気候変動はここまでウソ!?「熱波30倍」政府とメディアが国民を騙すテクニックとは? 杉山大志氏 #440

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【目次】
00:00 1.オープニング
01:06 2.地球温暖化「熱波30倍」のウソ
03:48 3.CO2と温暖化・事象帰属研究の手順
05:20 4.気候詐欺のテクニック
17:38 5.バスケットシューズ詐欺とは?

(深田)

みなさん、こんにちは。政経プラットフォーム プロデューサーの深田萌絵です。今回はキャノングローバル戦略研究所研究主幹の杉山大志先生にお越しいただきました。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

(杉山)

よろしくお願いします。

(深田)

本当に暑い中お越しいただき、ありがとうございます。今日は「熱波が30倍で日本は超暑い」というテーマについてお伺いしたいと思います。

(杉山)

はい。最近よく耳にするのは、「地球温暖化によって熱波の頻度が30倍になった」とか「温暖化がなければこの大雨は起こり得なかった」といった主張です。「熱波が30倍」と聞くと非常に深刻に思えますが、本当にそうなのでしょうか。

(深田)

そもそも「熱波とは何か」という疑問もありますね。

(杉山)

そこにトリックが潜んでいます。ことさら煽り立てる話なのですが、最近はあまり報道で「地球温暖化のせいです」と言わなくなりました。

(深田)

確かに言わなくなりましたね。

(杉山)

それは私の功績だと思っています(笑)

(深田)

キャノングローバルからの発信が影響したのですね(笑)

(杉山)

やはり嘘はいけません。そこで本日は、よく見かける「何とかが何倍になった」というネタばらしをしたいと思います。

こうした表現は日本だけでなく、ヨーロッパやアメリカでも頻繁に登場します。AIで調べると「アメリカで熱波が150倍起こりやすくなった」という記事や「インドの熱波が30倍起こりやすくなった」という報道が出てきます。大雨のたびに出てくるのが、2018年の西日本豪雨では「発生確率が3.3倍になった」という話で「何とかが何倍になった」というのがよくあります。確かに「熱波とは何か」という定義自体が曖昧で「何を基準に何倍と言っているのか」と騙されそうです(笑)

(深田)

悪い政治家に騙されてきました(笑)

(杉山)

続けて申し上げると「ハリケーンが2.5倍」とか、「メキシコ湾の記録的高水温は400倍から800倍起きやすくなった」という記事もあります。こう聞くとメキシコ湾、今はアメリカ湾になってしまったのですが(笑)「アメリカ湾全体が沸騰してしまっているのか」と錯覚してしまいます。

(深田)

「400倍から800倍起きやすくなった」と表現されていますが、そもそも基準は何なのか疑問です。

(杉山)

「何とかが何倍」という研究を「イベントアトリビューション(事象帰属)」と言います。たとえば、ある極端な気象現象が起きた時に「それは温暖化のせいか、そうではないのか」を判定する研究です。手順はおおむね共通しています。例えば埼玉県熊谷市で41度を記録した場合、まず「人類がCO2を排出した場合」のシミュレーションを行い、41度になる頻度を調べます。次に「人類がCO2を排出しなかった場合」のシミュレーションを行い、同じく41度になる頻度を調べます。そしてこの2つを割り算して、猛暑の発生確率が何倍になるのかが算出されるのです。

(深田)

その計算の意味がよく分かりません。「CO2の排出がなかった場合と排出があった場合に41度を超える頻度」を比較するということですか?

(杉山)

これはすべてシミュレーションの世界の話です。

(深田)

実測値ではなく、あくまでコンピューターの計算結果ということですね?

(杉山)

その通りです。その比率をもって「何倍になった」と結論づけているのです。

(深田)

要するに“仮想の数値÷仮想の数値”ということですね?

