#440 気候変動はここまでウソ!?「熱波30倍」政府とメディアが国民を騙すテクニックとは? 杉山大志氏×深田萌絵

(深田)

皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム、プロデューサーの深田萌絵です。今回は、キャノングローバル戦略研究所研究主幹の杉山大志先生にお越しいただきました。先生、よろしくお願いします。

本当に暑い中、お越しいただきましてありがとうございます。

(杉山)

今日は涼しいですね。

(深田)

今日はたまたま涼しいですが、「熱波30倍で日本は超暑い」というテーマについてお話しいただければと思います。

(杉山)

そうですね。今日のタイトル「熱波が30倍って本当か?」についてお話します。

最近、地球温暖化の影響で「熱波の頻度が30倍になっている」とか、「地球温暖化がなければこの大雨は起こり得なかった」とか、そういった話をよく耳にします。

「熱波が30倍」と聞くと「大変だ!」という印象を持ちますよね。でも、本当なのでしょうか?

(深田)

そもそも「熱波とは何だろうか?」という疑問もあります。

(杉山)

その辺にトリックがいろいろとあって、殊更に煽り立てる話になっているのです。

今年は連日暑いですが、以前ほど「地球温暖化が原因です」と報道されなくなりましたよね。

(深田)

言わなくなりましたね。

(杉山)

あれはやはり、私の功績だと思っています。

(深田)

そうですね。キャノングローバルから発信されましたからね。

(杉山)

やはり嘘はいけませんからね。

さて、今日はその「〇〇が〇倍になった」という言説のネタばらしをしていきたいと思います。

「〇〇が〇倍」という報道は日本でもありますが、ヨーロッパやアメリカでもよくあります。

「アメリカで熱波が150倍起こりやすくなった」という記事や、「インドの熱波が30倍起こりやすくなった」というニュースがあります。また、大雨が降るたびにもニュースが出ます。2018年の西日本豪雨では「発生確率が3.3倍になった」とニュースで言われました。

ですが、いったい「熱波」とは何なのでしょうか?「何を何に比べて何倍」なのでしょうか? 深田さんはその辺は聡いですよね。

(深田)

いろいろと悪い政治家に騙されてきましたから(笑)

(杉山)

(笑)。他にもあります。

「メキシコ湾の記録的降水量が400倍から800倍起きやすくなった」というのは面白いですね。これを聞くと「メキシコ湾全体が茹(ゆだ)っているのではないか」と思ってしまいそうです。

(深田)

「400倍から800倍になりました」ではなくて、「400倍から800倍起きやすくなりました」なので、「もともと何なの?」と聞きたいです。

(杉山)

そうですよね。

「〇〇が〇倍」という研究のことを「イベントアトリビューション(事象帰属)」と言います。イベント(事件)があった時に、「何のせいですか?」という研究をします。

手順は大体同じです。例えば「(埼玉県)熊谷市で41℃」というニュースが出たとします。するとまず、

①シミュレーションで計算機を回して「人間がCO₂を出した場合」に41℃になる頻度を計算します。次に、

②「人間がCO₂を出さなかった」というシミュレーションをして、41℃になる頻度を調べます。

③それらの数字の割り算をすると「猛暑が何倍になったか」が求まるというものです。

(深田)

これの計算の意味がよく分からないですよね。この計算は「CO₂排出がなかった場合の41℃を超える頻度」と「CO₂があった場合の41℃を超える頻度」とは…

(杉山)

すべてシミュレーションの世界の話ですね。

(深田)

そうですよね。実測値ではなく、全てシミュレーターを回しただけですよね。

(杉山)

そうです。

(深田)

ということは、「仮想の数値」÷「仮想の数値」ですよね。

(杉山)

まさにおっしゃる通りです。そのためのテクニックが3つあります。

まずは、「1.統計を無視」です。

(深田)

「統計を無視」とはすごいデクニックですね(笑)

(杉山)

その次が、「2.当たらないシミュレーションの利用」です。そのシミュレーションが本当なのか分かりません。そして、「3.バスケットシューズ詐欺」です。これが謎めいていて面白いでしょう?後で説明します。

まず、「1.統計を無視」の話をします。

「台風が〇倍強くなった」という話があるとします。その台風が強くなったのなら、他の台風も強くなるはずですよね?そうすれば「台風が強くなっている」という統計が出るはずです。ところが、統計を見ると「強い台風の発生率」は過去50年くらい全然増えていないのです。

(深田)

そうですね。増えてないですよね。

(杉山)

その台風が強くなったという話が本当なら、他の台風にも変化が見られるはずですが、そうなっていません。

(深田)

つまり「異常値」だけを取り出しているのでしょうか?

