「南海トラフ地震はない」不良官僚が語る7月5日の津波問題!? 藤和彦氏

【目次】
(深田)
皆さんこんにちは。政経プラットフォームプロデューサーの深田萌絵です。今回は“ろくでなし官僚”でお馴染みの藤和彦先生にお越しいただきました。よろしくお願いします。
(藤)
よろしくお願いします。
(深田)
先生は、今回もお上に噛みついて「地球温暖化は嘘だ」ということを本にされました。今日はこの気候変動の話の前に、そろそろ“7月5日” がやってくるので、トカラ沖地震問題や巨大津波が来て沈むのかなどについて教えていただきたいです。
※『地球温暖化理論の嘘 「脱CO2推進勢力」に祭り上げられた日本人ノーベル賞学者の正体』藤和彦、木本協司共著 出版:方丈社
(藤)
はい、トカラ列島の群発地震はすでに600回とか700回ぐらい起きているらしいのですが、今『トカラの法則』というものが話題になっています。
(深田)
何ですか、トカラの法則とは?
(藤)
トカラ列島で群発地震が起こると、少し遠いところで大きな地震が起こるということらしいです。
(深田)
え、そんなことがあるのですか?
(藤)
調べてもらうとすぐに分かると思うのですが、例えば、2016年4月の熊本地震では直近にトカラ列島で十数回地震があったとか、2024年1月元旦の能登半島地震の直前にも結構地震があったということで、トカラの法則というものが今話題になっています。
(深田)
へえ、それは地震プレート説ですか?
(藤)
いいえ、「トカラの法則はプレート説で説明ができないので、プレート説は嘘だ」ということです。
(深田)
ああ、南海トラフは嘘という名著がありますよね。
(藤)
頑迷固陋な地震学者は嘘だと言っていますが、私はこの話(トカラの法則)はあながち嘘ではないと思っています。私が以前『南海トラフM9地震は起きない』という本を書いた時には、後半で本当に筋の良い地震の発生の仮説を説明しました。
(深田)
ああ、熱流動説ですね。
(藤)
そうです。『熱エネルギー移送説』で、地球の内部から6000度ぐらいの熱が上がってきて、上がってくるスポットが2か所あると分かっているらしいのです。
(深田)
その2箇所とは?
(藤)
1つは太平洋のトンガの辺りと、もう1つは南アフリカの南の方にあるらしく、日本の地震や噴火に関係するのはトンガの沖らしいです。それを調べた先生が、私が尊敬する角田史雄先生で、去年、先生と共著で本を出させていただきました。(『南海トラフM9地震は起きない』角田史雄、藤和彦共著)
(深田)
では、トカラとトンガは何か関係あるのですか?
(藤)
トンガに出てきた熱が、平面で平行移動して西に行くのです。インドネシア経由でフィリピンまで行き、そこから枝分かれをして、台湾経由で九州に来る流れと、フィリピンから東に行き、マリアナ海溝を通って首都圏に来るという2つの流れがあることを角田先生は提唱されています。
(深田)
トンガから2系統に分かれるのですか?
(藤)
そうです。今回のトカラ列島地震は『フィリピンから西に行って台湾経由で九州に来た熱の流れが今は増えているのではないか』ということの証左だと思っています。しかも、ローカルニュースでしか放送されてないのですが。九州の宮崎県に新燃岳という火山があるのですが、7年ぶりに噴火しているのです。
(深田)
え⁉知らなかったです。噴火したなどというニュースは聞いていません。
(藤)
NHKなども、このローカルニュースを全国ニュースでは流していません。それが7年ぶりに噴火警戒レベル3に上がっていますので、熱が流れてきていると言えます。ですから、2016年の熊本地震については、トカラで地震が起きた後、熱は北に流れているので、九州の熊本で起きたと言えます。今回も九州のどこかで大きな地震が起こるのではないかと心配しています。
(深田)
ああ、なるほど。最近「7月5日に日本は大津波に遭う」という予言の書が爆発的に売れています。
※2021年出版、たつき諒著『私が見た未来 完全版』で「2025年7月5日に日本とフィリピンの中間の海底が噴火して、太平洋周辺の国に東日本大震災の3倍の大津波が押し寄せる」と記述
(藤)
そうです。100万部ですよね。
(深田)
それで日本に来る人が減ってしまいました。
(藤)
すごい風評被害ですよね。
(深田)
すごいですよね。津波は何か関係がありますか?
