#459【外国人問題】儲からない解体業にクルド人が殺到する原因は〇〇だった!?森山高至氏

(深田)

皆さんこんにちは。政経プラトフォーム、プロデューサーの深田萌絵です。今回は建築エコノミストの森山高至先生にお越しいただきました。先生、よろしくお願いします。

(森山)

よろしくお願いします。

(深田)

最近話題のクルド人問題で、もはや埼玉県川口市は『川口スタン』と言われるほどです。川口はクルド人の仕事の多くが解体業者で、迷惑運転や危険な積荷の状態など、いろいろな問題が発生しています。

(森山)

積荷を満載したトラックで『クルドカー』と言われていますよね。

(深田)

そうです。いろいろ指摘されているのですが、このクルド人問題はなぜこんなことになったのでしょうか?

(森山)

僕が知る限り、クルド人が問題という前に、日本の解体業界の問題でしょうか。現在、解体業は日本人が全然やらないというか、やってくれなくて、事業継承をしてもらえません。

(深田)

先日、雇用ジャーナリストの海老原嗣生先生に資料を見せていただくと、解体業の有効求人倍率がなんと9倍、事務職が0.4倍と簡単な事務職に殺到して、解体業など危険なことをやりたくないようです。

(森山)

解体業がどのような業界か知らないというのもあり「なんか解体って怖いよね、若い人からしても行きたくない」という雰囲気になっています。以前は、建設の仕事の中でも、解体業は比較的参入しやすかったのです。

(深田)

簡単な部類の仕事ですか?

(森山)

日雇い的に『今日アルバイトしたい』という感じで雇ってもらえるようなことがありました。したがって、若い人もたまたまアルバイトで入ったとか、友達に誘われて始めると『何かやってみたら面白いぞ』とか『やってみたらこれは仕事としていいな』と思った人が増えていったのです。

(深田)

儲かるのですか?

(森山)

かつては、ある程度儲かりました。

(深田)

アルバイトの割にはいいという感じですか?

(森山)

そうです。とはいえ、怪我の恐れがある仕事で、ある程度の危険も伴います。例えば大工の仕事は、その日すぐにはできません。道具も使いこなして、修行もしないといけない。一方、解体は建設業の中でも、熟練する時間が短くて済むので、取り掛かりやすく、昔は結構アルバイトにすぐ集まりました。ところが、この十数年はやってくれる人がどんどん減って、その結果、工事現場に外国人がすごく増えてきました。

(深田)

解体業にかぎらず、建設現場は外国人で溢れていますよね。

(森山)

そうですね。誰でも工事しやすくなるように道具が進み、機械の種類も増えて女性でも働けるようになりました。それでも人が来ないので、やむなく外国人を雇っています。川口のクルド人解体業の以前から、都内の工事現場は、例えばアフリカ系など日本語がおぼつかない人がかなり入っています。

(深田)

そうなんですか?なぜクルド人が解体業者にこれほど殺到しているのですか?

(森山)

それは、背景がありまして、川口でずっと建築業を営んでいる人から教えてもらったのですが、クルド人がいきなり解体業をできるわけではありません。アルバイトではすんなり入れるかもしれないけれど、解体業としてやるためには機械や車、一時保管場所のような土地も必要なのです。したがって、解体業はある程度の資本がないと始められません。

(深田)

「解体業を始めます」と簡単にはできないのですね。

(森山)

解体業で働くのは容易なのですが、経営するのは結構大変です。川口市に少し危ない系の解体業者がいて、自分の仕事を息子が継がないので、引退して廃業しようと考えていました。しかし会社には従業員がいて、彼らの生活があるので、辞めたいと思っても簡単にやめられない状況でした。そんな時に、従業員の中で、仕事ができて頑張っている一人に、難民申請中のクルド人人がいたのです。その人がマホメットさんなのかハサンさんなのか知らないけど、社長が「お前やれよ!」と言うと「はい」答えて仕事を継いだのです。

(深田)

それはなぜ日本人ではなく、クルド人に「お前、やれよ」と言ったのですか?

(森山)

おそらく、仕事を一生懸命頑張っていたし、その時は日本人の社員が減ったり、高齢化していたのでしょう。

(深田)

確かに、難民申請中に仕事をしないといけないので、稼げるのであれば、命をかけてやりますものね。

(森山)

結局、その段階で、仮にその人がハサンさんだとすると、ハサンさんが実質上の社長として解体業を始めることになり、身内の者や友人などみんな集めて、仕事を始めたのです。

(深田)

トルコから呼び寄せたのですか?

(森山)

呼び寄せたのかもしれないし、すでに日本に住んでいる人たちに「手伝ってくれ」と声をかけたのかもしれません。解体業の仕事が順調に伸びるので、呼んだのか「あそこに行けば働けるぞ」と噂が広まったのか、どんどん増えていったようです。

(深田)

難民なのですか?

