#475 家賃、食費は夫婦割り勘?女性宮家案が抱える深刻な課題とは? 宇山卓栄氏

(深田)

みなさん、こんにちは。政経プラットフォーム、プロデューサーの深田萌絵です。

今回は著作家の宇山卓栄先生にお越しいただきました。先生、よろしくお願いいたします。

(宇山)

よろしくお願いいたします。

(深田)

今回は、自分が結婚していないのに人の結婚について語るのは心苦しいのですが、女性皇族の結婚問題についてお話を伺いたいと思います。

(宇山)

私も独身なので、人の結婚についてとやかく言うのは気が引けます。しかし、やはり皇族のご結婚は一般の結婚とは異なり、さまざまな制約があるという点を考えてみたいと思います。

2021年12月12日、有識者会議で皇族数を確保するための草案が提示されました。まず第1案は、女性皇族の扱いに関するもので「女性皇族は結婚後も皇族のまま留まる」と明記されています。第2案は「男系の皇統に属する旧宮家の男系男子を養子縁組などによって皇族として迎える」と示されました。

第1案に基づくと、例えば秋篠宮佳子様がご結婚された場合、そのまま皇族として留まることになります。現在、女性皇族はご結婚されると『臣籍降下』といって皇籍から離脱しなければなりません。眞子様は一般人である小室圭氏と結婚されて、皇籍から外れ、戸籍上も一般国民になっています。

先の有識者会議の案に基づけば、女性皇族はご結婚後も皇族としての身分を保持するのですが、問題はその配偶者の扱いです。つまり、佳子様の結婚相手を皇室に迎え入れるのかという点です。

この点については「配偶者は皇族にならない」と明確に定められています。もし仮に迎え入れるとなれば、眞子様のお相手である小室圭氏は「圭殿下」と呼ばれることになり、大問題です。

「どこの馬の骨とも分からない一般人を皇室に迎え入れること」は、皇室の長い歴史の中で一度も行われてきませんでした。男性の一般人を皇室に迎え入れてはならないという不文律が2000年にわたって守られてきたのです。女性は受け入れるが、男性は認められないのです。

(深田)

なぜそうなっているのでしょうか?

(宇山)

それは、女性が無害な存在、平和的で穏やかな存在とみなされてきたのです。ところが男性は、昔でいえば刀を振り回し、何をしでかすかわからない存在でした。「男を皇室に一歩でも入れたら、皇室を乗っ取られるかもしれない」という危機意識があったのです。

したがって、佳子様のご結婚相手は一般人のままとなります。そうなると、さまざまな問題が生じます。佳子様は皇族ですが、お相手は一般人です。皇族の生活費はすべて皇族費として国の予算から支出されています。

たとえば、食事を共にするときでも問題になります。同じ食卓で食事をされたとして、相手が3分の2、佳子様が3分の1を食べたとすると、その費用をどのように分担するのかという問題が生じます。皇族費は皇族本人のための費用であり、一般人には支給されず、割り勘にしなければならないのです。食事の問題だけでなく、住まいの問題も同様です。皇族は、御用地など皇室関連の敷地内にお住まいになりますが一般人は御用地に住むことはできません。

(深田)

では、もし家を建てるとしたら、塀を挟んで塀の内側が佳子様、外側がお相手の方となるのでしょうか?

(宇山)

そのようなことは現実的に可能ですか?

(深田)

そうですね。それではどうやって夫婦として生活するのか、子どもをもうけることが難しくなりますね。

(宇山)

その通りです。別居婚という話になってしまうのです。一緒に住めないというのは、やはり現実的ではありません。しかし御用地に住まわせるとすれば、今度は一般人である男性から家賃を取らなければなりません。

(深田)

それはきついいですね(笑)。

(宇山)

御用地の家賃ともなれば、相当な額になります。毎月の給料が家賃で消えてしまい、むしろマイナスになるでしょう。支出を按分して計算すればそうなります。そんなことが現実的にできますか?