(藤)
私はその本を読んでいないのですが、日本とフィリピンの間の海底で火山が噴火して津波が来るということらしいです。しかしそこには火山はありません。
(深田)
日本とフィリピンの間に火山はないのですか?
(藤)
はい。そこに活火山はありません。そういう意味で、私は100%大丈夫だと思っています。あったとしても今は休眠に近い状況です。熱が来たとしてもそれで噴火することはないので、7月5日の予言は、熱移送説に基づけば、私は100%の確証を持って「ない」と言い切れると思います。
(深田)
ああ、なるほど。それでも7月5日を信じている人は多く「パワースポットに行こう」とか「日本に行くのはやめよう」となっています。本当に大丈夫ですか?
(藤)
私は100%大丈夫だと思っています。気象庁長官もデマだと言い切っています。
(深田)
ああ、気象庁もデマだと。
(藤)
ただ、彼らはプレート説なので、地震の起き方とか地震の発生原因が分かってないのに、よくデマだと言い切れるなと思います。
(深田)
そもそも、先生はプレート説がデマだという立場ですよね。
(藤)
はい。だからデマを信じる人がなぜデマだと否定するのか、片腹痛しだと思って見ていました。
(深田)
まあ、あの予言の書も漫画ですからね。その漫画の作者が「こんな夢を見た」という話ですね。
(藤)
私はある意味で冷笑的に見ていました。結局、日本の地震学者の信用がゼロになったからではないかと思っているのですね。
(深田)
確かに、そうですね(笑)。
(藤)
こう言うと失礼ですが、スピリチュアル的に近い話を持ってきて、気象庁長官が否定しなければならない状況になるぐらい、日本人が今の日本の地震学者を全然信用していない証拠なのではないかと思っています。逆にそれが心配です。あの著者は「日本で防災意識が高まって良いことだ」などと言っていますが、逆にこんなことで一喜一憂していたら、これから本当に大変になった時に、日本人が『聞き慣れ』してしまいますよね。
(深田)
今言われてみて『確かにそうだな』と思ったのは、国民が政府を信じなくなったということですよね。
(藤)
私も役人の端くれですけど、それはそうだと思いますよ。
(深田)
そうですよね。役人である藤先生がお上の言うこと信じておらず、真っ向から刃向かっていますものね。
(藤)
ですから、正しいかどうか議論する素地が政府部内でなくなっています。
(深田)
え、昔はあったのですか?
(藤)
昔はまだありましたよ。私なんかも古いろくでなし官僚なので、申し上げますが、やはりバブル崩壊前の日本の官僚はまだ好き勝手にやっていました。逆に結果的にいろいろな形でそのリスク分散になっていました。やはりバブルが崩壊してから、特に自民党の政治家が役人バッシングを始めたのですよね。
(深田)
あっ、そうなのですか。
(藤)
私は内閣調査室時代に、いろいろ調査して分かったのですが、自民党の票田である後援会の中小企業の経営者がものすごく役人嫌いだったのです。
(深田)
その気持ちは分かります(笑)。いい人もいるのですよ(笑)。
(藤)
いや、いい人は本当にいません。
(深田)
自己否定ですか (笑) ?
