#488 夫婦別姓議論は右翼も左翼も的外れ!?夫婦を縛る経済問題とベーシックインカムの可能性について語る 大西つねき氏
(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム、プロデューサーの深田萌絵です。今回は無所属連合共同代表の大西つねきさんにお越しいただきました。大西さん、よろしくお願いします。
(大西)
よろしくお願いします。またお邪魔しました。ありがとうございます。
(深田)
肩書ですが、無所属連合は活動しているのかなと思って、まず肩書きを確認させていただきたいです。
(大西)
やっていますよ。外見は動いてないように見えますが、選挙が終わって、どうしようという話があり、続行ということになりました。ただ続行といっても、すぐに選挙があるわけでもない。この前の選挙の反省として「しっかりした組織が本当に必要だよね」ということで、これをどう作るのかという話になりました。
従来の組織は、どうしても政党の代表がいて、その下がピラミッド構造になっている。そもそもそれが問題の根源だというところから、どういう組織図にするのか、トップダウンではなく、本部があって支部があるというのではなく、より自立的に動ける組織とはどのようなものなのかという話をしています。うつみん(内海聡氏)も組織を作りたいといいながらも、今まで通りのやり方では駄目だということを相当考えている。
実は、数日前のミーティングで、今まで見たことのないような組織図ができ上がりました。ピラミッド構造ではなくて丸い状態ですよ。丸いといっても分かりづらいかもしれないのですが、今度、組織としての無所属連合のオープニングスタッフを募集することになると思います。
「みんなで作ってこう」と言いながら、実はトップダウンだったというのではなく、権力をどこかに集中するのではなく、規約も含めてこれから考えていこうということにはなってます。
特に統一地方選に向けて、例えば無所属連合から出たい人がいると、今まではその出たい人と、出たい人を応援する人が別々に入ってきても、無所属連合の側から何らサポートが十分ではないので、何の統一感もないではないですか。
そこをしっかりサポートできるように、まずは各地域を11ブロックに分けて、衆議院の選挙区に合わせて、ある程度候補者がいるような形にする。それで本部と繋がってサポートできる体制を整えていこうという話にはなってます。
(深田)
これまでの知り合いとか友達が集まりましたという緩い感じを整えるのですね。
(大西)
そうです。そこからもう少し、しっかりと繋がっていくような形にしようしています。
(深田)
あの緩い感じも好きでしたけどね。
(大西)
緩いのは緩いと思います。個人の決定権などを全然犯さずに、もう少しサポートができるような組織を考えています。
(深田)
はい。それでは今日の本題を伺いたいと思います。今日のテーマは夫婦別姓議論で、どのようにお考えでしょうか。
(大西)
そうですね。夫婦別姓というか、僕はそもそも戸籍制度が必要なのかという考えですよ。例えば、選挙になると、各新聞社が必ず同性婚に反対かというような設問をしてくる。回答欄には「同性婚賛成」「やや賛成」「やや反対」「反対」の4つあるので、俺は「やや反対」にしたのですけれど、実際に発表されるのは「賛成」か「反対」かの2つに分かれるのですね。
(大西)
それで「反対」と載って「あれだけ『自由、自由』と言ってるやつが、何が同性婚反対なんだ!」とリベラル派からの声が来たりするのだけれど、いや、俺は「そもそも異性婚も別にいらない」と思ってるから、面倒くさいことになってくる。
(深田)
(笑)。それでも1回は結婚しましたよね?
(大西)
しました。
(深田)
それは間違いだったと思われますか?
