#560 トランプ危機&高市リスク。素人が怒涛の時代を乗り越える方法とは? 大井幸子氏×深田萌絵 (2026.1.5)

(深田)
皆さんこんにちは。政経プラットフォームプロデューサーの深田萌絵です。今回は、株式会社SAIL CEOの大井幸子さんにお越しいただきました。大井さん、よろしくお願いします。

(大井)
よろしくお願いします。

(深田)
前回は高市トレードのリスクについてお話をいただきましたが、リスクは高市トレードに限らないと思います。今後、米国のトランプ大統領がドル安政策を進めてドルを下げていくのではないか、あるいはBRICSがどう動くのか、といった点も気になります。その影響で、円もこのまま円安が進み、紙くずになってしまいそうです。

一方で、円のキャリートレードの巻き戻しが起きれば、一気に円高へ振れる可能性もあるのではないでしょうか。こうした状況の中で、老後を安心して生き抜くための、限られた貯金をどのように運用すれば資産を守れるのか、2026年以降の資産防衛策についてアドバイスをいただければと思います。

(大井)
2023年、2024年、2025年と、株価が大きく上昇した年が3年続きました。米国株も3年連続で20%近い上昇となり、日本でも新NISAなどを通じて米国株に投資していた方は、結果として良かったという局面でした。加えて、金価格も上がり、ゴールドやシルバーを含めて、さまざまな資産が上昇したという意味でも、この3年間は良い局面だったと言えます。

ただし、4年目にあたる2026年が同じように大丈夫かというと、円キャリーの巻き戻しなど、大きな落とし穴があるということです。そこで「どう守るのか」という話になりますが、結論としては、政府の言っていることと重なるものの「長期・分散・積立」の3点です。

1年2年で大きく増やすのではなく、少なくとも5年、10年、年金を受け取るまで、若い方であれば30年、40年という長い時間軸で、政権がトランプであろうが誰であろうが、着実に増やしていく戦略を持つことが重要です。

(深田)
やはり一番怖いのはインフレですね。

(大井)
その通りです。日本は長くマイナス金利・ゼロ金利が続き、ほとんど金利のない時代が続きましたが、ようやくインフレ局面となり、日銀も利上げを進めて正常化へ向かい始めています。これからはきちんとリターンを積み上げていかなければ、インフレに負けてしまいます。

(深田)
そうですよね。普通に貯金しているだけでは、インフレで目減りしてしまうかもしれません。しかし、今は株式市場を含め、何もかもバブルで一体どうすればよいのか、周囲の先生方に聞いても「今が一番難しい局面で、何が大丈夫と言えるのか見当たらない」と言われるのです。

(大井)
すでに高値圏に来ていますから、ここから買うのかという点で躊躇が生まれるのは自然です。ただ、投資は始めたら長く続けることが最も大切です。我々が見てきた投資の多くは、デイトレードのような日計り(※1)ではなく、仕事や家族のある一般の方が預金を少しでも生かすために金融商品を買い、比較的ゆっくりとした投資が中心になります。
※1)日計り商い:同一の取引者が一日のうちに同一銘柄を売買すること。

そうした場合に基本てきには、先ほど言った「長期・分散・積立」で少しずつ資産を守りながら増やしていく方法がありますので、それをご紹介するのがよいと思います。

(深田)
お願いします。

(大井)


資産防衛をどうするのかということですが、今は高値圏にあり、2026年のリスクを踏まえつつ、安定的に資産を増やすことが重要になります。大きなリスクを取って高いリターンを狙うのではなく、一定のリスクは取りながらも「そこそこ」のリターンを目指すことが大切です。

一般に、リスクとリターンは関係があると言われますが、リスクを取れば取るほど、リターンが高まるのかというと、そういう商品はありません。

最もリスクが高くリターンが高い代表例は株式です。反対にリスクは小さいがリターンも小さいのが預貯金や安全性の高い債券です。そして、その中間にさまざまな金融商品が出回り、証券会社の窓口には多くのファンドなどが並んでいます。

最も重要なのは「ローリスク・ハイリターンはない」ということです。私が強調したいのは、株式ほどのリスクは取らない一方で、債券よりは高いリターンを目指す「ミドルリスク・ミドルリターン」を、どのように取りにいくかということです。

