#397 【大阪万博未払い事件】 加害者「金が欲しけりゃ『未払い問題はないと言え!』」恫喝の真相!? 森山高至氏
(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォームプロデューサーの深田萌絵です。今回は、建築エコノミストの森山高至先生にお越しいただきました。前回から引き続いて大阪万博の未払い問題で、具体的な事例について教えていただきたいです。
(森山)
そうですね。今、未払いで発覚しているのは、アメリカ、中国、インド、ドイツ、セルビア、ルーマニア、マルタ、アングラ、ネパールです。具体的には、このうちGLイベンツという会社が、ドイツとセルビア、ルーマニアで、中国の場合は中日建設というところが元請けで入って未払いを起こしています。アメリカはESグローバルという会社で、どの会社も建設会社なのかどうか疑問なところが元請けで入っているのです。
(深田)
そうですか。イベント会社のような名前ですね。
(森山)
要するに、コンサートの会場を作ったりとか、一時的な仮設建築で何かをやるというような、短期間のうちに作って、壊して去っていくのが得意な会社が、今回、パビリオンを建てているのです。
(深田)
そのようなイベント会社も建設工事に携わっていいのですか?
(森山)
それでどのような許可を取るかですよね。大きなセットを作ると、建築物とか工作物というものを申請しないといけないわけですよ。コンサートや芝居のセットでも、2階建てにして人が上にいるものがありますよね。以前は、許認可に関係なく好き勝手にしていたのですが、事故などがあって危険なので、それなりの許可業者が出てきて、それの段取りを行う会社として、イベント会社というものが出てきました。日本でも建設業以外で、イベント内装が得意な会社があるはずですが、今回、その名前はあまり聞かないですよね。
(深田)
そもそも大手ゼネコンが「いくらお金をもらっても、こんな仕事はできない」と言って、全部手を引いたのですよね?
(森山)
そうです。「やりません」と言いました。
(深田)
「いくらお金を積まれても嫌です」とはすごいですね。
(森山)
実行予算に見合うお金を積んでくれないと思ったからでしょう。通常工事をベースに「これくらいでやれ」と言われても「今回の場所でやるともっとかかります。それに時間が押し迫っていても、最後に突貫工事は行いません」ということだと思います。責任を持てないということですね。
(深田)
責任を持てないですよね。
(森山)
したがって、責任という概念のない会社が来たのではないでしょうか(笑)。責任感のない会社がきたと思います。
(深田)
この人たちは責任感がないですよね?
(森山)
ないと思います。ないから、未払いを起こしているわけです。
(深田)
払う気すらないですよね。
(森山)
『これで逃げてしまえ』と思っているのではないでしょうか。
(深田)
そうですよね。もう逃げる気満々ですよね。
(森山)
これだけ公になっても応えないのですから。いろいろなジャーナリストやフリーの記者の人たちも、未払いの会社に連絡していますが、無視をしているでしょう。これは被害者もいるわけで、企業としてありえないです。食品会社であれば、食中毒を起こしたり、自動車や機械製品であれば、それが壊れて人が怪我をしたということと同じレベルの話です。それにもかかわらず「どうなっているのですか?」と聞かれて、黙って無視を続けて、電話番号を教えないなどというのはありえないでしょう。
(深田)
そうですよね。
(森山)
反社会的組織が経営しているクラブなどで、工事業者がヤクザに凄まれて睨まれて、お金を払ってもらえないということと同じだと思います。
(深田)
間に入っている元請け業者のところに行ったら、体に模様が入っていた人がいたという感じですね。
(森山)
そうです。これは本当にそういう類の人ではないですか?
(深田)
そんな感じがします。
(森山)
そのように思われてもしょうがないことをやっています。
(深田)
早く仮差し押さえなどをしないと、海外に逃亡されたら、何も取れない会社ですよね。
(森山)
それもあるし、それに対して日本側の大阪府、大阪市は認可を出している方なので、それぞれの業者に勧告したり、注意をしたりすることをなぜしないのかということです。
(深田)
国は勧告を出しましたよね。でも、勧告だけではだめですよね?