(大西)
いえ、それ自体は大事な経験で、全然間違いでもなかった。30年結婚していましたから、良かったと思いますよ。ただ、この制度はどうしても人を縛るように感じられます。結婚によって縛られている人がものすごくたくさんいるではないですか。
(深田)
そうなんですよ。自分も1回結婚したのですけれども、結婚の怖いところは、戸籍が人質に取られているので、相手がどんな人であろうと逃げきれないのです。
(大西)
そうです。それから、入る時の条件と出る時の条件が違うのですよね。
(深田)
入るのは簡単だけれども抜けるのが大変なんですよ。
(大西)
両性の合意で入るわけですよ。でも、どちらかが嫌だと言った瞬間に両性の合意はなくなっているのに、今度は両性の合意がないと抜けられないのですよ。だから、何か1回入ったら足抜けしにくい○○の組織みたいな感じです。
(深田)
やはり自分の両親もいろいろあったので、結婚制度のもとで、家庭を維持するために精神的にかなり摩耗した時期があったことを考えると、もっと緩くてもいいのかなと思います。
(大西)
本当にそうですよ。苦しんでいる人がいます。僕は個人セッションもやっているので、相談を受けるのですよ。やはり夫婦関係や親の問題がすごく多いです。
夫婦が明らかに破綻しているのに、別れられない。その理由の一番大きいものが、女性の場合は別れてしまったら稼げない(生活できない)。男性の場合は逆に、別れてしまったら責任放棄をしている。あとは子供のためにということです。大体この三つの理由で、誰も動けないような状況になっています。
そうすると、これは人生で、ものすごく自分の大事な命の時間の浪費ですよね。多分、他にいろいろなチョイスがあると思うのです。
(深田)
そうです。破綻している両親の家庭で過ごす身にもなってほしい。見ていると寒いわけですよ。
(大西)
まあ、そうですよ。あと「そういうものだ」と刷り込みがずっと起こるではないですか。
(深田)
だから「本当に幸せな家庭はあるのだろうか?」とずっと思っていました。でも、妹は幸せな家庭はどこかにあると信じていました。それで、自分の親と同じ失敗は犯さないように、旦那教育を徹底しているのですよ。
(大西)
萌絵さんの家庭は両親があまり仲良くなかった?
(深田)
母が父のことを甘やかして、すごく自由にさせていました。何にも手伝わないです。昭和の家庭はそうではないですか?昭和のお父さんは家庭のことを何も知らないし、仕事が終わって「遊びに行っちゃえ、飲みに行っちゃえ」みたいな感じで、それが普通だった時代ですね。
でも、やりすぎると家庭は崩壊するということですよね。それを妹は反省して自分の夫には父親らしいことをやらせています。お互い二人で家庭を回していく。家事も折半ということを完璧にやっているわけですよ。
私は妹より年上なので、両親の不仲の防波堤になるわけですよね。それですり切れて、自分の中では燃え尽きました。そういことなので、それでも私は、家庭に対する憧れがあって、一度は結婚したけれども、お腹いっぱいになりましたね。
(大西)
なるほど。どこら辺が?
(深田)
家に帰って、家庭の中に人がいるという軋轢?摩擦?摩擦係数μ(ミュー)が高すぎるとて思いました。
(大西)
でも、それは相手によるのではないですか?
(深田)
そうですよね。そういう人がいたらいいのだけれども、空気みたいな人がいるのかというけれど、だったら空気と結婚しろよと。
(大西)
妹さんのケースもそうなのですが、家事の分担とか、何をするのかしないではなく、そのままでいいと思ってくれるのかどうかだと思います。昭和の親父であっても、奥さんも昭和の親父もお互いがお互いをこのままでいいと思っていて、相手のことを全然変えようとせずに、そのままでいいと認めてくれることが一番大事だと思っているのですよ。
(深田)
あ、そうですよね。
(大西)
そうすると、変な軋轢がなくなり、相手を変えようとしないから、ぶつかり様がなくなります。
(深田)
まあ、そうですよね。
(大西)
だから、そこがうまいカップリングというか、それを見つけられるかどうかだと思う。
(深田)
それはマッチングの問題ですか?
