#492 ベーシックインカムはあり?経済的に離婚できない悩みを救うソリューションか? 大西つねき氏

(深田)

皆さん、こんにちは。政経プラットフォームプロデューサーの深田萌絵です。

今回は、無所属連合共同代表の大西つねきさんにお越しいただきました。大西さん、よろしくお願いします。

(大西)

よろしくお願いします。

(深田)

前回は夫婦別姓についてお話を伺いましたが、大西さんは婚姻制度そのものを否定されているのでしょうか?

(大西)

否定というよりも、したい人がすればいいのではないかと思っています。パートナーを「自分のものにしたい」とか「自分のものになった」というような証明的な気持ちもは理解はできます。しかし、そもそも人間は誰かの所有物になるはずがなく、みんな自由であるべきです。ですから、俺はそうした制度の中には入りたくはなく、もう二度と結婚はしないと思っています。

(深田)

そもそも、なぜ一度結婚されたのですか?

(大西)

若かったので、結婚するのが当然だと思っていました。俺が結婚したのは27歳のときで、その後30年間結婚生活を続けました。

(深田)

30年間も結婚されていたのですか⁉すごいですね。

(大西)

はい、30年間きちんと結婚していました。子どもも3人育てました。

(深田)

それはすごいですね。とても誠実な生活をされていたのですね。

(大西)

特に問題もなく続いていました。

(深田)

では、3人目のお子さんが大学を卒業される頃まで続いたのですか?

(大西)

だいたいそんなところです。末の子は1997年生まれなので、高校を卒業する頃までですね。

(深田)

そうなのですね。ですが、もう二度と結婚する気はないと。

(大西)

というよりも「あんな制度はもう必要ない」と思っています。男女が一緒にいること、生活を共にすること、長い時間を共有すること、人生の一部を共にすることなどは、婚姻制度がなくても十分に可能です。実際、今もパートナーはいます。

(深田)

そのパートナーの方との結婚は考えていないのですか?

(大西)

お互いに全く考えていません。

(深田)

女性側にも結婚願望はないのですね?

(大西)

ないと思います。結婚しなくても、一緒にいたければ一緒にいればいいだけです。ですから、特に必要なものではありません。

(深田)

むしろ、結婚がないほうが一緒にいたい気持ちが浮き彫りになりますよね。

(大西)

単純に、純粋に一緒にいたいからいる。それ以外に何もありません。もし一緒にいたくなくなる時が来たら、それまでです。つまり常に「一緒にいたいから一緒にいる」ということを分かったうえで一緒にいるのです。

(深田)

お子さんが欲しいという話にはならなかったのですか。

(大西)

そうした話題は少し出たことがあります。ただ、僕は今、自分が本当にやりたいことに全ての時間を使いたいと思っており、子どもがいるとどうしても意識を取られてしまいます。そこにはとらわれたくないのです。そこを相手が「嫌だ」と感じたら、もうどうしようもありません。最終的にお互いが納得できるかどうかです。今は、彼女も納得していると思います。

(深田)

パートナーの方はおいくつなのですか。

(大西)

彼女は1980年生まれなので、45歳ですね。

(深田)

ああ、私より少し若いですね。結構下なのですね。子どもが欲しいという願望は、35歳や40歳ぐらいになるとがぐんと落ちて、物理的に無理となると「もういいかな」となってしまいます。

(大西)

そうですね。彼女の場合は、遺伝子的に「この人の遺伝子を残したら面白い」という感覚があったようです。子どもを産んで育てる経験は、前の旦那さんとの間で一度しているので「違う組み合わせでもう一度」という、純粋な興味はあったようですが、今はもうなくなったみたいです

(深田)

大西さんのパーソナルセッションなどでも、婚姻制度があることに相談があるようですね。

(大西)

そうですね。個人セッションを行っていますが、それは「自分が結婚していたから」ではありません。以前もお話ししましたが、いろいろな理由で「結婚し続けなければならない」と悩んでいる人が多いので、相談を受けることがよくあります。ですが「もっと自由にすればいい」と思うし、結婚にとらわれる必要はなく、純粋に「一緒にいたいかどうか」だけで十分です。

今のパートナーとも「今、一緒にいたいから一緒にいる」だけのことです。さらに言えば「自分がいつ、どこで、何をするか」を自分で決めているだけの話です。お互いが自分の意志で行動をして、それが結果として一致して、同じ状況で同じことを楽しんでいます。

僕は全国各地を回って講演会やお話し会をしていますが、人がどう変化していくかに立ち会える、その過程にかかわれる喜びを彼女と共有できています。今も全国をキャンピングカーで一緒に回っています。

(深田)

すごいですね。私は「全国をキャンピングカーで一緒に回ろう」と誘われたら「嫌です」と答えますね。

(大西)

ずっと一緒に車で過ごすのがつらいという男女は比較的多いと思いますが、我々はその時間が大事なのです。

(深田)

若い頃は「デート=ドライブ」という感覚がありましたけど、ドライブの意味がわからなかったですね(笑)。誘われても99%断るのですが「車に乗って私は何をすればいいの?」と思ってしまうのです。