(杉山)

まさにその通りです。実はこの気候詐欺テクニックには3つの典型があります。

(深田)

1つ目の「統計を無視」とはすごいテクニックですね(笑)。

(杉山)

はい、2つ目は先ほどおっしゃった「シミュレーションは本当に正しいのか」という問題です。3つ目の「バスケットシューズ詐欺」は少し謎めいていますが、後ほど説明します。

まず1つ目の「統計の無視」ですが、例えば「台風が何倍強くなった」といった主張があります。もし本当に台風が強くなっているのであれば、他の台風も強くなっているはずなので、統計に出ます。しかし実際に統計データを見ると、過去50年ほどの間に強い台風の発生数は横ばいで、増加していません。

(深田)

増えていないのですね。異常値、つまりごく一部の例外的な数値だけを取り出しているということですね?

(杉山)

要するに、計算の仕方自体が不自然なのでしょう。そのシミュレーションによると「台風は強くなる」と結論づけられるだけで、現実にはその傾向は見られません。あくまで、“シミュレーション÷シミュレーション”の話です。統計に出ていないので、台風は強くなっていないということです。

(深田)

そうですね、数字に表れていない以上は事実ではないということですから。

(杉山)

国連の『気候変動に関する政府間パネル』(IPCC 、Intergovernmental Panel on Climate Change)の報告書にも明記されています。気候危機論者が懸命に引用する資料ですが、そこには「災害の激甚化は起きていない」とあります。表は「事象の発現時期」と難しい言葉ですが、要するに、大雨や干ばつ、山火事などについても「現在のところ統計的に観測できず、誤差の範囲にとどまる」と明確に記載されているのです。

(深田)

誤差の範囲内なのですね?

(杉山)

そうです。したがって「洪水が何倍」と言う人がいますが、国連の公式レポートを見れば、洪水は増えていないか、増加があったとしても誤差の範囲内であると分かります。干ばつも同様です。熱帯低気圧や台風に関しても「変化があったとしても誤差の範囲で検出できない」とはっきり書かれています。ですから「災害が起こるたびに『温暖化のせいだ』と主張するのは嘘だ」と私は言い続けてきました。そのためか、最近ではテレビも「温暖化のせいだ」と言わなくなったのではないでしょうか。

(深田)

確かにそうですね。統計を無視した、ある意味では現実逃避のような言説ですね。

(杉山)

もはや妄想の世界です。宗教に近いとも言えるでしょうか。アメリカの共和党の政治家たちは「クライメートカルト」と明言しています。

(深田)

いわゆるグリーン原理主義ですね。

(杉山)

まさに新興宗教です。国連のレポートをさらに読むと、平均気温は確かにCO2排出によって上昇しています。しかしそれでも地球の気温は100年で1度程度の上昇にすぎません。

(深田)

これで地球が「沸騰する」というのは無理ですね。

(杉山)

その通りです。深田さんの人生は30年ぐらいでしょうから(笑)、せいぜい0.3度程度の上昇です。人間が感知できるものではないです。

ところが日本政府の報告書を見ると、環境省、内閣府、国土交通省、内閣官房、農林水産省、林野庁など、どの省庁も「災害の頻発」「異常気象の頻発」と記載しています。

(深田)

我が国の省庁は、嘘しか言っていませんよ。

(杉山)

そこまで言えませんが、少なくともこの問題に関しては統計を無視し、大嘘を書き立てています。「だから予算をください」という方向にもっていくのです。

(深田)

コメでも嘘を付いているのです。コメは「余っている」と言い続けています。ひどくないですか? 

(杉山)

「余っているのに5000円になる」というのは、どういうことでしょうね。

(深田)

まさにファンタジーです。

(杉山)

気候変動に関しても同様に、ファンタジーを描き続けているのです。

(深田)

我々はまるで「おとぎの国」に暮らしているようですね。

(杉山)

ただ、この点についてはメディアも少し反省し始めているようです。したがって、この動画を見た役所の担当者には、来年以降は嘘を書かないようにしてほしいです。実際、台風に関してはむしろ弱くなっている可能性もあります。

(深田)

実は弱体化しているのですか?