(藤)
中小企業の経営者にすれば「俺たちはこんなに景気が悪いのに、不景気でも彼らはちゃんと給料をもらっているじゃないか」と言うのです。それに自民党も1990年代に一度下野して、俺たちもひどい目にあっているのに「何で役人だけがぬくぬくと仕事しているんだ」という話になって、ものすごく役人バッシングが始まった。役人もある意味では、学校秀才の成れの果てですから、一度強く叩かれると、みんなおとなしくなって、政府の言うことばかりに尻尾を振るようになってしまった。
その状況で結果的に『物言えば唇寒し…』で、出世を諦めない限り、自分の説を言うことができなくなってしまった。役人でも特にラインに乗っている人たちは本当に忙しいのです。その時に起きている事象が本当に正しいのかどうかということを考える時間がないので、どんどん意見が同じ方向に向かい、世界の流行にひたすらついていこうという発想になってしまった。結果的に思考停止になり、気づいたら全く危機管理ができておらず、悪い方向に行ってしまっている。もう奈落の底の一歩手前に来ているのではないかという状況になっていてもおかしくないですよね。
(深田)
まあ、お役人さんは、大量の仕事を抱えていて、何か忙しそうですものね。
(藤)
私はかれこれ、20年間研究職のような仕事をしていますが、普通の行政職の人たちは自分の時間がないのですね。最たるものが国会対応と野党対応ですよ。原案を作成、役所内で承認、国会に持参、説明、また追加で質問を受領ということをしていると、あっという間に1日が過ぎてしまいます。ただ本人は疲れるのでなんとなく仕事したという気持ちにはなっていますが、結果的に何の仕事をしたのだろうということです。
(深田)
忙しくて、疲れたというだけですね。
(藤)
今、若手官僚がどんどん辞めているという話が出ています。ただ単に勤務条件の悪さ以上に、このような先輩の姿を見て、これが将来10年、20年後の自分たちなのだろうかと思う人が多くなり、霞が関全体がブラック化しているところに本当の理由があるのではないかと思っています。
(深田)
そうですよね。本来もっと政府官僚の中で専門知識のある人がたくさんいるべきだと思うのですが、皆さん忙殺されて疲弊している感じで、考える余裕がないのでしょうね。
(藤)
そういう人たちは無視されますよね。戦前の日本やアメリカもそうですが、政策スタッフとインテリジェンスの戦いがあって、常にインテリジェンスコミュニティーは負けているのですね。
(深田)
ん?どういうことですか?
(藤)
インテリジェンスが「これは危ないですよ。こうしてはいけないですよ」と言っても、政権は絶対に聞く耳を持たないのですね。最初からやること決まっていますから。ひどい場合はアメリカのようにインテリジェンスをつまみ食いして、自分の政策を実行したりしますよね。今回のトランプ大統領もその可能性があったかもしれません。イランの核施設攻撃をみるとそうですね。
(深田)
ああ、なるほど、そういうことですか。
(藤)
一番極端なケースはイラク戦争に突入したブッシュジュニア政権がそうですよね。当時のCIA長官に「お前、イラクが大量破壊兵器持っている証拠はあるんだな?」と聞いたら、CIA長官がニヤッと笑って「スラムダンクです。絶対にあります」などと言って、ブッシュ氏が戦争に突入したというのは有名な話です。
(深田)
大量破壊兵器はありましたか?
(藤)
やはり、CIA長官も政治的に動きますから、ボスの歓心を引くためにそういうこと言ってしまった。CIA長官がそう言うので、ブッシュ氏も内部に「そうだな」と自信を持って戦争に踏み切ったのですが、結果的に何もなかった。後日、当時のパウエル国務長官は「生涯で最大の汚点だ」と言って、後悔していますよね。
(深田)
なるほど。では、政府官僚とインテリジェンスコミュニティーとの間のギャップもあり、政府に専門家があまりいないこともある。その中で、今の地震はどうなるのかというと気象庁は「ない」というのですね。
(藤)
私は今の地震学の現状を見ると、今から2000年ぐらい前の天動説を思い出したのですよね。天動説は2世紀にプトレマイオスが提唱してから、間違っていたのに1000年以上ヨーロッパの定説だったのです。それで、何が起きたかというと、天動説を信じても、なかなか天体の動きが分からない。それで、途中からどんどん研究者がやる気を失って、16世紀にコペルニクスが出てくるまでずっと惰性できてしてしまいました。多分、今の地震学者も同じで、角田先生が言っていることの受け売りですが、地震学会から、ろくな論文が出ていないらしいのです。
(深田)
ああ、なるほど!
(藤)
学界自身の活動が体たらくになっています。若い学者たちも「プレート説は間違っているんじゃないのかな」と思っていても、それを言った瞬間にポストなくなります。だから結果的にそれに従っていくのですが、自分は間違いであると思っていますから、新しい説を打ち出すようなインセンティブとかモチベーションが生み出されないのですよね。
(深田)
先生はコペルニクスになれますよ。
(藤)
コペルニクス?火あぶりになりたくないので嫌です(笑)。いい年になって痛い思いをするのは嫌ですから、それは深田さんがなってください。ジャンヌダルクのように。
(深田)
いえいえ、私はサラ・コナーですから。
(藤)
ああ、そうですか。よくわからないですが、すごく強い人なのですね。
(深田)
多分火あぶりにはならないような気がするのですけれども。今流行りの容疑者なので(笑)。
(藤)
かっこいいですね。
(深田)
そういえば、藤先生の元上司も容疑者になったみたいですよ。
(藤)
え⁉誰でしたっけ?
