#355 ロシア-ウクライナ戦争の行方 メディアが報じない日本の選択肢とは? 鈴木宗男氏
(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム、ITビジネスアナリストの深田萌絵です。今回は参議院議員の鈴木宗男先生にお越しいただきました。以前からお伺いたかったのですが、ロシアとウクライナの関係がおかしくなり、戦争になりました。今は、日本とロシアの関係もおかしくなってしまっています。私たちどうするべきなのか教えていただきたいです。
(鈴木)
はい、今の日露関係は戦後、最悪の状態だと思います。それは、4年半前(2021年)の2月24日に始まったロシア・ウクライナ戦争からです。私は深田さんに冷静に考えていただきたいのは、戦争は両方に言い分があるのではないでしょうか。
先の大戦では日本が先に戦争を仕掛けました。日本には日本の言い分があったと思います。深田さんも経験があると思うけれども、子供の頃、学校で喧嘩をすると、先生は何と言いましたか? まず「喧嘩両成敗」と言われた。次に「先に手を出した方が悪い」その次は「元を作った奴が一番悪い」と言われました。これが学校の教えではなかったでしょうか?
(深田)
最初の二つぐらいですね。「喧嘩両成敗」と「先に手を出した方がダメ」と言われました。
(鈴木)
やはり「元を作ったのが一番悪い」のです。原因ですね。私はこれが国対国にも当てはまると思う。ロシア・ウクライナ戦争ではロシアが侵攻した。しかし、なぜ侵攻したのかという原因を誰も議論しない。
(深田)
そうですよね。元々そのロシアとウクライナで約束があって、ウクライナはNATOに加盟しないという約束があったけれども、それを反故にした。そういう話だったと思います。
(鈴木)
そうではなく、もっと古いのです。古いというか少し前の話です。クリミア紛争(2014年)がありました。これは安倍晋三総理の時代です。この時、ミンスク1、ミンスク2という合意がなされたのです。フランスとドイツが仲介に入って、収まりました。
ところが、その合意で「戦争はやめましょう」と収まったにもかかわらず、ウクライナ軍は、ロシア人の住んでいる地域のロシア人を殺していったのです。
(深田)
そうですよね。ドネツク地方や、東部のルガンスク地方ですか。
(鈴木)
殺されたのはロシアのパスポートを持っているロシア人なのです。それでもプーチン大統領はずっと7年も我慢してきました。
(深田)
そんなに殺されたのですか?
(鈴木)
1万4000人亡くなっています。
(深田)
えっ、ひどいですねえ。
(鈴木)
ですから、年間2000人ぐらい亡くなっている計算になります。このクリミア紛争の当時、アメリカはオバマが大統領です。オバマ大統領は当時の安倍総理に「ロシアを経済制裁する。日本も協力してくれ」と言ってきたのです。安倍総理は毅然と答えました。「日本とロシアの間には、北方領土問題がある。平和条約交渉がある。アメリカと同じ価値観では日本やっていけない。ここは日本独自の判断で行く」と毅然と言いました。
(深田)
うん、素晴らしい。
(鈴木)
すると、オバマ氏は「ガチャン」と電話を切ったそうです。その翌年に三重県でG7伊勢志摩サミットが開かれる予定でした。外務省の幹部は「ああ、これでオバマは来年来ないぞ」と悲観的に受け止めました。ところが、オバマさんはきちんと来て、広島に行き、原爆被爆者とも会って、慰霊碑にも献花をされました。
やはり安倍さんが日本国総理大臣として、しっかりと国益に適ったことを言ったのです。オバマさんは電話を切ったけれども、ここは安倍の言う通りだということになって、結果的には安倍さんが勝ったのです。やはり、トップリーダーは国益を念頭に置いた判断が必要なのです。
(深田)
