#362 (自民戦国時代へ。 昭和型大物議員不在で中堅が骨肉の争い?  鈴木宗男議員

(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム、ITビジネスアナリストの深田萌絵です。今回は参議院議員の鈴木宗男先生にお越しいただきました。今、みなさんが気になっていると思うのですが、今後の日本の政治はどうなるのか心配です。昭和型ではっきりと自分の意見を堂々と述べる政治家がたくさんリタイアされ、今はバブル世代の少し調子のいい政治家が、活躍し始めています。私は、このままでは日本はどうなるのか心配しているのですが、宗男先生はどうお考えですか?

(鈴木)

日本人は控え目で、困った時はお互い様と助け合って生きてきた国民性があります。過去にも様々なことがありました。第二次世界大戦、阪神淡路大震災、東日本大震災もそうですね。遡れば関東大震災もありました。さらには第一次世界大戦、日清、日露の戦いもありました。
いろいろな厳しく大変困難の時もありましたけれども、日本人は絶えず雄々しく立ち上がってきました。私はこの日本人の良き伝統、文化、これは今も残っているし、同時に頭に入っている人もたくさんいる。私はそう信じていて、期待もしている。これが私の思いです。

今、「政治がない」と政治を批判する声、あるいは罵倒される時はありますけれども、少なくとも戦後80年、廃墟と化した日本が、今や世界に冠たる日本になった。誰のおかげというか、誰が成したのか、冷静に考えてもらいたい。一にも二にも、政治の果たした役割は大きいと思っています。

(深田)
しかし、この30年間、日本は経済成長ができず、出生率も低下しています。私たちは、この状況で今の中堅の政治家たちに任せて本当に大丈夫なのかという不安がすごくあります。

(鈴木)
私が不思議でならないことは、これほど衣食住が整っている国はないのです。

(深田)

確かにそうですね。

(鈴木)
我々は戦後の団塊の世代、いわゆる第一次ベビーブームの世代として生きてきました。あの頃は物がなくても一姫二太郎と言って、二人の子供を作ることが大人の義務だという価値観が共有されていました。最初は女の子、二人目は男の子、できれば三人いた方がいいというのが、道徳倫理として子供の頃、学校でも教えられたものです。

(深田)

私も、三人兄弟で、三人ぐらいいるのが普通の時代でした。


(鈴木)

私も三人兄弟でしたからね。大体のどの家族も三人いました。これがやはり社会の常識、あるいは社会人としての責任で、当たり前の価値観でした。今は「結婚はしないのがいい」とか「私は一人でいた方がいい」など、個人の価値観が台頭してきました。さらに「結婚しても子供はいらない」という人までいます。

私の後援者の中にも、こういう人がいました。見合いで結婚が整いました。その条件に「子供は一人しか作らない」という条件の夫婦もいました。しかし、最大公約数的な価値観や認識は、どの時代でも変わらざる価値観、普遍の価値として残していくべきではないかと思います。

(深田)
それを実現するには、国としてどういうことをすべきでしょうか。

(鈴木)
私は、やはり政治家がしっかりしていることだと思います。

(深田)
今は政治家がしっかりしていないですね。

(鈴木)

政治家がしっかりしてないというよりも、当選第一主義ですから、どうしても迎合して、引きずられてしまう。やはり、昔の政治家は「私はこれをやる」と言ったら、命懸けで取り組んだものです。

(深田)

そう、そうですよね。議員連盟ではいろいろな若手の先生方と言っても私より上なのですが、その人たちは省庁の官僚に対して遠慮されているのですね。私は議連での宗男先生の様子を見ていて、やはり先生は頼もしいなと思ったことがあります。

前回の議連で「この質問に答えてください」と言ったのに、官僚が答えを準備せずに来ました。それに対して、先生が「国会議員がこの質問をして『では次に答えます』と言ったのに、なぜその答えを準備していないんだ!」と厳しく叱責をされました。それを言えるのが宗男先生だけでした。

官僚と仲良くしないと情報ももらえないかもしれないが、迷いがなく自分の意見をはっきり言う姿に私は頼もしく感じました。そういう人は減ってきているのではないでしょうか。

(鈴木)
残念ながら今の政治家は「私は政治家だ」という気概で「私はこの道をやるんだ。この仕事を必ず成し遂げるんだ」という目的、目標を持った人は少ないです。

(深田)
ああ、なるほど。確かにそうですね。

(鈴木)
これは選挙制度にも原因があります。小選挙区になったので、万遍なく人の声を聞かないといけない。役人は専門性を持っているので、役人に丸め込まれる政治家が多い。

(深田)

そう思います。


(鈴木)

私からすれば、この点が情けない。私は小選挙区を経験しているけれども、やはり、政治家は信念を持ってものを言うということ、そして言ったことに責任を持つ。これが大事だと思います。しかし、今はそれが少なく足りない。

(深田)
そうです!私はそこがとても心配です。自由民主党で、はっきりものを言われる重鎮の先生方が次々にいなくなってしまいました。気概を持ってやってくださる若手の先生がいないのが、ものすごく不安です。

(鈴木)

私もこの先が心配ですね。何かしらの勉強はしている政治家は多いです。高学歴で、偏差値の高い、そこそこの秀才型はたくさんいます。しかし、政治で必要なのは、勉強ができる政治家ではありません。

(深田)

何が必要ですか?

