#384 日本政府の借金で銀行は大儲け。その儲けを奪う謎の株主の存在が?  大西つねき氏

(深田)

皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム、プロデューサーの深田萌絵です。今回は、無所属連合共同代表の大西つねきさんにお越しいただきました。大西さん、よろしくお願いします。

最近、石破首相が「日本の財政はギリシャ以下」みたいな発言をされていましたが…

(大西)

お前の頭がギリシャ以下。

(深田)

ギリシャに失礼です(笑)

(大西)

確かにそうですね。「破綻」という意味です。

彼は何を言っているのでしょうね、本当に。そもそもGDP比率などについて論じていますが、そもそもなぜ政府が借金しているのかというと、今の金融の仕組みが「借金によってお金を発行するモデル」になっているからです。

この仕組みは「拡大生産・拡大消費」を前提としたモデルなので、当然お金が増え続ければ、物も増え続けざるを得ないという構造になっています。

しかし日本はずっと前にこの「拡大生産・拡大消費」の時代が終わっています。人口も増えなくなりましたし、民間の借金が増え続けるはずがありません。そのため、どうしても政府が借金をしなければ経済が回らない仕組みになっているのです。

今の金融システム上、当然の帰結であって、そこだけを取り上げて「問題だ」と言っても意味がありません。むしろ、それによって「日本の経済の頭を押さえつけよう」という、どこか他国からの意図があるかもしれないと思ってしまいます。

(深田)

確かに。

(大西)

日本の景気が回復しなければ、金利がゼロに貼り付いたままになりますよね。アメリカなどでは借金がものすごい額になっていますが、それでもどんどんお金を使っているので、インフレ懸念も消えずに、当然金利も高くなります。

その結果、日米間で金利差が生まれ、日本人は何も知らないままに「新型NISA」や「税制優遇」や「老後2000万円貯金が必要」などと言われてアメリカ国債を買う。すると日本人がアメリカの借金を賄うことになるのです。

(深田)

確かにそうですね。

(大西)

この状態を維持するためには、日本の景気の頭を抑え付ければいいのです。「日本の財政が厳しいから」と言って税金は高いまま、ガソリンの暫定税率もそのままにして、日本の経済を痛めつけるような政策をしておけば、日本人は引き続き自動的にアメリカの借金を賄ってくれると、当然考えてやっていると思います。

(深田)

「新型NISA」はどう考えても詐欺ですよね。

(大西)

詐欺です。世界中が買わなくなった債権が、最後に日本人に押しつけられている状態です。

(深田)

私が若い頃から、証券会社は一般の国民、いわゆる「ゴミ投資家」に対して、これから暴落するであろう「玉(ぎょく)」の金融商品を売りつけることをやっていると言われていました。

私が証券会社にいた頃も、お客様が損をして証券会社が儲かる、そんな商品をみんなで売っていました。それを見て、私は「これはもうダメだな」「最低だな」と心から思いました。「本当に外資はハゲタカなのだな」と実感しました。

今では日本の銀行も同じようなことをやっています。だから私は「ありとあらゆる金融商品は詐欺だ」と思っています。ですから皆さんには、投資をやめて欲しいと思っています。

(大西)

投資なんてやるものではないですし、そもそも子供に教えるようなものでもありません。盗みを教えるようなものだと思っています。

そもそも「お金が増える」という概念が間違っているのです。「価値が増えるからお金が増える」のです。そして、その価値を増やしているのは労働者です。投資家というのはお金だけを投じてお金を得ています。ということは、実際に価値を増やしている労働者から価値をくすねている状態です。これはもう「盗み」と言っていいと思います。

だから、この考え方は子供に教えるようなものではありません。自分の才覚を生かして、あるいは汗を実際に流して、「実際に価値を増やして富を得る」というのが本来あるべき考え方なのです。

(深田)

そうですよね。では、今の日本の借金をどうすれば良いのでしょうか?

(大西)

日本の借金に関しては、私はずっと言っているのですが、その分のお金を政府が発行してしまえば簡単に解決できます。

今の仕組みでは、借金をしなければお金を生まない仕組みになっています。これまでは民間の借金によってお金を作ってきましたが、それが限界になりました。その次は政府の借金によってお金を生み出しました。これがMMTという考え方です。

MMTによれば、いくら政府が借金をしても、自国通貨建てであれば財政破綻しません。これは理論的に正しいです。ただ、政策として何が間違っているかというと、政府の借金を返すとお金が消えてしまうので「絶対に返せない」ということです。

返せないものを「政府の借金は返さなければならない」と思い込んでいる人が多いことで、結局、みんなの生活はどんどん苦しくなっていくのです。間違った前提に基づいた政策が取られているのです。

(深田)

MMTは間違っているのですか?

