#315 自衛官は議会に呼ばれない? 元空将が語る「法律が踏みにじる自衛隊の苦悩」の真実とは!?  織田邦男氏

(オープニング)
現場の苦悩を国会で議論するということは、ありえない。
国会に自衛官を呼ばないって言っているでしょう。
いろいろこの国には矛盾がある。この矛盾の中に私40年間もいたのですよ。

(深田)
皆さんこんにちは。政経プラットフォームプロデューサーの深田萌絵です。今回は麗澤大学特別教授の織田邦男先生にお越しいただきました。先生、よろしくお願いします。

あの先生、最近ずっとこう、憲法を改正するのか否かというところでずっと議論がなされているのですけれど、私は基本的にその自民党の憲法改正案には少し懐疑的なのですけれども、自衛隊ご出身の先生として、憲法改正が必要だというふうにお考えになる部分というのはあるのでしょうか?

(織田)
はい。大きく2つあるのですよ。
まず1点目はね、憲法については、基本的にはね、あれマッカーサーが作った。10日間で作ったのです。
で、その趣旨としては、二度と日本を立ち上がれないように、あるいはアメリカに逆らわないようにということで作っているのですよ。マッカーサー三原則ということでね。日本にはもう軍隊を持たせないということ。三原則のうちの1つです。
で、それで作ったのが9条なのです。
9条にはもう、要は軍隊持たないし、戦力も持ちませんよってことを言っているのです。それを通すのに1946年、吉田茂首相は憲法国会でね、明確に言っているのですよ。「もう軍隊持ちません。だから事実上の自衛権はありません」ということでね。それが1946年。
それで1947年に施行されたのだけれども、しかしながら冷戦が起きたわけですよね。そして1950年の6月だったかな? 朝鮮戦争が起きたわけです。
それまで「あ、これ戦争起こるかもしれないぞ」って、米ソの対立が激しくなってきて、ひょっとしたら日本にいる米軍7万5000人、これ持っていかなきゃいけないぞと。朝鮮半島で起こっているから、「これやばい」ということで、1950年にマッカーサーさんが、また偉そうにね、元旦に訓示を垂れるのですからね、占領中ですからね。
1950年、そのときにマッカーサーさん方向修正したのですよ。
「憲法9条は自衛権を放棄しているものではない」と。つまり、国家には要は自衛権というのはあると。だから「自衛権を放棄している」というのは、これは大きな間違いだね、と。そういうことで方向転換するのですよ。
それで、吉田茂首相は梯子を外されたのです。だって自衛権なんかないよと言っているのだから。

(深田)
吉田元首相は「自衛権はない」という認識なのですね。

(織田)
そう。それで、その第2項でね、軍隊も持たないし、戦力も持たない。いや、どうするのと? どうやって国を守るの?と言ったときに、もうなんていうかな、アクロバチックな解釈を法制局が作った、日本が作った今の解釈は。
何かと言うと、「国を守るための必要最小限度の武力は、戦力ではありません」と。
これ、よく作ったなと思うのですよ。

(深田)
まあ、日本人的な展開ですよね。

(織田)
で、要はだからそういう憲法だから、元々軍隊を持たないとなっているのです。
じゃあその、軍じゃない実力部隊を、戦力以下の、戦力ではない戦力。戦力を持っていけないのですから、戦力ポテンシャルにならないような必要最小限の実力の組織として、自衛隊ができたのです。
その自衛隊に僕が入りました。
いちばん最初に宣誓するのです。
その、なんて書いているか? 「日本国憲法を遵守し」ってあるのです。
で、その後にあるのは、自衛隊ならではの「事に臨んでは危険を顧みず」。これはどこの宣誓の文章にもないのですよ、公務員の文章には。自衛官だけ。
いざというときは命を捨てろと言っているのです。その宣誓をするのですよ。
それはまあ、自衛官としてそれはいいと思うのです。「憲法を遵守し」と書いてある。憲法遵守しなきゃいけない。でも憲法では自衛隊を否定しているのですよ。

(深田)
まあ、そうですよね。

(織田)
だから自分の存在を否定する憲法を守るという壮大な矛盾。これはきついですよ。

(深田)
日本ってそういうもの多いですよね、変な。

(織田)
うん。それは僕、40年間自衛隊にいて、もう本当にきつい。自国を守ることは必要だ。だから自衛隊、私、戦闘機の時もスクランブル何回も上がりました。ソ連機を追いかけましてね、日本の主権を守る、ってことをやるのだけれども、我々の存在を否定する憲法を遵守しなきゃいけない。
これは三島由紀夫に言われたのですよ。「なんだ、君たちは自分自身を否定する憲法を、なんで守るんだ」って。グサッときますよね。

