#583 力こそ正義なのか?マキャベリズムが支配する世界秩序と騙され続ける日本人の末路 石濱哲信氏(2026.1.28)

(深田)
みなさん、こんにちは。政経プラットフォームプロデューサーの深田萌絵です。
今回は、日防隊最高顧問兼日本党党首の石濱哲信先生にお越しいただきました。石濱先生、本日はよろしくお願いします。

(石濱)
よろしくお願いいたします。

(深田)
新年早々、ベネズエラのマドゥーロ大統領がトランプ大統領に連れ去られた出来事がありました。現地ではマドゥーロ大統領が独裁政治を敷き、国民がハイパーインフレに苦しんできたため、トランプ大統領を英雄視し悪い独裁者を排除してくれたというような報道も見られます。この出来事はどのように捉えるべきなのでしょうか?

(石濱)
私が申し上げるならば、これは極めて重大でこれまで警鐘が鳴らされてきた世界が非常に危険な時代に入るという局面の頂点に位置する出来事です。結論から言えば、これは明確な犯罪行為です。国際社会における重大な違法行為に他なりません。

(深田)
国際法に違反するということですか?

(石濱)
国際法に反するだけでなく国連憲章にも明確に違反しています。国連は各国がさまざまな考え方を持ちながらも、戦争を起こさないための枠組みとして存在しています。それにもかかわらず、今回の行為に用いられている理由は、私に言わせれば虚偽に基づくものです。

(深田)
虚偽というのはどういうことでしょうか?

(石濱)
理由として挙げられているのは、ベネズエラが大量の麻薬をアメリカに流入させているという主張です。つまり、危険な薬物を扱う巨大組織の責任者がマドゥーロ大統領であるという位置づけです。特に昨年12月初め頃からトランプ大統領はマドゥーロ大統領に対して、早く国外に出なければひどい目に遭うと公然と脅しをかけていました。にもかかわらず、ベネズエラの歴史的背景についてはほとんど語られていません。

(深田)
それはどのような歴史なのでしょうか?

(石濱)
ベネズエラはもともとスペインの植民地でしたが、20世紀半ば頃大量の石油資源が発見されました。独立して間もない時期だったと思われますが、石油を求めたアメリカの石油会社が「一定期間採掘のための借地権を貸してほしい」と申し入れたのです。その条件はかつてイランで起きた事例と同様採掘によって得られた利益をベネズエラ側に分配するというものでした。しかし、実際にはその利益は一切支払われませんでした。

(深田)
支払われなかったのですか?

(石濱)
そのとおりです。こうした不満を背景に、当時の大統領は石油資源の国有化に踏み切りました。その結果、ベネズエラは一時期世界でも屈指の豊かな国となったのです。今から40年もたっていない時の出来事です。しかしアメリカ側は「自国企業が開発した資源を国有化するとは何事だ」として経済封鎖を実施しました。

経済封鎖を受ければ、通常多くの国は耐えきれずに屈服します。ベネズエラも例外ではなく、自国通貨ボリバルは国際的に大暴落し、結果として約15,000%にも及ぶハイパーインフレが発生しました。それでも国家を守るためさまざまな政策を実施せざるを得ず、その過程で強権的な統治いわゆる独裁的手法を取らざるを得なかったのです。そうしなければ、資源をすべて奪われてしまうという強い危機感があったと考えられます。

そのような状況下で独裁体制が続いていましたが、約2年半前の選挙ではマドゥーロ大統領は敗北していました。しかし、選挙管理委員会は結果を覆し、マドゥーロ大統領が勝利したと発表しました。このことに対し国民は強い疑念を抱きました。ベネズエラの人口は約2,700万人ですが、そのうち約800万人がコロンビアやアメリカなど国外へ逃れています。こうした人々にとって、トランプ大統領は英雄のように映る側面があるのも事実です。

自分たちが食べていけるのであれば支配者は誰でもよいという考え方がある一方、再び石油資源が一部の者に独占され、国民に利益が還元されなくなることを理解している人々もいます。今回の行為に無条件で賛成するという姿勢は、歴史的背景を踏まえれば到底成り立たないのです。

(深田)
もちろん、マドゥーロ大統領の統治が正当化されるわけではないということですよね。

(石濱)
その通りです。決して正当な独裁ではありません。

(深田)
再びアメリカに石油資源を奪われることに疑問を持つ人もいるということですね。

(石濱)
そもそもアメリカにはそのような権利は一切ありません。全くありません。それにもかかわらず、アメリカに麻薬を流入させているから逮捕状を出したという理由が用いられています。しかし、本当にマドゥーロ大統領が麻薬組織の首謀者であるという証拠はどこにあるのでしょうか?

