偽りの大阪万博。リングの木材国産すらウソで大炎上!? 森山高至 × 深田萌絵
(深田)
皆さん、こんにちは。整形プラットフォームITビジネスアナリストの深田萌絵です。今回は建築エコノミストの森山高至先生にお越しいただきました。先生、よろしくお願いします。
先日大阪万博のフードコートのデザインが道頓堀と同じだったっていうことでね。少し悲しい感じに終わってしまって、せめてリングがあって良かったねという話になったのですが。このリングがいま何か炎上しています。
(森山)
もともと炎上していますけど、かなり燃えてきましたね。
(深田)
かなり燃えてきましたよね。もともと何で炎上していたのでしたか?
(森山)
「なぜ350億円もお金をかけているの?」「何の役に立つの?」「どこから出てきたリングなの?」という炎上の仕方で、「金額が高すぎる」みたいな。
(深田)
そうですよね。結構ネットなどを見ていると「この万博リング、こんなの単なるパクリじゃないか?」みたいなね。
(森山)
そういう先生もいる。
(深田)
今回、この大阪万博のリングは「木材で作るのは国産材の利用を推進するためなのだ」みたいな感じで、結構鳴り物入りで。
(森山)
はい、そうでしたね。「伝統建築だ!」みたいなウソもついていたしね。伝統建築っポイのは認めるけど。
(深田)
ポイだけですよね。ところが、最近ニュースで「実は国産材詐欺だった!?半分はフィンランド産の木材だった」みたいな話が出ていて。「そこまでウソか!?」みたいな。
(森山)
僕もなりましたね。「ええっ?」だって「日本産の林業振興のためにやる象徴的なプロジェクトだ」と言っていたからね。
(深田)
そうですよね。
(森山)
本当にそれはびっくりというか。ただね、僕は本当に「全部国産材でできるのか?」というのは疑問には思っていたのですよ。
(深田)
それはどうしてですか?
(森山)
構造用集成材というのは「エンジニアド・ウッド」と言うのですけれど、要はきちんと「エンジニアド・ウッド」 つまり「エンジニアが計算できる木」ですよというものなのですよ。
普通の丸太だと「強い丸太」「弱い丸太」「曲がっている丸太」とかがあって、均一ではないから、構造計算とか学術的な検討をするときに「バラバラやん!」となる。だから、エンジニア的に計算できるようにしましょうというのが、集成材の強さが担保されているところなのです。
その強さを担保するにあたって、やはり同じ木でもそれぞれに特徴があって、硬さもいろいろ違うのですよ。それで、普通は構造用集成材に使われる木というのは、日本産の杉よりも硬いものが結構使われていて、それが輸入材なのですよ。そもそも。
エンジニアド・ウッドで使われている材料は、基本的にフィンランド産が多い。北欧系が多い。カナダとか北米もあるけど。
(深田)
構造用集成材というのはフィンランドがメインなのに、なんで「国産材で林業復興のために!」みたいなことを言っているのだろうと思って。
(森山)
でも、特別にそういう許可を出したのかな、「え、すげえな!」「これ全部国産でやるのだ!?すげえな!」と思っていたわけ。
(深田)
感心していたのですね。
(森山)
その木をそのまま丸太のまま使うわけではなくて、細かく切るのですよ。それを「ラミナ」と言うのですけど。それをカチカチと合わせて四角の梁にするのです。
構造用ラミナというのは欧州カラ松が多いのだけど、こいつはきちっと硬さが証明されているのです。だから、フィンランド産の欧州産のカラ松のラミナを使うというのが、構造用集成材ではまあまあ一般的なのですよ。それにどれぐらい国産材をブレンドするかみたいな木だから、果汁何十%のような話になるのです。
だから今回、日本の木造の振興に350億円をぶっ込むぞ!」「全部日本の木でやるのだ!」「伝統だ!」と言ったから、「すげえな!」「日本の木を使うのだ!」とか思っていたのですよ、僕は。
だから、日本の杉を何か○○化して構造施設に使うと。一時的な建築物だし、ずっとあるものじゃないから特別許可を出して「オールジャパン100%果汁」でやるのかと。「ポンジュースかよ!」と思ったのですよ。
(深田)
「ポンジュース」だと思っていた。愛媛の真面目なミカンだと思っていた。
(森山)
そうそう。全部がね。そうしたらなにか「いや、違いますよ!」みたいな。
(深田)
半分はサンキストみたいな。なにか最近、この建築関係のインチキ、多すぎませんか?
