政党政治はすでにオワコン!これからは無所属の時代だ! 大西つねき氏 #380

【目次】
(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム、プロデューサーの深田萌絵です。
今回は、無所属連合共同代表の大西つねきさんにお越しいただきました。
どうぞよろしくお願いいたします。
(大西)
よろしくお願いいたします。
(深田)
まもなく選挙が近づいていますが、近年は「政党政治はもはやオワコンではないか」といった空気すら漂っています。
(大西)
おっしゃる通りです。そもそも「党議拘束」などというものがある以上、実質的に党首一人いれば十分という話になります。最終的には限られた少数で物事が決まってしまうような体制では、個々の議員の存在意義が問われます。
(深田)
まさにその通りですね。私自身も強くそう感じています。特にそれが顕著だったのが、2年前のLGBT理解増進法案の審議の際だったと記憶しています。保守的な立場から「女性専用空間に男性が入るのは問題だ」と発言し、法案に反対していた議員たちが、いざ採決の場になると賛成票を投じ、後になっては何事もなかったかのように振る舞っていました。
あのとき、「もう政党政治や、口先だけの政治家は要らない」と強く感じました。自分の信念に基づく反対票すら投じられず、「政治の世界では仕方がない」といった説明で済ませるような人々には、政治家としての価値を見出せません。
(大西)
おっしゃる通りです。政党に所属する議員に限らず、そこへ入ろうとする人々にも見られるのが、「議員バッジをつけなければ何もできない」と思い込んでいる点です。しかし、そうした人がバッジを手にしたところで、本当に何かを成し遂げられるのでしょうか。根本的に「自分は何かができる」と過信しているようにも思えます。
(深田)
そのような人は、バッジを持っていても結局何もしないのではないかと思います。
(大西)
その通りです。
(深田)
そもそも、社会に貢献している人は、議員になる前からすでに自分なりの行動を起こしているはずです。
(大西)
そうですね。そもそも「バッジをつければ何かができる」と考えること自体、「では自分自身に何ができるのか」という問いから逃げているように感じます。政党に関係なく、自分自身が力を発揮できると本気で思っているのであれば、無所属でも選挙で勝てるはずです。そうした点で、考え方に矛盾があると思います。
(深田)
矛盾していると私も思います。ただ、現実には政党に属さないと選挙では不利で、政党交付金も得られません。選挙期間中のハガキの枚数やビラの配布数も制限され、選挙カーの使用台数も少なくなります。また、議会では委員会に出席することはできても、本会議では発言権が与えられないなど、無所属の議員はさまざまな不利な立場に置かれます。
そのような状況を恐れて、「政党に所属したい」「政党から除名されるのは怖い」と感じる人たちが、結果として政党にしがみつくようになっているのではないでしょうか。
(大西)
たしかにそうですね。中には政党を離党しておきながら、再び別の政党に加入する人もいます。一度は「この党ではやっていけない」と言って離れたにもかかわらず、後になってまた所属するというのは、不思議な現象です。
(深田)
はい、たしかにそうした方々は実際にいますね。
(大西)
もちろん、政党に属さないことによる不利益も多く存在することは否定できません。しかし、その不利な環境を生み出している要因の一部は、有権者側にもあると考えています。つまり、有権者の多くが「知っている政党」以外の候補には関心を示さない傾向があるのです。
(深田)
でも、必ずしもそうとは限らないのではないでしょうか。たとえば、今回の都議選では、自民党に対する不信感から無所属の候補に票が集まりました。無所属の候補が当選したと思ったら実は「ステルス自民」だったというケースもありましたが。
(大西)
地方選挙と国政選挙では事情が異なります。特に衆議院選挙となると、1選挙区において2人通すためには、得票率が半数を超えるような状況でなければ難しい。結果として、無所属や新興勢力は初めから排除されがちです。私自身もそうした中で、何度も寂しい思いをしてきました。
(深田)
そうなのですか? 寂しい思いをされたというのは?
