰ですか?
(宇山)
中国です。
(深田)
パキスタンは親中ですものね。
(宇山)
パキスタンは一帯一路の重要な拠点国です。昨年5月にはパキスタン空軍とインド空軍の衝突がありました。その時、パキスタン空軍が圧勝したわけです。なぜ勝つことができたのかというと、中国が支援しているからです。空軍技術や戦闘機も全部中国が支援しており、パキスタンが勝つことができました。
パキスタンには経済的にも軍事的にも政治的にも中国の影響力が深く入っているわけです。そのパキスタンとサウジアラビアが昨年の9月にパートナーシップ協定で合意をしているのです。サウジアラビアとしては本格的に中国勢力を中東に引き込みたいと考えているわけなのです。
(深田)
アメリカやイスラエルの勢力とバランスが取れるのは中国しかいないということですか?
(宇山)
おっしゃる通りです。そこを計算しているのですよ。イスラエルとアメリカがタッグを組んでいるので、サウジアラビアとしては、これに対抗するためにはパキスタン経由で中国を引き込まないと、必然的に力学上バランスが取れなくなってくるのですね。昨年来、サウジアラビアはパキスタンを経由して中国引き込み、トルコも引き込んでいるのです。
ですから今ですね、トルコ、サウジアラビア、パキスタン、中国とユーラシアを大きな弧を描くような勢力圏が新たに出来上がっている状況なのです。で、中国もやぶさかではないのですね。中国はイランを中東における拠点にしていたわけです。そのイランが足元に火がついて、イランが潰れてしまうと大変なので、新たな拠点を形成しなければならない。
渡りに船ということでで、サウジアラビアが寄ってきた。確かにサウジアラビアと中国は今までもずっと連携していたのですよ。資本提携、経済協力をかなり強力にしていたのだけれども、さらにそこにもっと政治的な、もっと軍事的な本格的な連携が組まれてくる可能性があるという点でね。さらにもう一つこのサウジアラビアがパキスタンと組むことには大きな実際意味があるのですよ。それは核です。
(深田)
核ですか?
(宇山)
この10年、20年と核技術を世界にばらまいていたのはパキスタンです。パキスタンが核の技術を北朝鮮などに教えていったのです。カーン博士というパキスタンの核技術者がいるのですけれども、この人が北朝鮮に核技術の核心的なところを教え込んでいったのです。そのパキスタンの核開発を資金援助していたのがサウジアラビアなんですよ。
(深田)
あっ、そういう関係なのですか!?
(宇山)
ですから、サウジアラビアはパキスタンから核を購入しようと思えばいくらでもできるわけです。まして技術を移転させることはわけもないことです。やはりここを睨んでいるのですよ、サウジアラビアは。
私は、イランは事実上核武装化をしていると思います。ウランの濃縮をやめても構わないということは、濃縮ウランが出来上がっており、実際には核技術も出来上がっている。譲るところは譲っても構わないというのは、私はそこだと思うのですね。それで、イランが事実上核武装をしているならば、サウジアラビアも絶対核武装しなければならないわけです。
イスラエルも核を持っているわけでしょう。そうすると、サウジアラビアだけが核なしで成立するかというと、生存できないのですよね。だからパキスタンを経由して核を持ちたいというのがサウジアラビアの考えです。トルコもUAEも持ちたいと思っている。私は中東の核拡散はもう止められないと思います。
(深田)
そうなのですね。これが日本とどのように関わってくるのですか?