一つ屋根の下で生活をして、毎回ご飯を量って割り勘にする、家賃も半分にする。そんなことが現実にできるはずがありません。

しかし、皇族費は皇族以外に適用されません。こうした制度の下で「女性宮家を創設する」という議論自体が、現実的ではないのです。私はそうした非現実的な発想はやめるべきだと考えています。

つまり、「女性皇族は結婚すれば臣籍降下、すなわち皇籍を離脱する」というのが私の意見です。

ところが、これを主張すると今度は野党が反発します。「女性宮家を認めればよいではないか」という声が上がるのです。有識者会議が女性宮家創設の案を出した背景には、そうした政治的配慮があったと考えられます。皇族数を確保しなければならないなかで、次々と女性皇族がご結婚によって皇籍を離脱してしまえば悠仁殿下お一人しか残らないという事態にもなりかねません。

そこで重要になるのが、もう一つの案です。それは、男系の皇統に属する旧宮家の男子を養子として迎え、皇籍復帰させるというものです。これによって新たに一つでも二つでも宮家が誕生すれば、皇統が繋がるのです。

仮に悠仁殿下がご結婚された後、后との間に御子が生まれなかったとしても、新たに復帰した宮家の男子が后との間に御子をもうければ、男系の皇統はつながっていきます。

複数の宮家を設けることで、出産に対するプレッシャーを軽減することができるわけです。これは極めて合理的であり、人道的にも配慮された考え方だと思います。

したがって、女性宮家を議論するよりも先に、まずは男系の宮家を二つでも三つでも作り、皇統を継承しながら、出産の重圧を和らげていくことが重要なのです。

(深田)

人工授精などで、そのあたりを補うことはできないのでしょうか?

(宇山)

それも可能だと思います。人工授精など、さまざまな医療技術を活用すれば良いと考えます。しかし、それでもうまくいかない場合もあります。その時は、他の宮家が「バッター交代」という形で皇統を継承していくのです。

予備と申し上げると不敬に聞こえるかもしれませんが、皇室の藩屏として、皇統を守るための体制をあらかじめ整えておくことが大切だというのが、有識者会議の第2案なのです。

(深田)

不敬かもしれませんが、精子を冷凍保存しておくというのはだめなのでしょうか?

(宇山)

良いと思います。そのような方法も十分に考えられます。人工授精によって皇統をつなぐというのは、最終的にはそうした手段もあり得ると思います。

科学の力を借りることは、十分にあり得ます。それでもうまくいかない場合があります。そのような時のために「スペア」を備えておくというのが、この考え方の根幹なのです。

では、ここからが本題になります。

(深田)

ここからが本題なのですか⁉

(宇山)

そうです。愛子様のお話になります。

(深田)

ああ、愛子様ですね。

(宇山)

現在、愛子様が旧賀陽家の御曹司とお付き合いされているという報道があります。旧賀陽家は、旧十一宮家のうちの一つにあたります。つまり、男系の皇統を継ぐ男系男子の家系です。わかりやすく言えば、竹田恒泰さんのような立場の方です。竹田恒泰さんは、男系の皇統を受け継ぐ旧竹田宮家の御曹司にあたります。ご本人は「自分は絶対に皇籍復帰はしない」と明言されていますが、このように男系の血筋を継ぐ方々が現在でも二桁単位で存在しているのです。

その中の一人である賀陽家の御曹司と愛子様が親しく交流されているという話があります。そして、お二人がご結婚されることは分にあり得ると思います。かつては、宮家同士で結婚されることは頻繁にありました。

今の愛子様のご性格を考えると「お父様がいいと思ってくれる方と結婚する」とおっしゃるのではないかと思います。愛子様は「好きな人と結婚したい」とわがままを言う方ではありません。そうした中で、旧宮家の御曹司とのご縁が結ばれる可能性は極めて高いのです。

