#597 【魔の1996年】失われた30年の正体!なぜ給料は上がらず企業の利益と株主配当だけが増えるのかスッキリ解説第二段! 九戸山昌信氏(2026.2.11)

(深田)
みなさん、こんにちは。政経プラットフォームプロデューサーの深田萌絵です。今回は、移民問題に取り組むフリーライターの九戸山昌信さんにお越しいただきました。九戸山さん、よろしくお願いいたします。

(九戸山)
よろしくお願いします。

(深田)
これまで2回にわたり移民問題についてお話しいただきましたが、移民問題悪いのは外国人ではなく、その政策を推進している政府側にあるというご指摘でした。

(九戸山)
外国人は別に何も悪くないと思います。ただ日本の制度に乗って来ているにすぎません。

(深田)
つまり「来てください」と頼まれて来ている側ですね。その背景には、さまざまな団体や天下り機関が設立され、首相であっても容易に打ち砕けない岩盤利権構造ができたことにあるというお話でした。その原因は何かと言うと、1996年の小選挙区制の導入から始まっているという、この掘り下げはすごかったです。

そこでお伺いしますが、いわゆる「失われた30年」に我々ロスジェネ世代はさんざん冷や飯を食わされたのですが、この間の我々国民の赤字は、誰の黒字になっていたのでしょうか?そこをご解説いただきたいです。

(九戸山)
残るのは一つの部門しかなく企業ですね。この30年間、リーマンショックや金融危機などがあり、常に順調だったわけではありませんが、少なくともアベノミクスは始まって以降、企業はすごく儲かっているという感覚です。

(深田)
ということは、企業だけが儲かって、我々国民はあまり恩恵に預からなかったということですね。

(九戸山)
そのとおりです。企業に有利となる制度が「国民のため」という理屈で次々に作られ、それが1996年以降続いてきました。

(深田)
以下の図ですね。1996年10月の小選挙区制導入以降、賃上げ抑制につながる政策が次々と行われました。順を追ってご説明いただけますか。

(九戸山)
まず法人税減税です。当時は北海道拓殖銀行や山一證券の経営破綻など金融危機が重なり、景気が低迷していました。国民向けには所得税の定額減税も実施されましたが、しばらくすると終了し、法人税減税のみが残りました。

法人税減税は「利益を増やし、その分を賃上げに回しなさい」として導入されました。しかし法人は賃金を上げるための組織ではなく、株主へ利益を還元するための存在です。法人税を引き下げると企業の内部留保は増えます。前後関係を考えると、法人税は賃金支払い後にかかるので、法人税減税と賃上げは全然結びつきません。

(深田)
しかも、派遣労働者への支払いは消費税の控除対象なのに、正社員の給与は控除対象にならないは変ですよね。

(九戸山)
1996年頃まで法人税の実効税率は国と地方を合わせて約50%と非常に高水準でした。しかし、その当時の賃上げ率は、現在よりも全然高かったという事実があります。

(深田)
「こんなに税金を払うぐらいだったら、社員に給料を上げておこう」となりますものね。

(九戸山)
実際、バブル崩壊以降も5~6%台の賃上げ率が続き、1996年頃までは賃金は上昇していました。1996年が実質賃金のピークで、意外にも法人税率が高い時の方が賃金は上がっていたのです。

(深田)
確かに、この図では1996年以降は実質賃金を示す赤い線が右肩下がりとなっています。それに対し緑の線は株主様への配当で、左軸で見ると約7倍、8倍近くまで増えています。

(九戸山)
特に株主還元が大幅に増加しているということですね。

(深田)
つまり、自民党様が作ってくださった政策で、我々国民には何のメリットもなく、企業だけが儲かっていたということですね。

(九戸山)
消費税も課税仕入れの仕組みにより、非正規雇用や外注を活用した方が控除面で有利になり、派遣労働も同様です。

さらに持ち株会社も見逃せません。ホールディングス化は「経営の効率性を上げる」とよく言われますけど、持ち株会社にすることで、賃金をすごく抑えて経営ができるのですよね。経営企画など重要な部門以外は全部子会社にして、子会社の賃金は低く抑えることができてしまいます。

(深田)
この働き方改革というのは、そんなに悪いことなんですかね?

