#316 ビフィズス菌はダメ? 腸活の常識が変わる驚きの事実を徹底解説!  内海聡氏

(深田)

みなさん、こんにちは。政経プラットフォーム、ITビジネスアナリストの深田萌絵です。今回は、Tokyo DD Clinicの内海聡先生にお越しいただきました。内海先生、どうぞよろしくお願いいたします。

今回は「腸活」についてお伺いしたいと思います。近年、腸内環境を整えることが注目されていますが、私自身、ヨーグルトや発酵食品、味噌汁など、「腸に良い」とされる食品を勧められて食べると、必ずといっていいほど体調を崩してしまいます。

それで、いったい何が原因なのかと疑問に思っています。

(内海)

それについて説明することはできますが、話すと炎上するかもしれません。

(深田)

そんなに物議を醸す話なのですか?

(内海)

炎上というより、理論的には大したことではないのですが、多くの人が誤解していることなので、反発を受けやすい内容ではあります。たしかに腸内細菌は健康にとって非常に重要な要素であり、腸内に多くの菌が存在するほど免疫力が高まり、栄養状態も良好であるとされています。私自身もそれに異論はありません。

ただし、その「菌」にはさまざまな種類があり、簡単に分類すると「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」が存在します。そして、善玉菌は決して「善なる菌」ではありません。

(深田)

善玉菌が悪者だったということですか?

(内海)

いえ、悪者というわけでもありません。

(深田)

では、善玉菌が善でないというのはどういうことでしょうか?

(内海)

いわゆる善玉菌とは、「好気性菌」と呼ばれる、空気を好む菌のことです。たとえばビフィズス菌や乳酸菌が代表的で、これらは腸内を酸性にする働きを持っています。酸性と聞くと悪い印象を持たれるかもしれませんが、この性質によって発がん抑制物質を生成するといった良い作用もあるとされています。ただし、こうした作用は他の菌でも可能です。好気性菌であることから発酵に役立つという点が強調されているにすぎません。一方、「悪玉菌」とされる菌も、実際には「悪」ではなく、単に「嫌気性菌」、つまり空気を嫌う菌というだけです。嫌気性菌は空気を好まないため発酵には適しておらず、主に食べ物を腐敗させる役割を担います。これが悪玉菌と呼ばれる所以ですが、実際には自然界において非常に重要な役割を果たしています。腐敗が起こらなければ、生物は土に還ることができず、分解も進みません。そのため、悪玉菌もまた欠かせない存在であり、腸内をアルカリ性に保つ働きを持ち、ビタミンや発がん抑制物質を生成することもあります。

ところが現在、多くの人が善玉菌ばかりを摂取しており、これがかえって問題を引き起こしています。

(深田)

たしかに、腸の調子が悪いと話すと、よくビオフェルミンのような錠剤を勧められますね。

(内海)

それが最も良くない対応です。

(深田)

ビフィズス菌などを含むサプリメントや、プロバイオティクスと呼ばれる商品をいただくことがあるのですが、それを飲むと、かえってお腹が膨れて調子が悪くなってしまいます。

(内海)

それは腸内フローラが乱れている証拠です。腸内細菌層のことを「フローラ」と呼びますが、善玉菌が多すぎる状態はバランスを崩した状態にほかなりません。

(深田)

つまり、私のフローラは狂っていたのですね。

(内海)

その通りです。もちろん、悪玉菌が多すぎる場合もまた、バランスを崩した状態といえます。

(深田)

なるほど、どちらかに偏っても問題なのですね。

(内海)

その通りです。たとえば映画『風の谷のナウシカ』のように、多様な菌がそれぞれ縄張りを持ち、せめぎ合い、拮抗している状態こそが、腸内において最も望ましいのです。

先住民族の腸内環境を調べても、善玉菌と悪玉菌の数はほとんど同じか、むしろ悪玉菌がやや多いというバランスが一般的です。

現代においてこのバランスを再現するのは簡単ではありませんが、理想としては、善玉菌と悪玉菌が同程度、そして日和見菌が最も多く存在していることが望ましいとされています。

日和見菌は全体の6割から7割ほどを占めており、残りが善玉菌と悪玉菌で構成されています。善玉菌はだいたい1割から2割程度です。しかし、現在のヨーグルトメーカーなどは独自の研究結果として、「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」という比率が理想であると主張しています。私としては無茶苦茶な比率であると言えるのですが。

現実的には「善玉菌2:悪玉菌2:日和見菌6」という、いわゆる「2:2:6」のバランスが最適であると考えられています。したがって、むしろ現代においては、悪玉菌の重要性がより高まっているのです。

(深田)

悪玉菌の重要性が高まっているというと?