(森山)

政府の見解では、クルド人は、トルコとシリアとイラクとイランに挟まれたエリアに住んでいて、歴史的に迫害されているということです。しかし、トルコには、すでにクルド系の政治家がいて、クルドとトルコ政府が争った時代もあるのですが、クルド人組織は武装解除をしており、トルコ国内で公式には、弾圧はありません。トルコ社会で好き嫌いがあるのかもしれないが『難民認定されるような迫害の事実はない』ということです。そもそもトルコの人口のうちの20%近くはクルド人です。

(深田)

5分の1ですか?全然少数民族でも何でもないですね。

(森山)

勝手に「少数民族だ」と言っているけれど、イラン、イラク、シリアで合計するとクルド全体で4000万から5000万人います。世界最大の国家を持たない民族と言われていますが、トルコでは、公式に『難民認定できるような迫害の事実はない』ということになっているので、難民認定はされないと思います。

(深田)

そうですよね。難民申請をすると申請の審査期間は働いてもいいということになっていますよね。

(森山)

そうです。確か小泉純一郎首相の時ですね。

(深田)

2004年の入管法(出入国管理及び難民認定法)改正でそのようになりました。

(森山)

したがって、ずっと申請中で先延ばしをしているうちに、十数年経過すると日本に定着する人たちも出てくるでしょう。それが今のいろいろな問題になってきています。

(深田)

以前は難民申請して許可が下りなくても、再度申請するという方法で、無制限に難民申請できたのですが、2年前の法改正でツーアウト、すなわち申請が2回までになったので、帰らないといけない人が出てきました。

(森山)

そうですね。早くに来ていた人ほど、もう帰らないといけない期限が近づいています。日本人と結婚している人には、在留許可が下りているかもしれないけれど、そうではない人たちはどうするのか、子供たちが学校に行っていたらどうするのかという問題に広がっており、構造的な問題になっています。

(深田)

構造的とはどういう問題ですか?

(森山)

日本の建設業界の中で、後継者がいないので外国人を入れた。特に解体業は、仕事はいくらでもあるのに、人が足りないということです。

(深田)

クルド人は「解体業をするとすごく儲かる。日本はいい国だ!」というようなことを言っているようですが、そもそも解体業が儲かるのであれば日本人がもっと参入するのではないですか?

(森山)

それは、解体業が儲からない業種になったのです。

(深田)

えっ、儲からないのですか?

(森山)

なぜなら、一つには元請けと下請け、孫請けのような重層下請け構造になっていて、発注時には大きな金額であっても、実際に働く人のところでは安くなっています。それに、他の仕事と比べて危険もあるし、やりたくないという話です。ただクルド人にすれば、難民申請期間中に働ける場所があれば、何としても働きたいですよね。

これはクルド人解体業の問題だけではなくて、例えば中国人やインド人が先に来日した場合、胴元のような存在になって、後から来た人が搾取される構造がありますよね。やむなく安く雇われて、先に来た人が利鞘が取れるという構造になっていると思います。

(深田)

では、解体事業者の下請けや孫請け、ひ孫請けのような状態で、末端のところにクルド人業者がいるのですか?

(森山)

その上には中国系の業者もいます。

(深田)

何か大阪万博問題のようですね。なぜか中国系の人が間に入っています。

(森山)

元々、日本人がやっていた業種ですが、安くやってくれる下請けがいれば、そちらに発注したいですよね。アルバイトでやっていた中国人が「俺も起業したい」と言って、解体業を始めると、安ければそこに発注すれば、元請けは自分のところで仕事をせずに、発注だけで済むではないですか。それがだんだん重層的になっていくのですが、重層的になっていく時に、例えば中国系の業者も、もっと安いところがあればそちらに外注して、上前を撥ねていくシステムになったのです。

(深田)

私は以前からおかしいと思っていたのですが、どちらかと言うと蕨市や川口市は中国人街ですよね。それがなぜ、クルドスタン、蕨スタン、川口スタンのように呼ばれるようになったのか、そこに中国が絡んでいるのではないか、と少し疑っています。

(森山)

日本に留学生として来た中国人が日本に残って、都心に行きやすく、家賃の安いところに住んでいたのですが、ある程度成功してその町を出て、そこにまた次の人が入ってきたという流れでしょう。

(深田)

では、最初は川口や蕨に中国人の解体事業者がいて、その人たちがクルド人を雇っていたのですか?

(森山)

そうです。再発注をしていました。

(深田)

その人たちが大金持ちになって都心の億ションなどを買って、出ていったのですか?