そうなった場合、愛子様は第1案の「女性皇族は結婚後も皇族に留まる」という規定が適用されます。つまり、愛子さまは臣籍降下されず、皇族として留まられる。そのお相手の男性は、旧宮家の男系の血統を継ぐ方です。

その結果、生まれるお子様は皇族であり、男系の皇統を継いで、血統をたどれば神武天皇へとつながるのです。そうなれば、仮に愛子様が天皇に即位されたとしても、その御子様も男系で皇統が継承されるということになります。

実はこれこそが、国民世論が最も納得できる答えなのではないか、という見方があるのです。

(宇山)

秋篠宮家へのバッシングというのは、さまざまな形で行われていますよね。

(深田)

なぜ、あんなにも批判されているのでしょうか。

(宇山)

あることないこと、いろいろ混ざっています。私も以前、小室圭氏のような人物と親族関係になることについては、問題があるのではないかとご批判申し上げたことがあります。

そうした事情もあり、数年前から秋篠宮家に対するバッシングがエスカレートしていきました。それのカウンターとして「では愛子様が天皇になれば良いではないか」という意見が浮上してきたのです。

もし男系の血筋を継ぐ旧宮家の方とご結婚されれば、皇統も男系でつながることになります。そうなれば、男系派の人も文句はないだろうとい形になったのです。これが今の『愛子天皇論』なのです。

(深田)

なんだか複雑ですね。

(宇山)

確かにそうです。男系派の人も「それならば愛子天皇に賛成します」と立場を変える人が、かなり出てくると思います。政府内部にも「それで丸く収めようという」意図が、ちらほら見受けられます。

しかし、そんなことをすれば『秋篠宮家の皇統はどうなるのか』という問題が生じます。現在、皇位継承順位の第一位は秋篠宮殿下、第二位は悠仁殿下で、この継承順位は正式に決まっています。それを差し置いて、愛子さまを天皇陛下に据えるとなれば、どちらが正当な皇統なのかという問題が生じます。

(深田)

皇位継承権を覆すというのは、クーデターのような印象を受けますね。

(宇山)

まさにその通りです。クーデター騒ぎになります。

(深田)

本当にそうですよね。お家騒動の話です。そんな問題を、私たち一般国民が口を出していいものかと、いつも感じてしまいます。

(宇山)

最終的には、私たちが口を出さざるを得ない状況になるでしょうね。ある人は秋篠宮家の皇統を正当と認め、別の人は「愛子様で良いではないか」と主張する。国民統合の象徴であるべき皇室が、かえって国民分断の象徴となり、今おっしゃったようなお家騒動に発展する危険性があります。

実は、明治期に皇室典範の起草に携わった井上毅という政治家が、すでに同様の懸念を示し「宗系の紊乱」という言葉で警告しています。

ここでいう「紊乱」とは撹乱とか乱れているという意味で「宗系」とは皇統から連なる正統の家系を指します。つまり、皇統という血統の正統性が撹乱され、秋篠宮家の系統が正統なのか、愛子さまの系統が正統なのか、まるで南北朝のような対立を招きかねない。そうした分断の象徴になってよいのかという点を井上毅は警告したのです。

この観点から、井上毅は「皇族が養子を取ってはならない」と述べました。もし仮に愛子さまが旧賀陽家の方とご結婚される場合、旧宮家から養子を迎えることになります。確かに男系は維持されますが、同時に宗系の紊乱を招くおそれがあると、井上毅は明治の時点で警鐘を鳴らしていたのです。だから「皇族養子を取ること能わず」と言っているのです。

このような先人の警鐘を併せて考慮しなければ、重大な禍根を残しかねません。皇室典範の改正は、それだけでも大変なことなのです。国会議員の過半数で皇室典範改正は可能です。しかし、そこでどのような問題が起こるのかを、十分なシミュレーションを行う必要があります。皇室典範なので、よく考えないと大変なことになるという意識が今の国会議員にはありません。だから、問題なのです。

(深田)

