#472 愛子天皇待望論で保守分裂!? 女系で内紛を生んだ欧州と日本を守った皇位継承の違いを徹底解説! 宇山卓栄氏

(深田)

皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム、プロデューサーの深田萌絵です。

今回は著作家の宇山卓栄先生にお越しいただきました。先生よろしくお願いします。

(宇山)

よろしくお願いいたします。

(深田)

今日は皇室のお話をしていただきたいと思います。私は0皇室の話をするときに、尊称や敬語を間違えることがあり、ものすごく叱られるのです。その辺りも含めて教えていただきたいと思います。

(宇山)

それは呼び捨てにしたからということですか?

(深田)

呼び捨てにはしていないはずです。「平成の時代」と言おうとして「平成天皇の時代」と発言すると「生きているのに」とか「そんな呼び方するな」などとかなり叩かれたのです。

(宇山)

皇族を呼び捨てされたというわけではないのですね。それは別に難しい話ではありません。

(深田)

『様』を付ければいいのですか?

(宇山)

基本的に『様』を付ければ何の問題もないのですけれども、正式な言い方としては『親王』と『内親王』という区別と『王』と『女王』という区別があります。

たとえば悠仁親王殿下、佳子内親王殿下で「内」がつくのが女性です。天皇から3親等以内の親族を親王とか内親王、3親等から外側の人たちの皇族は王とか女王という呼び方をし、これらの方々については『殿下』という尊称で呼びます。『陛下』ではありません。

(深田)

どこまでが『陛下』なのですか?

(宇山)

陛下は上皇ご夫妻と今上天皇ご夫妻だけです。陛下と殿下の違いですが、陛下は殿下よりも上の尊称です。

陛下の『陛』という文字は、階(きざはし)、階段という意味です。昔、中国の皇帝を陛下と呼ぶ時は、皇帝に対等にものを申し上げることはできなくて、皇帝が住んでいる宮殿の階段の下から、ひれ伏してものを言う、階段の下から物を申し上げますという意味で『陛下』となるのです。

殿下ですが、皇帝の子供はそれほど大きな建物ではない宮殿に住んでいて、階段はありません。その建物の外、宮殿の下から申し上げるので『殿下』になります。したがって、陛下が一番格上の言い方になるわけです。

たとえば、中国の歴史で朝鮮王は中国の皇帝に仕える臣下に過ぎません。だから王であっても陛下ではなく殿下です。韓国ドラマで、国王に向かって「チョナ」と言っているでしょう。あれは朝鮮語で殿下という意味です。中国圏で陛下と呼ばれるのは中国皇帝のみです。

(深田)

そうなんですね。朝鮮は殿下ですか?

(宇山)

朝鮮王は中国皇帝の配下なので殿下というわけです。だから「国王万歳」と言ってはいけないのです。万歳から一桁取って「千歳(チョンセー)」と言います。万歳と言えるのは中国の皇帝だけなのです。

(宇山)

しかし、日本の天皇は昔から『陛下』なのです。天皇という言葉の『皇』は皇帝の『皇』です。なぜこの名称がついたのかというと、中国皇帝に対抗する尊称として『天皇』という呼称が始まったわけです。

(深田)

『天皇』という言葉はいつ生まれたのですか?

(宇山)

だいたい8世紀ぐらいに生まれたと言われています。9世紀頃には文書に天皇と書かれるようになってくるわけです。中国皇帝に対して、自分たちは決して臣下の『王』ではなく、皇帝と対等な天皇だということなのです。我々日本人は中国皇帝にへりくだることはないと意思を示しました。それが天皇という言葉の意味です。

(深田)

中国の古典には天の皇帝『天皇』地の皇帝『地皇』そして人の皇帝『人皇』と三つの言葉がありますね。

(宇山)

そうです。よくご存じですね。「天皇(てんこう)」と言われた最高の位なのです。道教では天皇(てんこう)は最高の神様とされます。日本人はそこから影響を受けて、我が国の『すめらみこと』『大王(おおきみ)』の尊称としようと決めたのです。

「私たちはあくまでも中国皇帝と対抗していくのだ」という気概が『天皇』という尊称から伺えます。

だから、天皇は陛下なのです。それで、陛下のお子様は殿下なのです。天皇陛下、悠仁親王殿下、佳子内親王殿下ということですね。こういう呼び方で言うと、批判をされるということはないと思います。

ただ、最近のマスコミはそのような言い方がめんどうくさいので「悠仁さま、佳子さま」と言います。それはそれでいいと思いますが、本当は正しく言わなければならないのです。

(深田)

私も誤りたくないので、無難に「佳子さま」「眞子さま」と申し上げてきました。

(宇山)

それでいいのですよ。それが「けしからん、不敬だ」という人がたまにいますが『様』はよほどの高貴な人でない限り、そういう呼び方をしないので、そういう言い方もあるということでしょう。

(宇山)

さて、今日は天皇を考える上で、皇位継承問題を是非お話ししたいと思います。

(深田)

皇位継承問題は全然わからないです。単に子供が継いだら良いのではないですか?

