#530 アメリカは助けてくれない?非核三原則見直しで国家安全保障はどうなる!? 宇山卓栄氏

(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム、プロデューサーの深田萌絵です。今回は作家の宇山卓栄先生にお越しいただきました。先生よろしくお願いします。


(宇山)
はい、よろしくお願いいたします。


(深田)
先生最近、高市総理になってから「高市総理がすごく勉強が好きで、働き者だということで全然寝る暇がない。もう夜中の3時に出勤しちゃったよ」みたいなことが、結構話題になっているのですけれども、どうですか。


(宇山)
3時出勤問題というのが、マスメディアから叩かれる材料になっておりました。あの時は、高市さんはまだ公邸に引っ越しをしていなかったのです。宿舎におられたので、忙しくて引っ越しをする暇もない状況だったので、3時に公邸に出勤して入るところをカメラで捉えられたという流れなのです。


(深田)
記者が夜中の3時に張っているのですか。


(宇山)
張っているのでしょうね。「動いたぞ」とカメラに撮られた。本来ならば、首相は公邸に住んでいるので、3時からやろうが、4時からやろうが、カメラに撮られることはないのだけれども、タイミングがたまたま重なったのです。

「それ見てみろ、高市さんがやる気を出してやるのはいいのだけれども、周りがみんな迷惑しているではないか」「周りがもうみんな寝られない様な状態に追い込まれているではないか」「これではやっていることはブラック企業の社長と同じではないか」とウワーッと批判が集まったという経緯だったわけです。


(深田)
でも、中小企業の社長は24時間働くのが当たり前みたいなところがありますよね。私も24時間、電話したりメールを出したりするので、結構普通の人には迷惑がられています。これはダメだと反省したりするのですが。


(宇山)
高市さんもこういう形で3時からやり始めた経緯なのですけれども、それが実はこれは、私は野党のやり方に大きな問題があったのだろうと思うのですよ。


(深田)
野党国会質問の「ギリギリに出してくる問題」ですよね。前も問題になっていませんでしたか。


(宇山)
その通りなのです。今日は国会議員の問題なども、最初に考えてみたいのですが、今おっしゃるように、これは日を跨いで、当日の夜中の1時になって、野党が質問を全部揃えて、そして1時間か2時間ぐらいで官僚たちがそれに関する答えを一気にペーパーの中に落とし込んでいって、プリントアウトしてでき上がるのが夜中の3時ぐらいです。


(深田)
最近の国会答弁を見ていたら、高市さんらしくない答えが多いと思っていたのです。別の答弁の時でも、結構何度か同じことを言っていることがあって、あれは官僚のコピペ答弁ですね。


(宇山)
そうです。作成文章がある。そこを読み上げている部分もあるということです。


(深田)
でもギリギリまで野党が質問を出してこないと、官僚もいい回答はできないです。


(宇山)
もう張り付けるぐらいしかできません。1時間か2時間しかないのですから。それで大急ぎで張り付けた部分もあるわけです。高市さんが3時から6時までの間、必死になってそれに目を通して、予算委員会の準備をせざるを得なかった経緯なのです。


これは野党がきちんと事前に、前もってその日の夕方ぐらいに、質問を出しておれば、こんなことをする必要はないのです。それを嫌がらせみたいに、日をまたいで1時に出してくるから、こういうことになっているのです。


ただ野党は「そんなことはありません。前日までにきちんと質問は通告しております」と言っているのです。それは質問項目を通告しただけなのです。中身は通告していないのです。


(深田)
そうですよね。こういうことを質問するよというフワッとしたことだけ言って、具体的な質問の内容を準備していないので、官僚がいろんなバージョンの質問と想定問答を用意しないといけないから余計に手間がかかるのですね。


(宇山)
その通りなのです。単なる項目しか出ていないのに、どう答えたらいいのか、分かるわけがないではないですか。内容が含まれていないのです。内容が含まれた全体像が出てきたのは1時なのです。それはわざとギリギリのタイミングで出して、嫌がらせをしている野党の戦略があるのです。


国会の議院運営の暗黙上のルールとして、前々日の正午までに質問はきちんと揃えて出します。与党は守っているのです。ところが、野党は絶対にそれを守らないのです。わざと直前に出してきて混乱をさせて、焦らせて失言を引き出して、内閣を引きずり下ろすというのが彼らの仕事ですから、わざわざこういうことをしているのです。そのような目論見です。