私からすると、他のご家庭の家督をどう継ぐかという問題に、なぜ私たちがそこまで口を出さなければならないのかと感じます。女性天皇を待望するような声があるのかもしれませんが、すでに皇位継承の順序は定まっているのですから、それで良いのではないでしょうか。

決まっていることをあれこれいじると、かえって余計な問題が生じるように思います。今の時点で困っている人など、誰もいないのではありませんか。

(宇山)

おっしゃる通りです。ただ、秋篠宮家を批判する人たちは、秋篠宮殿下に皇統が継がれること自体が気に入らないのです。だからこそ、さまざまな理由を挙げてバッシングを続け「愛子様が良い」と言うのです。

(深田)

そういう人たちは、保守の立場とは言えませんね。

(宇山)

まったくその通りです。保守であるはずがありません。

(深田)

皇位継承の秩序を乱すというのは、いわばお家騒動を起こすことです。そして臣民が、皇室の内部の問題に口を出すというのは、それ自体が不敬ではないかと思うのです。

(宇山)

萌絵さんは、まさにそこに信念をお持ちなのだと思います。臣民である私たち一般国民が、皇族のご結婚や家の在り方に口を出すべきではないという、その考えが根底にあるのですね。

(深田)

そうなのです。私が子どもの頃は、天皇陛下のことに文句を言うなどということは許されなかったのです。

(宇山)

なるほど、それは非常に本質的なご指摘です。しかし、現実にはそうはいかないのです。どうしても口出しせざるを得ないのが立憲君主制なのです。

つまり、皇室典範の改正するのは、私たちの民意によって選ばれた国会議員です。であれば、私たち国民一人ひとりが皇室について考えていかなければなりません。

現在は、非常に英邁な天皇陛下がいらっしゃるため、何の問題もありません。しかし、何百年も先の時代に、もしも暗愚な君主が現れ「私はこの娘が可愛いから、この子に皇位を継がせる」といって訳の分からないことが起これば、その時は「お待ちください」と申し上げざるを得ないでしょう。

(深田)

なるほど、確かにその通りですね。

(宇山)

臣民である私たちが介入せざるを得なくなり、介入は必要なのです。もし皇族、あるいは皇室そのものが、男系による皇統を崩したり、皇室を潰すような暗愚な君主を現れた場合には「少しお待ちください」と諫言を申し上げることは臣下として国民の役割なのです。

内閣総理大臣なのか、宮内庁長官なのか、誰かが意見を述べなければなりません。それでも聞き入れられなければ、国民が声を上げることもあり得るのです。

先の小室圭氏の結婚もそうでした。秋篠宮殿下に多くの国民が「おやめください」と申し上げたにもかかわらず、その願いが受け入れられなかった結果、あのような事態になってしまいました。

あのときも、私を含め多くの国民が「そんなことをすれば大変なことになります」「そのようなご一家と天皇家が親族関係になることだけはご容赦ください」と声を上げたのです。はっきり言ってそれは介入ですよ。

(深田)

確かにそうですね。あまり言いたくはないですが、幸せになれない要素を多く含んだご結婚だと思いました。

(宇山)

その通りです。ご本人のためにも皇族全体のためにもならないのです。

(深田)

ただ、眞子さまの行動力はすごいですよね。ある意味で女傑です。

最後の会見の時に「文句があるなら私に言ってください」「私が決めたことです」とおっしゃっていましたよね。これを見た時に、あのタイミングでご結婚されて良かったと思いました。

(宇山)

本当にそうですね。私が当時、残念に感じたのは、ご自身がもともと皇族であるという自覚のもとに、どのような結婚をすべきかという考えを、しっかりとお持ちでなかったことです。

(深田)

いえ、むしろきちんとした考えをお持ちだったと思います。

(宇山)

お持ちでしたが、間違っていました。

(深田)