(大西)

MMT自体は間違っていないです。論理的には、確かに政府が借金をし続けても、自国通貨建てで国債を発行している限り財政破綻はしません。

ですが、政策的に間違っています。これをすると結局、「政府の借金を返さなければならない」という思い込みはそのままなのです。その状態で借金を増やしていくと「借金が大変だからダメだ」という話になり、結局税金は取られるばかりになり、使われるお金は少なく、国民の生活は改善されません。

欧米では「借金が悪い」という話にはなっていなくて、当然の事として捉えられています。借金をどんどんしてもお金を使ってもらえるのであれば、まだマシです。

日本の場合は、思い込みが強すぎるので、国民の生活が全く良くならないのです。

さらに言えば、その借金を誰が政府に貸しているのかというと、多くの場合は銀行です。銀行は国債を購入するときに、皆さんの預金を貸しているわけではありません。「信用創造」によって、新たにお金を生み出して貸しているのです。

つまり、何もないところからお金を作り出して、それを政府に貸して、利息を受け取っているわけです。これが年間でおよそ10兆円なので、30年間で既に300兆円以上発生しています。

確かに国債の利息は増え続けるので新規国債で賄っています。それでも「借金はダメだ」という思い込みが強いと、結局税金は高いままになり、大して使われないままです。この思い込みがみんなの生活をどんどん破壊していくのです。

そもそも、銀行が何もない所からお金を作って貸して、利息を得ること自体がおかしいです。日本の銀行は株式会社なので、その利益は株主に流れていきます。しかも、その株主の3割は外国人です。

ですから、MMTは理論的には正しいのですが、政策的には間違っているのです。

(深田)

やればやるほど外国人が儲かるのですね。

(大西)

それに加えて、みんなの生活が苦しくなるのです。金融業者のための仕組みなのです。

(深田)

同感です。更に「いくらでも借金していい」となれば、いくらでも中抜きをする人が出て来そうですね。

(大西)

そうです。今までは借金をする人が「新しく生まれたお金」を手にするわけだから、ヒエラルキーの上の方からお金が流れていました。だから「トリクルダウン」という失礼なことが言われてきたのです。

でも、お金の流れを逆転させる考えがあります。それは政府が誰の借金でもないお金を発行する方法です。

例えば今回の選挙で、東京の選挙区で無所属連合から出馬する辻健太郎氏は苫米地氏の弟子なのですが、苫米地氏はずっと「減価する『半減期通貨』を政府が作って、それを配る仕組みまで作るべきだ」と言っています。

確かにその通りだと思います。みんなにお金を持ってもらうと、自分のアイデアで好きなことに使ってもらえます。すると、みんなのアイデアや感性が活用できます。

昔はお金を集めて大規模投資をして「これを作れば売れる」というものを作ってきました。かつての時代はそれで良かったのですが、今はモノが充足して価値観も多様化しています。ですから、考え方から逆転することが必要です。ですが、こうした新しい考え方をできる人が今の政界にも経済界にもほとんどいません。だから思考停止してしまっているのです。

(深田)

単純に減税をして、一般国民が使えるお金を増やしてあげれば良いのではないでしょうか?

(大西)

減税もひとつの手段です。ですが今は「お金を配る」くらいの政策をしても大丈夫だと思います。なぜなら、日本は世界一お金を配る余裕がある国ですし、税金なんて必要のない国だからです。

(深田)

「税金がいらない」とはどういうことですか?

(大西)

そもそも国家経営というのは、自給できるものは自給して、自給できないものを買うために外貨が必要となります。日本は、世界で一番外貨を稼いでいる国です。

アラブの産油国には税金ゼロの国もあります。サウジアラビアでは「サウジアラビア国営石油」として国営にしているので、そのお金を国民に配分しているから税金ゼロで行けます。

そして日本は、どのアラブ諸国も足元に及ばないほどの世界一の黒字を持っているのです。だから「なぜ税金を払っているのか?」と疑問に思います。

よく「国の借金」と言われますが、正確には「政府の借金」です。つまり、政府が民間からお金を借りているのです。そして、政府と民間を合わせた国全体では世界一の貯金を持っています。ですから、家でお父さんとお母さんのお金を合わせた家計では世界一の貯金を持っています。ただ、実は昨年、ドイツに抜かれてしまいました。33年間連続で世界一だったのですが、生産性の低下などが理由だと思います。

つまり、家として見れば世界一稼いでいた家で貯金もあります。でもその貯金を使ってもらえません。その家では、子供たちが一生懸命働いても、全然お小遣いがもらえない。

しかも、その貯金はお母さんではなくて子供が稼いでいるのです。

民間も一枚岩ではありません。「お母さん」とはごく一部の富裕層や株主のことです。そして一般の労働者はその「子供」です。

子供が一生懸命に働いて作ったものをお母さんに売ってもらって、稼いだお金はお母さんが全て懐に入れてしまっている状態です。子供は全然小遣いが貰えないから、もっと一生懸命に働きますよね。ですが結局、お母さんが懐に入れてしまうから、労働者はずっと目先のお金のために働き続けるのです。

