ロサンゼルスで大暴動!? 州兵・海兵隊投入も治安悪化が止まらない  エルドリッヂ氏 #358

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【目次】

(オープニング)

ロサンゼルスで大暴動、トランプ大統領が州兵を派遣した。何が今起こっているのですか?

(深田)
皆さんこんにちは。政経プラットフォーム、プロデューサーの深田萌絵です。今回は元海兵隊のロバート・エルドリッジさんにお越しいただきました。ロバートさんよろしくお願いします。

最近アメリカのニュースを見ていると、急にロスンゼスで大暴動が起こり、トランプ大統領が州兵を派遣したというニュースが出ているのですが、一体何が今起こっているのですか?

(エルドリッヂ)
はい。表に出ているのは、ICE(米国移民税関捜査局:United States Immigration and Customs Enforcement)という組織が、不法移民の取り締まりや強制送還を行っているということです。しかし、もともとカリフォルニア州、特にロサンゼルスはほぼ無秩序な状態でした。民主党政権が長年続いており、行政能力が欠如しているのです。
昨年の山火事のときの市長は、海外に行っていて、まったく危機対応能力がなかった。市民からは非常に強い不満が出ており、トランプが厳しく批判していた。これはその延長線上にあると考えています。

(深田)
ロサンゼルスの先日の火事を見ていると、ダイバーシティ採用(多様な人材採用)で女性をたくさん採用していたため、消防活動で体力的に厳しく、重い物が持てなかったという話もありましたよね。それが消火活動の遅れに繋がっていたのですね。

(エルドリッヂ)
はい。それも一部報道にはありますが、私はそれ以前の問題があると考えています。まず、危機意識がそもそも足りない。
2つ目に、山の方に水が貯めてあるはずなのに、なぜか原因は不明ですが、水が貯まっていなかったとか、人口と面積の割合に合わせた消防車の数が、バイデン政権時にウクライナに寄贈していたので足りなかった。
さらに、変な政策で予算がうまく回っておらず、インフラも老朽化し、放水活動ができない状態だった。女性消防士問題の前に、根本的なインフラや管理体制の問題があったのです。

しかも、特に森林の管理については、トランプ大統領も1期目から問題提起していました。これは州の管轄ですが、まったく管理されていなかった。だから非常に燃えやすい状況になっていたのです。
ちょうどその市長が海外に行っていたときも、強風が吹く予報が出ていたのに、その危険な時期に、市長が海外に行ってしまった。だから危機管理ができない状態だったのです。


もう1つの問題ですが、これはDEI政策(Diversity, Equity, Inclusion:社会の多様性・公平性・受容性・包括性)と関係しているかどうかはわかりません。ただ、私はむしろアメリカの民主党の伝統的な問題だと考えています。能力がない人が責任者になる。女性だから能力がないということではなく、資格がない人が担当していた。

そして、その人の給料は年間80万ドル、日本円で約1億3000万円くらいです。消防全体、危機管理を担当している人がそれだけの高給を得ているわけです。
これは民主党政権だから許されているという面もあります。州議会も民主党、州知事も民主党、ロサンゼルス市長も民主党なので、チェック機能が働いていないのです。

(深田)
確かに今、シリコンバレーやサンフランシスコなどでは治安が悪化して、市民の批判がひどかったですが、少しずつ改善されてきていますよね。

(エルドリッヂ)
はい、若干ですが改善の動きはあります。ただ、たとえばホームレスの問題では、サンフランシスコはナンシー・ペロシ連邦下院議長議員やファインスタイン連邦上院議員といった典型的な腐敗政治家が牛耳っている地域です。ペロシはインサイダー取引で知られ、莫大な資産を築いています。ここでもチェック機能が働いていません。

(深田)
今ロサンゼルスで起こっている暴動は、移民、特に不法移民が関与しているのですか?

(エルドリッヂ)

移民、特に不法移民が関与しており、彼らを支援する団体もあります。おそらく、最初に関わったのは、そうした団体だと思います。もちろん過激派団体も存在していて、詳しくは調べていませんが、知人からの情報によると、少なくとも50年以上前から活動している団体が関与しているようです。

(深田)

彼らは結構武装していますよね? ああいう武器というのはどこから出てくるのですか?

