【衝撃】外国人ファンドが日本企業を食い潰す手口とは!メディアが不動産屋になった末路 牧野知弘氏 #456

(深田)

皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム、プロデューサーの深田萌絵です。

今回は、オラガ総研社長の牧野知弘先生にお越しいただきました。先生、よろしくお願いします。

(牧野)

よろしくお願いします。

(深田)

最近、アクティビスト(物言う株主)が大企業の不動産を奪い取ろうとする動きがありますが、どのような手口で外国人ファンドが日本の大企業の不動産を奪おうとしているのか教えていただけますか。

(牧野)

分かりました。日本の大企業は東京都内に本社ビルを構えているところが多く、その本社ビルで従業員が働いているのですが、アクティビストは「資本効率が悪すぎる」と切り出すのです。

(深田)

資本効率が悪いとは、どのようなことですか?

(牧野)

例えば、東京都心に広大な土地を持ち、そこに本社ビルを建て、普通の事務などに使っている限り収益は何も生まないですよね。そうであれば、工場の中にオフィスを構えてもよいのではないか。優良な東京都心の土地は売ってしまうか、テナントに貸して儲けろという発想です。

(深田)

私は2000年代にファンドのインターンをしていて、その時に日本の大企業が持っている土地の簿価と時価の差額を計算しました。ほとんどの企業は戦後まもなく土地を買っているので、もの凄い不動産価値があるのです。

(牧野)

含み益が出ていますよね。

(深田)

それらの真の企業価値を計算すると、その真の企業価値よりも資産価値が安いので、株をたくさん買えるわけです。そういう分析の仕事をしていました。

(牧野)

実は、大企業はそれだけ隠れた含み益があります。それで、僕のように不動産の投資をやっている人間からすると、今の東京の都区内でキャップレート(還元利回り、※1)といいますが、キャップレート水準で不動産を買おうとすると大体3%ぐらいです。ところが今、アクティビストを中心に株式マーケットで企業を見る時に、資本効率が3%では少ないので、8%ぐらいを求められているのです。

彼らの切り口は「あなたの会社の不動産の資本効率は8%にすべきなのに、なぜキャップレートが3%の土地の上にあぐらをかいているのか?これを外に出せば資本効率が改善できるではないか」と迫っているのです。

※1:キャップレート=不動産の年間純収益÷不動産価格

(深田)

分かります。私もアナリスト時代に、そういう話をしたことがあります。20代のくせに偉そうでした。

(牧野)

例えば、大手メディア、新聞社、テレビ局、それから出版社、みんな本社ビルを都内に持っていますよね。

(深田)

出版社は神保町(千代田区)など結構都心にありますよね。

(牧野)

護国寺(文京区)とかね。

(深田)

凄くいいところにありますよね。

(牧野)

彼らは自社の敷地に超高層の本社ビルを建てて、賃貸しています。赤坂のTBSがそうですね。他の新聞社では、読売、朝日も、不動産賃貸業を行なっています。そして、不動産賃貸業の収益の方が本業の収益よりも高くなっています。

平成バブルが崩壊した1990年代前半の頃は、地価が高すぎるとか、このままだでは日本国がだめになると不動産が高くなることに対して、もの凄く批判的だったのです。ところが最近はいかがですか?

(深田)

最近は、不動産は高い方がいいと煽っていますよね。

(牧野)

煽っていますよね。平成バブルだった平成元年頃の銀座4丁目の山野楽器の前の公示地価は、1 坪約1億円でした。今はどのぐらいか知っていますか?2億円です。

(深田)

あれ?さらに高くなっているのですね。

(牧野)

坪1億円だった平成バブルの時に、NHKが「日本の地価を下げるべきだ」と言って『日本の地価は半分以下になっても日本経済はビクともしない』というテーマの特集番組を5夜続けてやったのです。それで地価が下落するのですが、実際に下がると、日本経済はだめになったわけです。あの頃は、NHKだけではなく、大手新聞や出版社、雑誌社などみんなが地価高騰を批判していたのです。ところが今はどこも批判していないでしょう。

(深田)

そうなのです。今は外国人投資家がどんどん買っていて、普通の日本人が不動産を買えないというところまで来ているのに、公金(再開発事業の補助金)を投入して建てたタワーマンションを外国人が買っていますよね。

