市長が万博犯罪を告発「公共工事で不払いはあり得ない!」 維新詐欺行政に鉄槌を! 山本景氏 #412

【目次】
00:00 1.オープニング
00:39 2,大阪万博における市町村の苦悩
03:21 3.バス運転手の不足問題
11:24 4.パビリオン建設の不払い問題
13:15 5.国の責任は?
21:28 6.日本維新の会の責任は?
25:23 7.住民訴訟できないか?
(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム、プロデューサーの深田萌絵です。今回は、大阪府交野(かたの)市長の山本景さんにお越しいただきました。山本市長、よろしくお願いします。
今回お越しいただきましたのは「大阪万博の未払い問題」ですね。いろいろな問題がある中で、交野市だけが支援策を出していらっしゃいます。
そもそも大阪万博にはさまざまな問題があったと思うのですが、市長としてのお立場からは、どのような問題が発生していましたか?
(山本)
大阪府内の市町村にとって影響が大きかったのが、やはり「子どもの無料招待」の事業です。第1回目と第2回目がありましたが、その両方とも、特に大阪府内の43市町村に非常に影響があったと考えております。
(深田)
あれは吉村知事がいきなり勝手に「子どもを招待します」と発表しましたよね。
(山本)
そうですね。それを先にテレビや記者会見などで発表されました。しかし一方で、市町村には相談や根回しがありませんでした。
(深田)
あれは府の予算でできるのですか?
(山本)
1回目と2回目で異なります。1回目では入場券の部分、1人あたり約1,000円だけを大阪府が負担するというものでした。2回目では府は負担しません。
その事を吉村府知事が先に発表しました。そして、市町村がその負担をすることになりました。
(深田)
ということは、負担は市町村だったということですか?
(山本)
全てではありませんがそうなります。1回目の入場券の部分は確かに府が負担しているのですが、残りの部分は市町村の負担です。
(深田)
「残りの部分」とは交通費などですか?
(山本)
「残りの部分」の方が多いのです。バスでしたら、例えば交野市から万博会場に行くときは、バスの値上がりなどもあるので1人5,000円くらいです。
(深田)
そんなにするのですか!
(山本)
そうです。1日1台バスを借りるだけでも15万〜20万円くらいするので、30〜40人で割ると1人あたり約5,000円になります。それは市町村の負担になります。「もしも市町村が負担したくなければ保護者が負担する」という内容です。
(深田)
ということは、保護者の皆さんにも結構な負担があったということなのですね。
(山本)
そうです。保護者の皆さんの負担は、一般的には「校外学習」では1,000円か2,000円程度なので、その限度を超えています。そうしたこともあったので、交野市は明確にお断りをしました。
(深田)
そうなのですね。「お子さんを招待します」といきなり言い出した府が、負担を地方の小さな市町村に押し付けていることは酷いと思います。
もうひとつ酷いと思ったのが「自動運転バス」の件です。「大阪万博は自動運転バスだから、皆さん乗ってください」と言っていたのに、実際には運転手が普通に運転しているように見えました。
万博のために運転手をかなり集めたので「地方の市町村が割りを喰っている」という話を聞きます。
(山本)
そもそも、万博のシャトルバスの「一部」が自動運転であって、「完全自動運転」ではありません。そもそも日本ではまだ「完全自動運転」が技術的に確立はしていない状況です。ですので、2種免許を持っている運転手が運転席に座っていなければなりません。
鉄道アクセスが悪いので、万博へ行くために府内のいろいろな所でシャトルバスが運行されています。そのための運転手を大阪府や近隣、或いは全国から掻き集めました。結果として、その影響が様々なところに出ているのが実情です。
(深田)
多くの地域でバスの運転手がいなくなってしまったので、「バスが無くなりました」ということを聞きますが、交野市ではどうだったのですか?
(山本)
交野市でも、元々運転手が不足していましたが、令和7年3月22日に京阪バスから「市内のバスは撤退する」という通告を受けました。協議をしましたが撤回はしてもらえませんでした。
それでも利用者の方はいらっしゃるので、代わりのバスを確保して運転手を探さないといけなくなりました。ところが、すでに多くの人が万博のシャトルバスの運転手に採用されていたので、なかなか2種免許を持った人を集められない状況になりました。
そこで、国とも協議をして市のルールを変えてもらいました。「交通空白地だから」という理由で「2種免許無しでもバスを運転できる」という風にしたのです。「1種免許でも大型車両の免許を持っている人」を対象にして、運転手を集めました。
(深田)
今、交野市では市がバスを運営しているのですか?
(山本)
運行の一部は委託をしていますが、市が運転手を集めて、代わりのバスを「コミュニティバス」としています。
(深田)
大変でしたね。
(山本)
はい。元々、市営バスをやっていない自治体が、急にこの半年で自分たちがバスを走らせることになったのですから。
(深田)
交野市以外でもその被害に遭っているのですか?