また、米国株式市場の長期統計でおおむね150年程度のデータを見ると、大体73%の確率で株価が上昇しています。そのため「株だけ買っておけばよい」と言う人もいますが、リーマンショックやコロナショックのように、下がる局面では大きく下がります。つまり、7割の年では上がる一方で、3割の確率で大きく下落する年がある。これが株式のハイリスクの意味です。

(深田)
10年のうち3年は危険だということですね。

(大井)
はい。大まかに見れば、50年に1回ほどはリーマンショックが起こり、4割から5割下がる局面があるということです。また、3年程度のスパンで見れば、3年に1回ほどは10%前後の調整局面があります。つまり、波のように良い時と悪い時があり、下がる時にはどんと下がるリスクがあるのが株式です。その代わり当たれば大きいというハイリターンの側面もあります。

ただ、株価がいつ暴落し、いつ調整するのかは見通しにくいので、一般的には、さまざまな資産を組み合わせてポートフォリオ(※2)を作り、資産分散を考えます。
※2)ポートフォリオ:金融商品の組み合わせ。

株式だけを保有するとハイリスク・ハイリターンになりますから、債券など他の商品も組み合わせることが重要です。ポートフォリオの中に色々な金融商品が入っています。株、ハイリスク・ハイリターン、それから債権、ローリスク・ローリターン、金、ま、金は特殊な商品ですが、これらを組み合わせてチームを作るという感覚です。

例えば、株式だけであれば、サッカーでは全員がフォワードでどんどん攻めるチームで、良い時はいいのですが、負ける時は大敗してしまいます。反対に、安全なローリスク・ローリターンは、全員がゴールキーパーで、ただ守るだけで、無得点無失点のような感じです。

これをうまくミックスすれば、ポートフォリオによって分散が効き、先ほど申し上げたミドルリスク・ミドルリターンの考え方です。

実際にポートフォリオへ入れる資産としては、日本株、日本の債券、米国株、米国債券、そして金(ゴールド)という5つが基本形になります。チームの中にさまざまなプレイヤーを入れ、ひとつのポートフォリオとして組み立てることで、株が下がっても金や債券が一定程度支えとなり、自分の資産を守ることを目指します。したがって、株だけ、ビットコインだけ、金だけ、といった単一の保有ではなく、複数の商品を組み合わせて守る、という考え方が重要になります。

(深田)
食事でも単品だけを食べると栄養が偏ってしまうので、バランスよく食べようというのと同じで、投資もそのように考えないといけないということですね。

私たち日本人にとって、基本の通貨は円ですが、その円を今どこまで信頼してよいのかということが一番のリスクだと思います。一方で、海外投資となると、まず円をドルに替え、ドルで株式や投資信託、あるいは複数の国へ投資するという形になると思います。しかし、トランプ大統領がドル安政策を進めるのではないかという見方があり「円で持つのもドルで持つのも怖い」という感覚が自分の中にあります。

(大井)
それは、これから先、いつどの通貨がどうなるかいうのは分からないですから、これを持っておけばいいなど、そういう思い込みで持つことはやめた方がいいと思います。

(深田)
「これだけを持っておけば大丈夫」というものはないということですね。

(大井)
ないですね。だから分散して、さまざまな資産を組み入れておくことが重要になります。具体的に何へ投資するのかという点では、国内株、海外株で主に米国株、日本の債券、米国の債券、REIT、金など、異なる資産を一緒に組み合わせて分散するというこうです。ここには、誰でも購入できる具体的な商品名も並べてありますが、最も重要なのは配分です。これはアロケーションと言いますが、どの程度の比率で、どれぐらいリスクを取るのかによって、全体のバランスを取ります。

資産をポートフォリオというバスケットに入れておき、萌絵さんがおっしゃったように、どこが弱くなりそうか、どこが強くなりそうか、アロケーションを変えていきます。そうすると分散が効き、どちらに転んでもある程度の資産防衛ができる仕組みになります。