(エルドリッヂ)
アメリカは武器だらけの国です。以前に聞いた数字では、銃の数が人口よりもはるかに多い。だから、武器が出回るのはごく自然なことなのです。

(深田)
今そのトランプ大統領が州兵をロスロサンゼルスに派遣しているというのは、ロサンゼルスの地元の警察ではもう対応しきれないということなのですか。

(エルドリッヂ)
そうですね。今回はギャングも関わっている。一時的にその勢力が手を結んで、共通の敵であるロサンゼルス警察とも連邦政府と戦っている。ギャングは当然銃を持っている。トランプが前から指摘していますが、違法な組織が不法移民、人身売買、麻薬、そして銃の輸入や販売もしている。だからこれは、もしかすると長い戦いになる可能性が十分ある。

(深田)
かなり武装していて、銃も兵器も十分にあるので、州兵が制圧に来ても長い戦いになるかもしれないということですね。

(エルドリッヂ)
そうかもしれないです。正当な不満もあると思うが、過激派の人たちは、おそらく今トランプ政権下なのでチャンスだと思っているのだと思う。

(深田)
正当な理由というのは、トランプ政権によって移民の取り締まりが厳しくなったということなのですよね。これは不法移民だけの取り締まりなのですか?

(エルドリッヂ)
おそらく不法移民ではない移民も巻き込まれている。そこで正しいとか人道的な手続きを踏まずに、まとめて強制送還させているという実際の事例もあると思う。私は政府機関で勤務していましたが、政府は効率的で賢い組織だとはとても思いません。けれども、例えばフェイクニュースや噂によって、誤報はあると思う。そこでさらに反発が起きて、真実は何なのかが分からなくなってきている。

私の友人に、15年前に警察を辞めた元ロサンゼルス警察官がいました。彼が警察官を辞めるきっかけになったのは、ある日、あるギャングの取り締まりに関わったら、2人で対応していて、彼の車が襲撃を受けて奇跡的に生き残った。家に無事に戻ったら、2週間に1回支給される給料の明細書が食卓の上に置いてあった。それを確認したら2500ドル。2週間で40万円ぐらい。そんなお金で、命をかけてやる仕事に見合わないではないかと。奥さんも、彼が毎日出かけるときに、無事に帰ってくるかどうか分からないので、祈りながら夫を見送っていたということなのです。

アメリカで警察は非常に危険な仕事なのです。

(深田)
アメリカの治安は普通ではないですね。

(エルドリッヂ)
もう異常です。昔からです。

(深田)
ロサンゼルスは昔から治安は悪いのですか?

(エルドリッヂ)
そこに住んだことはないのですけれども、やはり基本的に寄せ集めの町。特にロサンゼルスは国境に近いので、特に今回の件は不法移民の問題で、よそ者が多く特にギャング抗争が激しい。特に1970年代からの問題で、1991年のロドニー・キング事件で、警察による暴力が問題になって、大きな暴動があり、その後の大きな騒動はおそらく2020年のBLM(Black Lives Matter:黒人に対する暴力・差別の撤廃を訴える活動)まではなかった。

(深田)

最近トランプ大統領といえば、イーロン・マスク氏(トランプ政権の元特別政府職員)と激しく喧嘩をしているのですが、どうしたのでしょうか?

(エルドリッヂ)

これは憶測に過ぎないのですけれども、3つぐらいの理由があるのではないかなと思う。

1つは、2人ともやはり少し激しい性格がある。目立ちたがる。だから競争意識が生まれるのではないかなと思う。以前にマスクが大統領目指しているのではないかという話もあったけども、彼はアメリカで生まれていないから大統領になれません。憲法上、彼は大統領にはなれない。

