#487 米中経済消耗戦が再発!軍事力をかけたレアアースの覇権争い、巻き込まれる日本の運命は? 田村秀男氏
(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム、プロデューサーの深田萌絵です。今回は産経新聞特別記者の田村秀男先生にお越しいただきました。田村先生よろしくお願いします。
(田村)
よろしくお願いします。
(深田)
先生、今回は米中経済消耗戦争再開ですが、何をきっかけに再開して消耗していくのかということについて教えてください。

・米中経済消耗戦争 2025年7月 ワニブックス
・亡国のザイム原理主義 2025年7月 かや書房
(田村)
経済消耗戦争で、この消耗という意味は、単に貿易摩擦や貿易戦争という類いのものではないということです。アメリカと中国の覇権争いは、覇権の分野が、軍事も当然あるのですが、それ以上に経済や産業の領域で、どちらが相手を圧倒できるかということです。
その領域で戦いを始めると、お互いに傷がつくわけです。だから一時的に妥協はするが、対立は収まらないので、また繰り返す。これを延々とやる。だから僕は、これは百年戦争だろうと言っているのです。
昔は、百年戦争といえば、教科書にも載っていて、イギリスとフランスの戦いでジャンヌ・ダルクが出てきて、延々永遠と続く戦いですが、こちらはアメリカと中国の間の戦いです。
その中国はロシアのプーチン大統領と組んでいる。戦略的パートナーシップと言っているわけですね。中国の資源エネルギー面での弱みは、ロシアと組むことで補強する。自身が強い分野、たとえば深田さんが得意とするEV、リチウムイオン電池,半導体などでアメリカに対抗し、多くの分野でアメリカを圧倒する。
レアアースに至っては、絶えずアメリカに「お前のところにはもう供給しないぞ」と牽制する。アメリカだけには留まらず、アメリカに追随する日本にも同じことを行う。トヨタ自動車が真っ青になるようなことを繰り返しているわけです。
レアアースは、アメリカにとっては、非常にクリティカルというか、致命的な分野がある。兵器、ミサイル、航空機、EV用のモーター等々です。さらに半導体など、ありとあらゆる重要な部分に欠かせない原材料になるわけです。このシェアを中国は、平均すると5割ぐらいを持っているというのです。
レアアースについては、元素の周期表を見ると100ぐらいあるのかな?その後ろの方の二十数個の元素を総称してレアアースと言う。ほとんどが単体では産出されずに、他の鉱物資源と混ざって一緒に出てくる。精製する時には、放射性物質も一緒に入っているから、衛生環境が良くないので、みんな怖がって、西側の国や企業はなかなか採掘しようとしない。
(深田)
労働規制問題とか、環境問題とかいろいろな規制がありますものね。
(田村)
中国はあのような国なので「それらは関係ない」と言う。鄧小平以来「中国には何もなくてもレアアースがある。石油はなくてもレアアースがある」といって、これの独占権を持った。
(深田)
人権がないのは、すごい強みですよね。残念ですが。
(田村)
レアアースに関して、禁輸同然の措置をどんどん繰り出してくるので、トランプ大統領がまた怒り出して、11月1日から100%関税をかけると、言い出したのですよ。ところが、10月10日にそう発言したのに10月12日になると、言い方を少し変えて「習近平国家主席は非常に尊敬に値する人物だ」と今度は誉め殺しに出たのです。
(深田)
いつもですよね。
(田村)
誉め殺しに出て「今中国は非常に経済的に困っている。我々アメリカはさらに追い詰めるようなことはしない。これはお互いにのためにならない」と、今度は懐柔策に乗り出そうとしている。トランプ氏のあだ名は“TACO”(Trump Always Chickens Out、トランプはいつも尻込みする)でしょう。要するに最後は日和ってしまう。
(深田)
そうですよね。トランプはいつも腰が引けるということですね。
(田村)
そういうことをやりかねないわけですが、懐柔策に出た時、トランプは「中国は非常に困っている。経済的に大変なのだ」とSNSでコメントをしたのですが、これは事実です。