(山本)
やはり路線を削られている自治体は多くあります。例えば、隣の寝屋川市はタクシー会社に運行をお願いして、路線が無くなった所をカバーしています。それぞれの自治体でいろいろな対策はしています。
(深田)
滅茶苦茶ですね。自分たちは「万博やります!」「自動運転バスに乗ってね!」と言いながら運転手を横取りしておいて、市民の日常の生活には無関心なのですね。
(山本)
元々、全国的にバスの運転手は足りている状況ではありませんでした。
(深田)
ギリギリだったのですね。
(山本)
その状況で、ああいう大規模イベントを鉄道アクセスが悪い所でやってしまっているので、結果としてシャトルバスを運行しないと成り立ちません。そして、バスの運転手を掻き集めざるを得なくなってしまったということです。その弊害がいろいろな所に出ているという状況です。
(深田)
そもそも「なぜ最もアクセスの悪い所でやるのか」を誰も理解できていません。
(山本)
中央線しかありません。もう少しアクセスしやすい場所だったら、こういう問題は起きていなかったと思います。
(深田)
そうですね。
万博が終わったら、集められた2種免許を持ったバスの運転手さんはどうなるのかも心配です。
(山本)
私としても、その方々がどうなるのが分かりません。元いた所に戻ってくれる保証もありません。
(深田)
そうですよね。
夢洲は元々ゴミの島で、地盤も悪いしアクセスも悪いという最悪の場所だと思います。その場所に決まった意思決定のプロセスは明らかになっているのですか?
(山本)
そこが市町村レベルでは分からないのです。「結果こうなりました」と言われるだけです。
地元のバスが無くなる時に博覧会協会へ抗議には行ったのですが、その時に博覧会協会の人からは「我々が来る時にはもう場所は決まっていた。だから我々に言われても回答できない」と言われました。
(深田)
そうなのですね。
先日の参議院選挙で、無所属で大阪選挙区から出馬した橋口和矢さんが、万博会場が夢洲(ゆめしま)に決まったのは「安倍さんと松井さんが飲み会で突然決めた」ということをおっしゃっていました。「真偽はどうなのだろうか」と気になっていましたが、意思決定のプロセスが明らかになっていないので「誰にも分からない」ということですね?
(山本)
そうです。合理的に考えたら、なぜそこになったのか疑問です。
(深田)
あり得ないですよね。メタンガスも出ています。
(山本)
「跡地利用」に関して言えば、「カジノと警察署が整備される」という話になっているそうです。「夢洲署」という名前だそうです。
(深田)
不思議なことがいろいろあります。その中でも一番酷いのは、少なくとも9つのパビリオンで起きている、下請け業者に対する未払い問題です。確かアンゴラ館、ルーマニア館、セルビア館、マルタ館、中国館、インド館、ドイツ館、アメリカ館、ネパール館の9つパビリオンで不払い問題が起きているので、多くの下請け業者が泣き寝入りの状態です。
先日、当事者がこのスタジオにも来てくれて、その窮状を話してくれました。アンゴラ館4,300万円の不払い、マルタ館1億2,000万円の不払い、そしてアメリカ館では2,800万円の不払いでお子さんが大学を辞めざるを得なかったそうです。
皆さん顔出しができないと言われます。理由は「顔出しで被害を訴えると、新しい仕事が貰えなくなるから」です。「倒産するかもしれない」と思われてしまうのを避けるためです。未払いがあったという噂が漏れ伝わっただけで、銀行から次の融資を受けられないとか、部屋が借りられないので引っ越しもできないなど、いろんなことでお困りになっています。
そんな中、大阪の中で万博とは関係ない交野市だけが、未払い問題の被害者さんに対する支援策を打ち出されています。その内容はどういったものなのですか?
(山本)
万博の未払いや不払いの被害に遭った事業者、もしくはそこの従業員に対して、市としてしっかり一定の責任を持って相談に乗り、そして対応はするという内容です。
(深田)
例えば、どういったケースを想定されていますか?
(山本)
まさに、その9つのパビリオンの建設で不払いや未払いにあった事業者さんのケースを含んでいます。
(深田)
例えば融資の相談や、部屋を借りるときのサポートなどを考えているのですか?
(山本)
大阪府との協議では当然そういった話は出てくると思います。
(深田)
大阪府との協議が一番の核心ですね。大阪府が今、知らん顔をしているのがとてもおかしいです。
(山本)
市では当然、公共工事も発注します。その公共工事で今回のような不払いや未払いは通常では発生しません。でも、今回それが発生してしまっているので、市としても大変疑問に思っています。
(深田)
通常、交野市などが公共事業をやるときに、発注した元請け業者が下請けに対して未払いなどの問題を起こさないように監督するのはどこですか?