(宇山)

「なぜ愛子様だったらいけないの?」と普通は思うわけですよね。

(深田)

女性ではだめだから、悠仁様になるのですね?それでいいと思うのですが。

(宇山)

それでいいのです。ところが今の世の中は『愛子天皇待望論』というのがあるのですね。愛子様が非常にご立派であると考える人々がたくさんいます。しかも「今上陛下の実の子なのに、女性というだけ天皇の位を継ぐことができないのは不公平ではないか」というのが一般人の感覚です。

ヨーロッパの王室は長子優先になっています。各王国は一番上の実子に王位を引き継がせることになっています。日本もそれに倣うべきだという世論がありますが、ヨーロッパの王位と日本の皇位とは継承の原理が全然違います。

(深田)

どういう原理ですか?

(宇山)

日本の皇統継承の原理は『血統の原理』なのです。それに対してヨーロッパの王位の継承原理は単なる家督の継承原理に過ぎないのです。

(深田)

ああ、なるほど。家督権を継いでいくだけと血を継いでいくことの違いがあるのですね。

(宇山)

そこに大きな違いがあるのです。つまり、男系の皇統というものが神武天皇から126代にわたり、今上陛下までずっと繋がっているわけです。本当に繋がっているのかどうかは別ですよ。建前上、理念上はそのようになっていることが、私は非常に重要だと考えています。DNAの検査をしてみようと言う人がいますが、そういう問題ではなく、理念が重要だということです。

日本には宦官(去勢した官吏)という制度がなかった。だから、後宮で皇后が他の男性と接することができたわけです。そこでどういう間違いがあるかわからないのです。そうすると天皇の実の子でない子供が皇統を引き継いでいる可能性もあります。

(深田)

源氏物語を読むと乱れていますものね。

(宇山)

入り乱れています。しかし、本当に親子関係があるかどうかをとやかく言うのではなく、理念的に神武天皇の男系の皇統が継承されてきたということが重要なのです。男系の皇統を継いできた血統にこだわったところが、中国やヨーロッパとは全然違うところなのです。

中国の皇帝は血統ではなく、実力のあるものが皇帝になれるという仕組みです。中国とその周辺は競争原理が働いています。だから実力者が皇帝になればいいということなのです。

(深田)

面白いですね。ヨーロッパは家督の権利を法的に争う仕組み、中国は実力主義、日本は血縁だけと、全然成り立ちが違うのですね。

(宇山)

そういうことです。中国とヨーロッパは同じで、家督継承原理で実力主義です。弱い者や無能な人間は引きずり下ろされます。中国とヨーロッパの王朝はくるくる変わって、そのたびに大戦争が起きてきました。

(深田)

そうですよね。ヨーロッパは戦争が終わらなかった時代があります。100年ぐらいやっている時がありましたよね。

(宇山)

まさに百年戦争は王位継承の争いで、英仏が戦っていたわけです。しかし、日本はそうならなかった。なぜならば血統の原理で自然と皇位を継承していくので、たとえ徳川家康や織田信長のような実力者が現れたとしても、その人は皇位継承者にはなれないのですよ。

皇室に生まれた男の血統の人だけが皇位の継承ができるので、王位継承争いが中国やヨーロッパのように派手に起こらなかったのです。これは先人の知恵です。

(深田)

国内で争うと国土が疲弊しますものね。血統で決めると王位継承争いが骨肉を争うことにならないので、実は効率がいいのですね。

(宇山)

そうです。まさにこれが平和国家日本の知恵なのですよ。確かに、南北朝時代に、南北で相争ったことは二、三度あります。しかし、全体を通した王位継承は、中国の王朝のように交代するたびにたくさんの人間が殺されるという事態にならず、これは日本の歴史の大きな特徴です。

だから『万世一系』という言葉があるのです。皇統が血統による原理で継承してきたことは『無形の資産』なのです。他の国にはありません。

(深田)

皇位継承争いがないということはラッキーですよね。

(宇山)

では、血統ならば「女系でも男系でもよいのではないか」となるけれども、女系を入れると今の天皇でも、膨大な数の先祖になってくるのです。たとえば、私たち一般人にも親は父母2人、祖父母は4人、曾祖父母は8人、その上は16人、その上は32人、その上は64人と遡ると倍々で増えていきます。

ところが男という血統だけで辿っていくと、私の『宇山』という姓は男系によって引き継がれてきて、ずっと遡っていくと16世紀の出雲の宇山家に遡るのですよ。昔の古代の出雲系かどうかはわかりませんが、尼子氏の武士の家系だったことは間違いないのですね。このように男系で辿っていくと400年遡って、宇山という者がいたことが分かるわけです。

(深田)

私は先祖を遡ると、小作人の百姓でした。明治維新で、百姓にも名字を付けることになり、地主から『浅田』という姓にするように言われて、名字が決まったと聞いています。だから、名字に対する思い入れがあまりないのですよ。

(宇山)

ただ、男系で辿っていったら、明治まで遡れて、その血統があるから今の萌絵さんがあるわけです。誰もが一本の線で辿っていくことができるのです。それはどこまで遡っていって一人しかいないのです。