(内海)

私たちの体のpHはおおよそ7.4に保たれていますが、これは腸内のpHに体が常に合わせようとする働きによるものです。そのため、他の部位のpHが多少ずれても調整は可能ですが、ずれが少ない方が体への負担も小さくなります。腸内の理想的なpHも7前後であり、できれば7.4程度が望ましいのですが、その状態を維持するには、むしろ悪玉菌がやや多いくらいが適しています。

善玉菌と悪玉菌が同程度のバランスでなければ、腸の状態が良いとは言えません。

(深田)

では、私の腸活はどうすれば良いのでしょうか?

(内海)

悪玉菌を増やすことです。

(深田)

悪玉菌はどうすれば増えるのですか?

(内海)

その方法をYouTubeで発信するのは・・・。まあ、最も簡単な方法を挙げるとすれば・・・現実的ではありませんが「うんこを食べる」ことです。もちろん、実際にそれを行う人はいないでしょうが。

実は、病院界では「うんこ移植」というものがあります。他人の便を内視鏡を用いて腸内に移植することで、腸内フローラを再構築する治療法です。これはあくまで一つの選択肢ですが、一般的には受け入れられにくいでしょう。

そのため、もっと現実的で簡単な方法としては、「よごれたものに触れる」ことが挙げられます。

(深田)

よごれたものに触れる、というのはどういうことですか?

(内海)

たとえば、赤ちゃんが周囲のものを何でも口に入れるのと同じことです。あの行為は、善玉菌だけでなく悪玉菌をも取り込む行動なのです。

(深田)

では、ハトやネズミなどを見かけたら、思い切って捕まえても良いということですか?

(内海)

極端に言えば、そうした発想も一理あります。いわゆる「3秒ルール」的な感覚ですね。昔の人々はそれが当たり前でしたが、現代人は潔癖症の傾向が強く、常に清潔を保とうとするあまり、善玉菌ばかりが腸内に増え、フローラのバランスが偏ってしまっているのです。

(深田)

では、もう少し「よごれ」を意識的に取り入れるように気をつけます。

(内海)

寄生虫や微生物の研究で有名な藤田紘一郎先生も、同様の見解を示されていました。先生は80代で亡くなられましたが、私たちの研究所の近くにおられたため、講演にお越しいただいたこともあります。先生の著書には、「ちょいワル菌が健康をつくる」という内容が記されており、これはまさに悪玉菌を積極的に活用すべきという考え方です。

もともと藤田先生は、喘息やアレルギー、アトピーといった疾患が日本で急増していることに着目していました。これに対して他国では、経済成長を遂げてもそうした症状の増加は見られませんでした。

そこで実際に現地を視察した際、インドではガンジス川に排泄物や、時には人の遺体までが流れている状況を目にし、「これが違いを生んでいるのではないか」と考え、研究を始められたそうです。つまり、インドや東南アジア諸国の人々は、悪玉菌をうまく味方につけているということなのです。

(深田)

実は私も、子どもの頃はとてもお腹を壊しやすく、頻繁に下痢をしていました。しかし、25年前に仕事で香港を訪れた際、日本人と現地の方々と一緒に食事に行ったことがありました。香港人の方が「サーモンの刺身が食べたい」と言い、刺身が出てきたのです。日本人の駐在員たちは「危険だから食べない方がいい」と忠告しましたが、私だけは思い切って食べてみました。

見た目は普通のサーモンでしたが、その後、三日三晩、上からも下からもすべての液体が出ていくようなひどい体調不良に見舞われました。ところが、それ以来どんなものを食べても下痢をしなくなったのです。中国の衛生状態の良くない屋台で買い食いをしても、まったく平気になりました。

(内海)

それはよくあることですね。

(深田)

これは一体、どういうことだったのでしょうか?

(内海)

それは「菌を味方につけた」ということです。

(深田)

三日三晩、菌と闘って私が勝ったということですか?

(内海)

ええ、ある意味では「勝った」と言えるでしょう。

(深田)

つまり、その菌たちが私の味方になってくれたのですね。

(内海)

そうです。深田さんご自身が、その菌を「飼う」ようになったのです。

(深田)

それでは、例えですが、インドに行って現地のカレーを食べるべきということですね。

(内海)

カレーが良いかどうかは一概には言えませんが、少なくとも現代の「清潔すぎる生活」が必ずしも健康に良いとは限らない、ということです。

(深田)

つまり、屋台などで食べるような「ちょっと汚い」環境も大事だということですね。

(内海)

食べることも一つの方法ですが、日本国内で腸内細菌のバランスや免疫力について意識したいのであれば、自然の中に身を置くことや、農業に従事することが効果的です。農作業では全身が泥だらけになりますが、その際、日和見菌や悪玉菌も自然と体内に取り込まれます。たとえば、中世の日本では、肥溜めの糞尿を肥料として用いていたこともありました。当時の人々は、知らず知らずのうちに菌を味方につけていたのです。