(牧野)

普通はメディアやジャーナリストが、これは一体何が原因なのか?どう対処すべきなのかと取り上げますよね。しかし、自分が不動産屋なので、取り上げるわけがありません。

(深田)

確かにそうですよね。自分が不動産業者ですからね。(苦笑)

(牧野)

したがって、地価や不動産価格が下がると困るのです。

(深田)

確かに、新聞社はものすごい一等地にあって、しかもその土地はかなり安く国から払い下げられていますよね。

(牧野)

いろいろな経緯がありますよね。払い下げられた土地の上で、自分たちも働いているのだけれども、テナントに貸すことによって、大きな収益を受ければ、本業がそれほど儲かっていなくても不動産の家賃で経営が成り立ち、社員の生活も保証できるので、発言をしないのです。

アクティビストの目から見ると「あなたたちは不動産業者なのか?この不動産の利回りが3%と高く見えるが、土地を安く取得したのでその数字を出せるのであり、本来もっと利回りを出せるはずだ。この土地には含み益があるので、土地を売却して、得た利益を本業に投資して、事業を拡大すべきだ」というのがアクティビストの切り口です。

(深田)

何かもっともらしく聞こえますね。

(牧野)

もっともらしいですよね。そのようなやり方で、今都内で大きなディール(交渉)が行われています。

(深田)

どこですか?

(牧野)

恵比寿ガーデンプレイスを知っていると思いますが、恵比寿駅から少し離れたところに、ビール工場を再開発して、ホテルやオフィスなどいろいろなものが建っています。あれはサッポロビールの100%子会社であるサッポロ不動産開発が所有しています。アクティビストが目を付けたのは『ビール会社が不動産会社を持っても資本効率が悪いので、サッポロ不動産開発を売却して、本業に専念してはどうか』ということです。それで、今ディールが行われています。

(深田)

会社ごと売れとは、ひどいです!

(牧野)

子会社株式を外部資本に売って、プロの目線で運営をさせる。多少株式は残すかもしれないが、要するに「手放せ」ということで、いわゆる『スピンオフ』ですね。

(深田)

スピンオフ、分離するということなのですね。

(牧野)

サッポロビール本体から、サッポロ不動産開発という子会社部門を分離しろということです。外部の資本を入れて、上場すればよいではないか、上場益も生まれるという理屈です。

(深田)

それらしく聞こえますが、気がついたら外資に食われている(奪い取られている)ということですね。

(牧野)

今、このディールはちょうど2次入札が終わったところで、報道では、東急不動産や野村不動産などいろいろな名前が出ています。興味深いのは、例えば東急が1社で全部やっていると思うと、そうではなく東急不動産+外資系、あるいは野村不動産+外資系と全部外資系と組んでいるのです。

(深田)

なぜそこに外資系が入るのですか?

(牧野)

ひとつは、株価の評価が高いので当然資金が非常に大きくなります。恵比寿ガーデンプレイスの他にも、銀座などサッポロ不動産開発の施設はたくさんあります。したがって同社の株式はもの凄く高く評価され、何千億円になるのです。おそらく、恵比寿ガーデンプレイスだけで資産価値として3~4千億円になると思います。

デベロッパーも1社だけではお金が足りないので、誰かと組む必要があるので、例えばKKRなど外資系の不動産ファンド組んで入札すると、多分通りやすいのでしょうね。外資系ファンドという点では、アクティビストはみんな外資系です。今回は3Dインベストメンツが絡んでいるのですね。3Dインベストメンツが物言う株主として、サッポロビールの経営陣に要求を突きつける。サッポロに「わかりました。不動産開発の株を外部に出しましょう」と出させた株を今度は外資系が掴むのです。

(深田)

なんと⁉

(牧野)

結局、日本の大企業が古くから持っていた不動産を外に出させる。それをやらせるのが外資で食べるのも外資なのです。

(深田)

それはちょっと悪どくないですか?