(九戸山)
働き方改革は労働時間を圧縮するという形なのですが、これはサービス残業を抑制するわけでもなく、要するに1.25倍の割増賃金を払わなくて済むようになる。しかも副業の推奨も行うので、単に割増賃金カットではないのかといえます。

(深田)
本末転倒な話ですよね。副業をするよりも一つの企業でスキルを高めることの方が働く側にとってはメリットが大きいはずです。「給料を上げられないから、副業して食い扶持を稼いでね。その間に外国人労働者を入れますから」というのは本当におかしいですよね。

(九戸山)
これに加えて、労働行政の怠慢です。1996年と直接の関係はありませんが、政府が本気で賃上げを強調するのであれば、サービス残業の摘発、有給休暇の取得推進、割増賃金の支払徹底をした方が絶対にいいです。しかし、それを全然やろうとしない。

(深田)
分かります。私は有休を使ったことがないです。有休を使えない世代ですよね。使ったら「お前、常識知らねえのか!」みたいに叱られる。でも10歳下の子は完全消化していますよ。

(九戸山)
遅刻すれば給与から引かれるにもかかわらず、サービス残業をしても支払われないという状況は、明らかに不合理です。

(深田)
やはり同一労働同一賃金を徹底すべきではないでしょうか。

(九戸山)
政府が本気で賃上げを目指すのであれば、まず行政の裁量でできるところから取り組むはずです。それをしていないということは、ただのリップサービスでしかないということですよね。

(深田)
「失われた30年だ」「ロスジェネだ」「デフレ対策だ」と言って景気刺激策を打ち、金融緩和や助成金、補正予算出そうとしているけれども、我々にメリットがないのではないですか。

(九戸山)
今回介護報酬は2.1%引き上げられました。介護報酬は3年ごとに改定しますが「物価高で臨時に2.1%上げた」と説明しています。しかし消費者物価指数は約2.8%、ほぼ3%上昇しており、物価上昇率に追いついていません。一方で、政府の一般会計税収は前年比で約7%台の増加となっています。税収が伸びているのに、名目と実質の違いを意識していない人が多いですが、これは実質賃下げと一緒ですから。

(深田)
そうですよね。実質賃下げですよね。

(九戸山)
報道する側も「2.1%上がった」ではなく「実質下がっている」ということをはっきり言わないといけない。それで「外国人を呼ばなきゃいけない」というのはおかしいです。「賃金の低水準な環境を国が作ってどうするんだ!」という話ですよね。

(深田)
不景気の原因は政府ですよね。

(九戸山)
国は「社会保障が必要だから」と言って増税していますが、国が使うお金は「国民のため」と言いながら、実際に支出している先は企業なのです。

(深田)
景気対策と称して資金が企業へ流れているわけですね。

(九戸山)
ガソリン代の補助金でもそうですが、なぜか会社の方に補助金を出しています。「何が目的なんだ」という話ですよね。それで増税になって、国民の購買力が下がって「不景気だ」と言って景気対策をする。また税金は企業にお金が流れる。企業は儲かっているのに賃金に還元しない。還元しないからずっと不景気のままで、もう一回景気対策で税金が使われ、そのためにまた増税される。このサイクルがずっと続いています。

(深田)
減税をして国民の手元に資金を戻すのではなく、新しい枠組みを作ってそこにお金を流す。何兆円出して「景気対策をやりました。効果は測定しません」と言う。企業に資金が渡り、その中でインフレが進み、我々は賃金が下がり、個人消費は縮小します。GDPの半分を占める個人消費が縮小すれば、実質GDPも縮小します。