(大西)
たとえば私が最初に立候補したのは神奈川8区でした。政党には属さず、自身の政治団体を立ち上げて臨んだのですが、「どこの政党なのか」と問われると、既存政党でなければまったく相手にされませんでした。メディア対応も同様で、たしか朝日新聞だったと思いますが、同じ選挙区に立候補していた共産党、自民党系、野党系の候補が取り上げられる中、私は主要候補にもかかわらず名前すら掲載されませんでした。立候補予定者として報じられる段階から、すでに排除されていたのです。
(深田)
それは、いわば「八分にされていた」ということですね。
(大西)
そうなのです。実際、非常に寂しく、悔しい思いをしました。
(深田)
たとえば、私のように「悪名」が立つと、週刊文春やFRIDAYなどのメディアに取り上げられることもありますが、大西さんはいかがでしょうか?
(大西)
確かに「悪名は無名に勝る」という言葉もありますし、それは一理あるかもしれません。
こうした状況の中で、多くの人が「このままではいけない」と感じ始めています。そうした意識の変化が、新しい仕組みを生み出す好機になるのではないかと考えています。
(深田)
おっしゃる通りだと思います。やはり政党政治が強い構造の中では、政党に所属しなければ議会でも選挙でも不利になる一方で、政党と自らの考えが合わないというジレンマを抱える方も多いのではないでしょうか。そうした問題を解消する一つの手段として、「無所属連合」という仕組みに可能性を感じています。
(大西)
まさに、今回の取り組みは「野武士の寄せ集め」と言ってもいいでしょう。はっきり申し上げて。
(深田)
「烏合の衆」的なイメージですね。それでも私は、そこに面白さを感じます。
(大西)
よくそう言われますが、実際には、私もうつみさんも、それぞれの分野で10年以上にわたって一貫した主張を続けてきた、いわば老舗のような存在です。強い個性を持つ二人が団体を立ち上げるということで、周囲からは「本当にやっていけるのか」と心配されました。
(深田)
私自身も、正直「大丈夫かな」と思っていました。
(大西)
アクが強く、自己主張の強い二人が、どうして衝突せずに一緒に活動できるのかという疑問は、多くの人が抱いていたようです。
(深田)
政党といえば、「一致団結」が基本のようなイメージがありますよね。だからこそ、党員を束ねようとする力が働いていないように見えると、「本当に大丈夫なのか」と思われがちです。
(大西)
「エイエイオー」といった掛け声のような団結は、私はあまり好きではありません。
(深田)
結束感がないように見えると、心配になるのも分かります。でも、実際はみんなが自由に活動していて、非常に緩やかな関係性ですよね。「こんな状態で本当に選挙ができるのか」と思ったくらいです。
(大西)
確かに最初はそのように見られていました。しかし、徐々に「立候補したい」と名乗り出る人が出始めており、今では実際にそうした方々が活動に参加しています。
(深田)
本当にすごいことですね。
(大西)
この雰囲気が「ちょっとやってみたくなる」と思わせるのかもしれません。「ゆるいけれど大丈夫かな」と不安に思いつつも、気軽に踏み込める空気があります。今回の参議院選挙で「蟻の一穴」が開けば、今後さらに多くの人々が参入し、急速に拡大していく可能性があると感じています。
(深田)
立候補したいと考える人の多くが、「政党の縛りがきつそうで嫌だ」と感じて二の足を踏んでいる現状がありますね。
(大西)
既存政党では、立候補を希望する人はまず面接を受け、さまざまな判断を受けます。場合によっては根掘り葉掘り詮索され、内部の力関係によって「誰が推しているからダメだ」といった理由で公認が得られないことも少なくありません。そうしたくだらない要素が多く存在します。しかし、私たちの取り組みにはそのような制約はなく、もし今回、突破口を開けることができれば、非常に面白い展開になると期待しています。
(深田)
言葉の意味を悪く取ってほしくないのですが、「俺についてこい」というタイプではないお二人が中心になっている点が、とてもユニークだと思います。
(大西)
そうですね。「俺たちは勝手にやるけど、ついてきたいならどうぞ」といったスタンスです。
(深田)