そして、お母さんが食材を買ってきて子供にご飯を作って食べさせるときに、更に子供からお金を取るのです。子供は箸と茶碗をお父さん(政府)から借りているので、税金としてその利用料を払っています。しかも、お父さんが借金まみれだから、ある日突然、箸と茶碗をお母さんに売ってしまいました。これが「民営化」です。

「民営化」されると、箸と茶碗の利用料が上がるどころか、今まで24時間自由に使えていたのに「昼の12時から3時までしか使えません」とか利便性が極端に悪化して、料金も高くなってしまいました。

(深田)

「郵政民営化」はそういうことですよね。

(大西)

その通りです。結果として、お母さんはもっと儲けて、子供はもっと貧しくなっていく。そしてお母さんには外に「男」がいて、お金を貢いでいるわけです。

(深田)

悲惨ですね(笑)

(大西)

これが今の日本の状況です。普通に考えれば、世界一のお金持ちの家計であれば家族で分け合いますよね。お金のやり取りなんてしないですよね。家の中で通行料を取りますか?

ですから、日本は税金をゼロにできるし、インフラもゼロにできるのです。「再国営化」か「再公営化」すれば良いのです。

(深田)

外国にはあれだけたくさんお金を配っていて、国内ではインフラ整備が間に合っていません。

(大西)

それを家庭で例えると、家の貯金は「円」というお金として世界一持っています。普通の家ではお金のやり取りをしないから、「お手伝い券」を作ってやり取りをしています。実は外に配っているお金は「円」という外貨ですが、家庭内での「お手伝い券」はただ発行すればいいだけです。だから、外に配るお金と国内で配るお金は全然違っていると思います。

いずれにしても、お金を海外に配ることは簡単ですし、税金もゼロにできます。「いかに今まで真逆のことをされてきたのか」が分かると、正当に怒れます。

(深田)

今まで私たちには「増税!増税!」と言いながら、外国にお金を流す様を見るだけで充分に腹が立ちます。

消費税についても、「財源がない」と言いながら大企業には何兆円も「完付金」が出されてことを見れば、必要ないのではないかと思います。「大企業助成金」が消費税だと思うと、それだけで充分腹が立ちます。

(大西)

きちんと見て知ることで、正しい怒りを持ち、そしてひっくり返せると思っています。

(深田)

では、これからひっくり返しにいくのですか?

(大西)

ひっくり返しに行きますね。こういう財政金融の話は一発でひっくり返せると思っています。そもそも「政府の借金」で言っていることは真逆ですからね。そして、「返せる」という思い込みそのものが間違っているのです。

多くの人がそのことに気付き始めると変わり始めると思います。「天動説」が「地動説」になるようなものです。

(深田)

でも政府の中には抵抗勢力がたくさんいるのではないですか?

(大西)

政府の中の抵抗勢力を何とかしようと思ってもどうにもならないので、みんなが理解をして、そうした人が無所属連合経由でバンバン国会の中に入って行けばひっくり返ると思いっています。

(深田)

そういうひっくり返し方を考えているのですね。

(大西)

そうです。

(深田)

今、貧乏な国民の方が圧倒的に多いですから「税金が安くなります」と言われればそれだけで嬉しいですよね。

(大西)

そうですね。最近の「財務省解体デモ」でも分かるように、財政金融や税金の問題は今、多くの人の注目を集めています。ですからこの機会は、みんなにまともな言説を知ってもらえる大チャンスだと思っています。今回の参議院選挙では重点ポイントにしています。

(深田)

そういう話を全国でされていると思いますが、どのくらいの人が集まりますか?

(大西)

だいたい一回につき20人くらいの小規模なものをやり続けています。座談会を付けることで、質問を受けながら開催しています。

その中で感じるのが、特に女性たちの意識がすごく変わってきているということです。自由になり始めていると感じます。女性はお金に縛られることが多くて、例えば「離婚したくてもできない」ということもありますが、そうした女性たちが「仕組みを知る」ことで腑に落ちることがあるようです。

ですから、変化は起きていると感じます。

(深田)

最近の女性はアクティブですよね。

(大西)

そうですね。

(深田)

以前は講演会を開くと男性がほとんどでしたが、最近は女性が増えてきました。時代が変わってきたのかなと感じます。

(大西)

同感です。

(深田)

今回は、無所属連合共同代表の大西つねきさんに「政府の借金は大丈夫なのですか?」というテーマでお話を伺いました。ありがとうございました。

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