(森山)
だめでしょうね。初めから支払う気がないのですから。
(深田)
勧告は単なるリコメンデーションで「こうした方がいいですよ」というお勧めですものね。
(森山)
今実際に被害にあっている方は、中小とか個人で職人さんをされているような個人事業主の人たちもいたりするので、実際にどういうふうに訴えていいのか分からないということもあるのでしょうね。
(深田)
そうですよね。森山先生は、最近、被害者の会の方と連絡を取られているのですか?
(森山)
そうです。僕のところに連絡が来て、ひとまず、このことを世に知らせようということと、実際に何が起こっているのか、いろいろな人に知ってもらおうと動いています。他には、皆さん普通の生活をしていくためのお金が足りない状態で、この問題に取り組んでいる代表の方などはカンパを集めているのですよ。手続きのことや、いろいろなところに交渉に行く交通費も大変なので、その応援もしています。
中国館の場合は、中日建設という会社が未払いを起こしていた元請けで、そこに連絡を取っても「連絡がつかなくて困っている」と言っていたら、突如「とりあえず払います」となりました。記者会見では一次下請けの人が「未払いはありませんでした」と発表したのですが、この話はそれで終わりではなく「お前、未払いはないと言うなら、金を払ってやる」と言われたらしいのです。
(深田)
ひどすぎる!最低ですね。
(森山)
最低ですよ。そこの社長は、清水と日本名を名乗っているけど中国人らしいですね。初めからごまかす気満々なのです。ただ、中国政府から直接の受注をしているので、それほど足りなくなるような受注額ではないと思います。
(深田)
それで、下請けの人たちはお金をもらえたのですか?
(森山)
下請けの人のどこかの一部までは支払われたようです。最終的にどこまで支払われたのか分からないけれど、支払いが止まっていたところの上の方では支払われたようです。
(深田)
支払うのが当たり前なのに、支払わなかった人が脅迫をするのですね?
(森山)
ヤクザと同じですよね。
(森山)
昔はそういうケースもありました。クラブなどで経営者が反社の人で、期限までにできなかったらいくら差し引くとか、できあがったものにケチをつけていくら差し引くということがありました。悪質なケースは完成直前にオーナーサイドが来て、傷をつけたり、いろいろ変更をして「予定の前の日に遅れたぞ」と言ったり、変更させて遅らせておいて払わないなということが結構ありました。それと同じことを国際イベントでやっているのですね。これに対して、誰も取り締まってないのがおかしいのです。
(深田)
そうですよね。やってはいけないことですよね。
(森山)
「建設会社の人たちもきちんと契約をしていないからだ」という人もいるのだけれど、期限を切られて、いつまでにやれと言われている時に、追加でいくらかかるとか、予算が増えるというようなやり取りができずに作業をしているわけですよ。本当はその都度「これを払ってくれないと、続きはやりません」など交渉すればいいのですが、後で支払ってもらえると信じていたのでしょうね。
(深田)
相手が日本の企業であれば、商慣習として後で支払ってもらえたのでしょうね。信頼関係を向こうが壊してきたのですね。
(森山)
外資系の会社は信頼関係などを求めていないのではないですか。今回イベントは1回で終わりだと思って、契約を結んでないのがバカだと思っているのでしょう。
(深田)
そう思っているでしょうね。私も以前、外資の銀行に勤めていたのですが、お取引き先のお客様を潰してお金をもらうようなことをやっているわけですよ。でも、彼らはそれが平気なのですね。
(森山)
お互いに弱肉強食で食い合っているので、弱みを見せた方が悪いという考えでしょう。
(深田)
そうです。外国から来ているので、基本は植民地で焼き畑農業をしに来ていようなものなのですね。
(森山)
考え方として商慣習もそうなので、だからこそ契約にうるさいとか、弁護士つけているとか、そういう話なのでしょう。日本の会社が甘いといえば甘いのかもしれないけれど、そういうことを細かくやっていると余計な間接費がかかるので、お互いに信頼関係があれば、そういうことにお金を使わなくていいわけでしょう。
(深田)
やはり出版業界でも、自分が書いたものは自分の著作権で、出版してもらえるという前提で行って、契約書が後から出てくることがあります。
(森山)
後ですよね。そういえば、本の出版の件で何かされていましたよね?契約が後出しになって、全然違うことになっていたのですか?