(深田)
いつもと同じですね。


(宇山)
だからこういう非生産的なことはやめましょう。やはり議運のルールとして、与野党がきちんとそれの話し合いをして、せめて前日のお昼、正午までにはきちんと出すようにしてください。そうでないと官僚も家に帰れませんから。1時などに出されて、そこから慌てふためくようなことになってくるわけです。


それでは実のある国会の質疑にならないので「前もってこういうルールを定めてください。嫌がらせみたいなことをやめてください。どうしてきちんとルール決めできないのですか」と、まず申し上げたいのです。


それと、もうひとつ野党が嫌がらせをしてくることがあのです。野党は30分の質問時間に対して、紙を20枚も30枚もズラッと付けて、分厚い質問項目を出してくるわけです。そんな質問を全部2、30分の間にできるわけがありません。質問というのは「行って来い」ですから、5つか6つぐらいできれば御の字なのです。


(深田)
そうですよね。5個か6個ですよね。


(宇山)
5個か6個です。それを20も30もズラーっと質問を入れてくるのです。それを入れてこられたら、当然に官僚たちも全部の答えを一応用意しておかないといけないのです。それでもう各省庁も関係閣僚も慌てふためくのです。


そういう形で、もう膨大な質問量を20、30だったらまだいい方なのです。50、60、100とか出してくるような、そういうバカな党もあるのです。そして混乱をさせていくのが、彼らのやり方なのです。それをやめてください。せいぜい質問は10個に絞ってやってください。そうでないとそれを受けた方も大変な状況になります。これもまた議運のルールとして定めていただければどうですかと申し上げているのです。


(深田)
そうですよね。だって質問主意書を書面で出して、書面で回答できるものもかなりあるので絞ってもいいですよね。


(宇山)
そうなのです。やはりもっとスリムにして、国会運営をスムーズにしていく方法を考えないと、それは国民のために資することにはならないですから。国会では延々とこんなことばかりをやっているのです。


(深田)
そもそも「事前に質問があって、その官僚が用意した答弁があるのだったら、もうそれを議論しなくていいから、全部ウェブサイトに貼っておいて」と思います。そうしたらもう皆やらなくてもいいので。読むだけなので。時短になっていいですよね。


(宇山)
しかも国会の中にはタブレットを持ち込んではいけないという決まりもあるのです。だから、後ろから紙を渡すでしょう。いまだに紙でないといけないのです。こういう古いのをもうやめてください。


それから、今は予算委員長が立憲民主党の枝野さんでしょう。これがまた無茶苦茶な運営をしているのです。高市さんに集中砲火、質問が浴びせられるように、例えば事実関係の確認などは関係閣僚からさせることが常識としてあるのです。いちいち首相がしなくても良いのです。


それにも関わらず「高市さん、高市さん」「首相に答えさせます」と言って、枝野さんが常に高市さんを指名する。そうしたらもう高市さんもフラフラになるわけです。もう四六時中にこれが飛んでくるわけです。それでフラフラになったところをついて、野党が攻撃をして失言を引き出してくる作戦なのです。


(深田)
野党もしばらくやる気がなかったのに、急にやる気を出していますよね。何でも反対。


(宇山)
戦略を組んでいて、ああいう「存立危機事態発言」などを引き出した岡田さんなども勝負できると。もともと高市さんは昨年の総裁選の段階からこの台湾有事の時には存立危機事態になると言っておられた。ここはもうツッコミどころだと野党が方針で、党の方針でここをしつこく突っ込んできているのだろうと思います。


私は高市さんを擁護するようなことを言っておりますが、別に高市さんの擁護をしたいわけでも何でもないのです。最近、私は高市さん擁護派のように見られて「お前もグローバリストか」と言って叩かれておりますけれども、是々非々です。高市さんの政策の中で良いものは良しと、悪いものは悪いとしましょう。野党もそこは徹底的に突っ込んでいけば良いと思っております。


例えば移民政策なんかで日和るような事をすれば、私だってすぐに高市さんを徹底的に批判いたします。だから高市さんも、国会もすぐに始まったところですから、まずは見守っていきましょうというスタンスなのです。