(深田)
萩生田光一元経産大臣です。脅迫罪の容疑者で、事件番号は八王子警察、令和7年6月12日、事件番号4番です。私が刑事告訴しました。
(藤)
あ、そうですか。親告罪なのでしょうね。
(深田)
みんなで80人ぐらいですが、被害届を出しているので、今後どうなるか注目しています。
(藤)
すごいですね。すごいバトルです。私みたいな小役人からすると縁遠く、敬して遠ざけるという世界です。
(深田)
いえいえ、こんなところに出演していたら首になりますよ(笑)。
(藤)
首にはならないと思いますけどね。
(深田)
「本の宣伝で来ているだけですから許してください」と言っておいてください。
(藤)
ああ、もう土下座してでもね(笑)。子供たちは大きくなっているので言い訳にはなりませんが、孫の顔を見たいということで。
(深田)
はい、それでは7月5日に津波は?
(藤)
100%来ないです。
(深田)
100%来ない。言い切りましたね。
(藤)
はい、今の熱の流れからすればそんな大きな大噴火を起こすような熱は流れてないのですよ。
(深田)
7月5日の予測を外したら本が売れませんよ。
(藤)
大丈夫です。今の日本は歴史的に見て、火山活動が低調なので、ほとんどの火山が噴火していないのです。
(深田)
そうすると、ご著書の『地球温暖化理論の嘘…』に繋がっていく話になるのですか?
(藤)
ええ、そういう意味では東日本大震災の3倍の津波を起こすような巨大火山の噴火はありえないです。そこは断言します。
(深田)
なるほど。わかりました。今回は、お上に盾突く“ろくでなし官僚”の藤和彦さんに『お上の言い分となんとなく歩調は合っているが、その論拠は全く異なる』というお話をいただきました。皆さん、是非とも新刊も読んでみてください。藤先生ありがとうございました。
(藤)
ありがとうございました。
ーーー校閲ver おがたーーー
(深田)
皆さんこんにちは。政経プラットフォームプロデューサーの深田萌絵です。今回は“ろくでなし官僚”でお馴染みの藤和彦先生にお越しいただきました。よろしくお願いします。
(藤)
よろしくお願いします。
(深田)
先生は、今回もお上に噛みついて「地球温暖化は嘘だ」ということを本(※)にされました。今日はこの気候変動の話の前に、そろそろ今話題になっている“7月5日” がやってくるので、トカラ沖地震問題や巨大津波が来て沈むのかなどについて教えていただきたいです。
※『地球温暖化理論の嘘 「脱CO2推進勢力」に祭り上げられた日本人ノーベル賞学者の正体』藤和彦、木本協司共著 出版:方丈社
(藤)
はい、トカラ列島の群発地震はすでに600回とか700回ぐらい起きているらしいのですが、今その『トカラの法則』というものが話題になっています。
(深田)
トカラの法則というのは何でしょうか?
(藤)
トカラ列島で群発地震が起こると、少し遠いところで大きな地震が起こる、ということらしいです。
(深田)
え、そんなことがあるのですか?
(藤)
調べてもらうとすぐに分かると思うのですが、例えば、2016年4月の熊本地震では直近にトカラ列島で十数回地震があったとか、2024年1月元旦の能登半島地震の直前にも結構地震があったということで、『トカラの法則』というものが今話題になっています。
(深田)
それは地震プレート説ですか?
(藤)
いいえ、「トカラの法則というものは、プレート説では説明がつかないので、プレート説は嘘だ」ということです。
(深田)
ああ、南海トラフは嘘という名著がありますよね。
(藤)
頑迷固陋な地震学者は嘘だと言っていますが、私はこの話(トカラの法則)はあながち嘘ではないと思っています。私が以前『南海トラフM9地震は起きない』という本を書いた時には、後半で本当に筋の良い地震の発生の仮説を説明しました。
(深田)
ああ、熱流動説ですね。
(藤)
そうです。『熱エネルギー移送説』というのですが、地球の内部から6000度ぐらいの熱が上がってきて、上がってくるスポットが2か所あると分かっているらしいのです。
(深田)
その2箇所とは?