最近の中国の経済データを調べると、大体1200万人の新卒者がいても、明らかに就職できているのは、半分にも満たないわけです。700万人ぐらいの若者は、毎年就職先がないのです。
(深田)
今中国では、働いているふりができるカフェのようなものが若者で流行っているようです。
(田村)
一人っ子政策で、男の子は親から大事にされるから、就職できなくても、なんとかできる。それでも何かをしないといけないので、食料品配達のウーバーのアルバイトなどで時を過ごすという、誠に悲惨な状況です。
それから中国の不動産のバブル崩壊はまだまだ全然終わっておらず、底が見えない状況です。不動産開発投資はいまだに前年同期比で3割減です。中国の経済成長はいつも不動産投資が中心なのですが、毎年マイナ30%が続いているわけで、こんな状態で経済が良くなるはずないですよ。
他方で習近平氏が、最も力を入れているのは、EV、太陽光パネルなどで『新質生産力』という変な造語を作って、そちらの方にたくさん補助金を出して、増産を奨励して投資をどんどん進めた。その結果、大変な供給過剰になった。過当競争なのでダンピングをして、今は半値で販売しているのですよ。太陽光パネルが釧路湿原でも大きな問題になっているが、中国製が安いから設置するので、日本の環境をめちゃくちゃに壊している。
私の知り合いの科学者によれば、太陽光パネルは、都市を暑くすると言うのです。東京も他のどこの地方の都市もそうでしょう。
(深田)
太陽光パネルで暑くなっているのですか?分かります。
(田村)
それから熊が出没するでしょう。
(深田)
そうです。太陽光パネルのせいで森林を切り開くからですよね。
(田村)
それともう一つ、太陽光パネルから出る電磁波が、熊の脳細胞に働くらしいのです。
(深田)
そこにいられないので、人里に出てくる。
(田村)
それが本当かどうかは別にして、太陽光発電ほど害をなすものはない。
(深田)
そうですよ。何のメリットもないです。
(田村)
しかも我々は賦課金を払わされて、うちで賦課金の額がどれくらいなのか、前に見たら大体1000円ぐらい払わされている。
(深田)
全国で多分年間3兆円ぐらい巻き上げられていますよ。
(田村)
あれはけしからん、そのお金がそのまま中国に行く。
(深田)
そうですよ。全部中国ですよ。
(田村)
だから、何のためにやっているのか?しかも環境破壊になる。台風が来てめちゃくちゃに壊れたら、有害廃棄物になり処理のしようがないと言う。
(深田)
しかも中国の事業者が日本人の土地を借りて、太陽光パネル設置して、壊れてその後そのまま放置して逃げてしまうのです。結局、多額の撤去費用は日本人の地主が負担する。
(田村)
日本はこういう諸々の問題のために、経済が停滞している。若い勤労者は所得が少なくて、結婚もできない。子供をつくるわけにはいかない。これでは日本国は滅んでしまう。
この危機感が、今や若い有権者に現れているわけだ。ところが国会議員の連中は、いまだに延々と数合わせで、首班指名すらやろうとしない。
(深田)
玉木(雄一郎)さんはどうなのですかね?

(田村)
異常なのですよ。大体玉木氏がスターになるというのは、どういうことなのか。そんな資格はないのですよ。
(深田)
衆議院は自民党が196、立民で148、国民民主は4番目の27人しかいないのに、なぜ彼が切り札みたいな動きができるのかということですよね。
(田村)
立憲民主の野田(佳彦)代表が、玉木氏を担ぐというのは堕落なんだよね。なぜ本人が「俺がやる」と言って堂々と勝負しないのか。
(深田)
自分は人気がないという自覚があるのではないですか?
(田村)
それは当たり前だろう。国民に訴える力がないのだからそうなる。もう勝負はついている。高市さん自身もパーフェクトとは言えない。どんぐりの背比べなのだが「お互いに勝負しろ」と言いたい。
(深田)
各自「俺が首相だ!」と全員が手を上げたらいいですよね。
(田村)
手を挙げればいいのだよ。それで所信を述べて、国会でお互い撃ち合いをやってみたらどうだ?
