#299 税法弁護士が宗教法人の税金問題を斬る! カルトと政治の資金源を正すには? 三木義一氏

(深田)
皆さんこんにちは。ITビジネスアナリストの深田萌絵です。今回は税法を専門とされている弁護士の三木義一先生にお越しいただきました。三木先生といえば、『税のタブー』そして最近『まさかの税金』を執筆されているのですが、本当に税のタブーに触れてしまいましたね。
(三木)
色々なタブーに触れています。なかなか書けないことを書きました。
(深田)
本当に、こんなことを書いていいのかなと思いました。
(三木)
誰かが書かないといけないでしょう。
(深田)
宗教団体の税金問題について触れて、つけられたり脅されたりしませんでしたか。
(三木)
この本を読んでいただくとお分かりだと思うのですが、私は宗教法人に対して税金でもっと追い詰めろと言っているのではありません。まともに宗教活動をしているところはむしろきちんと全額課税にした方がいいのです。変な宗教法人が変なことやっていると締め出されるので、まともなところは却っていいはずですよという意味を込めて行ったのです。まともなところは実はそれほど儲かっていないです。
(深田)
普通に考えると、宗教は儲かりませんよね。
(三木)
儲からないです。色々な人のためにやっているのだから、そのような団体こそ、もっと日本で皆さんの信仰の対象になってほしいと思っています。そういう思いを込めて書きました。
(深田)
宗教法人であれば何でも無税になるというわけではないのですか。
(三木)
違います。宗教法人は結構大変なのです。元々、なぜ宗教法人に課税しなかったのか、法人になぜ課税しないのかという問題につながるのですが、なぜ法人税があると思いますか。
(深田)
お金が儲かっているからですか。
(三木)
法人は営利活動をするためにみんなが株主として集まって、営利活動するわけでしょう。法人が儲けたものは本来、株主のもとに行き、その人は所得税で払うべきですよね。しかし、法人のところに貯め込むと、株主個人には行かないので、所得税で取れないからその前取りとして法人税を取るという発想でできています。

宗教法人を始め公益法人は、本来、儲けるためにやっているわけではないのです。そこで活動をして、何かの財産ができたとしても、株主などはいないので分配するわけでもないのです。宗教法人は活動をしなくなる時は他の宗教法人にそれを渡していくような仕組みです。個人の株主が団体を作って、儲けるという仕組みとは違うのです。したがって、戦前、公益法人は法人税の対象になっていなかったのです。しかし、人間はそのような団体があると必ず利用したがる人がいるわけですね。宗教法人が原則課税されないのであれば、宗教法人で色々な民間会社と同じような活動をしようという発想になってくるわけです。
(深田)
宗教法人に税金がかからないのであれば、私も『猫様幸せ教』でも始めて、猫様お守りなどを売ると儲かるのではないかと思いますね。
(三木)
宗教的な行為であれば大して儲からないのだけれど、宗教法人の名前で色々なビジネスをやることもできます。実際にそういう人が出てきたのです。すると、宗教法人が行う限りは非課税となって国税局も手が出せないので、どんどん民間業者が不利にされたわけですね。民間会社と同じことをしても宗教法人であれば税金がかからないということになれば、民間会社が困ってしまいます。

そこで税務署は民間会社が普通にしていることを宗教法人も行うと、課税対象にしようとなって収益事業というものを作りました。現行法では34の業種に収益事業として課税をしています。
(深田)
お守りなどは物品販売業になるのですか。
(三木)
宗教上の寄付のようなものであれば宗教活動で、対価性があれば物品販売業でしょうね。
(深田)
お寺の入る時にお金を取られることがありますが、これはどうなのですか。
(三木)
次の資料を見てもらうと詳しく出ています。『お守り、お札、おみくじ等の頒布のように、その売価と仕入原価との関係からみてその差額が通常の物品販売業における売買利潤ではなく、実質的な喜捨金と認められるような場合のその物品の頒布は、収益事業には該当しません』と書いています。つまり普通の販売業者が売って利益が出るものであれば収益事業だが、おみくじなどは全く対価性がないので、そういうものを買うことは寄付です。
(深田)
おみくじは寄付ですか。
(三木)
宗教活動なので、収益事業には該当しないです。しかし一般の物品販売業において販売されているような性質の物品、例えば絵はがきや写真帳、ろうそく、その他、こういうものは通常の販売価格で販売する場合には収益事業なる。
(深田)
ろうそくやお花はやはり対価性がありますものね。
(三木)
そのようなことで、34の業種を収益事業としているわけです。収益事業と宗教活動の区分けは難しいです。
(深田)
この分類はめんどうくさいですよね。
(三木)
例えば、昔、あるお寺がペットの葬祭をおこなって、問題になった。皆さんから頼まれるのでペット葬祭すると、税務署がこれは収益事業だと言った。
(深田)
ペットは収益事業ですか。
(三木)
私は宗教事業だと思う。税務署は「人を弔うのは宗教だが、動物を弔うのは宗教ではない」という考えです。
(深田)
それは違うと思う。ペットは家族ですよ。
(三木)
葬祭、葬儀というものは、死んだものを弔うこともあるのだが、それ以上に残された者が生きていけるようにするための活動です。亡くなったのが人であれ動物であれ、それを慰めて立ち直らせてあげるという活動は宗教事業だと私たちも言いましたが、税務署は認めない。とりわけ一番問題になったのは、これが本当に寄付なのか対価なのかということですね。「いくら出せばいいでしょうか」とよく聞かれるので、うっかりしたことに、お寺がホームページに大型犬3,000円、中型犬2,000円、小型犬1,000円という風な基準を書いてしまったわけです。
(深田)
料金表にした瞬間から収益事業なのですか。
(三木)
そうです。税務署にその料金表を証拠に押さえられ「対価じゃないか」と言われて、裁判所にも「そうだ」と認められて負けました。
(深田)
では、仮に人間のお葬式に料金表がついていたらどうなるのですか。
(三木)
問題だね。税務署が課税してきたら面白いね。
(深田)
最近のお葬式はお坊さんの派遣料金が明記されています。
(三木)
明記してはだめですよ。明記しないようにしているはずです。普通は皆さんのお気持ちで出している。本当の宗教法人でないところがやっているかもしれません。ペット葬祭は34の事業の何事業になるのか、少し考えてみてください。このお寺は何の事業を行ったのか。裁判所を曰く「葬祭は請負業、お墓は倉庫業」と、こういう形で負けたことがあります。

宗教法人だからと言って、完全に税金がかからないというものではないのです。却って厄介で、経理なども含めて大変なのです。宗教法人なので、非課税と思わないでください。細かい区別があります。ただ、一番の問題は寄付金というか、高額な献金で、これについては手を出せないのです。

【続きは動画をご覧ください。】・・・B案

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