(深田)
ああ、なるほど。

(織田)
そこの、やはりなんていうか、自衛官の心として、心にグサッと突き刺さる。いわゆる憲法の問題点。これはやはり書き換えなきゃ。あの、私は不真面目だからね。不真面目だから、40年間自衛隊勤められて。まともなやつはね、真面目なやつはやめちゃいますよ。
「なんで自衛隊を、国を守るために入ってきた自衛隊なのにも関わらず、憲法は我々を否定している。憲法を守るの?」と。

(深田)
あの、解釈で乗り越えるのは日本の文化です、のような。

(織田)
いや、これは解釈じゃなくてね、自衛官としてはね、三島由紀夫が言った通りなのですよ。「なんで守るんだ? 君たちを否定している憲法、なんで守るんだ?」って言われると、その矛盾は、まあいまだに解消していません、ということが大きく1つの問題点。
もう1つはね、先ほど言ったように、「必要最小限、国を守るための必要最小限度の実力は戦力ではない」。これ、大きな矛盾だけれども、まあ、それは飲み込みましょうと。だから「戦力なき軍隊」って言われるのです。
では必要最小限でやれという「専守防衛」という防衛白書の定義の中にも「必要最小限でやりなさい」と。要は、2番目は「軍事大国にならない」ということをね、日本の国是として書いているのです、防衛白書にね。で、「軍事大国にならない」というのは、要は必要最小限を超えて、装備を持たないということなのですよ。

じゃあどうなるかと言いますとね、これは政治家の人が言ったのですよ。昨年、能登半島地震が起きました。岸田首相は最高指揮官として、自衛官に対して「諸君は全力を挙げて国民を救ってこい」と言われたのですね。
もし日本が占領、あるいは中国が侵略してきたり、沖縄を侵略してきたりした時、それに自衛隊が対応する場面で、最高指揮官たる首相はなんて言うのか?
「いいか諸君、必要最小限で戦ってこい」と言わざるを得ない。

(深田)
そうですよね。

(織田)
そうでしょ? 「全力で」じゃないのですかと。おかしいでしょ。これは矛盾なのですよ。
あの、小野寺さん(元防衛大臣)も言われていました。

(深田)
あ~「全力で、必要最小限戦ってこい」ですか。

(織田)
そう、「全力で」いやいや、「全力じゃない、必要最小限で戦ってこいよ」と言わざるを得ない問題点が9条にあるということなのです。それは非常に矛盾ですよね。
それともう1つ、付け加えて言いますとね、今の戦いって平時に起こるのですよ。
ハイブリッド戦争とか、あるいは情報戦とか言うでしょう?
平時と有事を、「必要最小限で」と言っているから、分けているのですよ。

(深田)
ああ、今ってシームレスですもんね。

(織田)
そう、シームレス。どこから有事になったか分からない。だって今のウクライナ戦争でも「特別軍事作戦」、あるいは「特別軍事行動」って言っているだけで、「戦争」って言ってないのですよ、プーチンはね。

(深田)
ああ、なるほど。

(織田)
でも、あれ戦争でしょ。平時に起こることが常態なのです。
その時に日本は、先ほど言ったような法律解釈――つまり憲法9条からの法律解釈で、自衛隊法はですね、自衛隊は国会で防衛出動を可決するまでは警察なのですよ、警察。
有事になるというのは、防衛出動が下令されること。それは国会で承認されなきゃダメなのですよ。

(深田)
あ、国会で「今、有事だよ」ということ、「戦争が始まったよ」ということが、まず承認されないといけない?

(織田)
そう。「武力攻撃事態」というものが認定されると、「あ、攻めてきましたね。これは武力攻撃事態ですよね」となる。
自衛隊が武器を使うのに自由に使えるのは、防衛出動が下令されなきゃダメなのです。
「防衛出動が下令されました」、そこで初めて軍隊なのですよ。

(深田)
でもそんなの、国会でやったら絶対、辻元清美議員とか反対するじゃないですか。

(織田)
反対するかもしれませんが、まあ時間かかりますよね。

(深田)
そうですよね。

(織田)
ただ、まあ辻元清美議員も、そんな時になったら賛成するでしょうとは思うけど、分かりません。まあ、反対する人がいても、大多数が賛成すれば可決されます。で、防衛出動が下令されれば、自衛隊は軍隊として、ジュネーブ条約に基づいて敵兵士や敵の部隊を攻撃できるのです。

(深田)
それまでは「警察」?