(鈴木)
頭のいい政治家が必要なのです。国民の思いをしっかり受け止めることが必要です。やはり、声なき声を考える政治家です。いろいろな場面でものを言える人は、まだいいのです。しかし、世の中には、言いたくても言えない人がいます。言いたくても言えない人の声、その声なき声をしっかり受け止める。これが、私の言う頭のいい政治家です。東日本大震災の時も、阪神淡路大震災の時も「こんな時に田中角栄先生がいてくれたなら」という声がよく出ました。

(深田)
そうなんですね。

(鈴木)
田中先生は小学校しか出ていません。間違いなく勉強はしていないです。しかし頭のいい人だと思っています。その頭のいい人が「よし、これが政治だ」と言って、ビシッと示してきたわけです。今見ていると『気概、矜持、心持ち』これを持っている政治家は少なくなってきたなという感じがします。

(深田)
ああ、私も今それをすごく思います。安倍晋三元首相が完璧だったとは思わないけれども、安倍さんのようにリーダーシップを発揮して「日本とロシアの関係はどうだ」とか「それでもいろいろな国と仲良くする」などリーダーシップが取れる政治家が、いなくなったのかなと思います。自民党の総裁選を見ると「この中で誰がいい?」と聞かれても、誰も選べない。すごく残念な気持ちになりますよね。

(鈴木)
ただ、私は捨てたものではないと思っています。例えば去年の9月に自民党総裁選挙では、石破茂さんが勝ちました。石破さんを選んだ自民党のバランス感覚はやはり優れていると思います。1回目の戦いで高市早苗さんが票を取りました。流れは高市さんになるのではないかと、みんなが思っていました。

(深田)

私も高市さんが総理大臣になると思いました。

(鈴木)

しかし、あの決選投票の演説を私は今でも覚えています。高市さんは非常にテンションが高かった。「私がリーダーになって、この日本をリードするんだ」と非常に前向きで勇ましい発言をされていました。一方の石破さんは、自身も決選投票に残れるとは思っていなかったかもしれません。それでも決選投票に残ったので、気持ちは高揚してもいいのです。私があの時の石破さんを立派だったと思ったのは、石破さんが一歩も二歩も引いて話したことです。

冒頭の挨拶の中で「私はこれまで多くの皆さんにご迷惑をかけてきました。自分の言っていることが正しい、そういう思いの中で、不快な念や、あるいは失礼な段が多々ありました。今こういったことを深く反省しながら、私はこの日本を立て直したい」と、非常に淡々と、一歩も二歩も引いて述べられた。あれで、私はもう勝負は決まったと思いました。やはり政治家は、言葉が命なのです。言葉は力です。石破さんはあの時、心の底から訴えた。

私は昭和58年の当選ですが、岸田さんは61年。私の3年後に出てきた国会議員です。その他の人たちはみんな10年も後の人たちばかりです。この辺りを考えると、一日の長、キャリアの重さが、石破さんにはあった。私はそう思います。それから石破さんの強みは宗教だと思います。プロテスタントのカルヴァン派ですね。

(深田)

ああ、そうなんですか⁉知りませんでした。

(鈴木)

トランプ大統領と一緒ですよ。因みに、私が生涯の戦友だと思っている外務省の元主任分析官で、今や知の巨人と言われている佐藤優さんも同じ宗教です。二人とも、少し斜に構えて、独特のポーズでお話されます。石破さんは目に見えない力によって、守られている、あるいはチャンスを与えられていて、最終的に思いが叶ったと思います。

日本では「何事も三度目」という言葉がありますね。3回負けてだめだったら諦める。しかし、石破さんは4回負けて派閥もなくなり、仲間も散り散りばらばらになりました。だから5回目は出られなかたのです。そして6回目が去年の9月の選挙です。

(深田)

そういう意味ではすごい精神力ですよね。

(鈴木)

プロテスタントのカルヴァン派は、生まれる前から神様が人生を決めておられる、願いや思いは叶うという教えです。石破さんの場合、3度戦いに敗れ「もう、総裁はない」と周りは諦めた。しかしへこたれず、その次も出て、最後に6回目が男の勝負だと挑戦した結果、成就した。勝負の世界は目に見えない力がついて初めてうまくいく。

それはトランプさんにも言えると思います。5年前の大統領選挙で負けた。普通、アメリカの大統領は2期8年やります。1期しかできなかった人にカーター氏などがいます。こういう例を見ると、何某か「私には誰かがついている」というしっかりした思いがあれば、私は通じるのだと思います。

(深田)

しかし、今自民党では石破さんを降ろして、小泉進次朗農林水産大臣を担ごうという流れが出てきているという噂ですが。

(鈴木)

それは全くないです。

(深田)

ないですか?

(鈴木)

森山裕幹事長がしっかりしています。小泉さんは、菅義偉元総理に支えられて出てきました。菅さんは慎重な方ですから、今の局面で小泉さんを担ぐということはありません。今は高市さんを担ごうとする勢力は蠢いていています。

(深田)

ああ、高市さんを担ごうとする勢力なのですね。

(鈴木)

安倍昭恵夫人とトランプ大統領との会談、そして今回のプーチン大統領との会談、これを政局に持っていこうとする動きがあるのです。

(深田)

ああ、昭恵さんはそういうことなのですね。

(鈴木)

それを利用しようとする人たちがいるということです。昭恵さんはそんなことを考えていません。

(深田)

昭恵さんを利用しようとする人たちが、お膳立てをしているということですか?

(鈴木)

お膳立てというわけではなく、なんとかうまく利用しようという人たちがいるのです。

(深田)

はい、今回は参議院議員の鈴木宗男先生にお越しいただきました。どうもありがとうございました。

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