(杉山)

そうではなくて、計算の仕方がおかしいのだと思います。そのシミュレーションによると台風は強くなりますが、現実の台風は全然強くなっていないですからね。あくまでも「シミュレーション」÷「シミュレーション」の話しかしていません。

でも、統計に出て来ないということは、強くなっていないということですよね。

(深田)

そうですよね。数字に現れていないわけですからね。

(杉山)

これは国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)で、気候変動説の人がよく引用するものです。そのレポートを見ても「災害激甚化」は別に起きていません。「大雨や干ばつの発現時期」となっていますが、要するに「統計的に観測できません。誤差の範囲内で検出できません」とはっきり書いているわけです。

(深田)

誤差ですよね。

(杉山)

そうです。「洪水が◯倍になった」と言う人は言っていますが、この国連のレポートを見てもらいたいです。別に洪水は増えていないか、仮に増えたとしても、それは誤差の範囲内なのです。干ばつや台風も同様です。

何か災害が起こる度に「〇〇のせいです」というのは嘘だと私は言い続けています。だから、最近テレビでも言わなくなったのではないかと思っています。

(深田)

完全に統計を無視していますよ。統計無視というか、もはや現実逃避、イリュージョンですよね。

(杉山)

アメリカの共和党の人たちは「クライメートカルト」とはっきり言っています。

(深田)

「グリーン原理主義」、つまり環境に対する極端な信仰のようなものですね。

(杉山)

「暑さと寒さだけは、もうすでに統計上検出されています」という話がありましたね。平均気温は確かにCO₂の影響で上がっています。ですが、「猛暑」や「寒波」などと書かれていますが、地球の気温が上がったと言っても100年で1℃です。感じるはずがありません。

(深田)

沸騰は無理ですね。

(杉山)

でも、「〇〇白書」といった政府文書を調べると、環境省、内閣府、国土交通省、内閣官房、農林水産省、林野庁など全て「災害が頻発する」とか「異常気象が頻発」とか書いてあるのです。

(深田)

我が国の省庁は嘘しかついていませんよ。

(杉山)

そこまでは言いませんが、少なくとも統計を無視した嘘を書き立てて、「その対策のために予算をください」と言っています。

(深田)

米でも嘘をついています。「米が余っている」と言い続けています。

(杉山)

余っているのに5,000円になるのはどうしてでしょうか。

(深田)

本当にこの国の政府はファンタジーだと思います。

(杉山)

気候変動に関してもファンタジーがたくさん書いてあります。この辺りについては、メディアの方が反省しつつあるようです。この放送を見た役所の人は、来年からこういう嘘を書かないようにしてほしいと思っています。

(深田)

本当にそうですね。

(杉山)

台風に関しては、実は弱くなっていたりもします。

(深田)

実は弱体化していた?

(杉山)

このグラフは「風速33m以上の台風の数」です。普通の政府資料は1970年台くらいからしか書きません。それ以前の統計は「テータが古くてきちんとしていないから」という理由です。一見もっともらしいですが、実は1970年以前は観測網が発達していないから、強い台風を見落としていた可能性があるのです。だから、1950年代、60年代はこのグラフよりも多かったのです。

50年代は大きな台風がたくさん来ました。伊勢湾台風が59年、58年が狩野川台風です。この時の東京の1日400mmという降水量の記録はまだ破られていません。更に、54年に洞爺丸台風がありました。なぜ来たのかと聞かれれば、「自然の変動です」としか答えられません。少なくとも、CO₂のせいではないと思います。

ですから、実は台風は弱くなっているのですが、こういう話はされません。

(深田)

では、どういう根拠で「災害が激甚かしている」と言うのでしょうか?

(杉山)

そこで、「2.当たらないシミュレーション」というテクニックです。

先ほど、「〇〇が◯倍」というのは、「シミュレーション」÷「シミュレーション」だから当たらないという話をしました。次のグラフは、アメリカのトウモロコシの産地、コーンベルトの気温が「10年あたりで何℃上がっているか」を示したものです。赤がシミュレーション、青が観測値です。

観測では10年あたり0.1℃ですから、50年で0.5℃くらいしか上がっていません。一番右のシミュレーションだと10年あたり0.9℃だから、過去50年で4.5℃も気温が上がっています。これを見れば、確かに「暑さが激甚化した」となりますよね。

(深田)

でも、これは架空の話ですよね。

(杉山)

割とマシなものでも、現実の2倍くらいですよね。全然過去を再現していないシミュレーションをやっていながら、「CO₂があった場合となかった場合を割り算してこんな結果が出ました」と言われても、そんなものを信じる気が起きるわけがありませんよね。

(深田)

私は統計を扱う仕事もしていましたが、パラメーターを少しいじっただけで数字は滅茶苦茶になります。

(杉山)

そうですね。「地球全体を物理や化学を使って解き明かしている」と言うと、「科学的にやっているから正確なんだ」と普通の人は思ってしまいます。ですが地球はとても複雑だから、方程式を一本解くのとは違って、いろいろなパラメーターを置くわけです。ですから、経済や経営のシミュレーションとあまり変わらなくて、パラメータをひとつ変えると結果は大きく変わってしまいます。

(深田)

私はああいうシミュレーションは全く信用していません。経営指標で一番大事なのは通帳残高ですよ。

(杉山)

リアルな数字は大事にしなくてはなりませんね。

(深田)

シミュレーションモデルで「E=mc²」という式を使って宇宙を計算したら「99%が暗黒物質で満たされている」という結果になるので、「99%間違っているのではないですか?」という気もします(笑)

(杉山)