岸田文雄さん(前首相)にはできないですね。
(鈴木)
岸田さんはバイデンさん(米国前大統領)の言いなりでした。これが不幸でしたね。
(深田)
そうですよね。日本の言い分とか立場を主張しないと、首相として意味がないですね。
(鈴木)
アメリカのバイデンさんの言いなりですから。言ってみれば使い勝手がいいわけですよ。ロシアにすれば「安倍の時に外務大臣をやった岸田総理だな?安倍、プーチン両首脳で決めた約束や信頼関係はどうなるんだ? おいおい、日本は何を考えているんだ?」となる。言ってみれば、これがロシアの驚きなのです。
(深田)
そうですよね。いつだったか、経済協力で合意をしたり、お金を日本から出したり、そういうものがありましたよね。
(鈴木)
それをもっと前の橋本龍太郎政権の時代ですから、もう25~26年も前の話になります。少なくとも安倍、プーチン両首脳の間で、平和条約締結交渉や領土問題の解決という日本の負の遺産について解決しようとしていたわけです。それを見す見す壊してしまったことは日本の国益を損なうのです。これは、もちろん岸田総理の判断です。バイデンに乗りかかっていった。バイデンさんも大統領選挙に出馬しましたが、途中で降りざるを得なくなった。これもやはりロシア・ウクライナ戦争におけるバイデンさんの判断ミスですね。岸田さんが安倍さんのように独自の外交路線を引いておけば、去年の10月の総裁選挙は岸田さんが出るチャンスあったのです。
(深田)
あっ、そうだったのですね。
(鈴木)
バイデンさんに引きずられたので、バイデンさんがだめになって、岸田さんもだめになったという流れですよ。
(深田)
うん、そうですよね。日本からウクライナに何兆円も出していますよね。
(鈴木)
まあ、何兆円までは行っていませんけれども、人道支援が主では武器供与をしていません。それだけでも日本は停戦に口を挟む立場にはあるのです。しかし、岸田さんは停戦の「て」の字も言いませんでした。日本は世界の中で4番手の経済大国ですから、もっと発言の機会があっても良かったし、停戦に向けて日本が努力する、あるいは言うべき立場にあったということを考えなければいけないと思いますね。
(深田)
ああ、そうですよね。今後、日本はロシアとの関係をどうしたらいいのですか?
(鈴木)
ロシアとウクライナ比較してみましょう。分かりやすく言えば、鈴木宗男がウクライナとすれば、ロシアは今度横綱になった大の里のようなものです。私が大の里にかかっていっても、歯が立ちません。そのぐらいの国力に差があります。
(深田)
最先端の武器を装備して戦ったらどうでしょうか? それでも勝てないですか?
(鈴木)
勝てません。ロシアは核を持っていますから。ウクライナには最先端兵器もないのです。これは天に唾する話です。アメリカやイギリスが武器を供与し、お金を送ってきたから長引いているのです。バイデン大統領がトランプさんみたいに「やめろ」と言ったら、すぐに収まった話です。
それから、はっきり言って、皆さんも勉強不足です。戦争が始まったのが4年前の2月24日です。そこから1か月後に、ウクライナはロシアに停戦案出しているのです。
(深田)
えっ⁉ウクライナから停戦案が出ていたのですか?知りませんでした。
(鈴木)
新聞やテレビでも報道していました。あの当時からの日本の世論はみんな、ロシアが悪くてウクライナが正しいという論調ですから、正しい歴史観を持っていないのです。
(深田)
印象操作をしていたのですね。
(鈴木)
4年前の4月15日に、プーチン大統領はその停戦案に署名しようとしたのです。ところが、ウクライナが提案を取り下げたのです。なぜ取り下げたのか。その頃、皆さんもテレビ見たでしょう? イギリスのジョンソン首相がウクライナに行って「署名するな」と圧力をかけたのです。
(深田)
へー!
