【外国人問題】 日本の家賃が二倍!? 外国人が買い漁る不動産問題の真相とは!? 牧野知弘氏 #411

【目次】
00:00 1.オープニング
00:50 2.外国人による不動産購買
04:04 3.家を借りてる人の権利の方が強い
11:16 4.違法民泊ビジネスの横行
(深田)
皆さんこんにちは。政経プラットフォーム、プロデューサーの深田萌絵です。今回はオラガ総研の牧野知弘社長にお越しいただきました。
先日の参議院選挙で争点になったのが外国人問題です。その中で特に注目されたのが『外国人がこんなに日本の不動産を持ってしまっていいのか?』という、外国人による土地取得問題です。一番の問題は『外国人が土地を買ってはいけない』と論じられていますが、これを規制する方法はあるのですか?
(牧野)
参議院議員選挙でものすごく話題になったのは、参政党の『日本人ファースト』というテーマです。そこで「外国人がこんなに自由に日本の不動産を買っているのはおかしいのではないか。それによって自分たちの生活が脅かされる」と多少は扇動的に強調されてきました。
僕は、今まで選挙でメディアから呼ばれたり、政治家と対談するということはなかったのですが、今回は選挙期間中に国民民主党の玉木雄一郎代表と対談をしました。
(深田)
へえ、そうなんですか。
(牧野)
国民民主党も外国人の不動産所有問題を課題として取り上げていたのですね。今の日本政府は外国人に対して全くフリーに不動産を買わせています。例えば、日本で中国人が自由に買えるのであれば、日本人も中国で自由に買えるべきですよね。外交上では、これを相互主義と言います。しかし、日本人は中国に行って日本のように自由に不動産を買えません。中国は共産主義なので、相互主義を唱えても応じません。
外国人が自由に日本の不動産を買っている結果、日本の不動産の高騰を促しているのではないでしょうか。
(深田)
そうですよね。大阪では、中国人が一棟買いしたマンションで「来月から家賃2倍だ」と値上げされて、借主が「えーっ⁉」と驚いています。
(牧野)
東京でもありました。板橋区で、香港人が賃貸マンションを買って「翌月から家賃を倍にするから、嫌なら出て行って」と言われて、借りている人たちは大騒ぎです。
しかし、実は日本は借家人の立場が強く、別に応じる必要はないのです。
(深田)
そうなのですね。
(牧野)
よく、大家(おおや)から家賃の値上げが来るでしょう。これは拒否をしてもいいのですよ。
(深田)
拒否権を発動していいのですか?
(牧野)
拒否権を発動して大丈夫です。これは意外と知られていないのです。
(深田)
ああ、そうなのですね。中華圏の人たちと話をしていると、ある日、大家が来て「明日から家賃が変わります」という話が普通にまかり通るのですよ。
(牧野)
大抵の日本人は大家から値上げを言われると、びっくりして『応じなければいけない』と思います。しかし、借家人は借地借家法という法律で保護されているのです。
日本は普通借家契約で賃貸借をしている住宅がほとんどなのですね。普通借家契約では、大家は契約更新(通常2年)の時に店子さん(借家人)に値上げ交渉はできますが、店子さんに「嫌です」と断られた場合「おかしいじゃないか、では裁判しよう」としても、大抵大家が負けるのです。
何故こうなるのかというと、戦後まもなく、借地借家法はできました。この時は戦争で夫が亡くなった未亡人の借家人がたくさんいたのです。そこに大家がどんどん家賃を値上げすると言うと、大変なことになってしまいます。そういう時代に作られた法律なので、借家人の立場がものすごく守られているのです。
(深田)
その当時は日本にも、まだまともな政治家がいたということですね。
(牧野)
そうです。それで大家が「どうしても値上げしたい」となると、いろいろ証明しないといけないのです。「物価がこれだけ値上がりしました」とか「これだけ好景気になって周辺の賃料と比較してください。なんとかこの値上げ応じてください」と、大家が説明をしても、借主が納得しないとなかなか値上げできないのです。
(深田)
ああ、なんて素晴らしい!