物理の話も私はしますが、割とシンプルな方程式を解くようなシミュレーションであれば、それなりにできるわけです。「半導体の中の電子の振る舞い」について、実験では綺麗に実験環境を整えて極低温まで冷やしてやるから、シミュレーションも当たるのです。ですが、地球とか経済とか経営とか、ぐちゃぐちゃしたものを無理やりモデル化してやるから当たらないのです。

(深田)

ある地域が昼の時は別の地域は夜なので気温も違いますし、海と山では高低差もありますからね。

(杉山)

水が蒸発して雲がますが、雲がどこにできるかは水蒸気の量だけでは決まらなくて、「火山から出た塵があるか、ないか」「工場から出た塵があるか、ないか」にも影響を受けます。更には「雲が高い所にできたら温暖化になり、低い所にできたら冷却化する」などのパラメーターを入れます。その作業をすることは偉いとは思いますが、当たっているかと言えば当たっていません。だから「〇〇が◯倍」と言っても何の意味もありません。

(深田)

「大変でしたね。お疲れ様」という感じですね。

(杉山)

いいえ。儲かるからやっているのです。政府からガッポリ予算が付きます。シミュレーションで論文はいくらでも書けます。

(深田)

南海トラフ地震もそれですね。

(杉山)

あれの多くはシミュレーションですらありません。この話はまたの機会にしましょう(笑)

更にテクニックがあります。「3.バスケットシューズ詐欺」です。これはなかなか謎めいていて面白いです。

例えば、あなたが靴を売っているとします。その靴を履けば、旧製品よりも高くジャンプができるようになります。平均1 cm高く飛べます。旧製品のジャンプは平均して70 cm、

たまに72 cmの大ジャンプをすることがあります。

そして、新製品では平均して1cm高くジャンプできます。すると、グラフは右にひとつずつズレますから、その靴では平均して71cm、たまに73cmの大ジャンプをします。

「72cm」の所に注目して下さい。すると、なんと「72cmのジャンプが10倍になった」ということになるのです。1cmしかジャンプ力が上がらないのに「大ジャンプが10倍になる靴です!買って下さい!」となるわけです。

(深田)

今でもこういう製品はありますか?

(杉山)

製品はあると思いますが、でも「ジャンプが10倍になる」と言ったら訴えられると思いますよ。でも、訴えられない世界もあるようです。

例えば、札幌の8月の最高気温が、温暖化していなければ平均33 ℃だったとします。たまに35℃の年もあるかもしれません。

これが、CO₂排出のせいで平均が1℃上がり34 ℃になりました。たまに36 ℃になる暑い年があります。そして、35 ℃の所に注目すると「35℃になる年が10倍になった」となり、「札幌では熱波が10倍になった」ということになります。

(深田)

これで「熱派が10倍になった」という表現をしてもいいのですか?

(杉山)

「いいのですか?」と言われても、そういう事をやっているのです。まず、勝手に35℃の所に閾値(しきいち)を設けるわけです。そうやって閾値を意図的に設定することで、結論を何とでもできてしまいます。

(深田)

しかも「熱波とは何か」の説明もありませんよね。

(杉山)

そうです。「ある温度以下は熱波ではなくて、ある温度以上は熱波だ」と勝手に決めるのです。同様に「豪雨が◯倍になった」というのも、勝手に閾値を決めているのです。

(深田)

なるほど、よく分かりました。これが「熱波30倍詐欺」の実態だったのですね。

(杉山)

はい。別にバスケットに恨みはありませんが、これが「バスケットシューズ詐欺」です。このようにして、訴えられてもおかしくないような事をやっているのです。

(深田)

訴えられないのですか?

(杉山)

「この手口は問題ありだ」とか「こんなのは科学として認めるべきではない」という意見を言う人はたくさんいます。

(深田)

でも、そういう人たちは端に追いやられてきたのですね?

(杉山)

端に追いやられてきたのですが、今のアメリカの共和党政権はそうした人たちを集めています。

(深田)

先生の転職先が見つかりましたね(笑)

(杉山)

あれはアメリカだから(笑)

アメリカのレポートだから、アメリカでの環境影響についてフォーカスするようにやっているのですが、もちろん日本でも同じことをやるべきだと思っています。

(深田)

是非とも「深田萌絵シンクタンク」に転職して欲しいです。

(杉山)

どこでホストしてくれるかは分かりませんが、日本でもまともな政権ができたら…

(深田)

そんな日は来ないです(笑)

(杉山)

それを目指しているのではないのですか?

(深田)

目指しています!

(杉山)

アメリカは今まで、気候危機説をエンドース(推奨)するためのレポートを国でたくさん出していましたが、トランプ政権になってからは、それらを全てホームページから排除しています。そして、新しく「気候ワーキンググループ」という部署が作られて、新しいレポートをホームページにアップしています。

(深田)

私が政権を獲った時には、そうしたワーキンググループを作りますので、よろしくお願いします。

ということで、今回はキャノングローバル戦略研究所研究主幹の杉山大志先生に「熱波30倍詐欺のテクニック」について教えていただきました。どうもありがとうございました。

Visited 17 times, 1 visit(s) today

おすすめ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です