(森山)
うん、ね。だから別に外国産を入れても、いいと僕は思うのですよ。万博だしね。万博だから、むしろ「世界中の木を入れよう!」って感じなのですよ、僕からしたら。
だってこれ、「もう参加国から全部集めた木です!」と言って、その成分はいろいろでもいいじゃないですか。
本来、木が乏しい国から「ちょっと輸入しました」とか言って「世界中の木がブレンドされています、リングです!」って言えば、世界の輪だと言えるじゃないですか。
それを「いや、今回は日本産だぜ!100%いくぜ!」と言っていたのが、違うじゃないという。
(深田)
そうですよね。なんか最初の説明に問題が。
(森山)
そうそう、そこが問題なのですよ。だから、そこがすごく雑なわけ。だから、それと言うのは、今回は税金も使われているから、我々全員が施主なわけですよ。
(深田)
そうですよね。視聴者の皆さんもね。
(森山)
だから、施主っていうのは説明を受けて納得してゴーじゃないですか。
だから、「いや、今回お宅を作るのに日本産でいきましょう!」とか、逆に「埼玉県だったら埼玉産の木で全部やります!」とか、「東京都は東京都の木材でやります!」と言うから、「分かった!」と言ってお金を出している時に、「いや、実はこれ」と言って、後になって出来上がって「いや、これちょっと混ぜちゃっています」と言われたら、「どうなっているのだ?」となるじゃないですか。
(深田)
そうですよね。
(森山)
だってみんな、「うちの家は東京都の木を使っているのだよ!」とか、「山まで見学してやりましたよ!」とか。いまそれがブームなのですよ。「地域材を使う」というのは。
(森山)
それが違っていたら、やはりショックじゃないですか?
(深田)
というか、詐欺ですよね?
(森山)
まあね、だから、そういうことが起きているわけ。
(深田)
だって、例えば「金の指輪です!」と言っていたのに、ただの金メッキだったら。詐欺ですよね。
(森山)
確かにそうです。だから、なぜそういうことをしているのか。でね、小さく書いていたみたいで、また言っているのですよ。「どこかに書いていました」
いや、それだったら、そんなに「日本産の木だ!」と吠えなくても良かったと思うのですよ。
(深田)
そうなのですよ。なにか報道では「こんなのです」と吠えているのだけど、説明資料の端っこの方に小さく補足と書いてあるみたいな。
(森山)
そうそう、そういうのが一番問題なのですよ。そういうのはもう、みんなやめてほしい時代ではないですか。それが全然改まってない。逆にね、「え、なに!日本産じゃないの?」と僕が吠えていたら、「またデマですか?初めから6割入れています」と、設計者本人が俺に書くなという感じなのですよ。俺に直接書いて。ダメでしょう。
(深田)
まさかの藤本さんが。
(森山)
そうそうそう。直接来たわけ。
(深田)
来ちゃった!?
(森山)
来ちゃったわけ。ええ、俺は日本産の木を全部使うと思い込んでいて、「え?違うの?」って言っているのに、向こうは「初めからそうじゃないですか?」みたいな。「知るか!!日本産ポク演じていただろう」と。
(深田)
なにか「国産ばかりを使う」みたいなイメージでしたよね?
(森山)
そう「伝統だ!」とかいろいろ言っていたじゃないですか。皆そういう気持ちだったから、あのニュースがバーンとなっちゃったわけでしょう。だって俺があのニュースを広めたわけじゃないからね?
(深田)
そうですよね。
(森山)
エエッて、僕は驚いた一人だからね。いや、でもやっぱりおかしいと思っていた。隈さんのあの腐るものと一緒なのですよ。
「本当に使えるの?」と外野は疑っていたのに、設計者は「大丈夫です!」と言っていた。だから、「そうなのかな?」と思っていたら、結局腐っちゃったという話で。
「え?日本産の木材で本当に全部集成材いけるの?」と。「え、いけるのだ!?欧州赤松ではなにのだ」と思っていたら、「いや、初めからそうじゃないですか」みたいな。
(深田)
いや、すごいですね。ご本人からね。
(森山)
来ちゃった。いや俺に答えちゃダメなのよ。本当は。彼は公式な立場なのだから。何かそういう報道がありましたけれども、元々日本産の木材だけでは賄えないのが建築の常識なのですよ。だけどその中で「日本産の木材をこれだけ増やしました!」と。
(深田)
そうですよね。ポジティブなアプローチで
(森山)
そうそうそう。「通常30%のところを俺が60%にしたのだ」と言えばいいのですよ。
(深田)
そうですよね。「果汁30%から60%に、2倍になりました!」とね。
(森山)
そうそうそう。それでもいいと思うのですよ。
(深田)
その業界の説明も分かりにくくて。「使用している構造材の何とかのうち6割は日本産です」とか。
(深田)
使用している材料のうち何とかの何割って。
(森山)
そう!だから、そこが本当に在籍なのかとか、厳密に言い出すとよく分からないのですよ。
(深田)
ああ、だから、どこの部分に使われているものの6割が日本産なのかが分からない。
(森山)
それが例えば、「日本産を使っている木材が6割」かもしれないのですよ。「果汁60%のジュースです!」の話と、「果汁が少し入っているジュースが6割あります!」みたいな。どちらなのだ!