(大西)
マッチング問題というか、多分若い頃のマッチングでは、人間はやはり生存本能があって、生殖の本能があって、異性に引かれ、セックスベースがあります。
(深田)
ああ、性欲ですね。
(大西)
若い頃は割と守備範囲が広いというか、容姿などいろいろな条件的なことを含めて引かれたりとか、性欲が強いからレンジが広くなる。
若い頃はそれほど経験がなかったり、自分の価値観がまだ固まっていなかったりする。だからその時にいいと思うことはもちろんあるのだけれど、いいと思い続けるとは限らない。
自分も変わっていく。だから一旦、結婚の中に入ってしまったら、ずっと一生一緒にいてください。「死が二人を分かつまで」というのはそもそも無理です。この考え方そのものが無理なのですね。
(深田)
「死が二人を分かつまで」とは、何か呪いの言葉みたいですよね。
(大西)
そのうち相手が死ぬことを願うようになったら、もうこれは完全に呪いでしかなくなる。だからもう少し状況に応じて、シャッフルしやすいように制度も整えていかないといけない。
経済の話に戻りますけれど、ベーシックインカムを配ればいいのです。
(深田)
なるほど、ベーシックインカムがあると「夫の稼ぎに依存しないといけないので、離婚できない」という悩みがまずなくなります。
(大西)
例えば一人あたり5万円でもいいですよ。女性と子供には2万円増額する。そうすると家族が4人の場合、子供2人で、お母さんと子供2人の方に21万円行くのですよ。お父さんが5万円です。21万円あれば、もう少し働けばなんとか暮らせる状態になった時に、「金を稼ぐだけ」という存在がだんだん必要なくなってくるのではないですか。
それで本当に自分が生きたいように生きられる。そう言うと保守系の人は「家族の崩壊」などと言うのだけれど、そもそも崩壊している家族を無理やり続けている状態を「崩壊していない」とは言えない。
(深田)
まあ、そうですよね。崩壊しているものをつなぎ止めることはできないですからね。
(大西)
無理やりなので、精神的な負担がすごく大きいし、それが外に出て、今度は子供に当たったり虐待だったり、そういうことになってくる。次第に他責になっていき、相手が悪いと思い始める。そのままにしている自分も悪いのですが、子供にすれば「親の家庭環境によって自分がこうなった」と相手を責め合うようになってしまう。
自分が求めてそこにいるのではなく、無理をしてそこにいなければいけない。親は子供のことを考えて自分が犠牲になったり、子供は「自分のために親が我慢している」と思うと自分を責めてしまう。そのように本当に苦しんでいる人がこれだけいるのかというぐらい多いのです。
(深田)
ああ、家族のことで悩まれている方ですね。そういう人のところにカルト宗教が忍び込むのでしょうか?
(大西)
そういうこともあるかもしれない。ただ「壺を買えばなんとかなりますよ」と言っても、何ともなるわけがないのだけどね。
(深田)
本当ですよね。そのように婚姻制度そのものを否定すると、夫婦別姓の前に子供の名字はどうなるのですか?
(大西)
子供にというよりも、そもそも名字が必要なのでしょうか?
(深田)
そうですね。なぜ必要なのでしょう?そもそも名字はありませんでしたよね?
(深田)
元々なかったものが、いきなり「名字をつけろ」と言われて、安易に名字を選んだのかもしれないのですが、そのような名字は必要でしょうか?
(深田)
仕方なく、名字をつけたということですか。夫婦別姓議論になると、保守派の人たちは「家族の伝統」などとおっしゃいます。
私の本名は浅田と言って、名字の由来を親から聞いています。百何十年前か知らないのですが、おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんみたいな人が小作をしていて、ある日政府が「名字を決めろ。自分でつけていいよ」と言われた。
そうしたら田んぼの地主さんが来て「俺は田んぼが深いから、いい米がたくさん取れて金持ちになった。だから俺の名字は『深田』にしようと思う」と言ったそうです。それで「お前は頭が悪いから『浅田』にしておけ」と言われて、おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんみたいな人は「あ、それいいね」と言って浅田になった。
(大西)
だから今『深田』にしているの?
(深田)
いえ、たまたまデビューする時のメディア番組で「本名は良くないから浅田の逆にしましょう」という感じで『深田』になって、それが定着しました。まさか我が家の天敵の地主の名字と同じペンネームになるとは思わなかったです。そのように自分の名字の由来を知ると、果たしてこれがそんなにありがたいのかすごい疑問に思うのですよね。
(大西)
俺、長野に引っ越した時に、近所の地元の人のところに行くと田んぼの上なので『田上さん』下に行くと『田下さん』それで、でっかい木のところにある家が大木さん(笑)。昔は本当にそうなんですよ。分かりやすいです。
保守系の人たちがこだわっているのは、名前というよりも「先祖からの繋がりが大事だ」ということだと思います。それを一概に否定するものではないです。
(大西)
ずっと代々繋がっているというのは分かるのだけれども、別に名字がなくてもよいのではないでしょうか?