(藤)
1つは太平洋のトンガの辺りと、もう1つは南アフリカの南の方にあるらしく、日本の地震や噴火に関係するのはトンガの沖らしいです。それを調べた先生が、私が尊敬する角田史雄先生で、去年、先生と共著で本(※)を出させていただきました。
※『南海トラフM9地震は起きない』角田史雄、藤和彦共著
(深田)
では、トカラとトンガは何か関係あるのですか?
(藤)
トンガに出てきた熱が、平面で平行移動して西に行くのです。インドネシア経由でフィリピンまで行き、そこから枝分かれをして、台湾経由で九州に来る流れと、フィリピンから東に行き、マリアナ海溝を通って首都圏に来るという2つの流れがあることを角田先生は提唱されています。
(深田)
トンガから2系統に分かれるのですか?
(藤)
そうです。今回のトカラ列島地震については、フィリピンから西へ進み、台湾を経由して九州に到達する「熱の流れ」が、現在増加しているのではないか、と言うことを示す証左だと思います。しかも、ローカルニュースのみの放送でしたが、九州の宮崎県に新燃岳という火山が7年ぶりに噴火しているのです。
(深田)
え⁉知らなかったです。噴火したなどというニュースは聞いていません。
(藤)
NHKなども、このローカルニュースを全国ニュースでは流していません。それが7年ぶりに噴火警戒レベル3に上がっていますので、熱が流れてきていると言えます。ですから、2016年の熊本地震については、トカラで地震が起きた後、熱は北に流れているので、九州の熊本で起きたと言えます。今回も九州のどこかで大きな地震が起こるのではないかと心配しています。
(深田)
ああ、なるほど。最近「7月5日に日本は大津波に遭う」という予言の書(※)が爆発的に売れています。
※2021年出版、たつき諒著『私が見た未来 完全版』で「2025年7月5日に日本とフィリピンの中間の海底が噴火して、太平洋周辺の国に東日本大震災の3倍の大津波が押し寄せる」と記述
(藤)
そうです。100万部ですよね。
(深田)
それで日本に来る人が減ってしまいました。
(藤)
すごい風評被害ですよね。
(深田)
すごいですよね。津波は何か関係がありますか?
(藤)
私はその本を読んでいないのですが、どうも「日本とフィリピンの間の海底で火山が噴火して津波が来る」ということらしいです。しかし、そこに火山はありません。
(深田)
日本とフィリピンの間に火山はないのですか?
(藤)
はい。そこに活火山はありません。そういう意味で、私は100%大丈夫だと思っています。あったとしても今は休眠に近い状況です。熱が来たとしてもそれで噴火することはないので、7月5日の予言は、熱移送説に基づけば、私は100%の確証を持って「ない」と言い切れると思います。
(深田)
ああ、なるほど。それでも7月5日を信じている人は多く「パワースポットに行こう」とか「日本に行くのはやめよう」という話になっています。本当に大丈夫ですか?
(藤)
私は100%大丈夫だと思っています。気象庁長官もデマだと言い切っています。
(深田)
ああ、気象庁もデマだと言っているのですね。
(藤)
ただ、彼らの主張はプレート説に基づいたものなので、地震の起き方とか地震の発生原因が分かってないのに、よくデマだと言い切れるなとは思います。
(深田)
そもそも、先生はプレート説がデマだという立場ですよね。
(藤)
はい。だからデマを信じる人がなぜデマだと否定するのか、片腹痛しだと思って見ていました。
(深田)
まあ、あの予言の書も漫画で、作者が「こんな夢を見た」という話ですものね。
(藤)
私はある意味で冷笑的に見ていました。結局、日本の地震学者の信用がゼロになったことがこのような騒ぎの原因ではないかと思っているのです。
(深田)
確かに、そうですね(笑)。
(藤)
こう言うと失礼かもしれませんが、スピリチュアル的な話題が広まり、ついには気象庁長官が公式に否定しなければならないような状況になっているのは、日本人が現在の日本の地震学者をほとんど信用していないことの証拠ではないかと感じています。 逆にそれが心配です。あの著者は「日本で防災意識が高まって良いことだ」などと言っていますが、逆にこんなことで一喜一憂していたら、これから本当に大変になった時に、日本人が『聞き慣れ』してしまいますよね。
(深田)
言われてみて『確かにそうだな』と思ったのは、国民が政府を信じなくなったということですよね。
(藤)
私も役人の端くれですけど、それはそうだと思いますよ。
(深田)
そうですよね。役人である藤先生がお上の言うこと信じておらず、真っ向から刃向かっていますものね。
(藤)
正しいかどうか議論する素地自体が政府部内でなくなっています。
(深田)
え、昔はあったのですか?