(大西)

そうですね。しかし、手前味噌ですが、我々の場合は講演やお話し会の後の懇親会にはあまり参加しません。なぜなら、二人で過ごす時間がとても大切で、その時間自体が癒しになるのです。

人間は素粒子でできていて、みんな波を発しています。その中で、波長が合うという感覚があると思っています。何かをしゃべることだけではなく、相手は「そのままでいい。自分もこのままでいい」と、お互いに変に干渉し合わない関係性はすごく心地がいいのです。

(深田)

そうですよね。先ほど事前の打ち合わせで「お話し会で各地に行くと、各地域の会をまとめている中心に、仲の良いカップルがいると上手くいく」とおっしゃっていましたね。

(大西)

そうなのです。コミュニティー作り、いわゆる『村づくり』をしている人たちは多いのですが、お互いを尊重し合い「相手はそのままでいい」と受け入れている男女が中心にいるコミュニティーは、うまく循環しています。

男女というものは距離が近いので「相手を自分の思い通りにしたい」とコントロールしたい気持ちが入りやすいじゃないですか。ところが、そうではない二人がつくる雰囲気や空気は『他人のことを変えようとしない人たち』が自然と集まってくる。結果として、そのコミュニティーが広がっていくのです。

逆に「あの人をこうしたい、こう変えたい」といった意識が強い人たちが集まるコミュニティーは、必ず大揉めに揉めるのですよ。

(深田)

同感です。摩擦が生まれます。仕切りたがる人が入ってくると、もめますよね。

(大西)

そこで、個人として自立して、他人を変えようとしない人たちで成立するのが、おそらくこれからのコミュニティーなのですよ。その中心に「相手を変えようとしない。ありのままでいい」と思っている男女がいると、すごく良い循環が生まれる。これは全国いろいろな所に行って感じます。

今の社会は、男女の間の循環というか役割分担やカップリングのバランスが乱れていることに起因しているのではないかと思っています。

(深田)

その要因のひとつが、婚姻制度にあるとお考えですか?

(大西)

そうですね。若いうちに間違って相手と結びつくと「もう離れてはいけない」という仕組みになってしまう。それが硬直すぎるのです。

(深田)

私も両親の結婚までの経緯を聞くと「それは少し違うのでは」と感じることがあります。「結婚しちゃったから」となってしまいますよね。

(大西)

人間はやはり間違えます。その時々に考え方も変わり、人も変わっていく。それに合わせて変化できる柔軟な仕組みが必要だと思います。

(深田)

相手への興味が薄れていくこともありますよね。最初は楽しくても、しばらくすると関心がなくなってしまうこともあります。

(大西)

いつの間にか「見ている方向が違う」ということもあります。僕は30年結婚していましたが、最初のうちは同じ方向を向いていても、次第にずれていくのです。

最初は「何のために生きるか」ということがわからないのですが、経験を重ねるうちに「自分はこのために生きたい」と考えていく。その時に、相手がいつまでも同じ考えでいるとは限らず、それは自然なことです。そうなると、異なる目的を持つ二人が一緒にいるのは、やはり無理があります。

自分の元妻は「子育てが終わったら、恙なく余生を平穏に過ごしたい」というタイプでした。対して俺は「平穏無事」とは考えたことがなく、そんなことには1ミリも興味がない。命の限界まで興味があることに使いたいと思っています。生きる目的が違うと、これは良い悪いではなく、自然に時間やお金の使い道が変わってきます。

(深田)

本当にそうですね。

(大西)

そうなると、結婚生活はなかなか難しくなります。

(深田)

それは友人関係でも同じですよね。

(大西)

その通りです。

(深田)

10代の頃は、特別な理由がなくても一緒にいられました。でも、大人になると「自分はこれがしたい、こう生きたい」という目的ができると、自然と離れていきますよね。

(大西)

同窓会などで昔話を楽しめる人もいますが「昔話には興味がない。全く覚えていない」という人もいます。昔話をする人たちと一緒にいたくないというか、今を生きていない人と一緒にいても意味がないと感じることがあります。

(深田)

私は、別に昔話をしたくないわけではないのですが、当時のことを何も覚えていなくて、興味も湧かないのです。まったく記憶がなくて、親友によく怒られます。

(大西)

それはわかります。俺も本当に覚えていないので、怒られても仕方ないですね(笑)。

(深田)

話を戻すと、婚姻制度というものが、少子化問題につながっているのですか?