(織田)
警察。警察はというと、武器の使用は「正当防衛」か「緊急避難」以外では使えないのです。
警察官職務執行法を準用しなきゃいけない。
問題はですね。要は小銃とか戦車とか使えないということです。

(深田)
それは警察官職務執行法の外だということですか?

(織田)
そう。警察官職務執行法で相手を殲滅するなんてことは有り得ませんからね。
相手を逮捕するということですから、警察官職務執行法はね。
それを準用する。だから、あくまでも「自衛官は相手に危害を与えてはいけません」と書かれているのです。

(深田)
ああ、正当防衛のみですか。

(織田)
うん。だから「やられたらやり返していい」と。
しかし、微妙なところでね、向こうがバズーカ砲でやってきたと。それでも防衛出動が下令される前だったら、小銃で対応しなきゃならない。自分を守るために。
と同時に、軍隊というのは「指揮官の命令」でもってやらなきゃいけない。武器の使用を。
でも警察官職務執行法では、武器使用の権限と責任は警察官にあるのです。

(深田)
あ、本人にあるのですか?

(織田)
そう。本人にある。

(深田)
ややこしいですよね。

(織田)
簡単に事態をわかりやすく言いますとね、安倍さんが安全保障法制を作りました。
米艦防護が可能になった。アメリカの艦艇が日本の防衛のために日本周辺に来ました。
そのときに、アメリカ艦がどこかから攻撃されました。
それは「米艦防護」で対応できるようになっている。
それは平時ですよね。防衛出動も下令されていませんから、平時でやろうとする。
じゃあ自衛隊法ではどうなっているかというと、「自衛官は、その米艦を防護するための対応として、武器を使用してもよろしいです」と書かれているのです。「自衛官は」ですよ。
じゃあそのミサイルが飛んできた。そのミサイルを撃ち落とすためにボタンを押したら、その人が責任を取らなきゃいけない。こういうことですよ。それおかしいでしょ。

(深田)
そうですよね。怖いですよね。

(織田)
「自衛官は」と書かれているのです。それを知っている人は、あえて言わないだけだろうと思うけど。
で、防衛出動が下令されたら、自衛官が武器を使用してよいというのは「自衛隊は」と書かれているのです。「自衛隊は国を守るために武器を使用していいですよ」と。それは軍隊なのですよ。
だから「自衛隊は」というと、自衛隊の組織の指揮官が「お前、あそこの敵をやっつけてこい」と軍隊としての行動ができるのです。
警察官というのは、1人1人に責任がある。

(深田)
そう。だから「今、有事だよ」ということが国会で可決されるまでは、自衛官が現場で自分の判断で「正当防衛」するしなさいと。

(織田)
「自分を守るために、自分がやられそうだったら対応措置を取っていいですよ」、しかし「相手を傷つけてはなりませんよ」って書いてある。

(深田)
それ、不可能ですよ……。

(織田)
だからそれが「警察官職務執行法」なのです。「相手に危害を与えてはならない」と書いてある。

(深田)
でも、なにか揉み合ったりしたら、絶対相手を怪我させちゃいますよね。

(織田)
そうです。で、自衛隊の中でもその問題が指摘されて、少しずつ、分かりにくいように変えているところはあるのですよ。

(深田)
どういうことですか?

(織田)
治安出動って、これ平時でしょう?
治安出動というのは、マッカーサーがいるときに、自衛隊をつくるときに、共産主義革命が起こったり、暴動が発生したりしたときにきちんと対応できるようにしろということで作られたのが警察予備隊ですよ。自衛隊の前身ですよね。もともとそういう背景があったのですよ。当時は共産主義革命の危険があって、暴動も起こりうるとされていた。そのとき、自衛隊が出動する必要がある場合に、「治安出動」という法的枠組みで出ることにしたのです。これがいわゆる平時なのです。
で、治安出動の場合、自衛官が勝手に「俺、やられそうだから」と判断して銃を使ったら危ないでしょう?だから自衛隊の部隊は治安出動だけね。

(深田)
治安出動のときは自衛官個人の責任じゃなくて隊の責任になる、と。

(織田)
そうそう。それで、普通、正当防衛とか緊急避難に該当する場合には、相手に危害を加えてはいけないってことが書かれているのですよ。でも、治安出動のときにはそれがない。これを「危害許容要件」って言います。

(深田)
相手に危害を加えてはならないという制限が治安出動のときにはない?

