国民激怒!所得税すら払わない!?裏金議員の税金優遇の実態とは? 三木義一氏 #449
【目次】
00:00 1,オープニング
00:39 2.裏金議員は政界から一回退くべき
02:47 3.自分を律せない人は政治家になるべきではない
03:38 4.政治団体は税金を払う必要がない
05:03 5.雑所得より贈与税の方が税率が高い
07:28 6.雑所得で節税対策できなくなった原因
11:05 7.民間の事業承継は困難、政治家の事業承継は有利
17:53 8.国を良くするための提言
(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム プロデューサーの深田萌絵です。
今回は、税務専門の弁護士、三木義一先生にお越しいただきました。先生よろしくお願いします。
(三木)
よろしくお願いします。
(深田)
最近、裏金議員の秘書が、ついに罰金刑を科せられました。
(三木)
あなたが戦ってきた人ですか?
(深田)
私が戦ってきたのは、そのボスの方ですが、石破茂首相降ろしに動きすぎて、報復されたのではないかと思います。一旦は収まった裏金問題で秘書が実刑になりました。
(三木)
検察審査会でも問題になりました。市民の声が少し通ったということですよね。
(深田)
共産党系の大学教授が、かなり頑張って訴えた結果だと思います。
(三木)
国民にこれだけ不信感を与えたので、裏金議員は、一度政界から退く必要があるでしょう。
(深田)
私もそう思います。今回、自民党が参院選で大敗したのは、政治不信に加えて、裏金問題がとどめを刺したと思います。裏金議員は「今の首相は代表にふさわしくない」と責任を転嫁していますが、裏金議員の実態が明らかになったのが原因ですよね。
(三木)
そうですよね。石破さんは、裏金議員が党内で跋扈している時は、全く日の目を見なかったので『ようやく自民党からまともな人が出てきたな』と僕は見ていました。
(深田)
まともかどうかは、分かりませんよ。
(三木)
自民党自体が問題なのですが、裏金問題はかなり深刻だと思います。なぜなら、国会議員の一番大事な仕事は法律を作ることであり、特に税法が重要だからです。
(深田)
税法なのですね。しかし、その税法は全て国会議員に有利にできていませんか?
(三木)
国会議員が作っていますからね。『国会議員は自分を律することができない』ということを参院選で証明されました。国会議員は国民に納税をお願いする立場なので、少なくとも税については最も潔白で、自らを厳しく律することできなければ、議員の資格はないと思います。
(深田)
そうですよね。昨年、私は政治団体を作って、いろいろ準備をしているのですが、驚いたことに、収支報告書には税金を計算する欄がないのです。
(三木)
基本的に政治団体は政治資金パーティーなど何をやってもほとんど課税問題が出てきません。政治資金パーティーは、有料の講演会のようなもので、かなり問題があると思うのですが、現実には公益活動とされています。
(深田)
でも、来ない人もいます。
(三木)
出席しないで、お金だけ払うのであれば寄付ですよ。いずれにしても政治団体が行う政治活動は、公益事業として課税対象になっていません。
(深田)
消費税も払わないです。
(三木)
政治団体が、政治資金を議員に配った時が問題で、今回の裏金は、政党からのお金をきちんと記帳しなければいけないのに、それを載せなかったから問題になったわけです。
(深田)
通常であれば、党に入っている政党交付金を議員に渡すときに、普通に収支報告書に書いておけば問題がなかったのに、そのまま机に引き出しに入れていたとか、持っていたということは雑所得になりますよね。
(三木)
昔は、政治家は個人から献金は贈与になり、団体からでは雑所得にしていました。現行の仕組みでも政治団体からの献金は、その団体との関係にもよりますが、雑所得ですね。
(深田)
雑所得と贈与は税率が異なるのですか?
(三木)
贈与は、贈与税がかかるので全然違います。
(深田)
どちらが高いのですか?