(山本)
通常は発注者である交野市です。そもそも、不払いや未払いが生じるような事業者が公募の入札には参加できません。
(深田)
参加できないのですか?
(山本)
参加資格を満たせないです。今回の大阪万博では免許を持っていない事業者も含まれていますが、(市の公共事業には)そうした事業者はそもそも参加できません。
(深田)
免許とは「建設事業の免許」のことですか?
(山本)
はい。その免許を持っていなければ通常では関われません。
(深田)
そうですよね。今回の万博には、ただのイベント会社などが入っていましたよね。アンゴラ館でも元請け事業者が免許を持っていませんでした。
そのような無免許業者が公の仕事に入っていたということですか?
(山本)
はい。今回の大阪万博では「なかなか事業者が見つからない」という実情もあったようですが、まだ許可を取得できていない事業者がなぜ仕事が取れたのか、大変疑問に思っています。
(深田)
以前、私が国の研究所の仕事を受けたときには、書類も揃える必要があり、審査も厳しく、資本金の額によっては大きな仕事は取れませんでした。
(山本)
他にも受注実績など、いろいろなものが問われてきます。
(深田)
なので「非常に厳しいな」と思いました。結局、直接取れないので下請けに入りました。
(山本)
元請けはしっかりした業者でしたか?
(深田)
元請けは上場企業の子会社で、そこに面倒を見てもらうスキームだったと思います。今回は違うのですね。
(山本)
今回は、大手のゼネコンの多くが「海外パビリオンに関しては不払いや未払いになる可能性がある」という理由で、そもそも受注していません。
(深田)
大手のゼネコンは、未払いや不払いになることを見越していたのですか?
(山本)
要するに、例えば一部の国が支払いを拒んだ場合、「取り立てが不可能に近い」ということです。海外まで取り立てに行かなくてはなりません。まして相手が政府やその関係となれば「実際に取り立てできるのか」という問題もあります。
(深田)
「取り立てができないリスク」を大手ゼネコンは察知していたので、入らなかったということですね。
(山本)
そうです。困った大阪府や大阪市や博覧会協会は、地元の中小の建設事業者に受注を促したという事実があります。
(深田)
大阪府の吉村知事が「中小企業の皆さん、お願いします。助けてください。万博の事業を受けて欲しいです」とXで投稿していましたよね。
(山本)
そうです。ですから「民民ではない」と思っています。
(深田)
同感です。
今、大阪府は「万博の未払い問題」に関しては、「民間事業者同士の問題だから大阪府は関与しない」と言っています。先日の参議院選挙での討論番組を見ても、維新の候補者の皆さんは「未払い問題はない」「自分たちは関係ない」「民間事業者同士の問題なので政府は関係ありません」とサラッと言っていましたからね。
(山本)
政府は割と真剣に取り組んでいるとは思っています。これで、もし「民民だ」と日本政府が言ってしまった場合、日本国内で国際イベントをやる時に「工事をやってくれるのか」という問題が起こります。
(深田)
受けたくないですよね。
そもそも「お金が払われるかどうか分からない」という懸念がありながら、東京オリンピックの時に大量の逮捕者が出たので「広告代理店が間に入れない状態」だったことも、問題の一因になっていると思います。
これだけ大規模な未払い問題が発生してしまったら、次の名古屋での「アジア競技大会」や横浜での「花博」にも影響しますよね。
(山本)
特に海外の各国に関わってくるような事業の部分に関しては、当然同じような話になるのではないかと思っています。
(深田)
ルーマニア館、セルビア館、マルタ館の元請け事業者である「GLイベンツ」は合計で約3億4,000万円の未払いを起こしているのですが、そこは何食わぬ顔で「愛知・名古屋アジア競技大会」の640億円分を受注しています。でも、これだけの未払いを起こしている会社の下請けに入る会社なんてあるのでしょうか?
(山本)
なかなか難しいと思います。すると契約が履行できなくなるので、その場合は主催者側と改めて協議することになると思います。
(深田)
今回の「万博未払い問題」に関して、政府には動きがあるのですか?
(山本)
あります。やはり今後の日本における国際的なイベントの開催にも影響しかねないことだと思っています。
(深田)
動いているのは国交省や経産省ですか?