(宇山)
私はこの中東の核拡散が、アジアにまで波は広がってくると考えています。
(深田)
そうですよね。すでに北朝鮮には入ってきていますものね。
(宇山)
入ってきています。そして、韓国も核武装の議論が進んでおり、国民世論の4分の3が核武装に賛成と言っているわけですよ。アメリカも韓国の原潜の開発を認めています。
(深田)
そうですね。原子力潜水艦の技術協力するようなこと言っていますものね。
(宇山)
やはりそこにSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を搭載していくことになるわけですね。その時、日本だけが核を持たないという状況は成り立つのかというと、成り立つわけがないのですよ。だからこそ今、高市さんが非核三原則を見直して、その先には自衛のための核武装の議論をしていくというビジョンがあるわけですよ。
だから先般も、高市官邸の一部の側近が新聞に漏らしたわけですよ。核武装を議論するということをも視野に入れているというようなことを、わざとリークさせたわけです。
(深田)
はい。わざと、ですよね。
(宇山)
あれは観測気球を上げて国民がどう反論するのか、どう反応するのかを確認したかったわけですね。それに対して反対がなかったわけですよ。今、高市官邸はこれで気分をよくしていると思います。「核の議論をしてもいいかもしれない」と判断していると思います。
実際に維新と自民党が連携する時の合意文書の中に原子力潜水艦の建造を進めていくことで合意しているわけなのです。当然日本も、この原潜を保有して単に海の底に沈めておくというだけではありません。必ずそこに核弾頭を搭載したSLBMを持ちます。これをやらないと、中国に対する抑止力になりませんよ。ロシアや北朝鮮に対してもそうです。
韓国が核を持ったら、これもまた抑止力にならないわけですよ。日本はこの核を単に陸上にずらっと並べておくだけでは意味がないのですよ。この狭い国土に核ミサイルを並べていても、先制攻撃で叩かれたら、もう一瞬のうちに、日本の国土が灰と化すわけです。
(深田)
原子力発電所を狙われたら終わりですよね。
(宇山)
そうですね。ですから、そうなったとしても水中核を持っておれば、どこに原潜がいるのかは分からないわけです。「いつでも打ち返すぞ。こちらが滅ぼされたら必ずお前も滅ぼし返してやる」というのが相互確証破壊(※1)の理屈なのですね。
※1)相互確証破壊:冷戦時代、米国と旧ソ連は相手から大規模な核攻撃を受けた場合、相手国を確実に破壊できる報復用の核戦力を、SLBMの形で保有した。
これを日本がやらないと、単に安全保障の問題だけではなくなり、外交上も思い切った発言ができないわけで、現になっているのですよね。中国から恫喝されたら、しゅんとしてきたのが今までのこの歴代内閣ではないですか。
私はこの機に乗じて、核武装を視野に入れて一気に進めるべきだと思います。それもアメリカに秘匿してやらなければなりません。
(深田)
アメリカに秘匿ですか。
(宇山)
内緒でやるのです。トランプさんはかつて「日本も核武装すればいい」などと言っています。北朝鮮を事実上核武装の国家だとも認めていますからね。ところが、国務省が絶対許さないのです。
(深田)
そうですね。
(宇山)
国務省は「日本が核武装をするなら、お前たちと縁を切るぞ」というようなことで脅しをかけてくると思います。
(深田)
でも、日本の核武装は結局アメリカの核兵器を買うことになり、それで、2倍、3倍、5倍の値段を日本は払わされるというオチになっていかないですかね?
(宇山)
はい、核兵器を作ること自体にそんなバカ高い銭がかかるわけではないのですね。専門家は1週間でできると言っています。それで、核実験は必要ありません。コンピューターシミュレーションによる臨界実験だけでこと足りるのです。だから政権の意思で、秘匿して一気に核武装をしてしまい、そのことを言う必要もないわけです。
イスラエル、インド、パキスタンは事後報告ですよ。それでアメリカから断交されたのかというとされてないのですね。アメリカが「日本と縁を切る」と言うなら切ってもらえばいいわけですよ。アジアのプレゼンスの拡大のために、アメリカこそが日本の助力を一番求めている国ですから「切れるものなら切ってみろ」と言ってやればいいわけなんですよ。核武装さえすれば、日本も怖いものも何もないわけですよ。
(深田)
でも、原子力発電所があれだけあって、その原子力発電所を防衛する設備がないという時点で、そちらの方が怖いですよね。
(宇山)
そうです。確かに私たち日本人がミサイル打ち込まれたら滅亡してしまう可能性はあるけれども、その時は「必ずお前たちも滅亡させるぞ」と水中核を持っておれば「奴らとて容易に手出しはできまい」と私は思います。
(深田)
やはり原子力発電所の周りに迎撃ミサイルを置かないといけないぐらいですよ。
(宇山)
それもそうです。そこら辺もしっかりと手当てをしていかねばなりませんね。核武装を含めあらゆる軍備の増強によって、日本の外交力も高めていく努力を本当にしていかなければならないと思いますね。
(深田)
まずは経済力がないといけない。先立つものがないので、その経済成長をどうするのかという具体的な政策が見えていないのです。その中で防衛費を上げる、防衛費を上げるために増税をする。そうするとどうしても活力が下がってしまいます。このジレンマを乗り越えるにはまず産業政策、経済政策をどうするのかというところを、高市総理からはっきりと示してもらいたいです。
(宇山)
そうですね。こういう防衛費の増額こそ、国債をしっかりと発行する。将来に対する日本の生命財産に対する安全ですから、積極財政というならば、積極果敢にやっていただきたいと思いますね。
(深田)
はい、今回は作家の宇山卓栄先生にイラン情勢と日本の関係についてお話をいただきました。先生、どうもありがとうございました。
(宇山)
ありがとうございました。





