#607 高市政権で日本は戦争突入確定か?八幡和夫が危惧する「スパイ防止法」と沖縄の危機 八幡和郎氏(2026.2.21)
(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム プロデューサーの深田萌絵です。今回は政治評論家の八幡和郎先生にお越しいただきました。先生、よろしくお願いします。
(八幡)
よろしくお願いします。
(深田)
前回、解散選挙の総括をしていただいたのですけれども、今後、高市政権は日本をどういう方向に導こうとしているのか、そういう未来予測的なところのご見解をいただければと思います。
(八幡)
経済の話は、前回に時間を割いたのですけれど、インフレ下の低金利だとか財政拡大は、長く続くはずがないのです。当然、国債の金利も物価もどんどん上がっていきますから、耐えきれずにブレーキを踏まざるを得ないのです。ただ良かったのは、これだけ勝ったものだから公約を守らなくて良くなったのです。
(深田)
えっ、どういうことですか?
(八幡)
つまり、例えば消費税の問題にしても、ギリギリ勝つと公約を実現しなければいけないのだけれど、これだけ勝つと「国民会議に諮って」などと言ってサボタージュをすれば良い話なので、だんだんケチな話になって良いのではないでしょうか。
(深田)
それは、消費税で食品はゼロにするなどは、もう全部無くなるということですか?
(八幡)
そうするのか何か別の対策を取るのか、どちらにしても、高市さんの場合、財政拡大はするわ、税金は安くするわという話なので、(税金を)取りやすい変なところへ行かざるを得なくなってぐちゃぐちゃになります。それが、余裕があるので、国民に媚びない。要するに、公約を守らなくても済むということになったのは、実は良いことかもしれません。
(深田)
なるほど。減税を期待している人たちにとっては、ちょっと残念な話なのですけれど、改憲とかスパイ防止法など、今後、国民の基本的人権に関わるところは、どういう風になると思いますか?
(八幡)
スパイ防止法とか、外国人の合理的な制限とか、これは合理的な範囲でやっていいのです。ただ問題は、高市さん自身が人権であるとか、そのようなことについてあまり意識が高くない。
ネットなどで騒いでいる人たちに、支持してくれるから調子を合わせているけれども、総理になったら、もう少し距離を取るのかと思っていたのです。意外にも支持をしてくれている人に妙に義理固いのです。これがいろいろな意味で非常に心配なのです。
例えばスパイ防止法については、中国と無意味な喧嘩してもしょうがないし、移民を敵視するのもおかしいのです。そう言うと「中国政府と同じようなことを言う奴はスパイ防止法でスパイとして摘発を公安がするべきだ」などと私のフェイスブックか何かに書き込む人がいるのです。スパイ防止法について高市さんの悪口を言うと、スパイとみなして適用するというような雰囲気を彼ら(ネット支持者)が持っているのです。
(深田)
それは見受けられますね。やはり「自分の意見と合わない人は、みんなスパイだ」という風に論調を作っていますから。
(八幡)
だから深田さんも、いろいろなところのスパイにされているわけです。
(深田)
そうですね、アメリカのスパイ、中国のスパイなど。
(八幡)
気に食わない奴は、みんなスパイなのですよ。高市さんの下では、そういう考えの人たちがスパイ防止法を使いたいと動いている。公明党というブレーキがなくて、逆にアクセルになりかねない維新が入ってしまっている。この下でスパイ防止法をやるのは怖い。私は、スパイ防止法は基本的には賛成なのですが、高市さんの下でやらせたくない。
(深田)
それは、私も同じです。
(八幡)
それから憲法改正とか皇位継承は、私はできなくなると思います。なぜなら、公明党が憲法をギリギリ「うん」というところでなんとかやり切りたいというのが、安倍さんの作戦だったわけです。自衛隊のことでも、憲法第9条2項(※1)を改正するのではなく、憲法9条の2というものを作る、あるいは第5章に自衛隊のことを書いて、9条には手を触れずに裏から自衛隊については、こういうものだと書くことによって憲法上認められたことにしようと話が進んでいたわけです。
※1)憲法第9条2項:前項(1項)の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
ところが、高市さん的なところ(主張)でいうと、真正面から「第9条の2項を変えろ」とか、言わば「平和憲法は間違っているのだ」という方向でやる。平和国家日本のイメージはやはり日本のある種の財産なので、そこにはあまり触れずに安倍さんが考えていた辺りで止めてほしいと思うのだけれど、突っ走るだろう。
しかも、いろいろなところに根回しをせずにやっていくだろうから、そうすると二つ問題があります。まず衆議院は3分の2の議席を取ったから出来るのだけれど、参議院でできるのか、今の勢力ではできません。それからもう一つは、2年後の参議院選挙の場合、多数を維持しないと現在のねじれ状況よりも、さらにねじれ状況が酷くなる。その中で3分の2など取れるわけがないわけです。
高市さんになって、スパイ防止法ぐらいは進めやすくなったかもしれないけれども、憲法になると逆に3分の2でも非常に難しい。それは国民投票になった時に、公明が「絶対にだめだ」と言って動くので、国民投票の時は一番強く票がまとまります。例えば、国民民主や維新は党が「方針としてこうだ」と言ったところで、支持者たちがそれに従わないわけです。
そうすると、公明が反対している案は国民投票ではやりにくい。これは安倍さんも、そう思っていたわけです。そうなると、参議院の3分の2が取れない、次にようやくそこを持っていったところで、国民投票で勝てるのか?国民投票で負けてしまうと、その瞬間にこれは押し付け憲法でも何でもなくなってしまうのです。
つまり国民投票で日本国憲法が承認されたのだから、ダメージがもの凄く大きい。私は、憲法改正は高市さんであるがゆえにやりにくくなったと思います。皇位継承問題も同様です。
(深田)
どういうことですか?