何年後にどうなるかは誰にも分かりません。地震と同じで、大地震が来ると言われても、いつどこで震源地がどこになるかはわからないわけで、金融市場も似た面があります。危なそうな領域や、金利の変化でどの資産が下がるという傾向はあります。確実に起こるのかどうか分からないので、バランスを変えてヘッジしながら資産防衛が可能になります。

実際に運用したパフォーマンスとしては、2007年、つまりリーマンショック前からの長期の累積リターンのグラフがあります。国内債券、つまり日本の債券は、リターンは大きくない一方でリスクも小さいため、棒状に一直線で来ています。最もリスクは高いもののリターンが期待できるのはS&P500です。金は2022年以降に大きく上昇し、現在も値上がっています。

(深田)
金がこれほど強い理由は何なのでしょうか?

(大井)
理由の一つとして、地政学リスクの高まりがあります。2022年にロシアがウクライナへ侵攻して戦争が起きたことや、中東でイランとイスラエルの空爆が起きるなど、地政学的な緊張の高まりがあります。

(深田)
最近、アメリカでは現物の金が大人気のようで、スーパーのコストコでも金が売り切れ続出しています。アメリカでは有事など起こりそうもないのに、現物の金を欲しがる人が多いというのは、どういう心理なのか、不思議になのです。

(大井)
それは、異常事態かもしれませんね。

(深田)
そうですか。

(大井)
金も銀も、コインなども含めて、皆さんが熱心に買っていますよね。

(深田)
日本でも、田中貴金属などでは、朝10時半に行って整理券を受け取り、大体3時間待ちだそうです。午前中に整理券を取れなければ、その日のうちに金を買うのが難しいほど人気があるようです。

アメリカのコストコでも金が飛ぶように売れて、あっという間に売り切れです。日本人がそこまで有事を強く意識しているのかは分かりませんが、アメリカ人も有事というより、ドルへの信頼を失っているからなのではないかというところはどうお考えでしょうか。

(大井)
「ドルが紙くずになる」と言う評論家もいますから、それで金を買わなければならないという心理が強く働いている面はあると思います。しかし実際には、ドルも円も紙くずになるとも私は考えておらず、通貨は通貨として機能すると思います。そうした言説に惑わされて、極端に思い込まない方がよいと思います。

(深田)
あくまで、バランスよく買っていく方がよい、ということですね。

(大井)
そうですね。もし「ドルが紙くずになる」と思い込んでそうならなかった場合にどうするのか、という点も含めて考えなければなりません。そのため、あまり一方的に「これだけ」とやらない方がよいと私は思います。

(深田)
そうなんですよね。円についても、ここから高市さんが積極財政で30兆円の余分なお金を使うような方向になってくると、円安が一気に進むのではないかと思う一方で、先日大井さんがご指摘された通り、少しのきっかけで円のキャリートレードの動きが出ると、20円、30円と一気に円高へ進む可能性も十分あり得ますよね。そこが悩ましくて、どちらに賭けるべきかという感覚になってしまいます。まるで博打のような気分です。

(大井)
世の中では、有事というか強力なイベントが起こることがあります。例えばリーマンショックですね。2025年ではトランプ関税のような出来事が急に来て、その時も株価が2割ほど下がって、イベントが終わると戻るのですよね。したがって、一時的に株が暴落するなど、さまざまなことは起こりますが、世の中はそれを修復していきます。

「金持ち喧嘩せず」ということわざがありますが、資金に余裕のある人は余剰資金を運用しているため、暴落したからといってじたばたしないでいると、むしろ買い進むことがあります。じっとしていればまた戻るので、焦らない。ここが非常に重要なマインドセットだと思います。

世の中では「これはだめだ」「これから暴落する」といった言説が出ると、今から怖くなって売ってしまいがちですが、そうした見方だけに寄らず、下がったとしても戻るので、その時にどうするかを考えることが必要です。

もう少し長期の視点で「安くなったら買おう」くらいでよいと思います。つまり、自分の感情、特に恐怖とは切り離し、客観的に情報を分析し、極端な言説に惑わされない方がよいと思います。

(深田)
私は、ロシアのウクライナ侵攻あたりから、ドルで稼いでいかなければならないと思い、ドルで受け取った資金をドルのまま置いているのですが、半分くらいはスイスフランに替えようか、ということも考えてしまいます。