(織田)
警察官職務執行法というのがあるのですね。この警察官職務執行法の準用なのですが、相手に危害を与えてはならないという危害許容要件がね、治安出動にはないのです。

(深田)
じゃあ治安出動のときは、相手に危害を加えてもいいってこと?

(織田)
そう。これがどういう意味かというと、たとえば、平時に尖閣諸島に中国人が上陸したとしますよね。それを治安出動で対応しようとするのですよ。

(深田)
なるほど。

(織田)
そうすると、部隊の命令で銃を使うことになる。そのときに、自分を守るために相手を殺してしまっても、それは法律通りの行為だから問題ないのですよ。

(深田)
なにか、涙ぐましい努力を感じますね。

(織田)
いや、本当におかしいでしょ。中国人が尖閣に上陸するのって、普通に考えて侵略じゃないですか?それなら自衛隊は軍隊として殲滅すればいいのですよ。国を守るためなのだから。
でも、それも先ほど言ったように、防衛出動が発令されていなければ、自衛隊は動けないのです。おかしいでしょ?

(深田)
なので、有事になることが国会で可決されるまでは、平時の場合、途中までは警察が対応して、途中から治安出動になる。

(織田)
でも「警察権」の範疇です。

(深田)
そして、警察権で危害を加えてもいいエリアというのがあって、それを埋めるための法律が整備されている。

(織田)
そう。もしそういう事態があれば、法律で言い訳ができるようにしてあるということです。

(深田)
なるほど、言い訳のための法律があると。

(織田)
そうそう。ある意味、自衛隊を使うために、自衛官を違法行為に巻き込まないようにするということなのでしょうね。でもそれは自衛隊にとってはいい迷惑です。

(深田)
なにかこれ聞くと、改装、改装で、継ぎ接ぎの建築になった結果、消防法違反になっている昔からの旅館みたいな感じになっていますね。

(織田)
そう。旅館の継ぎ足し、継ぎ足しの構造ですよ。おっしゃるとおり。
それで、ここで一番問題になってくるのが「領空侵犯措置」なのですよ。
つまり、空を侵犯された場合の対応です。スクランブルってありますよね。
日本に向かってくる航空機に対して、自衛隊は領空を侵犯されないようにスクランブル発進します。で、「領空主権」というのは、海上の領海主権よりも厳しいのですよ、国際法的には。
たとえば、領海は12マイルありますが、軍艦が旗を掲げて通過するだけなら、無害通航権というのがあるのです。
しかし、領空にはそれがないのです。絶対に勝手に入ってきてはいけない。
絶対的かつ排他的。絶対入ってきちゃダメなのです。
その領空主権を維持するためには、時には撃ち落としてもいいというのが国際慣例なのですね。
実際にトルコは2015年だったかな、ロシアの飛行機を撃ち落としました。頻繁に領空に入ってくるから。
じゃあ日本はどうするのか?という話になりますが、自衛隊法には任務規定というのがあって、その第6章には「その任務を遂行するための権限規定」というのがある。
その権限規定には、自衛隊は正当防衛、緊急避難、あるいは警察官職務執行法に準じて行動しなさいと書かれているのですが、「対領空侵犯措置」には唯一その権限規定がないのですよ。じゃあ、どうするのか?

(深田)
そもそも「権限規定」ってどういうものなのですか?

(織田)
武器の使用に関する権限のことです。

(深田)
ああ、武器の使用の権限。

(織田)
どういう風に、どのような状況で武器を使ってもいいかってことが書かれている。でも、「対領空侵犯措置」には、それがないのです。

(深田)
え、それどうするのですか?

(織田)
調べたら、領空主権というのと、領空侵犯措置というのは、実際に活動するのは領空外だと。あっという間に入ってくるから。領空外で領空侵犯を防がなきゃいけないでしょう。領空外ということは法が及ばない。だから、それは国際法に従ってやればいいというふうに書いているのですよ。
しかしながら、昔はそれでよかった。でも、法律というのはどんどん国会答弁で変わってくるわけですよ。今の解釈は、自衛隊というのは、法律に書いてないことは一切できません。1㎜たりとも動かすことはできません、というのが今の法解釈。
で、「書いてない」というのはどういう意味なのですか?と訊いたら、「それはできないということだ」と。だからもしできるとしたら、正当防衛・緊急避難だけだという解釈答弁しているのですよ。これ、防衛局長がね。