(深田)
分かりました!その「6割」とは、「果汁60%」という意味じゃないのだ!
(森山)
いや、そこが分からないのですよ。「どうなっているのだ?」と俺は思ったわけ。
別にそこを本当は突きたいわけじゃないのですよ。「ウソつくな!」と言っているだけなのですよ。
(深田)
きちんと説明してくれというだけ。
(森山)
そう、だから、別に「欧州カラ松でほとんど作っています!今回フィンランド館は、すげえ立派でしょう!」でもいいのですよ。
「万博に一番協力してくれたのは北欧の国家ですよ!」って言って、それでもいいじゃないですか。
(深田)
そうですね。
(森山)
それを何か言い訳するから、おかしなことになる。
(深田)
最初から「木材でリング作りました!かっこいいよね!いいでしょう?」で良かった。
(森山)
それで、「なるべく日本の木も使いました」と。「構造用の部分は結構厳しいので、歩くところとかは全部日本産です!」とか、そういう説明なら分かりやすいでしょう。「ここは100%か」みたいな。
(深田)
確かに、確かに。そういうふうに言ってくれたら良かったのに。最近はどうなっているのですか?建築家の間での木材ブームと言うのですか。「木材使いました!イエーイ!」みたいな。このブームが、いろんなところでトラブルを呼んでいるのですけど。
(森山)
それはやはり「木の使い方」とか「木の意味」を皆分かっていないからなのですよ。確かに、日本の林業はすごく衰退しているのですよ。これは僕が前からずっと言っていることなのだけど。元々ね、日本の木材自給率は90%以上あったのですよ。日本で使う木材は、全部日本産で賄っていたのですよ。
日本に生えている木というのは、だいたい杉が多いのですけれど、あれはもともと用材として植えたものです。日本の森林というのは、ほぼ木の畑なのです。
だから、定期的に切っては植え、切っては植えを繰り返している畑なのですよ。それを戦後、GHQが「日本の木材90%以上とはどういうことだ。輸入しろよ!」と突っ込まれてきたのです。
(深田)
またGHQ。
(森山)
戦争に負けたから、仕方がないのだけど。「ええっ、となるけれども、仕方がない」と輸入を解放したのですよ。
その時は、「日本の木材は90%以上あるし、まあ、少しぐらい外材入れてもいいかな」と思ったのではないですか。自由化をしてしまった。関税が30%だったのに、20%、15%と段階的に開放すれば良かったのに、ゼロみたいに自由化をしてしまったから、日本の木材自給率90%がバーンと40%まで下がってしまったのですよ。
(深田)
それで杉だけが残り、花粉が。
(森山)
そうそう。それで輸入木材が安いから40%も下がった
カナダの製材工場に行った時に見ているのだけど、向こうは平らな土地に木が生えているのですよ。
(深田)
だから切ったらすぐ運べる?
(森山)
そう!すぐ持っていける。日本はこんな急斜面に生えているでしょう。歩けないようなところに。だから、木を切るだけじゃなく、運び出すのにもロープウェイとか通さないといけない。
(深田)
そうですよね。
(森山)
だから、同じ木でも、日本の木は伐採から加工までにすごく手間と時間とお金がかかるのですよ。だから、どうしても国際競争力がない。だから、輸入自由化をしたら負けるに決まっているのですよ。
(深田)
そうですよね。
(森山)
それで自由化して、それはまあGHQに言われたから仕方が無いかも知れないけれど、そこでまったく闘っていない。
輸入自由化でゼロからのスタートになったけれども、国力がついてきた時に、突然木材不足が起きて、戦後の高度成長期の建設ブームで、材料が足りねぇとなっちゃったのですよ。その時に「日本産だけじゃ賄えない!」みたいな混乱もあったのだけど、もう少しその頃にちゃんと日本の林業を守るべきだったのですよ。みな潰しちゃった。
潰れるのですよ。だって、谷の狭いところに製材所があったりとか、積み出しが大変な状況なのだから。それがあって、今、花粉症の被害がくらい使われない杉が山にいっぱいある。それで山が荒れちゃっている。
だから、日本の林業振興が必要というのは事実なのですよ。
(深田)
だから林野庁が頑張ってしまった。
(森山)
そう、頑張っているのだけれど、また出し方が雑だから。お金の使い方が雑なのですけれどね。林道整備とかにすぐ使っちゃうから。