(大西)

まさにその通りで、そうなると「セックスどころではない」という状況になりますよね。

(深田)

たしかに、一緒に車の中にいるのも辛くなり、寝室で同じベッドに寝るのも厳しくなる。そうなると、次の段階がないです。

(大西)

そうですね。セックスは、若い頃は性的欲求や子作りという目的があるかもしれませんが、年齢を重ねるにつれて、それだけではなく、精神的な癒しやエネルギーの補充といった側面のほうが大きくなっていくと思います。

しかし、そうした気持ちになれない相手と一緒に居続けると、セックスをしなければいいという単純な話ではありません。精神的な関係性や、互いのエネルギーの循環、波の交換といったものが合っていないと、セックスをしなくても、近くにいるだけで自分の波が乱されてしまう。

やはり男女において、セックスとは、肉体的にも精神的にも最も近くなれる行為ですが、そのレベルになれない相手と長時間一緒に過ごすのは、非常に苦痛ですよ。それが社会の乱れにつながっているのではないでしょうか。でも、一緒にいて心地よいとか、長時間一緒にドライブしても自然体でいられる人は、いるのですよ。そういう相手は必ずいます。

(深田)

若い時は、性欲があるので、それを見誤ることがありますよね。

(大西)

ありますね。若い頃は守備範囲が広いので、間違った相手を選んでしまうことが多いです。でも、どこかの時点で「ちょっと違うな」と感じて、そういうものが減衰すると、自分が自分のままでいられる相手が見分けることができるようになる。その時に、きちんと動くことが大事だと思います。これまでの婚姻生活や社会的なしがらみに引っ張られず「あっ、この人だ」と感じたときに行動できることが必要なのです。

(深田)

結婚するのは簡単ですが、離婚は地獄ですよね。

(大西)

その通りです。だからこそ「この制度をやめよう」という話ですよ。あるいは、制度をなくす前に柔軟に考えましょう。

(深田)

ペアローンは禁止にした方がいいと思います。私は組んだことはありませんが、あれは地獄の始まりですよ。怖いですよね?

(大西)

本当に怖いです。聞いただけでも怖いです。

(深田)

ペアローンで億ションなんて買ったら、恐ろしいですよね。

(大西)

制度という鎖の上に、金融という新たな鎖が重なるわけですから、怖いですね。

(深田)

本当に怖いですよね。ところで、私、40歳を過ぎてから性欲がなくなってきました。そうすると、人を好きにならなくなった。「浅い人間ですみません」とよく思います。

(大西)

でも、なくなったわけではないでしょう?

(深田)

なくなったわけではない?

(大西)

そう感じる機会が減っているだけなのではないでしょうか。

(深田)

たしかに、そうかもしれません。馬車馬のように働いていますから。倉田真由美さんにも「もっとセックスをしなさい」とたびたびお叱りを受けています。

(大西)

セックスはした方がいいと思います。というより、人間にとって大切なことだと思います。

(深田)

そうですね(笑)。それで、少子化対策のためには、婚姻制度をなくすべきということでしょうか?

(大西)

そうですね。少子化対策にはいろいろな方法があります。たとえば、ベーシックインカムの導入や子育て世帯への給付金など、今の状況でも十分に考えられる政策はあると思います。

(深田)

私は以前、ベーシックインカムには反対だったのですが、結婚の現実を考えると、見方が変わってきました。離婚できないカップルの女性側の話を聞くと、月に1万円の養育費をもらうために、1年間も夫と同居しながら揉め続けているというケースがあるのです。そうした話を聞くと「さっさと働けばいいのに」と思う反面、子どもがいるから働けない事情も理解できます。

「シェルターを作りましょう」とか「ひとり親女性を保護するシェルターに助成金を出しましょう」などと考えると、むしろベーシックインカムがあった方が女性は生きやすいのかもしれないと感じるようになりました。

(大西)

ベーシックインカムの議論では「財源をどうするのか、社会保障を置き換えるのか」といった論点が出てきて、冷静な議論ができなくなり、賛成か反対に割れてしまう。しかし、今の状況をつぶさに見たうえで、一つの方策としては、十分検討に値すると思います。

(深田)

たしかに、周りの女性を見ていると、子どもを育てながら働くのは本当にきびしいと感じます。大企業や制度の整った中堅企業で働く女性は産休や育休を取れますが、そうではない女性も多くいます。

そうした中で、会社を辞めた女性、辞めざるを得なかった女性は夫の収入に頼らざるを得ない。その後、関係が悪化して生活が立ち行かなくなるケースを多く見ます。そうなると「シェルターに行くしかない」という状況になり、今度はそのシェルターが別の政治的勢力の温床になってしまうなど、別の問題も生じます。

(大西)

経済的な問題は、精神的に影響をおよぼします。自己肯定できないとか自分を大切にできないと感じると、それはセックスとも深く関係しています。快楽とも結びついているので、それを許せるのか許せないとか、はしたないとか汚いとか、そういう思い込みが強かったり、さまざまな要素が複雑に絡み合って、今の社会の状態になっているのだと思います。

(深田)

その価値観はここ100年ほどで形成されたものですよね。セックスは抑制すべきという考え方は欧米由来の価値観で、日本は『夜這い婚』などがあって、もっと大らかだったと思います。

(大西)

そうですね。ですから、もう少し皆さん、緩くいきましょう。楽しみましょう(笑)。

(深田)

欲が戻ればいいのですが。今回は、大西つねきさんに多方面にお話を伺いました。まとめられずにごめんなさい。

(大西)

ありがとうございました。

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