(杉山)

例えば、風速33メートル以上の台風の発生数を見ると、政府の資料は1970年代以降のデータしか掲載していません。その理由として「1970年代以前は統計が不十分で、信頼できない」と説明しています。もっともらしく聞こえますが、当時は観測網が発達していなかったため、強い台風を見落としていた可能性があります。

実際、1950年代や60年代には非常に強力な台風が頻発していました。例えば1959年の「伊勢湾台風」、1958年の「狩野川台風」は東京の1日雨量記録がいまだに破られず、1日で400ミリ降りました。また1954年には「洞爺丸台風」もありました。このように1950年代には恐ろしい台風が頻発していたのです。なぜ発生したのかと聞くと「自然の変動です」としか答えられない(笑)。少なくともCO2の影響ではありません。その頃はCO2が地球温暖化に影響を与えるという話は出ていなかったのです。実は台風は弱くなっている。こうした事実はほとんど語られません。

(深田)

では、なぜ「最近災害が激甚化している」と言うのでしょうか。

(杉山)

そこで登場するのが「気候詐欺」の2番目の手法である「当たらないシミュレーションの利用」です。先ほどの「何倍になった」という表現も、すべてシミュレーションの話で、そのシミュレーション自体が正確でなければ意味がありませんが、全く当たっていないのです。

アメリカのコーンベルト(アイオワ州周辺のトウモロコシ産地)における観測データでは、実際の気温上昇は10年あたり0.1度程度です。グラフで赤がシミュレーション、青が観測データで、50年で0.5度、100年で1度上昇するかどうかです。

ところがこのグラフで一番右のデータでは、10年あたり0.9度の上昇になっています。これは50年で4.5度上がる計算になります。こうした当たらない数字を基に計算したら「CO2のせいで暑さが激甚化している」という話になるでしょう。

(深田)

しかし、それは架空の話にすぎませんね。

(杉山)

すべて架空です。別のシミュレーションでも、現実の倍程度の温暖化を示しています。こうした過去を再現できていないシミュレーションを使って「CO2がなかった場合とあった場合を比較するとこれだけ違う」と言われても、信じる気にはなれないです。

(深田)

私も統計を扱う仕事をした経験がありますが、パラメータを少し変えるだけで数値は大きく変わってしまいます。

(杉山)

その通りです。気候変動の議論では「地球全体を物理学的・科学的に計算して解いている」と言われると、いかにも「科学的に分析しているのでから正確なのだ」と思わせてしまうのです。実際には地球は極めて複雑であり、単純な方程式を解くのとは全く違います。シミュレーションを行う際には多くのパラメータを設定しなければなりません。経済や経営のシミュレーションと大差はなく、「この条件を変えればこうなる」というモデルにすぎません。

(深田)

私はあのようなシミュレーションは全く信用していません。経営指標で最も重要なのは通帳残高ですよ。

(杉山)

リアルなものですね。過去や現在の実測値を重視すべきです。シミュレーションはあくまで「そういうものもある」という程度に捉えるべきです。

(深田)

E=mc²(特殊相対性理論)を使って宇宙を計算すると「宇宙の99%が暗黒物質で満たされている」と言われても「99%間違っているのではないか」という気がします(笑)。

(杉山)

単純なものであれば、シミュレーションも当たりやすいのです。例えば半導体内の電子の振る舞いは、半導体が規則正しい結晶構造を持ち、極低温環境で実験できるため、シミュレーションはよく当たります。しかし、地球や経済、経営のような複雑で不規則な対象を無理やりモデル化しても、基本的に当たりません。そうしたシミュレーションに基づいて「何とかが何倍になった」という議論は全く意味を持たないし、実際に当たっていません。

(深田)

「シミュレーション作り大変でしたね、お疲れさま」ということですね。

(杉山)

ただ、儲かるからやっているのです。

(深田)

儲かるのですか⁉

(杉山)

はい。政府から巨額の予算が投じられ、シミュレーションを用いればくだらない論文が量産できます。

(深田)

ああ、それは「南海トラフ地震」の議論と同じですね。

(杉山)