(八幡)
皇位継承問題も、男系(※2)で旧皇族に養子をもらうという話にしても、岸田さん、石破さんの時に、公明も賛成して、それから後は野田さんが個人的にひとりで反対しているという、もう一息のところまで行っていたわけです。
※2)皇室典範:第1条 皇位は、皇統に属する男系の男子たる皇族が、これを継承する。
だけれど公明が外へ出たとなってくると、話がまとまるのか。これは前から言われているのですけれど、継承問題は多数決で無理をしてしまうと、後でもう一回ひっくり返される可能性が出るのです。多数で押し切ったものは、多数決でひっくり返されてもしょうがないじゃないですか。
だから、自民党の保守系の人が思っている通り、私も意見が同じなのだけれども、悠仁様には次の次になっていただき、その次に切れた時のために旧皇族からも人を入れましょうという話でまとまりそうになっていたのが、それでまとまらない。愛子天皇になってしまうかもしれないとか、いろいろな面倒臭い話が出てくる。かえって高市さんだからこそ、うまくいかなくなると思います。
参議院が反対しても、衆議院で3分の2を覆すことができるわけです(衆議院の優越)。そうするとかなり思い切ったことができるのだけれど、これまでは3分の2を持っていても「できるだけ使わないことにしましょう」「伝家の宝刀に止めておきましょう」というコンセンサスがあるから、小泉さんの時も安倍さんの時でも、無茶は出来なかったわけです。
これを自重しないと、今後も3分の2(衆議院の優越)でやると、ほとんど審議しないまま、どんどんできてしまうのです。これは大変怖い。だから非常に軍国主義的な動きというのが出てきた時に、ブレーキが本当に効かなくなってしまうのが怖いわけです。
(深田)
今後、高市政権が主導することによって、軍国主義的な動きが出てくるのではないかという懸念はあるのですか?
(八幡)
「もう言っちゃったから、いいわよ!」というのは、割に高市さんの発想にあるのです。平和や戦争ということになると「やっちゃったからやっちゃいましょう!」というのは、常に日本が戦争に踏み込んでいった過程でのノリなのです。このノリで戦争をやられてはたまらない。軍備強化だとか、治安立法だとか、やられると困る。
台湾有事の話は典型で、私は台湾は有事があった時は、アメリカが介入するのならば渋々後ろをついていくに留めるべきだと思っています。それは、最初から「やるぞ!やるぞ!」というのではないのです。
(深田)
個別案件にお答えすることはできませんが、一般的な話として、アメリカに求められた時は、行かざるを得ない。そういうニュアンスですか。
(八幡)
もう苦渋の決断で、一歩一歩進めるぐらいで良いのですよ。私は、日本の政治家はやはり台湾よりは沖縄を大事にするべきだと思います。これが絶対必要です。沖縄は、この前の戦争で県民の3分の1が亡くなったようなところです。台湾有事は、本当に控えめに対応しないと沖縄に災いが及びます。
(深田)
そうですよね。
(八幡)
だから、私は沖縄に災いが及ぶぐらいだったら、台湾は手を出さない方がいいと思います。
(深田)
そうですよね。やはり自分の国が優先ですよね。
(八幡)
優先です。まして、沖縄は特別です。沖縄に火の粉が飛んでこないようにすることが一番大事なのです。ところが、どうも高市さんたちの考えは、台湾の方が沖縄より可愛いのではないかと時々思うのです。
(深田)
そう見えますね。
(八幡)
そうでしょう。やはりこれはおかしいですよ。台湾は間違いなく中国です。
(深田)
そうですよね。中華人民共和国ではないけれども、中華民国も中華人民共和国も、ひとつの中国で同意しているという事実はありますからね。
(八幡)
沖縄は日本、台湾は中国。ここのところをちょっとでも崩して「台湾は違うよ」ということは、沖縄に迷惑かけるのでやるべきじゃないと思うのです。
(深田)
撤回を求められても撤回をしないということは、高市さんなりの信念があるとは思うのです。
(八幡)
でもそれは、戦争を起こすのですよ。ふっとやって、それを後で正当化するというのが戦争を起こすのです。高市さんのノリが怖い。高市さんのノリが良い方へ行くことはあると思います。だけれど、戦争の問題はノリではだめです。
それから一言だけ、あの例の中道のやつ、一番悪かったのは名前ですね。
(深田)
名前ではなくて、立憲民主党の人が安保の事などを全部ひっくり返して公明党の下に入ったということが、元の支持者にすれば「えっ!?何で?」とついていけなかった。それだけじゃないですか?
(八幡)
でもそうであれば、社民党とか共産党が増えるはずじゃないですか。それが全然増えていない。だからそれが理由ではないのです。私は、一番大きいのは民主という名前を外したことです。中道民主か民主中道にしておいたら、こんなひどいことにならなかったのです。このまま頑張って国民民主にも入ってもらったら、十分に次の総選挙では戦えると私は思っています。
(深田)
それだと収拾がつかないのではないですか。
(八幡)
というのは、立憲民主が小さくなったでしょう。そうすると、国民民主と立憲民主と公明が、ちょうどバランス良くなるのです。
(深田)
そういう答えじゃないような気もします。今回は政治評論家の八幡和郎先生に高市政権、解散総選挙後の行方についてお話をいただきました。先生、どうもありがとうございました。
(八幡)
はい。どうもありがとうございました。