昨年11月、特に12月以降、麻薬を運んでいる船だとして、上空から爆撃する映像が80回近く流されてきました。しかし実際には経済封鎖の中でベネズエラの石油を購入していたのはキューバや中国でした。石油を売らなければ国家が成り立たないためです。

アメリカは経済封鎖を理由に勝手に持ち出すなとしてこれらの船を拿捕しました。アメリカ海軍と連携して行われたのです。その時の理由も麻薬を運んでいるからというものでしたが、その証拠は示されていません。仮に麻薬を運んでいたとしても、なぜアメリカがそれを行う権限を持つのかということは厳しく問われるべきです。

しかし現在、日本のインフルエンサーを含め多くの発信者が「暴力的手段であっても、国民が歓迎しているのだから問題ない」といった論調で語っています。この点については極めて慎重な議論が必要だと考えています。

(深田)
そうなのですね。まさにそこが問題だと思います。法に基づいて社会を運営するという前提が崩れてしまえば、その隙を犯罪者に逆手に取られますよね。

(石濱)
実際に、今行われていることは犯罪行為です。私はこれを“マキャベリズム”と呼んでいます。力と権謀術数を用い、言いがかりをつけて相手を潰していくやり方です。本来、人間社会を維持するためには、それぞれにローすなわち法律が存在します。

日本ではこれを法と呼びますが、私が指しているローは日本的な法概念とは異なり、彼らが自分たちの都合で一方的に決めていくものです。そこには正義の理論は関係なく自分たちに都合のよい規則をローとして定め、それをコンスティテューションすなわち憲法のように扱います。

このような考え方は正義に基づくものではありません。その結果、社会は弱肉強食の世界へと向かいます。人類の歴史を振り返れば、有史以来殺し合い、奪い合い、欺き合いが繰り返されてきました。これをなくすために、人間社会はそれぞれ自らの正義感に基づき、互いに規則を作り、それを守ろうとしてきたのです。もし力を持つ者が好き勝手にその規則を破れば、社会は成り立たなくなります。

一見すると、マドゥーロ政権のベネズエラは独裁でハイパーインフレにより国民が苦しんでいる側面だけが強調されます。しかし、その状況を招いたのは誰なのか、なぜかつて世界で4番目に豊かな国だったベネズエラがそうなってしまったのかについては語られません。実際にはアメリカによる締め付けが原因なのです。

(深田)
確かにその通りですね。

(石濱)
例えば、隣の家が畑で作物を育て、新しい作物が市場に出て収益を上げるようになったとします。するとアメリカが「それは自分のものだからよこせ」と言っているような状況です。相手が戸惑って応じなければ、それなら封じ込めると圧力をかけ実際に封じ込めてしまう。その結果、その家族はもうここではやっていけないと考え、逃げざるを得なくなる。これは社会のルールが公然と破壊されている状態です。

実はトランプ氏は来日時に、これと同じ考え方を明言しています。

(深田)
高市総理に対してということですか?

(石濱)
その通りです。「ポリティカル・コレクトネスはやらない。つまり政治的な正義など関係ない、自分の力でやる」と横須賀で宣言しました。その場で高市総理は飛び跳ねて喜んでいましたが、この発言をNHKや民放はほとんど報じていません。アメリカにとって日本は素晴らしいパートナーで、任せられる存在だという評価になるわけです。これは明確に戦略的な動きです。

昨年3月頃だったと思いますが、アメリカの国防長官が来日した時、日本の防衛大臣はまだ中谷元氏だったと記憶しています。その会談で「西太平洋で有事が発生した場合、日本がアメリカに代わって最前線に立つ」という内容が事実上取り決められました。私は、あの会談が「自分はこれからやりたいようにやるから、日本はそれを支えろ」という最終確認だったのではないかと見ています。

(深田)
日本がアメリカに代わって最前線に立つということを、約束させられたという理解でよいのでしょうか?

(石濱)
すでに書面になっているはずです。

(深田)
それは公にニュースとして報じられているのですか?

(石濱)
報じられています。これは私が当事者から直接聞いたわけではなく、報道内容から読み取ったものです。

(深田)
そうなのですね。

(石濱)
しかし、その点があまり強調して報じられていないため、日本人が再び事実を十分に知らされないまま誤った方向に導かれてしまうのではないかと、懸念を強く感じています。

(深田)
ということは「台湾有事は日本有事」と言われていますが、実際には単に日本有事そのものが到来するという理解になりますね。

(石濱)
その通りです。日本は世界戦略の中でアメリカのパートナーとして位置づけられ「お前は金を持っているから、金を出せ」という立場に置かれているということです。

話がベネズエラから離れましたが、ベネズエラがこのような形で扱われているため南米諸国の多くは公式声明を出して非難しています。全面的に協力すると表明したのは、確かアルゼンチンだけだったと思います。直後には、隣国のコロンビアが戦うと強硬な姿勢を示しましたが、相手の圧倒的な力を前に、現在はトーンダウンして沈黙しています。ただし、キューバはこれまでの歴史的経緯があり、今後も対抗する意思を持っていると見ています。

(深田)
それは、キューバがロシアを後ろ盾にしているということなのでしょうか?