(九戸山)
経済は弱い状態が続きますね。

(深田)
そして政府は再び不景気を理由に、景気対策として企業へ資金を投じるという構図ですね。

(九戸山)
マッチポンプですね。

(深田)
我々は絞り取られるだけで、全然美味しい思いをしたことがないですよね。

(九度山)
税収は過去最高なのに、介護職員の待遇改善には極めて消極的で、出し渋っています

(深田)
こちらの図は「企業による国民搾取」ですね。

(九戸山)
多くの人は、賃金が上がらないことと税金が上がることを、政府と国民の関係だけで捉えがちですが、実はその間に企業がいます。政府・企業・国民の三者による三角関係として見ると、資金がどこに流れ、誰のための政策なのかという構図が明確になります。

(深田)
そう考えると、何百兆円という内部留保は、我々から搾取されたお金だったということですね。

(九戸山)
巡り巡ってそうなっているということですね。外国人労働者やインバウンドは、企業にとってはプラスです。その政策を実行してもらうために政党への企業献金や会食によって距離を近づけます。しかし、国民は年に1回あるかないかの選挙しかチャンスがない。小選挙区は組織を利用した人が有利で、民意が反映されるチャンスが全然ありません。

(深田)
財政支出の行き先はほぼ会社で、企業の税負担は小さい。私たちにお金は戻ってこないのに税金は増えている。すごい搾取構造ですよね。

(九戸山)
財政支出は常に「目的」で説明されます。そのため、国民は自分たちのための政策だと受け止めてしまうのですが、実際に資金を受け取っているのは企業ですからね。

(深田)
今「財政出動派」が増えていますが、財政出動をして減税であれば、私たち個人に恩恵があるからいいのですよ。そうではなくて「財政出動で投資しましょう」となると、企業が儲かり、企業は設けたお金を政治家に献金する。この利権構造が移民を増やした原因と同じで、他のジャンルでも全部そうですね。

(九戸山)
現在、労働分配率は過去最低水準です。本来そこを注目しないといけないのに「財政出動をすればよい」という議論は、企業に「もっとお金を出しましょう」と言っているのと同じです。積極財政をしたところで、借金が増えて、その分増税されるだけです。労働分配率を上げるための改革や政策を進めないといけないのです。

(深田)
例えば、派遣労働ではなく、正規雇用を消費税の控除対象にした方がいいですよね。

(九戸山)
現行の消費税制度は、今の仕組みは正規雇用に対して税金をかけているのと同じですから。

(深田)
私は派遣会社に事務職を依頼した時、時給3,600円、短期の緊急案件では5,000円といわれたことがあります。でも、時給5000円ももらっている事務員はこの国にいませんよね。本人が受け取るのは1700〜1800円ぐらいで、半分以上を派遣会社が持っていく。これは賃下げ圧力ですよね。ただの搾取ですよね。

(九戸山)
労働者にどれだけ分配するかという裁量を全部企業が持っているので、どれだけ財政出動で景気対策をしても、労働者の方には全然回ってこないです。

(深田)
それであれば、数値目標を作るべきなのは「移民何万人」とかではなくて「労働分配率を何%にする」といったことですね。

(九戸山)
労働分配率を上げるまで移民は受け入れない。そうしないと、今度は外国人労働者が競合相手になって「日本人を雇うぐらいなら、頑張っているベトナム人を雇った方がいいぞ」となってしまいます。

(深田)
しかも、一人受け入れるごとに毎月4万円が入り、日本語学校経由なら年間100万円儲かる。これは単なる利権ですよね。

(九戸山)
この問題を指摘すると、多文化共生や差別として批判が向けられる。それは逆の人権侵害です。

(深田)
私たちが肩身の狭い思いをして生きていくのは、こういう構造上の問題にあったということですね。我々の失われた30年で、実質賃金が下がっている理由は、企業が大儲けしているからだということですね。

(九戸山)
企業が利益を追求すること自体は当然です。しかし、その利益が優先される政治的意思決定や、それを可能にする選挙制度のあり方には課題があると考えます。

(深田)
本日は、移民問題を取り扱っておられるフリーライターの九戸山昌信さんにお話を伺いました。ありがとうございました。

(九戸山)
ありがとうございました。

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