(藤)
昔はまだありましたよ。私なんかも古いろくでなし官僚なので、申し上げますが、
やはり、バブル崩壊前の日本では、官僚たちはまだ自由に好き勝手なことをしていたように思います。けれども皮肉なことに、それが結果的には、さまざまな形でリスク分散の役割を果たしていたとも言えるのです。それがバブルが崩壊したあと、特に自民党の政治家たちが“役人バッシング”を始めたのですよね。
(深田)
そうなのですか。
(藤)
内閣調査室時代、いろいろ調査して分かったことですが、自民党の票田である後援会の中小企業経営者がものすごく役人嫌いだったのです。
(深田)
その気持ちは分かります(笑)。いい人もいるのですよ(笑)。
(藤)
いや、いい人は本当にいません。
(深田)
自己否定ですか (笑) ?
(藤)
中小企業の経営者にとっては、「自分たちはこんなに景気が悪い中で苦労しているのに、不景気でも彼らはきちんと給料をもらっているじゃないか」という不満があるのです。また、自民党も1990年代に一度政権を失い、自分たちも苦しい思いをしたのに、「なぜ役人だけがぬくぬくと仕事を続けていられるのか」という話になり、激しい役人バッシングが始まりました。役人も、ある意味では学校で優秀だった人たちの成れの果てですから、一度強く批判されると、みんなおとなしくなり、政府の言うことばかりを聞くようになってしまったのです。
そうした状況下では出世を諦めない限り、「物言えば唇寒し…」という状況に陥り、自分の意見を自由に言えなくなってしまうのです。特に役所で出世コースに乗っている人たちは本当に忙しく、日々の業務に追われています。そのため、目の前で起きていることが本当に正しいのかどうかをじっくり考える時間がありません。
結果として、皆の意見はどんどん同じ方向に流れ、世界の流行や世間の動向にただひたすら従うような発想になってしまう。その結果、思考停止に陥り、気がつけば危機管理もできなくなって、物事が悪い方向へと進んでしまうのです。もはや、奈落の底の一歩手前まで来ているのではないか――そんな状況になっていてもおかしくありません。
(深田)
お役人さんは大量の仕事を抱えていて、何か忙しそうですものね。
(藤)
私はかれこれ、20年間研究職のような仕事をしていますが、普通の行政職の人たちは自分の時間がないのですよ。最たるものが国会対応と野党対応です。原案を作成、役所内で承認、国会に持参、説明、また追加で質問の受領ということをしていると、あっという間に1日が過ぎてしまいます。ただ本人は疲れるのでなんとなく仕事したという気持ちにはなっていますが、結果的に何の仕事をしたのだろうということです。
(深田)
忙しくて、疲れたというだけですね。
(藤)
今、若手官僚がどんどん辞めているという話が出ています。ただ単に勤務条件の悪さ以上に、このような先輩の姿を見て、これが将来10年、20年後の自分たちなのだろうかと思う人が多くなり、霞が関全体がブラック化しているところに本当の理由があるのではないかと思っています。
(深田)
そうですよね。本来もっと政府官僚の中で専門知識のある人がたくさんいるべきだと思うのですが、皆さん忙殺されて疲弊している感じで、考える余裕がないのでしょうね。
(藤)
そういう人たちは無視されますよね。戦前の日本やアメリカもそうですが、政策スタッフとインテリジェンスの戦いがあって、常にインテリジェンス側は負けているのですね。
(深田)
どういうことですか?
(藤)
インテリジェンス側が「これは危ないですよ。こうしてはいけないですよ」と言っても、既に最初から政策が決まっている政権は絶対に聞く耳を持たないのです。ひどい場合はアメリカのようにインテリジェンスをつまみ食いして、自分の政策を実行したりしますよね。今回のトランプ大統領もその可能性があったかもしれません。イランの核施設攻撃をみるとそう思います。
(深田)
ああ、なるほど、そういうことですか。
(藤)
一番極端なケースはイラク戦争に突入したブッシュジュニア政権がそうですよね。当時のCIA長官に「お前、イラクが大量破壊兵器持っている証拠はあるんだな?」と聞いたら、CIA長官がニヤッと笑って「スラムダンクです。絶対にあります」などと言って、ブッシュ氏が戦争に突入したというのは有名な話です。
(深田)
大量破壊兵器はありましたか?