(鈴木)
今の日本がだめなのは「喉元過ぎれば熱さ忘れる」で、正しい歴史を勉強してない。勉強しないか頭に入ってない。
(深田)
本当に全然知らなかったです。
(鈴木)
知らないのがおかしいのです。あの時、イギリスのジョンソンが、ウクライナに乗り込んで行って「署名するな」と圧力をかけて、ゼレンスキーは取り下げたのです。
(深田)
では、ゼレンスキー大統領は、本当は早く引き下がりたかったのですね。
(鈴木)
それは勝てないのですから。
(深田)
ウクライナも今は悲惨ですよね。
(鈴木)
私ははっきり言いますが、日本の政治家は歴史の勉強をしていない。外交も政治も積み重ねですから、過去の歴史に基づいて約束を守る。これが大事です。約束を守らなかったのはどちらかというと、ウクライナです。皆さん、これを頭に入れないで、両者が悪いという一方的な議論ですね。特に日本でも著名な政治家が「我々はウクライナ国民と共にあります」などの言葉をよく使う。ウクライナが尊敬に値する国であれば言っていいですよ。国自体が汚職まみれではないですか。しかも前のポロシェンコ大統領から今のゼレンスキー大統領に至るまで武器の横流しをしている。
今トランプ大統領がイーロン・マスクさんに言って、厳しく調べ上げたのは、アメリカが送った何兆円のお金が何に使われているかですよ。大体、半分までは分かったけれども、残り半分がどこに行っているのか分からないという情報が流れています。これが実態ですよ。日本の著名な政治家がそのような国に「我々日本人はウクライナ国民と共にあります」などと話をするだけでも、私は論外だと思っています。
(深田)
それで支援をすると、余計にウクライナ国民が戦争に巻き込まれていく構造になっていますよね。
(鈴木)
今年は戦後80年です。80年前を思い出してください。一握りの軍部の跳ね上がりが、一人になるまで戦うとか、女子供に竹槍を持たせて米兵を討つと煽ったのですね。その結果、何が起きたかということですね。80年前、日本が半年早く、降伏していれば、東京大空襲はなかったのです。沖縄戦はなかったのです。いわんや、広島、長崎に核爆弾を落とされることなかったのです。
だから私は4年前の2月24日、戦争始まった時から「一にも二にも停戦だ」と訴えた。特に戦争で犠牲なるのは子供、女性、お年寄りです。それぞれが世界でたった一つの命です。なくしてはいけない、奪ってはいけないのだというのが私の考えです。私はそれを言っただけでも、鈴木宗男はロシア寄りだと批判されました。
(深田)
実質的にはウクライナ国民のためになる話ですよね。
(鈴木)
そいういう話をしているのだけれども、当時のネットなどでは「鈴木のバカ、アホ」とまで言われたものです。しかし私は絶対ぶれないです。私は歴史を勉強しているし、歴史の事実に基づいて言っているわけです。今、発言している人たちは勉強してない、いい加減な人たちです。私は逆に信念を持って、ずっと主張してきた。
トランプが大統領になったら停戦という話が出てきた。今になって「停戦と言っていたのは鈴木先生だけだ、鈴木先生を支持します」という声は来ているのです。時間が経って、やっと分かった。これではだめですね。歴史の事実は、やはり民主主義は約束を守って、初めて成り立つものです。それを否定してはだめですね。このあたりをもっとよく考えなければいけないなと思っています。
(深田)
はい、分かりました。では鈴木宗男先生が首相になられたらまず停戦を進めるということですか。
(鈴木)
私は首相にならなくてもいいのです。トランプ大統領がもう停戦の話を出しているのですから。トランプ氏は1月8日に大統領に就任した。彼は大統領選挙中に「自分が大統領になったら24時間以内に終わらせる」と言っていたのです。それが、いざ大統領になったら「1日では無理だ。半年かかる」と言いました。半年かかると言えば、7月8日がその期限です。私はトランプ大統領が7月8日までやってくれると期待しているし、やってほしいですね。
(深田)
そうですね。ありがとうございます。鈴木宗男先生の熱い思いをいただきまし。今回は参議院議員の鈴木宗男先生に、お話しいただきました。先生、どうもありがとうございました。