(深田)
でも「事実上の大統領じゃないか」と言われて批判されていましたよね。

(エルドリッヂ)
おそらくトランプ大統領の耳にも入っていたのでしょう。だからその男同士の競争意識があったのだと思う。それがベースとしてある。

2つ目の問題は、トランプ大統領がどこまで容認しているのか分からないのですけれども、マスク氏が仕分け事業をやっていたときに、節約したと言われているお金が、国民・納税者に還元されたのではなくて、ペンタゴン(政府機関米国国防総省)の方にお金が回された。これが、トランプ大統領を支持しているいわゆるMAGA(アメリカ合衆国を再び偉大な国にする活動:Make America Great Again)の人たちの理解に反する。だから一般国民、私を含めて、それは公約違反だと思っている。

マスク氏はいろいろなビジネスを持っているのですが、その1つは軍事産業系。だからペンタゴンの予算が増えれば増えるほど、彼の会社との間で契約の数が増える、あるいは調達するものが増える。マスク氏は儲かっているのではないかということが疑われるのです。

3つ目は、マスク氏が「トランプ氏が例のエプスプタイン文書(少女の性接待と性的虐待を糾弾する文書)を公開しない理由は、トランプ氏は自らジェフェリ―・エプスプタインと非常に深い関係があったのではないか」という発言をした。それも喧嘩の原因ではないかと思います。

(深田)

写真が出回っていますよね。

(エルドリッチ)

それは以前からあったのです。私は今アメリカに行ったり来たりしているのですが、アメリカでやっている事の1つは、トランプ政権の閣僚が書いた本を読むことです。トランプ氏は約20冊出されているのです。彼の本のスタイルは毎回ほぼ一緒で、彼が発言したいビジネスのこととか、彼の1週間の生活はどういう風に過ごしているのか日記みたいなことをすべての本に書いているのです。
ある本の中で、「今日ジェフリーが来ました」、「ジェフリーはフルネームで秘書に言わなくても顔パスの存在で、非常に不思議な人だ」と、それがトランプ氏の本の中に書かれている。

(深田)
そのジェフリーというのは、ジェフリー・エプスタインではないのかという疑惑ですね。

(エルドリッヂ)
私が初めて発見したと思う。

(深田)
トランプ氏とイーロン・マスク氏は、ずっと政策的な方向性は違ったわけですが、喧嘩別れのとどめになったのはEV(電気自動車:Electric Vehicle)補助金ですよね。

(エルドリッヂ)
そういう問題もあるのですけれども、その対立関係がいつ生じるのか時間の問題だったのです。

(深田)

どういう風に収束していくのですかね?

(エルドリッヂ)
分からないです。今のところは。

(深田)

やはりイーロン・マスク氏はどちらかというと大企業寄りの考え方で「移民ウェルカム」、トランプ大統領は「不法移民は追い出したい」という考え方で、ここは最初から少し対立していましたよね。それと、イーロン・マスク氏が移民をもっと受け入れようというところにMAGA派の人が反発をしているとか、トランプ大統領もエプスタインのことを明らかにしないので、MAGA派の人が不満に思っているとか、あと最終的にEVのことで対立が深まっている。このまま分裂していったとしても、まあ4年は確実にやるわけなので、トランプ大統領の支持率に影響はあっても、4年は継続していけるということですよね。

(エルドリッヂ)
そうです。このエプスタイン問題は簡単には無視できないと思うのです。ただし民主党の人たちも関わっているので、おそらく究明はされないと思うが、MAGAの人たちや有権者には非常に不満がある。

民主党はもうダメになっているので、おそらく共和党政権は12年間続くだろうと思っているのです。このことが中間選挙に悪影響を与えるのか、あるいはもともとスティーブ・バノン氏(一次トランプ政権時の首席戦略官)とマスク氏が対立していたが、もしバノン氏がまたホワイトハウスに戻ることになり、トランプ政権を支えるとなると、また面白い展開になるかもしれない。

(深田)

マスク氏がトランプ政権を出ていった後に、スティーブ・バノン氏が戻ってきたら、またどちらかというとMAGA派の人は喜ぶかもしれない、そのような展開になるだろうと。面白いですね。

ということで、今回は元海兵隊員のロバート・エルドリッヂ先生に、アメリカの最近のことを色々教えていただきました。先生、どうもありがとうございました。

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