(牧野)

でも、理屈は通ってます。

(深田)

理屈は通っているけれども、ずるいですよね。

(牧野)

デベロッパーの立場からすると、恵比寿ガーデンプレイスをもう少し再開発したいとか、あるいはビルを建て替えたいとか、いろいろな思惑があるので、彼らもこの中に入るのです。言い方は悪いのですが、大手デベロッパーと外資系がグルになって、日本の伝統的な企業の持っている不動産をどんどん手放しさせる。デベロッパーは開発のネタはあるし、儲け口がいっぱいある。それによって得た収益は、アクティビストの懐に入る。

(深田)

デベロッパーはアクティビストに小遣いをもらってやっているのですか?

(牧野)

アクティビストは株を売るので、配当が増えますよね。もちろん口では「本業に投資しろ」とは言っていますが、当然配当も受け取ります。彼らは、中長期で株式を持とうとは微塵も思っておらず『単年度で多額の配当を出すことこそが、眠った資産を有効に活用しているということだ』というのが、彼らの論理です。

(深田)

恐ろしいです!それで、どんどん日本の大企業が持っている土地を奪われてしまうのですね。

(牧野)

そうです。これに対して、例えば新聞社とかテレビ局は反論すべきなのですが、彼らは不動産賃貸資産により収益が安定しているので、これらの不動産取引を批判できないのです。アクティビストの批判など自由に報道はできるが、不動産がだめになるのは嫌なわけで、そこが自己矛盾になっているのです。自分たちの言論を支持する読者がいて、自由に言論をするのはいいのですが「不動産は聖域なので、これには触れないで儲けさせてほしい」ということなのです。

(深田)

そうですよね。森友学園問題の時に、あの土地を安く売ったと新聞社は非難していましたが、自分たちの土地に関しては絶対言わないですものね。自分たちこそ、国から安く土地を払い下げてもらっているのに、絶対そこには触れないですからね。

(牧野)

触れないですね。そこに詭弁が入っています。アクティビストが狙いをつけた会社は、サッポロビール以外にも、最近では東京ガスなどがあります。それから、西武鉄道など鉄道会社はPBR(※2)(Price Book-value Ratio、株価純資産倍率)が非常に低いです。これを改善するために不動産事業をスピンオフさせろという要求はいろいろなところで行なっています。

※2:PBR=株価÷1株当たり純資産

(深田)

西武はホテルを運営していましたよね?プリンスは西武系ですよね。

(牧野)

西武鉄道は、その意見をかなり取り入れて、多くを手放し、PBRが改善しましたが、まだ多くの日本の私鉄のPBRは非常に低く、今後、アクティビストが積極的に迫ってくると思います。

(深田)

PBRが低いところは狙われるのですよ。私はファンドのインターンをしている時に『こうやって発掘されるのだ!』と思って見ていました。

(牧野)

今度、東京メトロが、投資家を限定した私募REIT(※3)を作りました。東京メトロはそれほど不動産を持っていないのですが、自社の不動産を全部REIT化、要するに分離して、それにより経営成績を改善しようという動きです。わかりやすく言うと、自分の成績を良くするために、古くから大事に持っていた不動産を売る。その不動産を食べるのは、外資系のファンドであり、開発のネタにしたいデベロッパーなのです。これをうまく回しているのです。

※3:私募REIT=少数の機関投資家から資金を集める不動産ファンド

(深田)

凄い連携ですね。本当は、裏で繋がっているのではないですか?

(牧野)

僕がデベロッパーだったらアクティビストと組みます。ターゲットにした企業をアクティビストに突かせて、表に出たところをパクッと食べる。

(深田)

そうですよね。組んでいるとしか思えません。本当は組んでいると疑っていますが、証拠がないのですね。

(牧野)

世の中はこのように回っているのですよ。

(深田)

汚い世の中ですね。そのように外資のアクティビスト株主が「お宅の会社はなぜ本業以外のことをやっているんだ?」と言うのですね。しかし、本業以外に不動産賃貸業を行うようになったのは、おそらく株主からの提案だったわけですよ。1990年代から2000年代の初め「遊休地の活用でショッピングモールを作りましょう」という提案が結構ありましたものね。

(牧野)

ありました。昔は、工場の跡地を有効活用しようという時は、主体がその会社そのものだったのが、最近は「あなたたちは素人だ。これを外に出すなら外資系のファンドやデベロッパーで良くできるので全部渡せ」と、ちょっとどこかの世界のような話ですよね。