それでは、具体的にその政策論を見ていきたいと思うのですが、高市さんが防衛費の増額を掲げております。アメリカはGDPの3.5%の増額要求をしており、ここまで一気にできないとしても「GDPの2%で防衛費の増額をしていきます」とすでに決めており、この補正予算の中でもそれを組み込むところまで来ているのです。これは非常に良かったと思います。


高市内閣が積極財政を掲げて「17兆円規模の補正予算になるのではないか」と言われているのですが、よく中身も見ておかなければならないです。減税分が3兆円含まれているということは、この17兆円のパッケージの中の真水部分は14兆円に過ぎません。


ということであれば、この前の石破政権と何が違うのですか。同じ額ではないですか。これで積極財政と言えるのですかと問わなければなりません。私はおそらく25兆円に到達するところまで最終的に補正予算を大きく組んで来るのではなかろうかと思うのですが、今そのせめぎ合い真最中で、17兆円規模で止まることになれば、これは積極財政には当たらないだろう。ある意味「国民の失望を招くことになってくるだろうな」と思います。


(深田)
やはり消費税減税の期待もあったのですけれども「どうもそれも無さそうだ」と、いつもの自民党に戻ってしまったみたいながっかり感はありますよね。


(宇山)
こういう形で“がっかり”がどんどん積み重なっていけば、高市内閣の支持も急速に下がってくるでしょう。ここが正念場です。どういう形で積極財政を本当にやって行くことができますかと、この補正予算の段階で問われている喫緊の課題だろうと思います。


そして、この安保問題では、非核3原則の見直しをすることも、高市内閣は実は決めているのです。


(深田)
これは結構ドラスチックですよね。誰も今までの歴代総理が触れてこなかったところです。


(宇山)
これに踏み込んだのは、よくやったと思いますし、実際にこれを本当の意味で変えていかなければなりません。今核を持ち込ませずというところが議論の対象になっています。


(深田)
これは原子力水潜水艦なども入っているのですか。


(宇山)
その通りです。アメリカがSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を持ち込むことについて、持ち込んでもらえないと『核の傘』が成り立たないだろうと問うているのです。いつも思うのですけれども、この核の傘議論、これが有効かどうか、そもそも私はこんなものはあり得ないと思っています。


アメリカが日本のために何らかの形で、中国に対してミサイルを打ち返してくれるか。日本が攻撃をされた時に、日米安保の建前上はアメリカが打ち返すことになっております。もしアメリカが中国にミサイルを打ち返したら、中国側がアメリカのワシントンに向かって、ICBM(大陸間弾道ミサイル)数百発を必ず打ち返しますよ。核を搭載したICBMです。ワシントンが火の海になります。ロサンゼルスが火の海になります。そんな危険を犯してまで、アメリカが日本のために、中国にミサイルを打ち返すか。打ち返すわけが無いのです。そんなものは絶対あり得ないです。


(深田)
絶対あり得ないです。


(内海)
ですから、この核の傘議論などは幻想なのです。全くの嘘っぱちです。だからその嘘っぱちを、ある意味確認をするためにも、非核三原則の議論が日本側の手段としては有効だと思うのです。


例えばSLBMはアメリカ製のものを持ち込ませずではなくて「持ち込んでもいいのですよ。どうぞこちらに来てください。いざという時には使う気が、あなた方はあるのか」と問うことも、この非核3原則の議論の中に起こってくると思うのです。この議論は非常に有効だと思うのです。


本当に核の傘が無いとするならば、アメリカが本当に打ち返す気が無いならば、そこで自衛のための核武装の議論をし始めていくことの端緒を開くこともできると思うのです。だからまずこの段階を踏んだ上で、非核3原則の見直しを図っていく。


そして、前回のところで議論が出ましたけれども、原潜の保有を日本も検討するところにいよいよ具体的に入って行っているのです。これは非常に有益な議論だと思います。


(深田)
やはりそういう意味で言えば、韓国がその道を開いてくれたという感じもしますよね。


(宇山)
そういうことです。韓国が先に、アメリカに原潜の建造を認めさせたことの中で、日本も持たないと抑止力になりません。周りは全部持っているのだからと、小泉防衛大臣もうまくそこを、最近小泉防衛大臣も覚醒をしたのか何なのか知りませんが。