(藤)
やはり、CIA長官も政治的に動きますから、ボスの歓心を引くためにそういうこと言ってしまう。そして、CIA長官がそう言うので、ブッシュ氏も「そうだな」と自信を持って戦争に踏み切ったのですが、結果的に大量兵器は何もみつからなかった。後日、当時のパウエル国務長官は「生涯で最大の汚点だ」と言って、後悔していますよね。
(深田)
なるほど。では、政府官僚とインテリジェンス側とのギャップ、そして、政府に専門家があまりいないという中で、今の地震はどうなるのか?といえば、気象庁は「ない」というわけですね。
(藤)
地震学の現状を見ていると、今から2000年ぐらい前の天動説を思い出すのです。天動説は、2世紀にプトレマイオスによって提唱されて以来、誤った理論であったにもかかわらず、1000年以上もの間ヨーロッパで定説とされてきました。その結果、天動説を信じていても天体の動きを正確に理解することができず、次第に研究者たちのやる気も失われていきました。そして、16世紀にコペルニクスが登場するまで、長い間惰性でその理論が受け継がれてきたのです。おそらく、現在の地震学者も同じ状況にあるのかもしれません。これは角田先生の受け売りですが、最近の地震学会からは、あまり優れた論文が出ていないようです
(深田)
ああ、なるほど!
(藤)
学界自体の活動が体たらくしています。若い研究者たちも、「プレート説は間違っているんじゃないか」と感じていても、それを口にした途端に自分の立場が危うくなるため、発言しづらくなっています。その結果、多くの人が従来の説に従うしかなく、自分では間違いだとわかっていても、新しい説を打ち出そうというインセンティブやモチベーションが生まれにくい状況なのです。
(深田)
先生はコペルニクスになれますよ。
(藤)
コペルニクス?火あぶりになりたくないので嫌です(笑)。いい年になって痛い思いをするのは嫌ですから、それは深田さんがなってください。ジャンヌダルクのように。
(深田)
いえいえ、私はサラ・コナーですから。
(藤)
ああ、そうですか。よくわからないですが、すごく強い人なのですね。
(深田)
今流行りの容疑者なので(笑)、多分、火あぶりにはならないような気がします。
(藤)
かっこいいですね。
(深田)
そういえば、藤先生の元上司も容疑者になったみたいですよ。
(藤)
え⁉誰でしたっけ?
(深田)
萩生田光一元経産大臣で、脅迫罪の容疑者になっています。事件番号は、八王子警察令和7年6月12日、事件番号4番です。私が刑事告訴しました。
(藤)
あ、そうですか。親告罪なのでしょうね。
(深田)
全員で80人ほどの被害届を出しているので、今後どうなるか注目しています。
(藤)
すごいバトルです。私みたいな小役人からすると縁遠く、敬して遠ざけるという世界です。
(深田)
いえいえ、こんなところに出演していたら首になりますよ(笑)。
(藤)
首にはならないと思いますけどね。
(深田)
「本の宣伝で来ているだけですから許してください」と言っておいてください。
(藤)
ああ、もう土下座してでもね(笑)。子供たちは大きくなっているので言い訳にはなりませんが、孫の顔を見たいということで。
(深田)
はい、それでは7月5日に津波は…?
(藤)
100%来ないです。
(深田)
100%来ない。言い切りましたね。
(藤)
はい、今の熱の流れからすれば、大きな大噴火を起こすような熱は流れてないのですよ。
(深田)
7月5日の予測を外したら本が売れませんよ。
(藤)
大丈夫です。今の日本は歴史的に見て、火山活動が低調なので、ほとんどの火山が噴火していないのです。
(深田)
そうすると、ご著書の『地球温暖化理論の嘘…』に繋がっていく話になるのですか?
(藤)
ええ、そういう意味では東日本大震災の3倍の津波を起こすような巨大火山の噴火はありえないです。そこは断言します。
(深田)
なるほど。わかりました。今回は、お上に盾突く“ろくでなし官僚”の藤和彦さんに『お上の言い分となんとなく歩調は合っているが、その論拠は全く異なる』というお話をしていただきました。皆さん、是非とも新刊も読んでみてください。藤先生ありがとうございました。