(三木)
贈与税の方が高いです。贈与税は、必要経費が引けないのです。今から60年ほど前(1967年)の田中彰治(当時衆議院議員)事件で、マスコミは「政治家に対しはなぜ税務調査しないんだ!」と大きく騒いだのです。
(深田)
本当にそうですよ。ひどいです。
(三木)
今回もひどいです。全く調査していません。
(深田)
全然してないですよ。
(三木)
60年前に問題になった時に、税務署はかなりの人を調査したところ「申告していない人が多かった」と国会答弁をしているのですが、今回はそれもありません。けしからぬ話ですが、当時大蔵省(現財務省)は、何とか議員に申告してもらおうと議員への個人献金を贈与から雑所得に変更したのです。
(深田)
そうすると、必要経費を損金にできますね。
(三木)
そうです。本当に政治活動をやっているのであれば、正しく精算すれと、それほどの所得にはならないので『議員はきちんと申告してくれるのではないか』と目論んで議員たちに「申告してください」と言ったのです。
(深田)
ところが、その雑所得すら隠したのですか?
(三木)
それが違うのです。議員は頭がいいので、きちんと仕事をして自らを律すればいいのに、変なところに頭を使いました。
(深田)
何が起こりましたか?
(三木)
みんなが申告をやり出したのです。収入金額が雑所得になったので、自分の政治活動にかかった費用を全部経費として入れ込みました。するとほとんどの収支がマイナスになってしまったわけです。
(深田)
えっ⁉所得税すら払っていないのですか?
(三木)
払わないだけでなく、マイナスにしたので、自分の歳費(議員報酬)にかかった税金も減らしたのです。
(深田)
税金を払ってないんだ!本当に!!
(三木)
それで困ったのは大蔵省です。当時、弁護士(税理士)が申告を奨励するために、雑所得での申告を勧めると、みんなマイナス申告になって、議員歳費の税金まで減らしてきたのです。そのため、翌年から雑所得がマイナスになっても、マイナスにしないと改正をしたのです。
(深田)
雑所得の範囲内までということですか?
(三木)
雑所得はゼロまでしかできない。現在、フリーランスの副業で、収入をマイナスにできないのはこのことが基になっています。政治家がそのようなことをしたために、副業で頑張っている人や大学の先生などが困ったわけです。
(深田)
本当に、議員は何か一つでもいいことをしたことがあるのですかね。
(三木)
そうですね。大学教授も困ったという意味は分かりますか?
(深田)
どういう意味ですか?大学の先生の副業とは講演やメディア出演などですか?
(三木)
あるいは、原稿を書くでしょう。大学には紀要という雑誌があります。大学の研究誌で平均読者が二人と言われています。
(深田)
(笑)何ですか?二人とは。
(三木)
書いた本人と、昔は印刷では植字をするので、その植字工の二人しか読んでないとよく言われている刊行物ですが、大学から1ページにつき1000円ぐらいはもらえるので、10ページで1万円です。そこにいろいろ調査したものが経費になり、経費を引くとマイナスにできるので、確定申告で自分の給料の税金分を戻すということを、昔の大学の先生は健気にもやっていたのですよ。それができなくなった。これも政治家のせいで本当にけしからん!
(深田)
政治家は本当に税制面で優遇されすぎですよね。政治団体は相続税もかからないのです。
(三木)
そうです。政治団体にいろいろな資産を残し、自分の子供達が政治家になれば、相続税がかかりません。
(深田)
そうすると、政治団体で家を買うことはできるのですか?