そうです。あれはシミュレーションですらないものも数多く含まれています。

そして、気候詐欺のテクニックにはもう一つ「バスケットシューズ詐欺」と呼ばれるもので、謎めいています。仮にバスケットシューズを販売しているとして「この新製品は旧製品よりも平均して1センチ高くジャンプできる靴です」と宣伝するとします。旧製品では「平均70㎝」のジャンプが可能で、時には71㎝、稀に72㎝跳べる場合もあります。

新製品では「平均71㎝」となり、時折72㎝、さらにごく稀に73㎝まで跳べることもあるでしょう。そこで「72㎝を超えるジャンプ回数」に着目すると、旧製品に比べて新製品ではその回数が10倍程度に増えるのです。結果として「72㎝を超える大ジャンプが10倍になる靴」と宣伝できてしまう。実際には平均値はわずか1㎝しか変わっていません。

(深田)

今でもそういう製品はあるのでしょうか?

(杉山)

実際にあるのかもしれません。ただ「大ジャンプが10倍になる靴」と広告すれば、普通なら訴えられるでしょう。しかし、訴えられない世界も存在するようです。

(深田)

それが「最高気温データ」における「バスケットシューズ詐欺」なのですね。

(杉山)

はい。例えば札幌の8月の最高気温を考えましょう。温暖化がなければ「平均は33度程度」だったかもしれません。たまに34度、35度の日がある程度です。ところが「CO2の影響で全体の気温が1度上昇した」とすると、「平均は34度」となり、時には35~36度の日も出てきます。ここで35度の日数だけに注目すると、「35度の日が10倍になった」と言えるのです。すると「札幌は熱波が10倍になった」という表現が成立してしまいます。

(深田)

それで「熱波が10倍になった」と表現してよいのでしょうか?

(杉山)

ここが問題なのです。勝手に閾値を設けて、35度以上を「熱波」と定義すれば、「熱波が10倍になった」と言えてしまうのです。先ほども触れた通り、そうした見出しが実際に報道で使われています。このように恣意的に閾値を設ければ「何が何倍」という数字を作り出すことができるのです。

(深田)

しかも「熱波とは何か」という説明がありませんね。

(杉山)

その通りです。「この温度未満は熱波ではない、この温度以上は熱波だ」と勝手に線引きをしているにすぎません。同様に「豪雨が何倍になった」という議論も、勝手に閾値を決めているだけなのです。

(深田)

これが「熱波30倍詐欺」の実態というわけですね?

(杉山)

そうです。これが「バスケットシューズ詐欺」です。別にバスケットボールに恨みはありませんが、統計を無視して、当たらないシミュレーションで割り算をする。そしてバスケットシューズ詐欺と「訴えられるぞ」ということをやっているのです。誰も訴えていませんが。

(深田)

訴えることはできないのですか? 

(杉山)

はい。しかし「この手口は問題があるので、科学的に認められるべきではない」という批判は多く存在します。

(深田)

そのような人々は長らく議論の場から排除されてきたのですね?

(杉山)

その通りです。追いやられてきました。しかし現在のアメリカ共和党政権は、そうした人々を再び集めています。

(深田)

先生の転職先がありますね(笑)

(杉山)

日本でも同じことを実現すべきだと思います。アメリカのレポートはアメリカのデータを基にしているため、アメリカの環境問題に焦点を当てていますが、日本でも同じ手法を用いることは可能です。日本でまともな政権が誕生したならきっと実現するでしょう。

(深田)

そんな日は来ないですよ(笑)。

(杉山)

それを目指しているのではないですか(笑)?

(深田)

私は目指していますが、現実も冷静に見ています。

(杉山)

アメリカではトランプ政権が誕生して以降、気候危機説を推進するための発表されていた政府レポートがすべてホームページから削除され、新たに「気候ワーキンググループ」と名付けられた組織が設置されて新しいレポートが公開されています。

(深田)

では私が政権を取った暁には、必ずそのようなワーキンググループを設置します。

(杉山)

承知しました。

(深田)

今回はキャノングローバル戦略研究所研究主幹の杉山大志先生に「熱波30倍詐欺のテクニック」について解説いただきました。先生、本日はありがとうございました。

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