求心力がないように見えるけれど、それでいて組織として継続していることがすごいですよね。無所属連合が、今日まできちんと機能しているのは驚きです。
(大西)
実際、気づいたら「10人揃ってしまった」という感じです。うつみさんなどは「まさか揃うとは思っていなかった」と話していました。私は内心揃うと思っていましたが。
(深田)
無所属連合の仕組み自体が、非常に優れていると思います。
(大西)
そう言っていただけると嬉しいですね。
(深田)
なぜ優れているかというと、政党に所属しないと数多くの不利益がありますが、政党に所属すると今度は党の方針に従わざるを得ず、「党議拘束」もある。その点、無所属連合では、それらの拘束を受けずに「政党」というプラットフォームを利用できるのです。たとえ政策や思想が異なっていても、それぞれが干渉せずに共存できる。この構造によって、政党交付金の分配も可能になりますし、選挙時の無所属に対する不利益も回避できます。
こうした「いいとこ取り」が実現できるこの仕組みは、国政政党になった場合、これまで無所属に対して不公平な扱いをしてきた他の政党の存在意義を相対的に弱め、無所属の概念自体を再定義するほどの破壊力を持っているのではないかと感じています。
(大西)
その通りだと思います。今後の成長におけるカギは、「求心力」ではなく「包容力」だと考えています。つまり、政党内で安心して活動できる、気兼ねなく関われるという雰囲気が広がれば、自然と候補者も支持者も増えていくでしょう。そうなれば、他の政党にとっては脅威になる可能性もあります。
実際、最近設立された他の新党の多くは、カリスマ的なリーダーを中心に据えた強い求心力で構成されています。
(深田)
そうですね。多くの新党は、リーダーに率いられて一致団結している印象があります。
(大西)
そのような構造では、考え方が少しでも食い違うと分裂しやすくなるのが難点です。求心力が強ければ強いほど、ほんの些細な違いが組織の分裂につながる危険性を孕んでいます。
(深田)
実際、ちょっとした意見の相違が原因で分裂する例は少なくありません。
(大西)
そうなのです。一度タガが外れると、一気に組織が崩壊することもあります。その点、私たちは「渦」を作るようなイメージで活動しています。渦は中心が空洞であるため、固定された核を持たずに広がっていく構造です。
(深田)
渦の中心は空洞なのですか?
(大西)
はい。たとえば台風の目のように、渦の中心はむしろ静かで空白がある構造です。そのような空白を持つ渦に、多くの人が自然に吸い寄せられてくる。そして、それが広がることで大きな運動体になっていくのです。逆に言えば、「こうあるべき」「〜ねばならない」といった固定観念を強く持っている人ほど、そうした流れに乗ることができず、取り残されてしまう可能性があると感じています。
(深田)
求心力がないお二人だからこそ、外部からの分断工作も通用しにくいのかもしれませんね。
(大西)
そうかもしれません。うつみさんと私の関係を悪くしようとしても、そもそも特別仲が良いわけでもないので、対立を煽る意味があまりないのです(笑)。
互いに我の強さを認め合い、それで良しとしている関係性です。
(深田)
それぞれの個性を尊重し合い、無理に干渉しない。その姿勢が、これからの時代の潮流になるかもしれませんね。
(大西)
はい。社会全体の流れも、そうした方向へ進んでいくのではないかと考えています。
(大西)
これまで、さまざまな組織は基本的にピラミッド型の構造を取ってきました。そのため、人の指示に従うことに対して、嫌気が差している人も多いのではないでしょうか。
(深田)
確かに、その通りですね。
(大西)
これは政党に限った話ではありません。企業もまた同様です。最近では「DAO(自律分散型組織)」などが注目されており、組織内で求心力を一か所に集中させるのではなく、より自由で柔軟な体制を目指す傾向が強まっています。
(深田)
おっしゃる通りですね。
(大西)
そう考えると、政党も時代に合わせて変わらなければなりません。無所属連合は、実はそうした時代に適応した、新しいタイプの政党だと私は考えています。見た目にはゆるい政党に見えるかもしれませんが、私たちは意外と深いことを考えているのです。
(深田)
どういったことをお二人で話し合われるのですか?