紀子様が秋篠宮殿下とご結婚され、子育てをなさっていた頃、お子さまたちに「女性にとっての幸せは、好きな男性と結ばれることなのよ」とお話になっていたそうです。

これは、秋篠宮殿下を立てるためのプロパガンダ、リップサービスであり、おそらくご本心ではなかったでしょう。まともな親は「プータローや家庭に問題のある人とは結婚するな」「役立たずや低年収の男とは結婚するな」といった現実的な話をするではないですか。

しかし、それは女性としての醜い部分をを夫に見られるわけですよね。それを隠すために「女性の幸せは好きな人と結婚することだから、私はあなたといて幸せです」と夫へのリップサービスに過ぎなかったのだと思います。

(宇山)

そのようにして育てられてきたということですね。

(深田)

その言葉を真に受けてしまったのだと思います。あくまで社交辞令であり、好きな男性と結婚すれば幸せになれるなどというのは、現実的ではありません。

(宇山)

そうですよ。一般人でさえ、結婚には現実的な判断をするのに、皇族として帝王学を身につけなければならない方が「好きだから」というだけで結婚されることが許されるのかと、私は感じるのです。

(深田)

無職のミュージシャン志望のイケメンと結婚したいというのは、二十歳の女の子なら理解できます。でも、三十歳にもなってプータローやそれに毛が生えた男と結婚したいというのは、正気の沙汰ではないですよ。それを止めるのが親の役目でしょう。

(宇山)

本当にその通りです。だから当時のご結婚も、国民の多くは「ご両親がきっと止めてくださるはずだ」と期待していたのです。ところが、そうはならなかったのが非常に残念で、やはり皇室には帝王学を正しく教えられる人物が周りにつかないとあのようなことになるということが、私たち国民にとっての教訓だと思います。

(深田)

私は、これは紀子様に対して申し訳ない言い方かもしれませんが、ご自身の恋愛のテクニックで良縁を得られたと思うのです。その恋愛観が子どもに伝わり、それが自分に返ってきてしまい、因果応報のようだと感じました。

(宇山)

その通りです。皇族が一般人と結婚するというのは非常に難しい問題なのです。雅子さまも紀子さまも一般のご出身です。その一般人の価値観や考え方を完全に統制することはできません。

(深田)

そうですね。やはり育ちや環境が、後々に影響してくる部分がありますよね。

(宇山)

まさにその通りです。子どもは母親の影響をどうしても受けてしまうので、皇族が一般人と結婚することには本当に難しいのです。その人がどのような家庭環境で育ち、どのような思想、背景を諸々艱難した上で判断しなければならない。「惚れた、腫れた」だけでは済まないのです。

私たち国民はこの難しさを理解しないといけない。皇族の方々がプライバシーのない中で後続の皆様が後続であり続けることの大変さを理解して、皇族への感謝の念を示さなければなりません。誰だって、皇族を続けたいとは思わないでしょう。

天皇陛下のご公務は大変なものです。誰もが「自分が天皇の家系に生まれるのではなく、自由な人間として生きたい」とが思うでしょう。それでもなお、陛下は臣民のために日々お祈りをしてくださることがどれだけありがたいことなのか。だから、私たち『皇族の結婚とはどうあるべきか』ということを真摯に考え、意見を申し上げることが大切なのです。

(深田)

皇族の方々が日々お祈りをしてくださっていることを、もっと報道すべきですよね。

(宇山)

本当にその通りです。まったく同感です。

(深田)

普段は「この人たちは一体何をしているのだろう」と思う人もいるかもしれません。でも、実際には国民の幸せを願ってお祈りをされていると知ると、自然と感謝の気持ちが湧いてきます。

(宇山)

おっしゃる通りです。そして男系とは何かということを理解していくと、日本という国の成り立ちや、日本人の文明観そのものも見えてくるのです。

(深田)

そもそも、学校の歴史の教科書では神武天皇のことを教えないじゃないですか。私自身、神武天皇という存在を知ったのは、ここ数年のことなのです。

(宇山)

そうですか。教えていませんからね。

(深田)

学校で学んだ歴史は聖武天皇のあたりから始まっていました。聖武天皇のことは知っているけれど、それ以前の天皇についてはほとんど習わないです。でも奈良を歩いていると、垂仁天皇陵などがあり「この人は誰なのだろう?その前にも多くの天皇がおられたのだ」という感覚です。自分の国の歴史を知らないまま育っているから、天皇陛下をどう認識すべきか、その基盤が育たないですよね。

(宇山)

まさにその通りです。実は、神武天皇については『教えてはいけない』ことになっているのです。

(深田)

えっ、教えてはいけないのですか?