(山本)
基本的には経産省になりますが、入札等に関わってくると国交省になります。
(深田)
ということは、解決に向けて動き始めたのですね。
(山本)
国のレベルではそうですが、府のレベルではなかなかそうなっていません。そもそも責任の所在が明確になっていません。
(深田)
そうですね。被害者の会の方が大阪府に面談を申し入れた時、吉村府知事を見つけたのですが、吉村知事がくるっと振り返って走って逃げたと言っていました。酷いですよね。
(山本)
吉村知事の呼びかけもあって受注されている方も多くいらっしゃいますね。
(深田)
呼びかけた本人が走って逃げるのもおかしいですし、しかも維新は「大阪万博は儲かっていて黒字です」と言っているのです。黒字であるなら「つなぎ融資」を出すなどして責任を果たすべきだと思います。
一方で、万博事業のお金が20億円くらい浮いたので、それをカジノ用に流用しているという問題があります。流用しても構わないのですか?
(山本)
仮に流用が事実であれば、好ましいことではないと思います。そもそも、「運営費」とは別に「初期費用」として約2,000億円を会場の整備費等に費やしています。そこの部分も全部含めると、実質的な収支では相当な赤字になるのかなとは思っています。
(深田)
そもそも「黒字だ」という話が事実とは異なるのですか?
(山本)
そう思います。あくまで「営業」の部分と「運営費」に限った話なのです。実際にはそれまでも初期投資として多額のお金を投じています。
(深田)
大阪維新はこれだけの被害者を出しているにも関わらず、いまだに支持率は結構高いですよね。
(山本)
比較としては間違いなく大阪府内では第1党の支持率を誇っているのは事実だと思います。
(深田)
それは今後も揺るぎない感じなのでしょうか?
(山本)
府内での支持率は、以前よりも3〜4割は下落をしていますが、相変わらず他の政党の支持率よりも維新の方が高いのは間違いない事実だと思っています。
(深田)
そもそも大阪の自民党がだらしなかったからでしょうね。
(山本)
大阪で「自民党がイヤ」という人たちの「受け皿」になる政党や団体が「維新以外にない」という状況が長らく続いていました。
(深田)
でも「自民党の劣化版だ」と私は思います。
(山本)
そうだとしても、「立憲に入れるのか、国民に入れるのか」というと「それもイヤだ」となったら、もう入れるところがありません。
(深田)
最後はお笑い芸人に入れるか…
(山本)
あるいは、「もう投票に行かない」か、「もしくは参政党か」という話になりつつあると思います。
(深田)
となると、次の衆院選で維新はどうなるのでしょうか?
(山本)
私の考えとしては、衆議院選挙は小選挙区制度なので、必然的に第1党がかなり有利だと思います。それは衆議院もそうですし、大阪府議会も同じです。1人区が非常に多いので、第1党はかなり有利です。
今の状況からすると、まず衆議院に関しては維新がかなり有利になるのかなと思っています。
(深田)
すると、選挙のことを考えて「大阪万博未払い問題」は自分たちは「知らぬ、存ぜぬ」と言い切って、国民の目を誤魔化したいのでしょうね。
(山本)
自分たちが呼びかけた手前、今更「自分たちが悪い」とはなかなか言いにくい状況だと思います。
(深田)
そうですよね。でも逆に「呼びかけたのにこんな事になってしまったので、きちんと救済策を講じます」と言えば、カッコ良く見えるのですが。
(山本)
ただ、行政というものは「行政が悪い」と言われた時に、どこまで責任が取れるのか、特に金銭が絡んでくると「住民訴訟」などの問題もあります。国にはそういったものはないのですが、府や市町村は救済に金銭が絡んでくると、かなり及び腰になるのかなとは思います。
(深田)
「住民訴訟」ができるのですね。
(山本)
そうです。例えば、ある会社が未払い、不払いをして、1億円を大阪府や大阪市が支援したとすると、「それはけしからん」という理由で「住民訴訟」もできてしまいます。
(深田)
大阪府にいる人は誰でもできるのですか?
(山本)
府民や市民が「公金の支出」に関して疑義があった場合は、「住民監査請求」とその後の「訴訟」というのは制度上では可能です。
(深田)
それなら「住民監査請求」をするように呼びかけてみようかなと思います。
(山本)
それはあくまでも「救済をすれば」の話です。ですが救済をしなかったら、それはそれで批判を浴びると思います。私も地方自治体の首長ですが、非常に難しい立場です。
(深田)
首長は何年目ですか?
(山本)
丸3年です。やはり、お金を使うところはかなり慎重にならないといけないと思っています。今回で言えば「契約を呼びかける」という行為も、本来ならかなり慎重にやるべきだったと思っています。
(深田)
そうですね。しかも、自分たちが起こした問題なのに救済策は一才示さずに、大阪の中で唯一、交野市だけが未払い問題の被害者に対して救済・支援策を示していることは、本当に素晴らしいと思いました。
「大阪万博未払い問題」の被害者の皆さん、是非とも交野市のWEBサイトを見ていただければと思います。
今回は、大阪府交野市長の山本景さん起こしいただきました。どうもありがとうございました。