(三木)
そこまでは、分かりません。政治団体を、様々な政治資金の受け皿にしているのですよ。本来かかるべきものが、適正にかからなくなってしまって、事業承継は民間では相続税負担が大きいのに、政治家は簡単に事業承継できます。
(深田)
それはすごく不公平ですよね。私は、今、出版社を買おうと物色しているのですけれど、やはり事業承継問題があって、儲かっている会社を買うには税金が多額です。税金は一括払いなので、それでは絶対に払えません。赤字会社は分割払いが認められます。「銀行からの借入金は分割払いが認められるので、マイナスの会社を買った方がいい」とアドバイスを受けましたが、マイナスの会社を買うのは怖いです。
(三木)
怖いですよ。一般の人が資産を承継すると、当然、相続税などが問題になります。しかし、政治家の場合は、安倍晋三元首相の奥様もそうですが、政治団体という仕組みを通じて、資産をそのまま無税で承継できます。大きな問題ですよ。
(深田)
そうですよね。事業承継制度は、税金の特例措置があるのですが、すごく使いにくいようです。
(三木)
以前はそうですが、今はだいぶ使いやすくなっていると思います。逆に緩めすぎて、おかしな事業承継があるようです。父親が資産を残したはずだが、相続税を払わずに承継していると思えるようなところもあります。少し甘くなっているのかもしれません。
(深田)
知り合いの出版社の社長が、事業承継の制度は『リング』のようだと言うのです。『リング』とは何か聞くと「貞子が出てくるホラー映画のことで、あれと同じように、事業承継をすると、早く次の人に渡さなければ、決められた年度内に税金を払わされる。恐怖でしょう」と言われて、怖くなりました。
(三木)
特例で、細かい要件があります。そこを注意して、やってもらいたいと思います。
いずれにしても政治家は、政治団体を利用しています。国会議員になると歳費があります。それに毎月100万円の文書交通費や立法調査費も支給されます。これだけで年間4千万から5千万になります。さらに、政党交付金が議員数分だけ政党に行くのです。合計すると、政治家1名で1億円ぐらいになります。ところが課税対象になっているのは、わずかに歳費だけなのです。
(深田)
年収1億で、所得税は歳費分しか払っていないのですか⁉
(三木)
歳費分だけで、大部分が抜けているということです。
(深田)
パーティー券を売っても消費税もかからないですものね。
(三木)
そういうことが見えると国民は納税者として『自分たちはなぜ税金を納めないといけないのか?』と不満が出るわけです。
(深田)
裏金問題が出た時に「3千万円以下は調査しなくていいだろう」と、税務署と揉めたらしいです。
(三木)
そうでしょうね。『なぜ政治家を調査しないで、僕たち一般国民ばかりやるのだ!』という思いがあるのですよ。だから、財務省はきちんとやるべきなのです。
(深田)
私もそう思います。議員秘書にとどまらず、本丸まできちんと捜査してもらいたいです。
(三木)
今回の問題は、与党内部の調査でお茶を濁したけれど、そういうことをするから、見放されるのです。第三者である国税庁が、きちんとやれば良いことです。
(深田)
しかし、税務署はできないですよね。
(三木)
税務署はすぐ忖度してしまうからね。
(深田)
やはり2014、2015年の公務員の制度改革で、内閣が局長クラスまで首を切れるようになったからですよ。
(三木)
それからおかしくなったね。トランプ(米大統領)的になってきたのかな?
(深田)
そうですね。トランプ的になってきていますね。
(三木)
以前は、内閣が変わると、官僚もガラっと変わるという仕組みは悪いことではないかもしれないと思ったことがありますが、トランプ大統領を見ているとやり過ぎですね。
(深田)
私の知り合いが、最近USAID(United States Agency for International Development、米国際開発庁)で勤めて始めたのですけれども「一人一人レイオフをして、最後に自分を解雇するのが僕の仕事です」と言っていました。
(三木)
とにかく、政治家を目指す人は、まず国民に自らの所得や税金をきちんと説明してほしいです。自分たちで決めてはいけません。
(深田)
国会議員は自分で自分の給料を上げ、議員宿舎の家賃を下げていますよ。自分たちは、凄く賃上げして、税金もそんなに払わず、優遇に優遇を重ねているのに、国民にはインボイスで「みんな消費税を支払え」と首を締め上げています。これでは国民は不信感が増すばかりです。
(三木)
そうですよね。だから、先日、財務省へのデモがあったわけで、あの背景には政治不信が非常に大きいです。国会議員には、国民の本当のリーダーとして、国民が納得できる税制にして「日本をこうしていきましょう」とをきちんと説明できる議員になってほしいと思います。
(深田)
そんな時は、私に任せてください(笑)。アメリカの税務裁判にも参加して、日米租税条約もしっかり勉強しました。
(三木)
深田さんが国会議員なってくれたら、直さなければいけない法律がいっぱいあるので、またお伝えします。
(深田)
ありがとうございます。今回は、税務専門の弁護士 三木義一先生にお越しいただきました。先生、ありがとうございました。
(三木)
ありがとうございました。