(深田)

確かにそうですよね。

(宇山)

だから、今上陛下がずっと一本の線で、父、祖父、曾祖父、高祖父と辿っていくと神武天皇なるのです。ブラッドラインは一本です。それが女系を含めると倍々で増えて、何世代か遡るともう何百、何千人で、それこそ100代になると億を超えます。

それほどの数の祖先を管理できないので、男系か女系の一本のラインで辿っていき、これを先祖として管理していこうとするもので、これはルールなのです。女系でもいいのですよ。男系、女系のいずれかをずっと一本で辿るのを血統と呼びます。

血統ではなく『血筋』という言い方があります。この血筋は一般論として男も女も一括りにしています。しかし、血統という限り、ブラッドラインは一つなのです。

天皇を男で辿っていくと、神武天皇が祖先に突き当たるというルールの中で、皇位継承のルールが定められたのです。

(深田)

そのルールがあるのに、なぜ変える必要があるのですか?

(宇山)

変えたらいかんのです。2000年以上ずっと男系皇位継承を守り、この継承を大切にするということが我が国なのですよ。

冒頭に申し上げましたけれども、日本は、天皇が中国皇帝と対抗していくという状況の中で、でき上がった国です。

(深田)

反中国の象徴が天皇陛下ですか?

(宇山)

天皇陛下です。そして中国とは異なり、日本文明の独自性を表すものが天皇なのです。神道を中心とする大神主たる天皇という形になるのです。この天皇陛下の御存在を失えば、もう我が国は日本でなくなるのです。

天皇の天皇たる所以とは何かというと、優秀であるとか、偏差値が高いとか、容姿端麗でも人気があることでもないのです。ただ一点、神武天皇と皇統が繋がっているかどうか、この一点で決まるのです。

(深田)

神様の末裔かどうかですよね。

(宇山)

その通りです。神話からずっと続く神様の末裔という理念で継承されてきたことが、我が国の根幹なのです。だから、そこを崩したら大変なことになるということを皆さんには理解していただきたいのです。

この世界に誇る男系皇統というものを失わせて、それを破壊して、女系でもいいという話に持っていくと、皇族と我々一般人との垣根がなくなってしまいます。

女系で辿ってもよいのであれば、私も萌絵さんも先祖は1億人いるわけですよ。その中には、皇族、皇室の関係者は絶対にいます。それでは我々と皇族と何が違うのかという話になるのです。そうすると「我々一般人と変わらない皇族は廃止すれば」ということに、必ずなります。

女系天皇が出てきたら、次は皇室廃止、そして日本の国体の破壊となり、日本人が日本人でなくなってしまうことに繋がるのです。

(深田)

やはり、天皇陛下にはご自身が神様の末裔であるというお立場を前面に出していただきたいと思うのですよ。前面に出ていないので、変なカルト宗教が出てくるのですよ。日本には最強の神様の末裔伝説がついている人がいらっしゃるわけですよね。もっと前に出さないとカルト宗教がはびこる余地が出てきますよね。

(宇山)

それを学校で教えないのですよ。まさか、天皇陛下ご自身がそれを広報することはできないわけですよ。誰かが『皇統と神道が結び合わさっているのか、それが稲作と結び合わさっているのか』ということを広報して教えないといけないわけです。

これを義務教育でしていないので「女系でもいいじゃないか」とか「皇室なんてあんなめんどうくさいもの廃止してしまえばいいじゃないか」とか『俺たち関係ないから』というような輩がいっぱい出てくるのです。

(深田)

自分の親や祖父母を見ていると「このお菓子は天皇陛下が召し上がったらしい」「この旅館は天皇陛下がお泊まりになったらしい」と、折に触れて話題にしていました。私もなにかとても偉い人なのだろうと感じていました。

(宇山)

我々のおじいさん、おばあさんぐらいの年代は戦前の教育の中できちんと教わってこられた。でも、戦後の人たち教わっていないので「そんなもん、おってもおらんでもどっちでもええやろ」という発想になってしまうのです。

しかし、そんなことをしたら中国の思う壺です。我々日本人という連帯意識がなくなって、国防も疎かになってくる。どんどん土地を買われ、経済も全部やられてしまう。その突破口にされるのが国体破壊なのですよ。

だから「絶対に女系に持っていかれるようなことだけは許してはいかんぞ」ということの重要性を、皆さんに理解をしていただきたいということです。

次回は『愛子天皇』ではだめなのですかという話です。愛子天皇は男系の女性天皇です。お父様が今上陛下ですからね。ところが、もし愛子様が一般人とご結婚をされて、そのお子様が天皇になった時には、女系天皇になるのです。愛子様が旧宮家の男系男子とご結婚されるというお話もあります。そうすると、そのお子様は男系の子孫になるわけで、その時に皇位継承の形はどうなるのかという話を次回させていただきます。

(深田)

今回は著作家の宇山卓栄先生に皇室について教えていただきました。先生、どうもありがとうございました。

(宇山)

はい、ありがとうございました。

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