(深田)

そのように大企業が持っている土地を「早く手放せ!」とか「俺のものにしろ!」というのは、別の外国人問題というか、外国人による不動産価格の高騰問題の一つかなと思います。

(牧野)

最近聞いた話では、首都圏などで工場の跡地を商業施設にすると、アクティビストが「容積率(※4)を全部消化していないので、資本効率が回っていない。だからここにタワーマンションを建てろ」と言うのです。

しかし、企業側からすれば、タワーマンションを1棟建てると、1期で利益が出るだけで、会社の資産がなくなってしまいます。したがって、あまり受けたくない提案なのですが、容積率を十分に消化していないのは悪なのだと捉えてしまう。つまり、容積率消化で企業の価値を出していないというのが、アクティビストが言う論理なのです。

これに適切に意見できる経営者は良いのですが、応えていないと、株主総会で経営者の全員退陣を迫られる。それをやられたのがフジテレビで、フジメディアホールディングがまさにそうです。

※4:容積率=敷地面積に対する延べ床面積(建物の各階の床面積の合計)の割合

(深田)

そうなんですか。社長の退任要求は、株式10%以上の保有でしたか?

(牧野)

多分、そうです。フジメディアの場合は、ダルトンというアクティビストが経営陣の取り替えと産経グループの持っている不動産のスピンオフを要求しました。

(深田)

えっ、セットで出してきたのですか?

(牧野)

そうです。これは株主総会で否決されましたが、現在、それを引き継いで、旧村上ファンドが同じことを言っていて、早晩フジメディアホールディングスに臨時株主総会開催を要求すると思います。

(深田)

中居くん問題をネタにして、外資のアクティビストが「土地を売れ!」とフジに迫っているのですね。

(牧野)

そうです。

(深田)

実は、フジテレビの裏はIR、カジノリゾートの候補地なのです。

(牧野)

そうですか、なるほど!

(深田)

だから、みんなが狙っているのです。実はフジテレビも裏の土地を更地にしようと、待ち構えているのですよ。あそこは区の境目で裏側は江東区なのです。お台場なので港区みたいな顔をしていますが、フジテレビの裏は実は江東区で『そこにカジノを作れば儲かるぜ』と思っている人たちが狙っている悪の巣窟なのです。

なぜ秋本司元衆議院議員が逮捕されたのかということになりますが、彼はIRの担当でないと言っているけれど、江東区の選出なのですよ。柿沢未途元衆議院議員も足を引っ張られましたけれど、彼も江東区なのですよ。

(牧野)

ではフジテレビ本社ビルを売って、あそこを全部IRにすれば良いのではないですか?

(深田)

いやいや。IRにすると大変ですよ。

(牧野)

本社を売らせて、あそこを全部IRにしてしまうのがアクティビストの狙いなのではないですか?

(深田)

そうなのです。フジテレビが提案しているのは、日本のデベロッパーで、日本の企業が儲かるカジノリゾートを作ろうとしているのですけれども、恐らく敵対側は外資が運営するカジノリゾートです。今、先生のお話からそういう匂いがしてきました。

(牧野)

フジテレビはなぜ、お台場にあるのでしょうね。メディア的に考えると、大地震など大災害が起こった時に、あんな孤島のような場所でメティの役割を果たせるのですか?

(深田)

しかもモノレールが、すぐ止まります。

(牧野)

ゆりかもめはあっという間に止まり、橋が落ちると陸の孤島になります。そんなところに、何故メディアがいるのでしょう。あるメディア関係者も「元々、新宿の河田町にあったのに、なぜあそこに移ったのだろう?謎です」と言っていました。それはIRを作るためだったのですかね?

(深田)

IR構想とフジテレビの引越しがいつだったのか分からないのですが、その可能性があったのでしょうか?

(牧野)

時期はずれていると思いますが、メディアがあの場所に立地というのは、本当にメディアの役割をどう考えてるのか疑問ですね。

(深田)

『外国人アクティビストが日本の大企業の土地を奪取する悪徳な方法で、中居くん問題も、その一環だったかもしれない』という恐ろしい話をオラガ総研社長の牧野知弘先生にお話をいただきました。先生ありがとうございました。

(牧野)

ありがとうございました。

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