(大井)
スイスフランは少し割高になっているので、ドルはドルで運用し、ドルとしてのリターンを生んだ方がよいと思います。

(深田)
スイスフランも高いとは思うのですが、ドル安になるかもしれないのであれば、ドルも分散した方がよいのではないかと考えてしまうのです。

(大井)
分散はした方がよいと思いますが、重要なのは割合です。分散のアロケーションを調整する感覚で、いっぺんにこちらを売ってこちらを買う、というよりも、少しずつ調整していった方が安全で、それが資産防衛につながると思います。

(深田)
そうですよね。ただ、資産防衛の話を個人的なチャンネルなどでお話しすると、必ず「お金がない」「投資するほどの資産もない人間はどうしたらよいのか」と聞かれるのですが、余裕があまりない人は、どうしたらよいのでしょうか?

(大井)
どれほど余裕がなくても、少しずつ積み立てで買えるものを買い、積み上げていく、というゲームプランは立てられます。アメリカや日本の株式、債券なども、ETF(上場投資信託)であれば本当に1万円から買える商品がありますので、そうしたものを少しずつ買って積み上げていくのがよいと私は思います。

お金が貯まったら投資をするというのではなく、貯金と同じように少しずつ買っていけばいいと思います。それを10年、20年と長く続ければ、価格の変動はありますが平準化されていきます。S&P500指数などを見ても、リーマンショックのような下落局面はあっても、10年、20年の単位で見ると上昇しています。先ほど申し上げたように、アメリカ株は7割は上昇してきたという流れに乗って資産を増やすという長期的なマインドセットが必要だと思います。

(深田)
逆に、70代、あるいはそれ以降の人たちは、どのように考えればよいのでしょうか。

(大井)
70代、80代の方が今から資産運用で大きく増やすのは難しいため、米国債などの確定利付の債券(※3)を購入し、利息収入を得ながら安定的に運用するのが最も安全だと思います。株式は値上がりもありますが、下落リスクも大きいため、その年代の方は安定運用でインフレ率分は稼ぐ。債券や不動産投資など元本が減らないものに投資していきます。
※3)確定利付債券:利払いの際の利率が発行時に確定している債券

(深田)
不動産といっても、REIT(不動産投資信託)のような不動産ファンドがよいのか、不動産の現物がよいのかという点もあると思うのですが、いかがでしょうか?

(大井)
不動産の現物は、ある程度の資金がなければ売買が難しいため、例えば1万円、2万円といった規模から購入できるREITのETFなどを、少しずつ買っていく方法もあります。重要なのはバランスですので、バランスを取りつつポートフォリオを組み、それを積み上げていくというゲームプランになります。

(深田)
大井先生の現在のポートフォリオは、日本株、日本の債券、アメリカ株、アメリカの債券、そして金という構成でしょうか?

(大井)
そこにREITも入れています。

(深田)
資産防衛は、長期的に見てREITも含めてバランスよく組むことがよいということなのですね。

(大井)
おっしゃる通りです。我々は5年、10年と運用してきましたが、今のところ大丈夫です。トランプ関税ショックなど、いろいろありましたが、我々のポートフォリオはその時に大きく下がりませんでしたし、下がらなかった分、回復も早かったので、理論的に分散するという考え方がいいと思います。

(深田)
私のように極端に張るのは、あまりよくないのかもしれませんね。

(大井)
デイトレーダーのように「このお金がなくなってもよいから楽しみたい」という方が、ご自身の考えで張るのは一つのやり方だと思います。しかし、長い時間をかけて資産を増やしていきたい方は、分散と積立の手法をきちんと実行するのがよいと思います。

(深田)
はい、分かりました。視聴者の皆さんも、毎月コツコツとさまざまなものに投資していくことが、インフレ時代の資産防衛策として有効かもしれません。

なお、この番組は投資を推奨することを目的としていませんので、投資の判断はご自身で行っていただければと思います。本番組では、皆さんの投資に関するリスクや責任を一切負うことができませんので、その点はご了承いただければと思います。

本日は株式会社SAIL CEOの大井幸子さんに、投資についてさまざまなお話を伺いました。先生、どうもありがとうございました。

(大井)
ありがとうございました。

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