だから、本当は林業の業者をどうすれば助けられるかとか、日本人全体でもう一度木材自給率を高めるにはどうすればいいかという総合的なアプローチが必要なのに、使ったら補助金出しますよという単純な話にしちゃったから、それを見たシンクタンクの人が、木を使えば補助金がもらえるのですか、やりましょうみたいなアドバイスをして。
(深田)
サーキュラーエコノミー(循環経済)で。
(森山)
そうそう。それで、日本中のいろんなところに、ベタベタ木が貼られることになった。
もう、ちょっと興奮しちゃいました(笑)。
(深田)
その結果、今、日本には腐る建築が増えている。
(森山)
そうなのですよね。だから本当は、「木をどう使うべきか?」を考えて、「どうやって日本の建設業界に木を取り入れていくべきか」を考えて、骨組みから作らないといけない。
ヨーロッパでもやっているし、日本でも真面目に取り組んでいる人はいる。「これからビルを木で作ろうよ」とね。でも、その時に、本当に国産材が使える状態で供給されるのかどうかがクエスチョン。ボンヤリをしているのです。
ここをちゃんと考えないと、「薄く削った板を貼ればいいじゃん!」みたいな話になって、また「木なんかダメじゃん!」と悪いイメージが伝わってしまう。
(深田)
そうですよね。最近流行りの「腐る・歪む・割れる木材建築」
今回のリングは大丈夫なのですか?
(森山)
まあ、今回のリングは長期間使う予定がないでしょうから、だんだん色が変わって悪くなっても、それはそれで大丈夫じゃないですか。ただね修正材の接着剤が何を使っているのかはすごく重要で、水に強い接着剤と、ちょっと水に弱い接着剤があるのですよ。それで、水に強い接着剤は黒い筋が出る。だから濡れるかもというところには使っている。もしも見た目重視でたぶん白い接着剤だから、何年も何年も外に置いておけるかどうかは分からない。
(深田)
でも今、木造リングは万博後も残そうみたいな話になっていますよね。
(森山)
そう、残せばいいじゃん、そのまま残せよ。廃墟になればいいと思っています。かっこいいじゃないですか。廃墟マニアがすごく来る。あのリングがだんだん朽ちていくと、すごい文明の未知の文明みたいになるのじゃないですか。
(深田)
そうですよね。衰退する日本を象徴するかのような。
(森山)
でも、あれを運んで使うというのは逆に大変だから。だから言っているのですよ。あれを言い訳のために運んで使うなんて無理だぞと。
あのまま部品を置くならいいけど、物見やぐらみたいにしても意味ないがないし。
(深田)
でも、そもそも344億円もかかるのですか?
(森山)
いや、そこもクエスチョンなのですよね。僕は計算してみたのですけど、ざっくり材積を2万4000立米、約3万立米として考えたとして、それを木材価格で掛け合わせると、材料費は50億円も行かないのじゃないかなと。どうなのだろう?
あくまで材料費ですよ。
(深田)
材料費は50億円ぐらい。そして、それに人件費が加わる。
(森山)
人件費とか、諸々の費用を含めて普通は3~4倍くらいかかるのが一般的ですよね。
(深田)
だから150億から200億くらい?
(森山)
せいぜいがと思っているのですが、ただ、それが実際の内訳はどうなっているのか、まだ分からないから。だから、どこにどう使われているのか。基礎部分にも費用がかかっているかもしれないし。
(深田)
まぁ、そうですね。この大阪万博、何から何まで嘘ばかりなのですよ。
(森山)
だから、嘘だと言われないようにしろと。
(深田)
そうですね。
(森山)
そうそう。何かもう、大げさに言うから嘘になっちゃうのじゃないの。
(深田)
何かね、芸術家っぽくなっているから、大げさに表現しちゃって。
(森山)
これは一般の住宅でも起こり得ることなのですよ。奥さんが「これでお願い」と言った時に、大丈夫です、お任せください!と言ったのに、後から「違うじゃない!あなた、そう言ったよね!?」「「いや、ちゃんと言いましたよ!」」と揉めるみたいになっているね。
(深田)
と言うことで阿鼻叫喚の大阪万博、実は名建築リングの国産材使用まで詐欺だったということで。
(森山)
もう、本当に僕は林業を何とかしたいと思っていますから、本当にみんな真面目にやりましょう!木をペタペタ貼るのはもうやめましょう!ちゃんと木を使う方法を、業界全体で考えましょう!と言いたいですね。
(深田)
素晴らしいですね。もっと本当に、木の活用の仕方をみんなで真剣に考えましょう!建築エコノミストの森山高至先生にお越しいただきました。ありがとうございました。