(森山)

そうですね都心部で、アパマン(アパートやマンション)を買っている人の中にはそういう出身の人がいます。僕の知り合いの不動産業者によると、ある物件を中国人が何億かで買ったのですが、その人は留学生として来日して、池袋の中華料理店で皿洗いから始めて、小さな事業を積み重ねて、中国人相手のビジネスをしてお金持ちになっていきました。

(深田)

中国人はすごいですよね。

(森山)

やはり、バイタリティがあり、本国でなかなか成功するきっかけがつかめないというのもあるのではないですか。クルドの問題もそうでしょう。トルコ国内では社会的な成功が難しい条件があるので、外国で成功できるものではないのかとなっているのではないですか。

(深田)

先日読んだ本には、日本は治安もいいし、働ければ稼げる素晴らしい国だと書かれていました。

(森山)

社会的に支障は少ないですよね。宗教的な弾圧や一党独裁でもないですよね。結局、解体業で、下請けの人たちはそうなっているのだけれど、元請けはそんなに簡単な業種ではないです。許認可がたくさん必要で、解体工事施工技士などの資格者も必要です。クルドの解体業者も解体業登録をしないとできないはずで、そこがきちんと調査されているのでしょうか?したがって、日本人の誰かが名義貸しをしていないとできないのです。

(深田)

日本人が名義貸しをしているのか、あるいは元請けの中国系も絡んでいるのでしょうか?

(森山)

おそらく、ある(下請けの)階層までは公的な許可を取っていて、そこからは先は公的な許可取っていないと思います。あるいが名義貸しをしています。

(深田)

以前YouTubeで「解体業は儲かるらしい」と触れたら「安全要件の法律や規制を守って、税金を払ったら儲からない業種です」とコメントが書かれていました。何か抜け穴があるのでしょうか?

(森山)

廃棄物の問題もあります。解体業はただ壊すだけではなくて「解体したものを法律に則って処分しました」とマニフェストを出さないといけません。そのようなことをするためには、それなりの人を雇っていないとできません。しかし、それを難民申請中の人の会社にあるわけがないでしょう。だから、誰かが名前を貸しているのです。

この問題は、国土交通省を含めて全く手をつけてない問題があるのです。あとは日本の建設業界も、安い下請けが便利だと外注を増やすので、こんなことになっています。

(深田)

そのクルド人問題の中でも一番注目されているのが解体事業者の迷惑行為の問題で、そこの問題をまず解決するには、国交省が解体業に対してもう少し規制をしないといけないでしょう。

(森山)

規制というか、きちんと取り締まりをしないといけない。

(深田)

登録制にする、などですか?

(森山)

登録制になっているのだけれど、事業規模で、解体の事業費が500万円以下や、重機の大きさが3トン以下など、小さな解体業は潜りでもできるようにまだ野放しになっています。そうでなければ、業界が成り立たないので、元請けの大手ゼネコンはそこまで言わないのです。

(深田)

そういうことですか。元請けのゼネコンが何にも言わないのですね?

(森山)

そこに問題があります。

(深田)

それは日本人の問題でしょうか?

(森山)

結局、建設業界がずっと問題先送りにしているのです。技術継承をどうするのかということを先送りにしているので、目の前の生活に追われている人たちが、とりあえずそこを支えるような状態になりました。

(深田)

下請けにしわ寄せが来やすい業界だからこそ、次の担い手が来ないという課題が残っているわけですね?

(森山)

それから、デベロッパーはやらなくてもいい再開発をやり続けるので、壊さないといけないビルもいくつも出てくるわけです。そのエリアの家もビルも全部壊さないといけない。人手で足りないのにその解体事業を誰がやるのかという話ですよ。

(深田)

再開発をやめたらいいということですね。

(森山)

そうです。そこに行きつきます。

(深田)

建築業界の問題がそのままクルド人の付け入る隙になっているということなのですね?

(森山)

住民は目の前の現場で困っている。騒音があったり、現場近くのコンビニは怖かったり、ショッキングな映像もSNSにたくさん上がってきています。そのようなことが社会不安につながり、全体像が見えていないのですごく悪口の言い合いになっています。

(深田)

これは大阪万博と似たような状態ですよね。結局未払い問題は、建設業界は下請業法が適用されない業種なのですね?

(森山)

「外資系なので良いのだ」という風になって、本当は下請業法で守られないといけないのだけど、発注しているGLイベンツなどは日本の建設業許可は取ってはいるものの、彼らの商習慣にないとか、やはり現地法人の社長は、全部傀儡なので責任感ゼロでやっているのです。

(深田)

本国の課長クラスですよね?

(森山)

そうそう、だから本国に言われるまま支払わないとか、利益が出なければ「お前の給料も減らすぞ」と脅されているでしょうから、GLイベンツの社長らしき人も何も発言しないのです。

(深田)

私も外資の証券会社で働いていたのですが、日本の法律を全然守っていないですよ。ものすごいブラックです。これらの外資系企業に対して、日本の国家は甘いです。甘い汁を吸わせているのは、日本政府なのです。

(森山)

国民みんなが怒らない。そこが問題です。

(深田)

言うことを聞く日本人だけ厳しく取り締まる。これらの問題を日本政府がきちんと取り締まれば、この問題はもっと早く解決するのではないかという、建築業界の闇がそこにあったということですね。

(森山)

解体業もファスト化しています。

(深田)

解体業のファスト化がクルド人問題を生み出したということを、建築エコノミストの森山高至先生にお話しいただきました。先生ありがとうございました。

(森山)

ありがとうございました。

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