(大西)
ヒストリーというか、そういうものを繋いでいけばいい。しかし、今が大事なので、過去のことはそれほど関係ないと思います。家と家の因習などがあり、過去に囚われて、代々対立することがあります。国同士も似たようなもので、比較的近くの国が、歴史的にいろいろ経緯があり、感情的になるのですが、どこかでそれを切らないといけない。
(深田)
私は、夫婦別姓議論の隠された真のテーマは、一般的に言われていることではないと思っています。右も左も最後は通称の拡大で着地しようとしているはずなのですよ。名字について、左派は夫の姓でも妻の姓どちらを名乗ってもいいという考えですよね。
ところが、高市早苗さんが、おかしなことを言ったのですよ。彼女が「家族の名字は一つでいい。通称を拡大したらいいじゃないですか」と言った時に、私は「あ、これが左翼と右翼が裏で組んでいる裏アジェンダだ」と思ったのです。
通称を拡大すると、左派の人たちにはメリットがある。右派の中にも、裏で外国勢力と繋がっている人たちがいて、この人たちにもメリットがあるのです。
いちばんの問題は、犯罪の温床になることです。名前の通称が増えるということは、銀行口座も作れるようになるということですよね。それで身分証も作れるようになります。そうすると何か犯罪をした時に、犯人が分かり、その名前で銀行口座を差し押さえようとしても、別の名前で銀行口座を隠し持っていたら差し押さえられないではないですか。
(大西)
だから、マイナンバーと紐付けるようにするのででしょうね。
(深田)
しかも、振り仮名の記載が不思議なのです。振り仮名が片仮名で書いてあり、名前の読み方をローマ字表記しないのですよね。ローマ字表記で登録をしないと、クレジットカードやパスポートの管理で問題が起きるのです。
今までは、ブラックリストに載った人が振り仮名を変えて新しくクレジットカードを作ることがあったわけですが、もし振り仮名がアルファベットで固定されていたら、それはできないですよね。でも、片仮名で記載すると、カ行でCとK、ラ行でLとRの選択肢がある。だから犯罪の抜け道が残っているわけですよ。
そういうことを考えると、通称の拡大が犯罪の温床に繋がるわけですよね。そこの議論を全くせずに「夫婦別姓どうしよう?着地は通称拡大でいいじゃない」と言うのは、おかしいと思っています。
(大西)
何かいろいろ思惑があって、分からない部分があります。夫婦別姓を一概に「いい」とか「悪い」と、やり合っていても、本質的な議論が抜けているような気がするのです。俺はその話になった時に、そもそも本質的な男女関係や人間関係を、なぜ国が定義をするかというところに興味があるのですよね。
(深田)
そこですよね。
(大西)
みんなが当たり前だと思っていることを、考え直したい。夫婦だけなく、親子も血縁関係や戸籍で定義しているけれど、そもそも人間関係は定義できないと思うのですよ。
俺と萌絵さんの関係は何ですか?友達ですか?何かよく分からないですよね。今この瞬間に一緒に何かをしているということでしかない。
関係性はすべて、すごくアドホックというか、即興的なものだと思うのです。それを定義すれば、逆にどんどんややこしくなっていく。定義することによって、親子とはこういうもの、夫婦、友達とはこういうものと、次々に固定されていく。それに縛られると、関係が歪んでいくことがある。そういう本質的なことを、みんなが少しでも考えるきっかけにしてもらえたらいいなと思います。
(深田)
そうですよね。今回は、無所属連合共同代表の大西つねきさんに『夫婦別姓とは何か、そもそも結婚とは何なのか?』ということについてお話をいただきました。どうもありがとうございました。
(大西) ありがとうございました。