(深田)
やはり、自民党総裁選が国民にとってフェアではなく、日本人なのかよくわからない自民党員が投票するわけですよ。しかもその投票用紙が別に党員に来るわけではなく、議員がそれを全部集めて名前を書いて出しているわけですよ。
(田村)
実際は、非常に目に見えない不透明なプロセスになっているわけでしょう。
(深田)
そうです。不公平なのです。
(田村)
国会で堂々とやるべきですよ。特に首班指名は自民党総裁とは、全く別次元の話です。
(深田)
私たち国民がなぜ首班指名に参加できないのか、不快ですよ。
(田村)
日本は大変な状況ですよ。仮に明日にも習近平氏が司令を出して、台湾に侵攻、あるいは尖閣に押し寄せたらどうするのか。
(深田)
そうですよね。
(田村)
小泉(進次郎)氏を防衛大臣にするのか。
(深田)
えっ⁉高市さんは小泉防衛大臣を考えているのですか?
(田村)
新聞では何かそういう話だ。
(深田)
でも、高市さんが小泉氏を防衛大臣にしたら、その時点で首相としての能力を疑いますよね(笑)。
(田村)
そこはコメントは差し控えるが、知り合いの制服組の自衛官によれば「とんでもない。小泉さんだけは勘弁してください。誰がそんな人の指令を聞くのですか?」ということです(笑)。
(深田)
そもそも幹事長代理に萩生田(光一)氏とはどういうことですか。
(田村)
功労者なのだろう。自民党内の役員人事ならば別に目を瞑ってもいいが、やはり問題は、国民に直接関係する内閣ですよ。それをきちんとしなさいよ。
トランプはいろいろ言われるけれど、あれほど厄介なガザの停戦合意を、一応は結ばせたではないですか。ウクライナも前に進めようと努力をしていて、プーチン氏も無下にはできないような情勢になっているわけです。このように世界がどんどん動いているのに、なぜ日本は井戸の中で駆けっこばかりやっているのか。みっともない。
(深田)
本当に内向き目線で、その目線は国民ではなく、政治家の都合だけを見ています。
(田村)
恥を知らない。保守系の人は「日本人は非常に素晴らしい」と言うが、素晴らしいことには同意するけれども、素晴らしくない部分がまだ相当あるということです。
(深田)
そうですよね。一般国民には素晴らしい人がたくさんいるのだけれども、なぜ政府はこうなったのでしょうね。
(田村)
おかしいです。政治家はみんな、霞ヶ関の官僚に任せていれば何とかなると思っているが、そうはならないのですよ。しかも霞ヶ関官僚が、日本をこんなに停滞させてきました。
(深田)
彼らは本当に日本人なのですかね?そこから疑わしいと思います。
(田村)
アメリカの情報がそのまま入るので、政治も牛耳れる。財務省は財政均衡主義のもとで増税ばかりで、政治家にそれをやらせてきた。経済産業省は自分の縄張りを広げ、外務省は、アメリカの言うことに従うだけで、外交はないのも同然。
(深田)
そうですよね。全然だめじゃないですか。
(田村)
だから思考が停止してしまうのだよね。
(深田)
自分たちで何も決められない国になってしまいました。
(田村)
しかもマスコミメディアが、政府のブリーフィングをそのまま書いてしまうので、せいぜいできるのは、この政局のばかみたいな数合わせをそれらしく報道する程度です。
国の全体運営のことに関して、日本の公的メディア、言論メディアは電波を使っているが、公共性があるのに、その責任を全然感じていない。
(深田)
そうですね。メディアが最も無責任なのではないですか?
(田村)
あえて言えば、SNSで自由に色々発信する情報の方がよくなっている。
(深田)
独自の視点で、自分の意見を言えますから、言論統制された中で、新聞大手メディアが政府の発言をそのまま流すようなことはしないですね。
(田村)
今日の本題の中国経済ですが、中国は今、じり貧なのですね。トランプ氏の100%関税を本当に実行すると、大変なことになりますよね。
(深田)
田村先生、その辺りの詳しいお話は次回ゆっくりお伺いしたいと思います。今回は田村先生に「日本の政治家は、何をやっとるのだ!」と厳しいお叱りの言葉をいただきました。先生、どうもありがとうございました。
(田村)
ありがとうございました。