(大西)
たとえば、私たちが掲げている三つの理念──「日本と個人の自主独立」、「自由を侵害するあらゆる強制の排除」、そして「自然の摂理に基づいた本質的な社会の構築」──は、右派・左派といった枠にとらわれない、思想や政策を超えた上位概念です。
これらは、単なるスローガンではなく、私たちが何度も議論を重ねてきた末にまとめたものです。思想の違いを乗り越え、共通する価値観の核を探した結果、この三点に行き着きました。
(深田)
しっかり考えてこられたのですね。それはすごいと思います。
(大西)
もちろん、うつみさんも私も真剣に考えてきました。ただ、二人で頻繁に集まって話すような関係ではありません。必要な時に折を見て話す程度で、それぞれの距離感を保っています。
(深田)
確かに、お二人とも誰かに執着するようなタイプではないように感じます。どちらかというと、個で立っている印象です。リーダーシップという意味では、むしろ逆方向かもしれません(笑)。
(大西)
その点については、まさにご指摘の通りです(笑)。「みんな勝手にすればいい」というのが基本スタンスです。一般的にリーダーシップというものは、他者の依存を受け止める構造になりますが、私たちはあえてそれを引き受けない方向にいます。
(深田)
ですが、むしろそうした「リーダーシップを発揮しない姿勢」こそ、今の時代におけるリーダーのあるべき姿なのではないでしょうか。
(大西)
私もそう思います。現代のリーダーは「自ら動くことができる人々を後押しする存在」であり、「自発性を促す触媒」であるべきです。「俺についてこい」というタイプのリーダー像は、時代にそぐわなくなってきていると感じます。
(深田)
そのようなリーダーには、もうついていけないですね。
(大西)
私自身、そもそもついていきたいと思いません(笑)。
(深田)
たとえば自民党などを見ても、「この人についていこう」とは到底思えません。
(大西)
実際、多くの有権者は、政治家の言葉の嘘に気づき始めています。
(深田)
「私に投票してくれたら、必ず実現します」などと言う政治家を見ると、「それは嘘だろう」と思ってしまいますよね(笑)。
最近、街頭演説で私はよくこう言っています。「僕と付き合った女性は皆、毎週高級レストランに連れて行ってもらえて、誕生日やクリスマスには高価なプレゼントがもらえます」と言うような男性がいたら、絶対に最低な人物だと。実は、政治家も同じようなものだと。
(大西)
しかも、その「特典」自体が、もはや時代遅れです。国民が求めているものとは、大きくずれてしまっています。
(深田)
本当に「付き合って幸せになれる人」とは、付き合う前からすでに優しさがにじみ出ていて、相手を思いやる気持ちが伝わってくる人です。選挙も同じで、「バッジをつけたら何かします」ではなく、バッジをつける前から誰かのために行動している人こそが、信頼されるべき存在だと私は思います。
(大西)
おっしゃる通りです。それこそが政治の基本だと思います。
(深田)
では最後に、無所属連合の「良いところ」と「悪いところ」を一つずつ教えてください。
(大西)
無所属連合の良いところは、「そのままのあなたで大丈夫」という点です。誰かを変えようとしたり、矯正したりしようとすることはありません。以前の私は、もっと他人に対して厳しく、「こうあるべきだ」と考えていたこともありました。しかし最近では、「今のままでいい」という気持ちに変わってきました。これは、時代の変化かもしれませんし、自分の年齢の影響もあるかもしれません。
(深田)
なるほど。では、悪いところについては?
(大西)
正直に言うと、「人手が全く足りていない」ことです。すべてが回っていないというのが現状です。特に選挙が目前に迫っている中で、対応が追いついていない面も多くあります。ただ、それは「まだ伸びしろがある」と前向きに捉えています。
自由な運営を重視している分、細やかなケアが行き届かない場面もあります。初めて選挙に挑む方もいらっしゃるため、本来であればもう少し支援をしたいのですが、現実には私自身も手一杯で、十分にフォローしきれていないのが実情です。とはいえ、今回の選挙で突破口を開ければ、次からはより手厚いサポートが可能になると考えています。
(深田)
ぜひ頑張ってください。ということで、本日は無所属連合共同代表・大西つねきさんに「政党政治はオワコンではないか?」というテーマでお話をうかがいました。
(大西)
「先生」はご遠慮いただけるとありがたいです(笑)。本日はありがとうございました。
(深田)
こちらこそ、ありがとうございました。これからもぜひやる気を出して、頑張ってください。