(深田)

農業には、そうした効能があるのですね。

(内海)

泥にまみれるという経験は、実は非常に重要なのです。先ほど、「便を摂取するのは現実的でない」と話しましたが、周囲の自然に触れたり、泥だらけになることでも十分な効果があります。私のこれまでの臨床経験では、自閉症や知的障害を抱え、薬漬けになっていた多くの子どもたちが、農作業で泥に触れ、ぐちゃぐちゃになって遊ぶことで、急にできることが増えたり、体調が劇的に改善したりしたという事例がいくつもあります。親御さんが涙を流して驚かれるほどで、「どうしてこんなに変わったのか」と問われることもありますが、実際には、それまで家で過度に清潔に育てていたことが影響していた場合も多いのです。それほどまでに、自然に触れて泥にまみれることは、重要なのです。

(深田)

それなら、まずは手洗いやうがいをやめるべきでしょうか。

(内海)

そういったことを言うと、イベントなどで誰からも近づかれなくなりますよ。

(深田)

私は手を洗わずにお待ちしていますので、みなさんぜひ握手してください。

(内海)

手洗いでいうと、私は水洗い程度にとどめています。備え付けの石鹸は、界面活性剤を多く含む強力な洗浄剤です。石鹸というよりも洗剤に近いため、使用を控えるようにしています。塩素水であれば、瞬時に殺菌できますから、それで十分なのです。

(深田)

わかります。私も実はアトピー体質なので、石鹸を使うとすぐに肌が荒れてしまいます。

(内海)

過度な清潔さを求めないことが重要ですね。微生物を味方につけるとは、善玉菌だけを対象にすることではありません。ちなみに、アトピーや掌蹠膿疱症、乾癬、喘息など、皮膚や呼吸器に関する疾患を持つ人たちの腸内フローラを調べると、共通して「善玉菌が圧倒的に優位」であるという結果が出ています。これは、腸内バランスが崩れている状態だといえるのです。

(深田)

では、私はビフィズス菌などを摂ってはいけないということですね。

(内海)

その通りです。多くの場合、それは逆効果になっています。

(深田)

悪玉菌は市販されていないのですか?たとえば錠剤などで。

(内海)

悪玉菌そのものは販売されていませんが、私のところでは「すべての菌が入っている」というコンセプトの「土壌菌」の商品があります。宣伝っぽくなってしまいますね。私自身は日常的に使っていますが。

(深田)

私、試してみたいです。効果がなければ、正直にレビューしますので。

(内海)

悪玉菌を増やしたいのであれば、動物性食品を摂取するのも効果的です。悪玉菌は動物性のものを好み、善玉菌は植物性を好みます。そのため、植物性と動物性の食品をバランスよく摂ることが、腸内フローラを整える上で理想的です。ところが近年は、「肉は体に悪い」というイメージが先行し、動物性食品が避けられがちです。その結果、善玉菌が優位になりすぎて、かえって腸内のバランスが崩れてしまいます。

(深田)

なるほど。でも、私も年齢のせいか、45歳を過ぎたあたりから肉を食べると胃が重たく感じます。どんな肉を選べば良いのでしょうか?

(内海)

それは個々の体質によりますので一概には言えませんが、魚でも良いですし、卵や発酵乳製品なども消化がよく、動物性タンパク質としては適しています。肉類については、現代人は豚・鶏・牛ばかりを食べがちですが、もっと多様な肉を取り入れると良いでしょう。たとえば馬、鹿、イノシシ、ラム、カモなどです。ダチョウもおすすめですよ。

(深田)

ダチョウ!?なぜダチョウなのですか?

(内海)

ダチョウは日本でも畜産されており、非常に美味で、しかも胃がもたれません。牛のハラミのような食感で、脂っこくなく、さっぱりとした味わいです。主にタタキとして食べるのが一般的で、とても美味しいですよ。

(深田)

ダチョウはどこで食べられるのですか?

(内海)

通販サイトでも取り扱いがありますが、具体的な店舗名を挙げると注文が殺到する恐れがあるので…後ほど個別にお教えします・・・。

(深田)

了解しました。では最後に、腸活といえば「これが一番」というようなメッセージを、視聴者の方にお願いします。

(内海)

まず強く申し上げたいのは、サプリメントや特定の健康食品、いわゆる「○○菌」といった単一菌を摂取することは、非常に危険だということです。

(深田)

本当にそうですね。私もプレゼントでいただいたサプリメントを飲んで、お腹が張ってつらい思いをした経験があります。

(内海)

そういう方は多いですね。

(深田)

みなさん、サプリメントは控えて、ぜひ泥だらけになって「少し汚い」くらいの生活を心がけましょう。

本日は、Tokyo DD Clinic院長の内海聡先生にお話を伺いました。ありがとうございました。

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