(石濱)
その可能性は高いでしょう。仮に事態が進めば、ロシアそして中国が関与してくると考えられます。日本にとって決して好ましい状況ではありませんが、彼らは生き残るために降伏はしないという選択なのだと思います。

(深田)
このトランプ大統領の拡張路線はどこまで進むのでしょうか?

(石濱)
トランプ氏は、もはや全世界の警察官はやらないと述べる一方で、モンロー主義を明言しています。彼はこれをドンロー主義と呼んでいます。

(深田)
ドンロー主義とはどういう意味なのでしょうか?

(石濱)
ドナルド・トランプ版のモンロー主義ということです。従来のモンロー主義をはるかに超えた形で、自分こそが最強のドンロー主義だと本人が語っていました。

(深田)
本来のモンロー主義は、アメリカは自国の問題に専念し、他国の問題には介入しないという考え方ですよね。

(石濱)
本質的にはヨーロッパ諸国はアメリカ大陸に口出しするなという宣言だったのだと思います。アメリカ建国間もない時期、第5代のモンロー大統領の頃でしょうか、特にイギリスを中心に干渉を受けていたため「こちらは自分たちでやるから、勝手に介入するな」という意思表示だったわけです。それをトランプ流にさらに強烈に推し進めるということです。

私が驚いたのはアメリカの国防予算です。これまで世界最大で120兆円から125兆円程度だったと記憶していますが、今年度はいくらかご存じでしょうか。

(深田)
分かりません。

(石濱)
235兆円です。実質的に倍増し約100兆円増えています。

(深田)
それは驚きですね。その財源はどこから捻出されるのでしょうか?

(石濱)
奪うという発想でしょう。日本も相当な額を負担させられていると考えています。

(深田)
そうですよね。

(石濱)
そのため、今回の予算成立の前後には、表に出ていない何かが動いているのではないかと感じています。約100兆円規模であれば、日本の特別会計から十分に捻出可能です。400兆円、500兆円規模の資金も動かせる仕組みがありますから。そうした事情があって、国民には本当のことを語らないまま「信を問う」と言いながら、実際には信任を問わない政治が進んでいるのではないでしょうか。支持を得たという認識のもと、緊急事態のような状況を作り出し、すべての権限を内閣に預けるという方向へ進む可能性も否定できません。

(深田)
正直なところ、すべての権利を内閣に委ねるというのは非常に恐ろしいことだと感じます。一方で、ベネズエラのマドゥーロ大統領の件については、保守派の間で諸手を挙げて歓迎する声が多いように見受けられます。

(石濱)
だから「また騙されるな」と言いたいのです。トランプ氏ははっきりと「ポリティカル・コレクトネスはやらないこれからは力でやる。文句があればかかってこい。その時は戦争だ」と横須賀で公言しています。そして実際に、その通り行動しています。昨年の就任直後、確か1月20日頃だったと思いますが、彼が最初に言及したのはグリーンランド、パナマ、そしてメキシコでした。南米についても、自分のものだという認識を示しています。これがトランプ版モンロー主義すなわちドンロー主義です。そして「そのために動く資金を日本から吸い上げようとしているのではないか」というのが私の見立てです。

(深田)
日本人が次第に困窮していく、その背後にドンロー主義があるということですね。

(石濱)
その通りです。しかし日本人はまた同じようにインフルエンサーやニュースを通じて騙されてしまう。ご存じの通り、日本のテレビやマスメディアの報道の自由度は、先進国の中でほぼ最下位です。事実が十分に報じられておらず、世界ランキングでも60位台、昨年は確か66位だったはずです。私たちが日常的に目にしている情報の中には、事実とは言い難いものが多く含まれています。それにもかかわらず、学歴や肩書きのある大学教授などが断定的に語ることで多くの人が信じてしまうのです。

(深田)
確かにそうですね。テレビを見ない人たちは、今度はインフルエンサーの発信を無批判に信じてしまい、これは本当に本人の意見なのか、どこかから利益を得ているのではないかと考えることなく、トランプ大統領が日本を救ってくれると受け止めてしまう傾向もあります。

しかし油断すれば、日本の首相であっても同じような扱いを受けかねません。むしろ、なぜ今はそうならないのかを考えるべきではないでしょうか?

(石濱)
今はポチですからね(笑)。現在従属的な立場に置かれているからに他なりません。

(深田)
このことを多くの方にじっくり考えていただきたいと思います。本日は日本党党首の石濱哲信先生に、ベネズエラの問題を軸に国際情勢について解説していただきました。ありがとうございました。

(石濱)
ありがとうございました。

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