(宇山)

その通りです。なぜなら、神武天皇の実在が歴史的に証明されていないからです。

(深田)

でも、実在が証明されていないから教えられないというのなら、では『今の天皇陛下は一体誰なの?』という話になってしまいますよね。実在が証明されているかどうかではなく、今ここに天皇陛下がいらっしゃるということは、そのご先祖が確かに存在していたということですよね。

(宇山)

そうなのです。そのご先祖はどこから来たのかという話です。

(深田)

そうですよね。私自身もここに存在していますが、当然、親や祖父母がいる。それが「存在が証明できないから教えられない」と言われたら「いえいえ、私はここに実在していますよ」と言いたくなりますよね。

(宇山)

おっしゃる通りです。非常に大切なことをおっしゃった。実在が証明できないような神話を学校で教えてはいけなないというのが左翼の理屈なのです。

しかし、神話が存在したのは事実です。古事記や日本書紀などで神話が編纂され、それが我々に受け継がれてきました。

神武天皇や天照大御神の神話がどのように語り継がれてきたのか。最低限それを教えなければ、天皇という存在の意味を理解できるはずがありません。まるで突然現れた存在のようにしか見えなくなってしまうのです。

(深田)

その通りです。世界中どこの民族史は神と共にあるのです。

(宇山)

そうです。いいことをおっしゃる。その通りなのです。

(深田)

神様のいない民族なんて存在しないです。神様に守られていなければ、民族は生き残ることができません。なぜなら、高度な技術や知恵は神様から継承されるのです。神話なくして民族はあり得ないのです。神々に見放された民族は、歴史の中で消えていきました。

(宇山)

その通りです。神話を忘れた民族は、自ら滅ぶしかないのです。

(深田)

私はトルコを訪れて、トロイア戦争の遺跡を見て、本当に驚きました。

(宇山)

シュリーマンによる発掘ですね。

(深田)

母と一緒に行ったのですが、いままでギリシャ神話なんて夢物語だと思っていたけれど「戦争の跡が残っているということは、これは歴史じゃないの?」と感じました。夢物語のように描かれていても、なにかは史実のはずです。

(宇山)

まさにその通りです。非常に鋭いご指摘ですね。19世紀になるまで、トロイア戦争は実在が証明されていませんでした。神話の世界でした。

しかし、シュリーマンらの尽力によって実在が証明されました。日本の神話も同じです。神武天皇の史跡がまだ見つかっていないとはいえ、断片的な痕跡や伝承は各地に存在しています。

発掘が十分に進んでいないだけで、将来、決定的な証拠が見つかる可能性もあるのです。実在が証明されていないからと神話を切り捨てるような国や民族は、日本だけです。

(深田)

そうですよね。そもそも、蘇我氏と物部氏が対立したときに、蘇我氏が書庫を焼いてしまったわけです。あれによって、日本の本当の歴史が分からなくなってしまったのだと思います。

(宇山)

まさにその通りです。そういうことを総合的に教えなければ、日本の国体が分からないのです。天皇の皇統についても、男系と女系の区別もつかずに「愛子天皇待望論」や「秋篠宮バッシング」といった、表面的なワイドショー的な価値観で騒ぐのは、いかに愚かなことかを改めて振り返らなければならないと思います。

(深田)

はい、ありがとうございます。今回は著作家の宇山卓栄先生に、皇室のご結婚問題についてお話を伺いました。先生、本日はありがとうございました。

(宇山)

ありがとうございました。

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