日本の農家は補助金漬け? その裏にある衝撃の実態! 東大教授・鈴木宣弘氏 #311

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【目次】

(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォーム、ITビジネスアナリストの深田萌絵です。今回は、東京大学特任教授の鈴木宣弘先生にお越しいただきました。
鈴木先生、よろしくお願いします。
3月30日に令和の百姓一揆がありましたよね。私は残念ながら講演が入っていたので行けなかったのですが。「日本は米農家が冷遇されている」と言うと、必ず「米農家は補助金がすごく流れていて自民党の票田になっている、守られすぎだ」と言う方がいますが、どうなのでしょうか。
時給10円だと言っている米農家さんや、米利休さんというインフルエンサーは年収15万円だったと言っています。確かにそれだと生活できないですから、「本当にお金が流れているの?」と思う人が出てきてもおかしくないなと思ったのですよ。

(鈴木)
補助金漬けで、日本の農家は過剰に守られているのだという見解が、意図的にメディアを通じて刷り込まれてきた歴史の中で、多くの方は信じ込んでいると思います。一般の方は、守られ過ぎているから、このように衰退したのだというようなことを言いますよね。でも、どう考えても、今の話のように時給が10円にしかならないとなると、それは保護されているのでしょうか。この時給換算は、補助金が出た後の段階なのです。

(深田)
補助金が出た後で時給10円ですか?どうやって生活されるのですか?

(鈴木)
高齢の方だったら年金収入を注ぎ込んで、赤字だけれど米は作り続けたいという場合もあります。兼業農家の方であれば、兼業収入を注ぎ込んで田んぼを守って、米だけは供給したいという思いだけでやっている。そのような方々がたくさんいるということですよ。
「他から収入があるじゃないか」と言う人もいるけれど、稲作だけだと、年間の売上が379万円、経費が378万円、残るのが1万円というイメージなのです。そうすると自分が働いた分に対する報酬が1万円、1,000時間働いているので時給にすると10円ということですね。
稲作だけで考えるとそういう状態だというのは、農水省の統計でも出ているので事実です。これを踏まえると、「補助金漬けで守られてきたから、自給率が下がった」という話は、どう考えてもおかしいでしょう?

(深田)
矛盾していますよね。補助金で守られている太陽光パネルの方が広がっていますよね。

(鈴木)
そうですよ。本当ならばどんどん広がるはずでしょう。高齢化でやる人がいなくて、村がなくなると言っている産業が過剰に守られているなど、それだけでも矛盾しています。

(深田)
私はITが本業なのですけれど、日本の半導体の生産量はすごく減ったのですよね。その理由は、日本の半導体産業だけが、諸外国と比べて何の保護もされずに丸裸で国際市場で戦っているからです。資材も台湾や韓国、中国に盗まれて、日本で一生懸命開発したものが外国から出てきて、自分たちは研究開発費を回収できないまま、自分たちが開発した製品に自分たちのシェアが奪われるけれど、何の補助もない。逆に国は外資にばかりお金を出している状況なのですけれど、似ていませんか?

(鈴木)
そうですね。やはり半導体もそういう形で衰退させられたわけですよね。農業は、まさに世界的なレベルからすれば、ほとんど保護なしで戦わされたのですよ。世界で一番過保護だと言われている日本の農業は、世界で一番保護なしに競争にさらされて、戦ってきたのです。
しかし、みんな完全に刷り込まれてしまっていて、なぜ刷り込んだのかというと、アメリカの戦後の占領政策から始まっています。
アメリカでたくさんの農産物が余って、在庫処分のために日本人に食わせろということで、米以外の農産物の関税をどんどん撤廃させられ、その結果、日本の米以外の麦や大豆やトウモロコシがほぼ壊滅したのです。
さらに、日本人が米を食べているとアメリカの小麦が売れないからと、学者の回し物まで使って、米を食うとバカになるという本まで書かせてね。どんどん米の消費も減っていきました。そして、減反政策をやらなければいけない流れもそこからできたのです。
アメリカは、グローバル企業が日本に対する輸出で儲けることと、日本人がまたアメリカに歯向かわないよう抑え込むために食料を握ることを徹底したのです。胃袋からの属国化ですね。
そこに乗っかったのが、経産省中心のね、まさに...

(深田)
また経産省か。

(鈴木)
財務省の話も出てくるけれども、私は農水省に15年おりましたからね。経産省と農水省は犬猿の仲で、お互いにあいつら人間じゃないと言い合っていたぐらいのね。

(深田)
経産省出身の人って、本当にろくでもないことばかり言っていますよ。

(鈴木)
優秀な方も多いけれども、とにかくずる賢くて手が早いなんて、昨日も講演で言ったら、私経産省ですって言われたので、いやあ、今のは褒め言葉ですからとか言って、そういう話をしたのですが。

(深田)
いや寄生虫ですから、企業の。

(鈴木)
いやいや、それで彼らは考えたわけですよ。要はアメリカを喜ばせればいいのだから、食料=農業を生贄に差し出して、その代わりに日本は自動車中心に儲けようと。お金を出せば食料なんていつでも安く買えるのだ、それが日本の食料安全保障だといって経済発展を遂げてきたのです。
私の計算ではっきりと分かるのですが、大きな自由貿易協定を1個やるごと自動車は3兆円儲かったのですよ。そして農業が大赤字になってきた。これを繰り返してきたのがまさに日本の貿易自由化の流れなので、農業を犠牲にして自動車が設けてきたということが、農業対産業界の構造ではっきりしています。

(深田)
確かに、元経産官僚の話を聞くと、だいたい日本の農家は保護されすぎているし、競争力がないと言っています。そして日本の農産物は農薬が多く使われていて危険だから、外国製品の方がいいよと。
(鈴木)

日本の農業を生贄に差し出して自動車などで儲けさせたいからどうするかというと、今の話になるのですよ。つまり日本の農業が過剰に保護されていたり、農薬が多くて危ないから、もっと輸入しようねということです。
貿易自由化する話にしていくために、徹底的にメディアを通じて日本の農業過保護論を刷り込んできたのが歴史的にあるのですよね。でもよく調べるとすぐ分かるのが、高い関税で保護された農業鎖国みたいに言われるけれど、自給率が先進国で一番低いのに鎖国なわけがないですよ。
(深田)

そんなに農産物の関税は高くないのですか?

(続きは動画をご覧ください)

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