(牧野)
素晴らしいでしょう。多くの日本人はこれを忘れてしまっているから、中国人の大家に「倍だ」と言われて、みんな「キャー」となったのです。香港の人が板橋区のマンションを買って、家賃を倍にすると言いました。これは日本人から見ると「なんとご無体なことをするのか!」となるのですが、香港では自由なのです。
僕の友達が香港で投資顧問会社の社長をしていますが、この前、僕のオフィスに来て「牧野さん、えらいいことになった。先週の夜、急に玄関の扉がどんどん叩かれて、『誰だろう?』と思って出ると、大家が『あなた、来月から家賃、2倍になるから、嫌なら出ていって』と言われて、出ていかざるを得なくなった」と言うのです。
値上げに応じるか、あるいは出ていくしかない。急に家賃が2倍になるというのは香港では当たり前なのです。中国あるいは香港では、当たり前だと思っているので、日本の賃貸不動産を買って「賃料を上げよう」と考えるのです。かなり高く買っても、賃料を2倍にできれば、利回り的には買った時の2倍になりますよね。
(深田)
ああ、そういう観点で中国系の人たちは利回りが2%を切りそうになっても、強気で次々に買うのですね。
(深田)
僕たち日本人は、家賃をなかなか上げられないことを知っているので、利回りが2%となると『ちょっと高いな、2%ならやめておこう』と思います。しかし、中国や香港の人は『いやいや、上げればいいじゃないか』と考えるのです。
もちろん今は賃貸借には定期借家というものもあって、例えば3年契約であれば、3年経ったら一旦契約が終了して、新たな家賃交渉ができます。しかし、日本の多くの住宅は普通借家契約が多いので、実はかなりの確率で拒否できます。裁判で、大家の要求する家賃と現行の家賃が大きく開いていれば、大体、裁判官は足して2で割るようなことをします。したがって、借家人は比較的優位なのです。
(深田)
意外と知られていないですね。それで、皆さんは拒否をして勝ち残っているのですかね?
(牧野)
今の不動産の賃貸借のマーケットを見ると、意外と皆さん居座っています。
(深田)
居座っていますか?頑張れ、日本人ですね。
(牧野)
最近は物価が随分上がってきて、大家の立場からすれば管理費も修繕費も上がっているので、当然家賃を上げたいですよね。それに不動産価格がこれだけ上がってきたら、利回りを確保するには賃料を上げていかないと利益が確保できなくなります。今後、値上げの要請はすごく増えると思うし、現に今は結構増えています。
(深田)
15、6年前に私が住んでいた部屋があるのですが、当時は家賃が16万5000円ぐらいでした。最近、同じ部屋の家賃を見ると、27万円ぐらいになっていました。
(牧野)
それは店子さんが入れ替わって、今のマーケット賃料で貸そうとするので、賃料が大きく上がるのです。
(牧野)
『え、10万円も上がってるんだ⁉』と思いましたが、15、6年の間に徐々に上がっていたのでしょうね。
(深田)
(住んでいた)深田さんにはなかなか値上げ交渉ができなかったのですよ。
(深田)
「このマンションで一番安い値段でこの部屋を勝ち取ったのはあなたです」と言われました。
(牧野)
やはり、大家は及び腰になるのですよ。例えば、今のマーケット賃料は22万円なので、次回の契約から22万円とはなかなか言えないのですね。一方、中国や香港では値上げは普通のルールなので「来月から22万円、嫌だったら出ていって」と言うのです。しかし、出て行かせられないのが日本の法律です。
(深田)
それはいいですね。
(牧野)
大阪や板橋の話が出た時に、借家人が何もそんなに慌てる必要はないのですが、ニュースで、中国人が賃貸マンションを買って、いきなり家賃の値上げと言ったのは事実なので、これだけの騒動になったのです。
(深田)
また、中国人としては民泊の部屋にすると、投資収益が一気に上がるという計算もありますよね。
(牧野)
これは中国人だけではなく、日本人も結構やっています。いわゆる違法民泊です。民泊には民泊新法(住宅宿泊事業法)というものがあって、この法律に則り適正に手続をすれば民泊はできます。
しかし、今非常に問題になっているのは、中国人が区分所有マンション(分譲マンション)を買って、賃貸にするよりも場所が良ければ、民泊にして1泊7万円とか10万円で貸しているのです。例えば、晴海フラッグはものすごい高倍率で完売したのですけれども、違法民泊が多いという話があります。
(深田)
転売するのが非常に難しいので、結局『民泊にしてしまえ』となっているのですかね?
(牧野)
それもあります。晴海フラッグは、最初から賃貸専用で建てられ棟もあるのですが、あまり人気がないのです。
(深田)
それは駅から遠すぎて、あそこに暮らすのは無理ですよ。
(牧野)
好きで買って住むのであればいいのですが、賃貸では交通の便も悪いので、あまり賃借人がつかないという事態になっています。そうすると、投資用で買った人は貸したいのに、思ったほど賃借人がいない。そこで彼らは民泊を考えたのです。
(深田)
民泊にしても最寄り駅から片道で20分ぐらい歩きますよね?