(深田)
ああ、なるほど。

(織田)
かつてね。じゃあ、その正当防衛・緊急避難で、諸外国と同じような対応ができるのですか?というと、例えばトルコは、ロシア機がどんどん頻繁に入ってくる。一応いきなり撃ち落とすのではないですよ。警告して、抗議して、大使館呼びつけて、「ダメじゃないか」って。そうしたら、「あ、パイロットミスです。すみません。二度とやりませんからね」って。それでも入ってきた。だから撃ち落とした。プーチンは何も言えないのですよ。手順踏んでいるから。
それは、領空主権を犯したロシアが悪い、という話だから。それでもって秩序が保たれているのですが。
もしですよ、どんどん中国が入ってきたらどうするのですか?
これ、誰も言わないでしょ。

(深田)
はい。

(織田)
私が、防衛交流で中国に行った時、夜の宴会でそう聞かれて。よく調べているやつがいてね。向こうの大佐の空軍パイロットでね、「このような法律になっているだろ? お前、撃ち落とせないだろ?」って言うのですよ。「俺たちが領空侵犯しても」。
もうね、頭に来たからね。イエスともノーとも言わずに、目を見てじっと見ていた。そうしたら、勝手に喋り出す。「でもお前たち絶対撃ち落とすよな」とか言うのですよ。
「お前、どうしてそういうことを言うのだ?」と言ったらね、一言、「特攻隊の国だからな」って。
だからね、今、権限規定ないでしょ。特攻隊に守られているのですよ。日本はまだ先人に守られているのです。
我々は、法律がなくてもね、絶対撃ち落とすと。まあ、ひょっとしたら刑法でね、逮捕されるかもしれない。
でも中国は、撃ち落とすぞと、向こうは思っている。それが抑止力になっていると。

(深田)
なるほど。でもそれ、権限がないのがもう、そもそも大問題。

(織田)
うんうん、そう。それで、これ、権限規定がないということがね、国会で問題になったことありました。で、佐々淳行(さっさ あつゆき)さんって昔いたでしょう。知らない?佐々淳行さんというが人いて。その人が答弁して、官房でね。「任務規定があるからね、それに権限規定入っている」と、こう言ったのですよ。なんでもできる、と。
それはありがたい解釈だけれども、その解釈、通用しないのですよね。
で、あの法曹界は、「いやいや、そんな乱暴な解釈は認められない」と。だから私のところに電話が掛かってきて「織田さん、撃墜を命じたらダメですよ」なんていう弁護士がいましたよ。
「ほっといてくれ」と。まあ、そういう問題点を抱えている。それは憲法9条から来るのですよ、「必要最小限」。もう全部、「必要最小限」。

(深田)
うん。でも、領空侵犯は必要最小限じゃないのですか?

(織田)
うん、「必要」。それを撃ち落とす、軍隊としての行動は「必要最小限以上の行動」になる。と、このような話なのです。
そう、それは「必要最小限以上の行動」は「戦力だ」。戦力は持てないから、「自衛隊だから戦力は持っていません」と。こう、9条に帰着してしまう。

(深田)
うん、なるほど。

(織田)
で、そういう憲法9条を、「君たちは守っているのか?」と、こうグサッと言われると、困るでしょう。そういう、なんて言うかな、現場の苦悩を国会で議論するということ、ありえないのです。

(深田)
いや、現場の苦悩を国会で議論しなきゃいけないですよね。

(織田)
そう。でも、現場に、国会に自衛官呼ばないって言っているわけでしょ。

(深田)
え、呼ばれないのですか?

(織田)
この前、問題になっていたじゃないですか。あの、国民民主党の方がね、自衛官呼んで話を聞こうと言ったら、予算委員会で、予算委員長の安住氏が、「もう呼ばない」ということで、まあ、新聞に取り上げられていましたね。慣例として自衛官を呼ばないと。

(深田)
いや、恐ろしいです。

(織田)
おかしいでしょ。

(深田)
うんうん。いや、いろいろこう。今日なにか、いろいろこの国の矛盾、いろいろな矛盾がある。おかしい国だなとは思っていたのですけれども。

(織田)
その矛盾の中に、40年間、私いたのですよ。

(深田)
解釈が日本の文化です。
はい、ということで、ですね、戦後何十年も解釈だけでなんとかやってきた日本のこの矛盾について、麗澤大学特別教授の織田邦男先生にご解説いただきました。先生、ありがとうございました。

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