(深田)
シナリオライターが変わっただけです。振付師が変わってよく踊れるようになった。多分、役者としての素質はあるのではないですか。


(宇山)
やはりライターが変わっただけでも、あれだけのことを答弁ができることになったのは良かったでしょう。小泉大臣も言うように、やはり日本も原潜を持たないと抑止力にならない。東アジアの平和と安定に資することにならないときちんと説明をされている点では、日本が原潜を持つべきなのです。


これも前回もお伝えした通り、単に原潜を持っているだけでは意味は無いのです。ここに核のミサイル、SLBMを搭載することに大いに意味があると思うのです。そしていつでも日本側が攻撃をされたら、国土が灰燼に帰したとしても、水中核によって反撃することができるようにすることが、これが真の抑止力なのです。この抑止力を持つことが平和と安定に資することなのです。やはりその議論をいよいよ「して行きましょう」という段階に入っているのだろうと思います。


(宇山)
最後に解散です。


(深田)
解散は議員定数を削減して行くのですか。どうなのですか。


(宇山)
この問題と絡み合わせようとしているのが維新です。維新はこの定数削減を『身を切る改革』とか言って求めている。これも前々回のビデオでも解説をしたところです。もしも、「定数削減が今臨時国会中にできないのであるならば、これを国民に信を問う材料にすればいい」と維新が言っているのです。


ところが自民党の側は、それに対して受け答えをしていない体制なのです。この前も鈴木自民党幹事長が言っていたのが、国勢調査の結果が来年の秋に出揃う。それを見てから区割りも具体的に決めていくのが必要であるということは「来年の秋までこの定数を見直すことはしません」と言っているのと同じなのですよ。


(深田)
できるわけがないですよ。自民党は自滅ですものね。


(宇山)
そうなのです。そこで維新は逆に何と言っているのかと言えば「小選挙区の人口に対して削減ができないのであるなら、比例ブロックの削減を一律にやればいいのではないか。50議席でどうだ」と言っているわけです。


(深田)
それで公明党、参政党、日本保守党が消えるということです。れいわも消えます。


(宇山)
れいわも消えて行く。大打撃です。大体その参政党、日本保守党、れいわは、比例ブロックから100%、衆議院議員が出てきているのです。そこを切られると、相当な大きな打撃になっていくのです。維新とか自民党は3割程度しかこの比例ブロックから当選者を出していない。公明党は8割です。結局身を切る改革と言いながら、維新お得意の実は他人の身を切る改革みたいなものです。


(深田)
自分の身は絶対切らない維新お得意のトリックです。口車に乗らないでください。民主主義なので、数はたくさんいてもいいと思うのです。もったいないと言うのだったら全員の歳費カットでいいのではないですか。


(宇山)
全くその通りで、実際にこの定数が、日本は諸外国と比べても多いわけでも何でもありません。ヨーロッパと比べれば、むしろ少ないくらいです。


(深田)
先進国ではかなり少ない方なのです。結局、国民の意見が反映されないのは数が少ないので、聞く人がいないわけです。しかもアメリカの議員秘書と違い日本の秘書は、陳情を吸い上げるだけの数がいないのです。スケジュールを調整する人はスケジューラーで、アメリカは全然秘書というポジションにならないのです。


秘書と名乗るからには、政策立案能力のある人が揃っていて、陳情を吸い上げる能力がある人がいないといけないのですが、日本はそれが全然いないのです。数が足りていない。だから議員秘書の数が足りない。その前に、そもそも議員の数が足りていない割には給料だけは高い変な状態ですよね。


(宇山)
その通りです。こういうアンバランスをどうしていくことができるかを、きちんとした客観的な議論をしていかなければならないのに、身を切る改革をやれと言ってガンガンやっていることが不当なことです。私は別に高市さんの肩を持つわけでも何でもないけれども、やはり今支持率が高いこの時に、1月ぐらいのタイミングでやらないといけないと思います。


通常国会が始まってきますから、また閣僚の失言などが出てくれば、ズルズルと支持率が下がってくる中で解散するタイミングを失っていくことが危惧される点では、やはりこの1月の通常国家が始まる手前がひとつのタイミングになってくるのではと見ております。さあどうでしょうかというところです。


(深田)
今、街宣車屋さんに急に発注が入っているそうです。来年の春ぐらいを見越している。与野党が共に準備していますという感じでした。


今回は、解散選挙がいつあるのかということで、高市さんの政策について作家の宇山卓栄先生からご解説をいただきました。先生、どうもありがとうございました。


(宇山)
ありがとうございました。

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