(牧野)
ただ、違法民泊を使う人はツーリストです。ツーリストはあまり交通の便を考えず、タクシーを呼んで銀座や六本木に行くので、あまり関係ないのです。逆にレインボーブリッジが見えると景観を売りにして、1泊1部屋8万円とか、ものすごく高く取っているのです。
(深田)
えっ、1泊8万円も取れるのですか?晴海フラッグは価値があるんだ!
(牧野)
下手に2年契約で家賃を30万円にするよりも、民泊で土日だけでも大体埋まるので、5日ほど泊めれば、そちらの方が断然儲かるので、違法民泊がものすごく増えました。
(深田)
先日、晴海フラッグに関する記事を読んでいたら、晴海フラッグの中が中国化して、部屋の一室がレストランになって、そこから中華料理の匂いが充満して、部屋の前は空になったお皿や弁当箱がたくさん積み上がっていたということです。
(牧野)
ほー、でも旅行者にはいいですね。違法民泊の部屋に泊まって、同じ棟にある違法中華レストランで、ご飯が食べられる(笑)。もう至れり尽くせりですね。民泊の値段をもっと上げられるかもしれないですね。
(深田)
自分の部屋から電話で「今から炒飯を食べたい」と言ったら、作って持ってきてくれる。
(牧野)
ケータリングですね(笑)。もうホテルで、全然快適ですね。
(深田)
『中国人はすごいな!』と思う時があるのですよ。
(牧野)
才覚がありますね。
(深田)
何か、日本人やほとんどの国の人たちが思いつかないことを、中国人は始めますよね。
(牧野)
分譲マンションの中でも、生活や文化、習慣が違うのでいろいろな問題が起こっているようです。
(深田)
どんなことが起こっているのですか?
(牧野)
僕は何度も中国に行っているので理解できますが、彼らは共用部である玄関前の廊下を大体物置にしています。ベランダにも物を置いています。本来、ベランダは避難経路なので、火災の時などはベランダを伝い、梯子で降りるようになっていますが、全然関係ないのです。
(深田)
全然使えないのですね。
(牧野)
ベランダから避難はできないです。それから、自分の玄関の前に物置を作ってしまいます。
(牧野)
え、物置を作るのですか?
(深田)
日本人は比較的文句を言わないのですが、住民にとってはものすごく環境が悪いのです。
(深田)
文化が違うと、結構困りますよね。最近、私が住んでいるところで違法民泊が始まっている感覚があります。やたら巨大なスーツケースを持っている外国人が頻繁に出入りしていて、住人ではないと思うのです。
(牧野)
しかも、みんなリュックを背負ったようなファミリーがぞろぞろ移動していますよね。
(深田)
うちのマンションは海外に出張する人が多いので、今までそういう人は男性一人だったのですが『こんな人たち、見たことないよ!』と、スーツケースを持ってぞろぞろ歩くファミリーがいるのです。あとは共用部で用を足している人もいます。
(牧野)
僕がよく聞くのは、豪華なエントランスロビーに仲間で集まってカップ麺を食べているそうです。
(深田)
共用部では、夜集まってゲームなどで楽しんでいる人がいます。今までそのようなことはなかったのに『えー⁉』と驚いています。
(牧野)
まあ、共用部ですから(笑)。
(深田)
これまで、うちのマンションの共用部は子供たちが集まって勉強教え合っているような民度の高いマンションでした。それが、こんな夜に訳の分からない人たちがボードゲームを繰り広げているようなことがあるのです。こういう問題にどのように取り組めばいいのですか?
(牧野)
これは習慣の違いなので、日本人がとやかく言っても、彼らからすれば「何で?」とわからないところはありますよね。
(深田)
『ここに机があって椅子があるのになんで使ってはだめなのですか?』となるのでしょうね。
(牧野)
『日本人は家具を眺めて何が楽しいの?使えばいいじゃないか』と思っているかもしれないですよね。
それほど違いがある中で、日本の不動産市場が完全な自由売買になっていることが、参議院選挙でも一番多く取り上げられました。参政党や国民民主党が取り上げると、石破茂首相も「生活習慣ルールを守るように指導する」というようなことを言っていましたが『どうやって指導するんだ?」とは思いますよね。
今回の選挙では与党も野党も、外国人問題をテーマにして、票を取ろうという思惑がすごく出てきて、僕にとってはすごく新鮮な体験でした。
(深田)
今回は外国人問題がかなりフォーカスされたので、与党も野党もこれに乗ったところはあるのではないかと思います。
(牧野)
実は、政治家を含めて、この外国人の不動産問題を正確に分かってない人が多いです。
(深田)
次回はそこを深掘りする形で教えていただきたいと思います。今回は外国人による不動産買い上げに私たち日本人はサバイバルできるのかというところをお話しいただきました。
どうもありがとうございました。
(牧野)
ありがとうございました。